1月


1週目

1日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

3時頃帰って来て、まだ起きてゐた女房と新年の挨拶を交わす。今年もよろしく。

それから6時間寝て、ウチの実家に里帰り。今年春から東京で一人暮らしを始めた姪っ娘の劇的な変化(良い意味で)を見て、やはりヒトは早くに親元を離れ、独りで「旅を」すべきなのだな、と強く思った。それほどの変化。素晴らしい。おせちや天麩羅、煮込みなどを喰ひ、幸運にも家族全員で一致した腐苦山魔差春への嫌悪感をネタに盛り上がりながら、清酒を頂く。

年明けすぐの町は、なにかユルくて、がらんとしてゐて、良い。嗚呼、新年だな、と思ふ。明けましておめでとう。今年もよろしく。

2日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

例年通り、けふは女房の実家へ。

女房が一人暮らしを始めた頃から飼われてゐた柴犬が、昨年秋頃に亡くなったのださうだ。「カイ」といふ子だった。17歳。犬にしては大往生だな。雨が嫌い、といふ変わった個性の犬だった。年に2回くらいしか見ぬワシも、ちゃんと憶えてくれてゐた可愛いヤツだったがなぁ。

庭に熾した炭火で海の幸を頂きながら、日本酒とワインを飲む。ひとそれぞれ好みはあらうが、ワシは刺身には白ワイン、だと思ふ。義弟も交え、けふも良く喰ひ、良く飲んだ。

3日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

なにもない壱日。例年では動物園に行ったり、湯煮黒に季節ものを買いに行ったりするのだが、今年はそれをやめてひたすらウチに居ることにす。寒いので散歩もなし。我々夫婦もそれなりに歳をとって来た。ので、無理に出歩いて疲れる事もなからう。

ワシはDVDで「落語娘」といふのを見る。主演のミムラが、なんとな〜〜く色っぽい。

4日(月)------------------------------------------------------------------------------------

ヲーキング初め&たっぷりストレッチ。

夕方から、昨年初夏頃に落成したカシラの新居にて、Far east lounge関係者の新年会。初めて見せてもらったが、まぁ立派なモノを建てたものだ。3階建て。日当たりの良ささうな広々したリビング。音楽スタヂヲやトレーニング室、ゲストルームや屋上テラスもある。1階はテナント、2階は御両親、3階はカシラ家族、といふ完全な二世帯住宅。なるほど本人の自慢も納得出来る。大したものだ。天晴れである。

持ち寄りの料理や酒を嗜みながら、御両親も交えて和気あいあいと12時近くまで。途中、スタヂヲでセッションも始まる。まるで「建もの探訪」に出て来さうな光景だったな。

ちなみにけふは、ツンちゃんは不参加。なにやら1人で「旅に」出てゐるんださうな。前もたしか1〜2週間姿が見えぬな、と思ってたら、車で放浪の旅に出てゐた、といふやうな事があった。変わったおぢさんである(笑)。

5日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

2010年、しーシュ初リハ。新曲の難曲「亀の庭」がようやくまとまる。

最近、しーシュの個々の曲の感想など聞く機会があって、なかなかにオモロい。壱聴したくらいでは『なんぢゃ?これは」と思ふやうな曲の方が、後々長く愛される曲になる、といふ傾向があるやうだ。まぁ新曲のこなれが遅い、て云ふ事かも知れぬが。

しーなさんの息子が、お年玉をはたいて電気ベースを買って来た。以前『どんなのを買えば良いのか』と相談され、『持ってみて、気に入ったのを買えばそれで良い』とアドヴァイスした。したら、リーズナブルだが仲々悪くないのを買って来たやうだ。知識ある大人が「良品を見立てて」やる事も良いが、やはり「自分で選ぶ」と云ふ事が大切。きっといまホクホクの気分なんだらうな。

のめり込め。夢中になれ。そっから先は人生が教えてくれる。

6日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

年始休暇終了。けふから通常レッスンだ。なんかハラが立つくらい寒いんですが。

ので、晩飯にはおでんを作った。おでん、てこれでなかなか手間の掛かる料理なのだ。練り物はしっかり「油抜き」せんと、あとで胃もたれの元になるし、煮込まんと駄目なもの、煮込んではいかんもの、それらを同じ鍋で同じ味付けで煮る、といふは

