2008年

秋の大阪〜名古屋ツアー記

*撮影協力:*suさん、**マミ、***みどり

自分のカメラはあんまり良いのがないですね。今回は。


初日:大阪十三クラブウォーター


昼前のバスで大阪に移動。週末、しかも連休のはぢまり、と云ふ事もあってか、大阪駅はものすごい人ごみ。かき分けて近鉄駅まで歩き、十三へ。初めて来る所だ。けふの会場「クラブウォーター」のホームページの地図を頼りに、歩く。10分くらいで見つかる。高速道路の高架下のお店だ。

もうすっかりお馴染みとなったFaithの皆がセッティング中。やぁやぁお久しぶり、と挨拶をして、さぁ演奏モード。Faithのリハを見学しながらイメトレす。

ワシは今回、新曲も多いし、久々にカリンバをライヴでフィーチャーするので、しっかり練習も兼ねたリハをやらしてもらふ。喉の調子も良い。うん、店長が現役のミュージシャンだけあって、演りやすいお店だ。良いライヴが出来さう。

本番までの間、Faithの皆さんと、名物「ネギ焼き」を喰ひに行く。泉さんオススメの「やまもと」。ネギ焼きとはなんか?といふと、関西風お好み焼きのキャベツの代わりが、たっぷりネギ、といふ嬉しいもの。あっさりしたソースを付けて頂く。とてもおいしい。あ〜ツアーを始めて4年、ようやくかうやって、その地の美味いもの、を喰ひに行く余裕が持てるやうになったな。しみぢみ。

さて、本番。会場の椅子が足りなくなってしまふ程の人入り。もう、この町にも「ワシを」見に来てくれる人も増えた。初日だし、否が応でもテンションが高まる。それを瞑想でしっかりと鎮めながら始める。珍しく「月の路」ではなく、カリプソ風の即興から「カプチーノをもう一杯」に繋げてスタート。他も、ソロではライヴ初演となる「かがり火」、リクエストのあった「千年刻みの日時計」など、割と緊張を強いられる曲が多かったが、問題なくクリア。

1時間で何曲演ったのかな?。あんま憶えてねーや。ワシにしては珍しく、賑やか系の曲ばっかりで攻めたが、最後まで絶妙のテンションを維持でき、良いパフォーマンスが出来たやうだ。

その後、Faithのステージ。泉さん、チナっちゃんは相変わらず完璧だが、新加入のドラマー岡本健太郎、がやはりすごい。まだ若いが大したドラマーだ。随所に新しいアレンジが見られ、Faithもまた新しい次元に向ひつつあるやうだな。

最後はワシも加わる、恒例のツインベース・セッション。スティービー・ワンダーの「迷信」を、泉さんとワシとで、ぶりぶりにソロを取り合う。会場大盛り上がり。そしてオーラスはなんと、泉さんベース+ワシ唄、のデュオで「Stardust」を。

良いライヴ、良いイベントになった。泉さん、チナっちゃん、ケンタロー君、そして満場のお客さん、ありがとう。

大阪在住のワシの元生徒ダイスケとスーさんも一緒に、隣の、ちょいと変な民家風の居酒屋で打ち上げ。話も盛り上がり、ナイスな大阪の夜は更けて行くのであった。


2日目:名古屋今池りとるびれっじ**

今年から店の表記が平仮名に変わったやうです


ゆんベはダイスケの家に世話になった。ダイスケは古い友人であるS君と、そしてスーさん、といふ男二人に娘一人で一緒に住んでゐる。エロティックな所は全く無い、ぢつにあっけらかんとした同棲生活で、台所にひとり1個づつ、計3つの電気釜が並んでゐたりして、思わず笑ってしまった。

ワシが起きた時、既にS君もダイスケもバイトに出てゐて、スーさんだけ残ってゐた。そのスーさんとデートがてら大阪駅まで案内してもらひ、長距離バスで名古屋を目指す。

バスの中で寝れるだらうから、とゆんベは4人で遅くまで呑んで語り合ってゐた。ところが!。いざバスに乗ってみると、それはフツーの4列ベンチシートバスで、しかもワシの隣には既に若い娘さんが座ってゐるではないかっ。やられた!。長距離バスだからといって、全部が全部独立シートて訳でもないのだ。

しかも、挨拶しても返事もしやがらん全く愛想も愛嬌もないツンツンした娘で、名古屋に着くまで3時間、眠気と戦いながら緊張を強いられる、と云ふ訳の分からん疲れ方をしてしまった。あー疲れた。