ちなみにワシはかなり最近まで、「おでん」と云へば「ちくわ」しか喰はない、といふ、不可解な偏食をしてゐた。ごぼう巻きや大根、卵などには目もくれず、ご飯も喰はず、ただひたすら「ちくわ」だけを喰ふのだ。もともとワシは、食べ物の好き嫌いは全く無い。他のモノが喰へぬ訳でもなく、嫌いな訳でもない。が、おでんは「ちくわ」。文字通り「偏った」「食事」。

今思ひ出しても、何故だったのだらう?と思ふ。

7日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

様々な事が決まっていくのだが、ハと我に帰ったところ、今年はまだ広島でのライヴが入ってない、ことに気付く。こは良くない。他人からのオファーで動いてゐるだけでは駄目ぢゃないか。てな訳で、2007年に演ってゐた企画「In Duet's」を復活させやう、と決めた。

これは「ソロ」といふものにこだわった次の展開、として、それぞれソロで演れる人とデュオを組み、ナニかが出来るかも知れぬ、といふ部分を追求しやうとした企画。07年の1月から・・・あぁ数えてみたら9月まではなんとか続けてたんだな。割とちゃんとやってたな、といふかんぢ。あれの続きを演りませう、といふ。上手く行った時も行かん時もあったが、総じて仲々楽しい企画だった。少なくともワシは、ね。

仕事がない時は、かうやって自分が「場」を作って行くが良い。今年はさういふ年にしませう。

8日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

専門学校年明け壱回目の授業。早速、遅刻するものあり。それに、風邪ひきがやたらと多い。冷えピタ貼って来てる奴がゐる。休めっつーの。

さて明日からプチ遠征。こんな真冬の旅は初めてかも。ア、でもオルカ団の初めてのツアーは2月のアタマだったか。あれも寒かったなぁ。あん時は更に、メンバーから『一人立ちしろ』宣告を受けた事もあって、たいへん心が痛寒い旅でもあった(関係者は知る)。あれから8年か。彼らは今のワシを誉めてくれるだらうか?。

あの時は宿が横浜だった、てのもあって「横浜ラーメン館」に行ったのだ。あのノスタルヂックな(演出の)場所と、痛寒いココロのかんぢがたいへんマッチして、すんげぇ切なかったのを思ひ出す。今行くとまた違った印象なんだろね。また行ってみたいなぁ。


2週目

9日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

しーシュ2010年初ツアー、てゆーか初ライヴだな。名古屋はボトムライン。会場入り時間がえらく早いので、いつものバス&JRスペシァル・ミックスは断念。リッチに新幹線で名古屋へ。自由席は乗車率120%だった。ワシらは奇跡的に座れたけど。

さて、噂には聞いた事がある名古屋ボトムライン。けふはお馴染みりとるびれっじマスター谷口幸至朗さんの誕生日を祝う企画、としての「唄うたい」といふイベント。老舗の名店に年明けから出演、ましてやそれが祝い事ライヴ、たぁこいつぁ春から縁起がいぃねぇ、てなハナシではある。こんな立派なライヴホールに出るのも久しぶりだ。ワシらはしーシュでの40分枠の他に、幸至朗さんのWet backにも参加する。割とたっぷり演奏が出来るのは嬉しい。

入り時間は早くとも、ライヴの壱日はあっと云ふ間だ。開演時間には客席もほぼいっぱいとなり、地元の若手FIVE ROSES BLUSE BANDが先陣を切る。さすがにメンバー一同かなり緊張してゐた様子。しかし若いのにシブいのを演る連中だぜ(笑)。

ひき続きワシら。かういふでかいホールのナニが嬉しいって、打撃奏法をすると「バン!」ぢゃなくて「ドゥァン!」と響くこと。いつものループが何倍もの迫力になって、気分も盛り上がる。黄金のラインナップで構成した事もあって、自分ら的にも久々に完璧に満足の行くライヴが出来た。どっちかってーと場違いな音楽だったとは思ふけど(笑)、会場の反応も上々。今年初ライヴは大成功、といふかんぢやね。

後続の男友達(中山剛&高田エージ)のハッピーでシブいデュオを経て、ラストのWet back+しーシュ。本来のWet backはカントリーロックを演奏するバンドと認識してゐたが、最近はメンバーも流動的で、音楽的にも即興要素が強い。幸至朗さんの素朴で力強い唄を、メンバー各自が盛り上げる、と云ふ、Far east loungeに近いかんぢだな。幸至朗さんとの共演もこれで3回目となるしーシュ(ワシ個人では4回目)は、演奏だけでなく、コーラスにも自由に参加。ゲストのヴィヲロン弾き亀谷希恵ちゃんも、おそらく純粋なクラシックの人なのだらうが、果敢に食い込んで来る。これはホンマの「ボーダーレス」バンドだ。Far east ! 負けられんぞ!。

特筆しておきたいのは、「山」といふ曲の冒頭での、パーカッション本多tacobow正典さんのソロ。これが凄かった。ありとあらゆる打楽器と声を駆使したそのパフォーマンスは、まさに「山」の音だった。確かに「山」がそこにあった!のだ。すごい!。

『ほぇぇ〜〜!!』なんて思ひながら聞き惚れてゐたら、ギターの鈴木拓洋さんがピっと寄って来て「入ってみ」と云ってくれたので、一緒に「山」を楽しんだ。凄かった。このまんま1時間ぐらい演りたいやうな、いくらでも演れるやうな、そんな即興セッションだった。

素晴らしいライヴが終わり、最後は出演者全員でのセッション。これで終演の予定だったが、アンコールは鳴りやまず、幸至朗さんが独りでステージに上がる。ギター壱本による「One more song」が会場に沁み渉る。幸至朗さんは皆に出て来てほしさうだったが、誰も出て行かない。

出演者全員が舞台袖で幸至朗さんを見守ってゐた、あの光景をワシはづっと忘れないだらう。

ほんまに素晴らしいイベントだった。思へば5年前、フラりとソロで名古屋に来て、びれっじに出向き、半信半疑な幸至朗さんの前でソロを演り(自分的にもまだまだ全然未完成の時期だった)、認めてもらひ、以後、年に何度か名古屋を訪れるやうになり、松阪への縁も頂き、今はしーシュとして、かうしてこんな素晴らしい場に参加させてもらってゐる。

もしかしたら、この道は間違いではないのかもしれんな、と少しだけ思へる気がした。そんな素晴らしい名古屋の夜。

10日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

ゆんべはお馴染みの朋友、鍵盤弾き鎌田麻実の新居に宿を借りた。綺麗な部屋に朝飯まで馳走になり、感謝。

けふは京都へ。ワシの鉄っちゃん旅にしーなさんを付き合わせる。名古屋から西へ向かう在来線は「直通」はなく、必ず「大垣」と「米原」での乗り換えを余儀なくされる。ワシが旅で得た知識を頼りに、乗り換えもスムージィに、京都まで座ってられた。関ヶ原あたりはすごい雪景色で、やはり日本有数の豪雪地帯の様子。こんなの新幹線旅ぢゃあ見れんでしょーが!としーなさんにイバるわたくし。

約3時間で京都に着くと、まづは会場探し。駅の案内所で訊ねたり、親切なおばちゃんに教えてもらったりしながら、割とあっさり見つかった。この年始名古屋行きが決まった時、その帰りの道中で演れるハコを捜した訳だが、キィワードを「ピアノ常設」に絞った。んで、京都でヒットしたのが此所シルバーウィングス。

ステージを見るだけで、ピアノへの愛着、誠意がありありと感じられる箱。あとで聞いた処によるとオーナーの妹さんが現役のピアニストなのだ、とか。納得。調律も完璧で、こらぁしーなさん、がぜん意気込みが違う。珍しく『よくこんな会場を見つけてくれた』と感謝される(笑)。

さて、ライヴだが、けふは何日か続く年始イベントの一環で、ソロの弾き語りからシブいロケンローのバンドまで5ツ、といふ超ごった煮ライヴ。出演者のレベルはどれも相当に高く、これほどバラけたカラーが5ツも続いて、最後までお客さんが帰らない、といふ。ウチらはその中で真ん中の3ツめに出場。既に楽屋などで、他の若い出演者たちと打ち解けたりしてて、完全にリラックスした状態での本番。

おぉウケにウケまくる。

展開上、ワシがメイン、といふ色合いが強く出てしまったが、そこにしーなさんが自然に絡んで来てくれたので、全体がブレずに最後まで行けた。力みも無し。昨日に引き続き、たいへんよくできました、のライヴ。お店や対バンの若者にも好評。嗚呼、良かったねしーなさん。

レベルが高い出演者の常で、みな簡潔に持ち時間を遵守して、ほぼ定刻にイベント終了。しばらくファンの方々と飲みながら談笑。タクシーでホテルまで帰り、改めてしーシュで打ち上げ。珍しくワシが飲み過ぎ&喰ひ過ぎで、『おぇッぷ』とか云ひながらしーなさんに介抱される始末。ライヴが良かったからそれで良いのだ(笑)。