15時に名古屋駅に着。いつも名古屋に来ると、この地の親友鎌田マミが迎えに来てくれるのだが、けふは自分一人で地下鉄を利用して、会場のある今池に入る。ここに来はじめてもう4年になるリトルビレッジ。今年の3月に店が広くなり、ステージも出来た。そのステージで演るのは、けふが初めて。

これまでのビレッジでのライヴは、店置きのギターアンプを使ってベースを鳴らしてゐた。それでも全然問題はなかったのだが、けふはJESインターナショナルの山家さんといふ人に、フィル・ジョーンズのベーアンを使わせて頂く。マスターの幸至郎さんから噂を聞いた山家さんが、それならウチのを使ってみなさい、と無償で貸し出してくれたのだ。フィルは元々ワシが使ってるアンプだ。ありがたい。

その山家さん、幸至郎さん、店員のヒロミちゃん、らと、リラックスして話しながらリハ。悪くない。

本番までの間に、ホテルのチェックインを兼ねて、近所の散歩。フラリと立ち寄った雑貨屋に『ペルーのオカリナ』といふのがあったので、壱個買う。

ヒロミちゃんがものすごい宣伝してくれてゐたらしく、開場時間が過ぎた頃からわらわらと人が集まって来て、あっと云ふ間に満員。ドリンクの注文が追い付かなくて、スタートが遅れる程の客入り。アウェーのソロで、こんなに人が集まってくれるなんて・・・・。ホンマに嬉しいねぇ・・・。

本番。このツアーでは「月の路」を演らん事にしてゐたが、本番前フと外に出たら、見事な満月が出てゐた。ので、予定変更して「月の路」からスタート。昨日大阪で演ったラインナップをベースに、古い曲だが人前で演るのは初めて、の「あの娘と海と八月」なんかも取り入れながらまづ前半1時間。

ちょいとテンションがコントロール出来ず、なんかイマイチな出来。見に来たマミも「調子悪いン?」と心配さう。う〜む、そんな事もないんだが・・・。

***

だからと云って、後半も特に作戦などナシ。曲順も決めずに演ったが、今度は上手く自分をアゲて行けた。パンキッシュな歌詞が賛否両論を呼ぶ「World is not one」の後でも、びっくりするぐらい大きなアンコールの拍手。心からの感謝を込めてアンコールに「坂に続く路の途中で」。途中、何故かループが作動せず、まるまる1コーラス、アカペラで唄ふ事になってしまったが、これが逆に効果的だった。

毎回素晴らしいライヴができる名古屋だが、今回は特に高い次元にまで行けた気がするな。ヒロミちゃん、打ち上げでは涙ぐみながら酔っ払ってゐる。地元ぢゃない土地に、こんだけワシの音楽を愛してくれる人がゐる。ホンマにありがとう。

今年の春しーシュでツアーに来た時に泊まったカプセルホテルに泊。


3日目:同じくりとるびれっじ***
朝5時に、どっかのカプセルからケータイの音楽が流れて来た。さういふのに限って、鳴ってる自分は目を覚ます事なく、周りだけが迷惑する事になる。しかし、かういふクソ莫迦はどーにかならぬのかね?。

そのまま昼までホテルで待機。朝風呂に入ったり、ラウンヂで新聞読んだり。

けふはビレッジに、北九州からテーさんこと村岡達也氏がやって来て、二人でライヴを演る事になってゐる。そのテーさんの名古屋入りに合わせて、こちらの友人------ひらしば幼稚園の若き園長Kくんとその嫁さんRちゃん。とマミ。にワシ---------で集まり、昼飯を喰ったりす。味噌煮込みうどん。所謂「名店」らしひが、ワシは前回喰った「町の食堂」みてぇな処のヤツが、好みの味だったな。

さて、けふはマミも交えたトリオ『丁修麻』(笑)でライヴをする、ってぇ事で、ビレッジを早めに開けてもらひ、リハをやる。一度だけ資料を聴いたっきりだが、どれも良い仕上がり。マミ、更に上手になったなぁ。

本番はテーさんのソロから始まり、ワシとのデュオ、ワシのソロ、マミが入ってトリオ、ラストはまたテーさんのソロ、といふ形で。

久しぶりだが流石に元相棒。マミとワシのコンビネーションは完璧だ。上手くテーさんの世界を拡大させる事が出来たのではないか?と思ふ。元々即興性の強いテーさんの楽曲は、ワシが最も得意とするスタイル。アー、これに正規のメンバーであるナオエ(Per)が入ったら、もうパーフェクトなんぢゃないか?。やってみたいなぁ・・・。