11日(月)------------------------------------------------------------------------------------

プチツアーも成功に終わり、けふは帰るのみ。15時の高速バスを予約してあるので、それまでは古都を観光す。にしんそばを喰ひ、裏路地を散歩し、三十三間堂で国宝を拝す。古民家などまだ現役で残ってゐるが、要らぬ区画整理なども始まっており、近いうちにここらも道路になるのかな?と思はしむる区画などもあった。勿体ない。

バスが発車したら、あとはひたすら移動。在来線ほどの情景は望めず、まぁ寝たりしながら、22時に広島へ着。

良いツアーだった。金銭的に成功した、とは云へないけど、音楽的には今年の初音出し、初旅にふさはしい内容だった、と思ふ。この調子で今年も頑張りませう、しーなさん。

12日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

ツアー明け仕事は専門学校から。この週末も遠征だな。広島でのライヴが壱個も入ってない割には忙しい。たちまちギャラに結びつきさうな仕事がない、てのがちょいとツラい。ベーシスト要りませんかぁ?。

夜は個人レッスン。上海に行って来た生徒の土産話など訊く。年末年始とツアーで、身体が「野菜不足警報」を出しつつあるので、夜は小ぶりのキャベツひと玉を使ったお好み焼きを作る。ぐえッぷ。

13日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

各所からちらほら送られて来る源泉徴収書を見て、早めに確定申告の準備に取りかかっておく事にす。この仕事をやり始めた20年前から、ゆる〜〜〜〜〜〜〜く稼ぎが上がって、ゆる〜〜〜〜〜〜く下って、といふサイクル。「安定」からは遠い仕事だが、まぁ、まだなんとか暮らせてゐるのがスゴいと思ふ。

DVD「ぐるりのこと」見る。何事にもテキトーな夫と、きっちり者の妻。仕事を軌道に乗せて行く夫に対し、様々なストレスで鬱を発症してゆく妻。まっったく他人事に思へぬ内容。エンドロールで流れるAkeboshiの「Peruna」といふ曲がとても良い。

14日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

あるライヴを見にKOBAへ。お客さんいっぱい。電気ヴィヲロンによるインプロを主体とした、まぁ割とよくあるタイプのライヴ。ん〜〜〜〜、正直あんまり面白くなかったな。この人のバンド編成のライヴは、たいへん面白かったらしひのだが。そっちを見りゃよかったな。

続いて御贔屓MACの新年会ライヴに行く。こっちはあんまりお客さんが入ってない。去年の新年会、入り口の処から一歩も中に入れなかった混雑ぶりが嘘のやうだ。久々に会うスティック奏者のラムジィの姿あり。元気かね?。

ライヴの方も、なんか今ひとつ盛り上がってない。ソロとFar east loungeで出たが、「コキリコ節」を演ってあんなにシーンとしてたのは初めてだ。これも去年は嘘のやうに盛り上がったのだが。Far east 〜の方も、まぁ淡々と。出来は悪くなかった。仕事が忙しいのは分かるが、今年はもう少しライヴ増やして行こうyaとカシラに云ふ。

久々に、ジモの佐藤さんや、ミっちゃんとも一緒に演ったりした。ラストはマックさんの「I Shall Be Released」にFar east で飛び入りする。まぁ今年初の広島、今一つ盛り上がらんままだったが、そこそこに楽しく演れたライヴだった。

ものっすォい寒い中をチャリで帰る。

15日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

ゆんべは空きっ腹にビールをたくさん飲んだので、少し二日酔い、てゆーか胃がムカムカ。猫まんまを流し込んで専門学校へ。

昼には調子が戻ったので、珍しく昼飯を喰ひに行かんとす。するとやはり昼飯を喰ひに行くシバちゃん(柴作伊佐雄:ギター)とばったり。ので、ぢつに150年ぶりくらいにシバちゃんと一緒に昼飯を喰った。昔はよく一緒に、テイクアウトのカレーだのお好み焼きだのを、教室の床で喰ったものだ。随分長い間袂を分かってゐたが、フタコブ・リコズの流れもあって、今年はこの男との共演が増えるだらう。

こないだ名古屋でマミが、仕事としてやった「餃子のキャンペーン・ソング」のCDをくれた。ので、ツナと韮で餃子を作った。


3週目

16日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

リハはしご。まづはしーシュ。ツアーやレコーディングに向けて、ビシとしたリハを演りたい、と思ふのだが、ビシとしたリハってどんなんだっけか?てな気もせぬでもない。

まだ歌詞が出来てない新曲を持って行く。唄のキィが少し低い。ヌ〜、予想する音域と実際の唄ってみて感ずるものと、なかなか噛み合わぬものだな。曲のアイディアは割と浮かぶのだが、ここん処、歌詞が低迷気味。要らぬ事を考える事が多いからだらうかねぇ?。

チャリで中心街へ。明日の営業の為のリコズ+hanaのリハ。この段になって、リコから定番レパートリィへの大胆なアレンジ変更がある。オモロいやんけ。さー明日まで憶えてゐるでせうかー?。

17日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

会場への機材搬入の関係で、朝7時出発。PAオペのマサキヨくんの車にメンバー全員乗り合いで、一路因島を目指す。

いんのしま。はるか太古に、教師としてここの高校に赴任してゐた友人を訪ねた時以来の訪問だ。かつて全国で此所だけの、壱島壱市だったが、今は尾道市に合併したデカい島となってゐる。あの頃は大橋も架かっておらず、確かバイクでフェリーに乗って来たやうな憶えが・・・・。今はしまなみ街道を使へば、広島市内から2時間もかからぬ。良い事なのかどーなのか・・・。

その因島のJAが主催する「因島フェスティバル」への、りこズ+hanaで出演、と来れば「広島みかん恋唄」である。抽選会や餅蒔き、伝統民謡や地元よさこいに混じってのりこズ、といふ事で、まぁかなり場違いなかんぢではあったが(笑)、hanaの昭和歌謡やなごみ系MCのおかげもあって、お年寄りばかりのお客さんも喜んで聴いてくれてゐたやうだ。40分以上の演奏枠があって、ほとんどライヴを演るやうなかんぢだった。ワシはまぁいつもと同じ。営業だらうが場違いだらうが、ガンガン演るだけ。温い日射しの中で楽しく演奏して、唄った。

ア、昨日急遽決まった大胆なアレンジは、音が始まる瞬間まで忘れてました(苦笑)。

演奏後は皆でうどんを喰ひ、観客が餅蒔きに気を取られてゐる隙を突いて退散。15時には我が家へ。極短だが楽しい旅だった。

夜はしーなさんに誘われてヲルガン座へ。ピアノマンリクオのライヴ。これがかなり面白かった。あそこまで演れるなら、ピアノもなかなか捨てたもんではないな、と強く思はしむるライヴ。唄がまた力強い。「旅」を「道草」と呼んでゐた事が楽しい。彼もまた旅人なのだ。カヴァー、オリジナル取り混ぜながら、見る者をぐんぐん引き込んで行く。自然に起きる手拍子、コール&レスポンス。ん〜〜〜やるねぇ!。

OPで女の子のピアノ弾き語りが出て、それも悪くはなかったのだが、リクオを見ると、印象が完全に霞んでしまった。つはもの、とはさういふモノなんだらうな。

18日(月)------------------------------------------------------------------------------------

話題の映画「アバター」を見に行く。入り口で3D眼鏡を配ってゐる。この3D映像、出始めの頃に何度か見て、その仰々しさ(当時は眼鏡のデカい&重いことこの上なかった!。の割に映像はショボかった!)に辟易したものだ。あれからまぁ20年以上経った。眼鏡も小さい。さぁどーなのかいな?と思ひながら見たが、これは参った。すごい。云はれるだけの事はある映像だ。

ストーリィに関して云へば、お粗末、とまでは行かぬが、まぁ何処かで何回も見聞きしたやうな話し。「もののけ姫」と「ダンス・ウィズ・ウルブス」と「スターヲーズ」と、あとなんかをかけ合わせて、アメリカ的世界観と行動学をミックスしたやうな。

だが、まぁ、この映像は劇場で見る価値が充分にある。

ヒロイン、てのか?先住種族ナヴィの女性「ネイティリ」。これが3時間の映画を見終える頃には、絶世の美女に思へてくる。尻尾が生えてても、目が山羊眼でも、青い肌でも、爬虫類ぽくても、これなら惚れるわ、と思った。萌え〜〜〜〜〜〜。

19日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

2月の東京行き。レッスンの関係から、どーしても当日入りをせねばならんくなった。ので、色々考えた結果、のぞみ早得きっぷ、といふ奴で行く事にす。少々の快適を買う、つもりで。しかし新幹線のチケットて高いなぁ。高すぎる。もう少し安くしてほしいもんだ。今日び飛行機なぞ壱泊ホテル付いて¥壱万ちょっとぢゃげなで。だからっつって持ち運び楽器の人間が飛行機は使えんしなぁ・・・。海外ならいざ知らず。