今夜も良いライヴだった。

名古屋では初めてのライヴだったテーさん。いきなりのソロ・ワンマンはキビしからう、といふ事で、少しは名古屋で名前も知られてゐるワシとのデュオ、にした方がお客さんも来やすいのでは?と思ったが、雨が降った、てのもあり、あんまり集客には協力できんかったなぁ。テーさん、ごめん。

Kくん宅に3人でお泊まり。明日は彼のひらしば幼稚園で、170人の幼稚園児相手のライヴだ。ビールを呑みながら、居間で最後の打ち合はせ。なんか修学旅行みたいやな、と笑う。


4日目:豊田ひらしば幼稚園
午前6時に起床。眠い目を擦りながらけふの会場、ひらしば幼稚園に入り。

何故ワシのやうなモノが、斯様な場所でライヴをする事になったか、と云へば、長い話になる。ただ、話が来た時、これは演り甲斐のある、たいへんなチャレンヂだ、と思った。会場に入り、サウンドチェックなどしてゐると、期待と不安で良いかんぢにテンションが上がって来る。

昨日の深夜の打ち合はせで、『ワシらは保父さんでもないし、かういふ活動を専門にやってゐるタイプの人達とも違う。それがさういふ事を真似してもダメ。子供は意外に敏感に偽者を見破る。だったらワシらはあくまでも正規のミュージシャンとして仕事をするべきだ』といふやうな事を云ひ、みな納得してくれた。

そして、先生に誘導された園児達170名が席に着いた。

ベースのリズムで先行する即興からスタート。テーさん、マミと順番に入って来て、カリプソ風にアレンジされた『おばけなんてないさ』に続くオープニング。園児達はぽか〜〜んと口を開けて見てゐる(笑)。が、2曲目3曲目と進むうち、声も上がり拍手も起きる。遊戯を交えたマミコーナー、テーさんのなぞなぞ唄などもあり、だいぶバラけて来た処でワシのコーナー。

ここで「えせニック」即興をかます。子供らに心臓の鼓動を意識させ、そこからカリンバでおもむろにリズムを出し、テーさんのパチカと共にベースが入り・・・、とまぁいつものワシのライヴやンけ!!、といふやつを10分くらい。

一瞬、ガキどもが完全にシーン、となり、後半は立って踊ったり、叫んだりするのも出た。勝った(笑)。

全部で45分。地球上で一番落ち着きのない生き物170人を相手に、まづまづの事はやれたンぢゃないか?と思ふ。

その後、Kくんの提案で、園児達に楽器に触れさせてはどーか、といふ話になり、まぁコミュニケーション・タイム。さすがに自前のギターやベースは壊されてはたまらんので、辞めておく。テーさんは借り物のギター、マミは園のピアノなどで、子供らと楽しさうに唄ったりしてゐる。

ワシはカリンバで子供らとコミュ。結構キツく『はい、其処ちゃんと並べ!』とか『割り込むな!』とか云ふのが、逆に子供らにはオモロいらしく、人だかりが出来てしまった。カリンバ自体は意外に難しいし、指も痛くなるので、割とすぐ飽きるのだが、ヒト的にはなんか妙になつかれてしまひ、悪い気分ではないが、疲れた(笑)。

**

良い仕事をさせてもらった。

それどころか、ワシは今後の自分の音楽活動を続けて行く上で、重要なヒントを得たやうな気さえする。ありがとう。

新幹線で帰るテーさんを皆で名古屋駅まで見送り、ワシは深夜バスで帰るので、その時間までは打ち上げ。居酒屋の店長にお願いして「名古屋っぽいもの」を一通り出してもらふ。どれも美味しい。

ひらしば幼稚園では、あの後すぐに職員会議が行われ、けふのイベントにつひて話し合われたさうだ。どーかな?と思ったワシの即興コーナーも、あれはあれでかなり斬新な印象を全体に与えたやうで、まぁ一安心。前から面識はあったが、深く話し込んだ事はなかったKくんとも、初めて色々語り合って、ナイスな打ち上げ。ビバ名古屋!やね。

23時名古屋駅発の深夜バスに乗る。

消灯時間ギリギリまでカーテンを開け、流れる外の景色を見ながら、今回またひときわ印象深い名古屋を後にした。