すると、友人のドラマーが、ツアー車でのお江戸への遠征に同行(同乗)する人間を捜してゐる、といふ報せ。これに乗じれば片道¥5000くらいで行ける!といふ話しだったのだが、残念ながら日程が微妙に合わず。ク〜〜〜〜〜!。

20日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

少しはボゥイングがマシになって来た気がするベースセロ。こないだ見た電気ヴィヲロンの即興ソロくらいの事は出来さうな気はする。今、これ買った事をかなり後悔しはじめてゐるが、まぁさうも云ふて居られぬ。楽器に罪はないのだ。いつかナニカの局面で、花開く事を信じて、ぢみちに練習せい。

けふは少し心がささくれた。弱い心である。

21日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

弱い心よ!。

レッスン室に置いてある、一番弾きにくいベースで2時間、練習しまくる。指が悲鳴を上げ、腕が引き攣る。もっともっと痛めつけてやれ。己の弱き心根に、能書きも言い訳も垂れんほどに。

ヲルガン座にて、ぱかぱか号のMIやんとミーティング。企画In Duet's2010、壱回目のゲストはMIやんに決まった。今、ぱかぱかが活動休止と聞いてゐたので誘ってみたらOKとの事で。日程を決め、どんなかんぢにするかを話し合う。付き合いは長いが、かうして待ち合わせて二人で逢う事も、ましてや二人だけで音を出すのも、これが初めてとなる。まぁ彼女の事だから、きっと期待は裏切るまい。

奇しくも、呉のりょーじさんからも連絡があり、今年壱発目の呉ライヴも決まった。うむ、風は吹き続けてゐる。進む。

22日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

なんとなくそんな気分になり、専門学校の授業の後、河川敷を家まで歩いて帰ってみる。最近雑草が刈られたばかりのやうで、広々とした景色が素晴らしい。夕陽の射す広い風景の中に、自分以外だーれもいない。これが東京とかだったら、どげな広い河川敷にも必ず人がゐて、こんな好ましい孤独を感ずる事は出来んだらう。てくてく歩いて40分もかからなんだ。距離で云ふと、朝のヲーキングの半分くらいか。

夜はしーシュ、ではなく、椎名まさ子のバックバンドとしての営業リハ。むか〜し、まだしーシュでもねこのづくでもなく、椎名まさ子ユニットとして仕事をしてゐた頃のレパートリィを演る。奇しくもけふ、PC内に眠ってゐた旧日記(2002〜03年)を公開する為に再校正してゐて、初めてしーなさんと仕事をした時のエピソードなどが出て来た。

あと、ワシが今の活動をしやう、と決意したときの事とかも・・・。

時が過ぎた以上の多くの事があった。


4週目

23日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

けふ明日と、本来なら泊まりのイベントに出演するはずだったのだが、イベント自体がキャンセルとなり、空き日になってしまった土曜日。ア〜、仕事の話しを壱本断ってしまったのによぅ。イタいなぁ〜。

とは云へヒマになった訳でもなく、ヒトコブ・リコズのツアーリハ。フタコブリコズ-1、といふ事で、まぁリコとワシのデュオだ。それぞれに縁のある宮崎は都城で一緒に演らんか?といふ話が実現したのだ。広島でも、チョイと1回演っただけのデュオで、ツアーに出る、と云ふ楽しい暴挙。さー、宮崎のリコのファンに、ワシのベースがどう受け入れられるでせうかー?。楽しみであります。

リハ後は飲み。珍しく夕方から日付けが変わるまで、じっくり腰を据えて飲んだ。途中色んな仲間が合流する。久しぶりに夜の街になぢんでゐる自分を感じる。悪くない。

24日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

女房が所用で朝から居ない。掃除&洗濯。合間につらつらとベースを流し弾き。天気が良いので散歩にでも行こうか、とも思ふが、さういやけふは駅伝やってんだ、と思ひ当たり、やめる。昼過ぎ、某雑誌かなんかの電話インタヴ−を受ける。「青春18きっぷを使って旅する人々」といふ特集だって。

夕方、イグアナ仲間である、神戸のAさん来訪。Aさんはオーロラや天体を専門とするプロ・カメラマン。ワシの関西ライヴの時は欠かさず来てくれる友人だ。今回は、超新星を発見した広島のアマチュア天文家を取材しに来てゐたのださうな。

帰って来た女房も交えて飲みに行く。友達のやってる居酒屋で、3人で芋焼酎1本カラにする。連日飲酒。ウェイトレスがなかなか見事なおっぱいをしてゐたな。

25日(月)------------------------------------------------------------------------------------

連日飲酒のツケで少々けだるい月曜。専門学校ひとコマの授業の後、帰ってつつ井食堂で昼飯。うーむ、かういふ商店街の定食屋文化は、是が非でも守って行かねばならぬ、と思ふ。タウン誌はかういふ店こそ紹介して行くべきなのだ。東京発信のショップのタイコ持ちばかりやってないでよぅ。

DVD「ベロニカは死ぬ事にした」見る。なんかシュールな映画。異様なキャスト群の中で、荻野目慶子の怪演が光る。主演の真木よう子が、かなり高ポイントなおっぱいをポロリしてゐてGOOD。この人ってスタイルバッチシで、顔もかなり好みのタイプなんだけど、イマイチ演技がヘタ、てゆーか、声がヘンで惜しい。デカい声出すと子供みたいな金切り声になっちゃう、てのが・・・。

26日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

営業で「悲しみのジェットプレーン」を演る事になり、いろいろと調べてゐる。ワシは米国フォークには全く疎いので、全く知らぬ事ばかり。ぢつはこの曲を、高校三年生の時に、当時のガールフレンドに贈られた事があり、その時は「なんで?」と思ってゐた。歌詞を調べて、ははぁ、と思ふ。当時のワシは、高校卒業後とにかく広島を出て、どっか海外に行く、とか、東京に行く、とか、周囲に吹聴して回ってゐたのだ。
 
So kiss me and smile for me
Tell me that you'll wait for me
Hold me like you'll never let me go.
I'm leavin' on a jet plane
I don't know when I'll be back again
Oh, babe, I hate to go
ぼくにキスして微笑んでくれ
 僕に待ってるよって言ってくれ
 何処にも行かせないと抱きしめてくれ
 飛行機が飛び立とうとしてゐる
 帰りがいつになるのかもわからない
 愛しい人よ、ぼくは行きたくないんだ

ワシが本心ではそれを望んでない事を、あの娘は知ってゐたのだな、と思ふ。44歳になって初めてそれに気付く鈍感男と、この繊細な女心。釣り合う訳がない。

27日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

女房の誕生日。ので仕事を休んだのだが、当の女房は働きに出てった(笑)。日中はひとりヒマに過ごし、夜は焼肉を喰ひに行く。久しぶりの動物性蛋白質だが、二人ともあんまり入らない。我々も、出会ってからもう20年になる。まぁ歳をとった分、肉が喰えなくなって来た、といふ事だらう。

女性へのプレゼントは、ワシの人生上おおきな謎と疑問だ。何を贈れば喜んでもらへるのか、いつも悩みの種なのだが、今回は欲しがってゐたシマシマ柄の靴を贈った。おめでとぉ。まぁこれからもよろしく。

先日、サイト内に残ってゐた旧日記を復活させたが、ぢつはもう壱年前(2001年)の年の分も残ってゐる。それを読み返してみると、すごい生活だ。週7日のうち、午前様でない日が壱日ぐらいしかない。ほぼ毎日、なにがしかのリハに入ってゐて、しかしライヴの本数は年間60本ぐらいだ。リハばっかり演ってたんだらうな。

28日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

しーなとシュウ+ツン、ではなく、椎名まさ子トリオ、としての仕事。

しーシュも元々かういふ仕事から始まったのだな。椎名まさ子の「風変わりなゲスト」といふ立場から、いつの間にかワシが音楽的な主導権を握るやうになってゐた。しーシュを名乗り始めてからは、時折入る営業ですらその傾向があったりして、その事につひては、づいぶんしーなさんを悩ませてもゐた。

だが、今回、久しぶりに椎名まさ子に「リードしてもらってゐる」感じがした。楽に「ベーシスト」の位置に居れた気がする。当時やってゐた曲を同じやうに演っても、昔に比ぶれば格段に唄が強い。変わったね、しーなさん。それが彼女にとって、良い事であることを祈るしかない。

一部で話題の「チョコレート・ソーダ」を、話のネタに買ってみた。もっとゲテモノを想像してゐたが、結構美味なので驚く。

29日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

専門学校もそろそろ期末に近付き。ハー、2年なんざあっと云ふ間だな。また新入りを迎え、それがまたあっと云ふ間に卒業して、を繰り返し、さうしてワシはおぢさんになって行くのだらう。けふは行きも帰りも歩いてみた。ヲーキングの代わりだ。悪くないな。

夜は高校時代の友人5人との宴会。韓国料理をつつきながら、アホ話に花を咲かせる。みな(自分も含めて)、ホンマにお前ら44歳か?といふやうな愛すべき阿呆達だが、いづっこの業界も経営不振に悩んでゐるやうだ。なんとなく皆ギリギリの処で生活をしてゐる。まぁみんな負けるまいや、と。勝ち組とか負け組とか、そんなん知らんが、そんな訳の分からんものに「勝つ」必要なんざないけど、「負け」まいや、と。

帰り道、見上げると見事な満月。

30日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

忙しい壱日。

まづは朝、従兄弟の四十九日法要に出席。読経は若い坊さん。自分の祖父母のやうな年寄りに、こんな若い坊主が講釈を垂れて、どんな説得力があるのだらうか?と思ふ。その後、出席者で料亭を借りての昼食会。思った以上の豪勢な料理が出てビビる。てゆーかさっき朝飯喰ったばっかりで喰えねぇよぅ。全部持って帰った。

一旦帰宅後、しーシュのリハへ。アルバムに入れる予定で書き下ろした新曲がどーもしっくり来ぬので、思いきってボツる事にした。納得行かぬものを残してはいかん。しーなさんは気に入ってくれてゐた曲なので残念だが、仕方ない。

その後、昨年末の松阪で知り合った、ウシャコダの藤井康一さんのソロライヴ「ウクレレ抱えた渡り鳥」に行く。ウシャコダでも、その独特の「間」といふか妙な抜けっぷりと開けっぷりが最高だった藤井さんだが、ソロはウクレレ壱本でそのノリを踏襲する。またこのウクレレが、さり気ないバカテクで素晴らしい。自身もがばがば飲みながら、酔った観客をどんどんステージに上げ、踊らせる。その間、喋りっぱなしの弾きっぱなし唄いっぱなし。すんげぇ〜〜〜!!。こんなライヴ初めて見たぞ。

2月の終わりまで旅が続くと云ふておられた藤井さん。ワシもけふはこのまま宮崎へヒトコブリコズのツアーに旅立たねばならぬので、盛り上がる会場を一足先に失礼す。会場出口で挨拶する姿に気付いてくれた様子。また来て下さい。

さてワシは一旦家に帰り、軽く準備。迎えに来てくれたリコの車で、今から宮崎は都城を目指す。壱日3本ライヴの強行軍ツアーだ。到着予定は明日の朝5時!!。

31日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

ヒトコブリコズ都城ツアーの同行者は、リコのダンナ河野せいじと、女子高生サックス奏者宮崎華子チャン。計4人が結構ぎゅーづめで、一路西へ向かふ。ワシは日付けが変わってしばらくした頃に寝入った様子。気がつけば5時を過ぎてゐて、もう宮崎に入ってゐる。結局、リコが独りでづっと運転してゐたやうだ。ご苦労様。

ホテルが取ってあるらしく、そは大変ありがたい。最初のステージが11時から始まるさうなので、10時まで仮眠。すぐ起きて会場の「ウェルネス交流プラザ」へ行く。

「花の展示会場での演奏」と聞いてゐたので、BGM的なものと思ひきや、ちゃんと客席が作ってあり、また集まった人々も意外なほどしっかり聴き入ってくれるお客さん達だった。演ったのはほぼリコのオリジナル。これがちゃんと聴かれ、ウケてゐる。観客のほとんど全員がお年寄りだが、ワシのじょんがらベースにもものすごい拍手。へ〜〜、こら意外。弐部も頑張んなきゃね、とリコと。

昼飯は宮崎豚のしゃぶしゃぶ。美味。だが、やっぱりもう肉はあんまり入んないなぁ・・・。野菜ばっかり喰ってた気がする。

展示会場に戻ると驚いた事に、壱部を見た人が既に座って待ってくれてゐる。ので、弐部は演目を総入れ替え。今度はじょんがらではなく、ファズかけてのベースソロ。またまた大層ウケて、『夜のライヴにも行きます』と云ふて下さる人もゐる。リコもワシも予想してなかった程、汗だくの演奏。今回、着替え用意して来てないのにや。

夜の部は「中町ワイン食堂」といふ処でのディナー・コンサート。こちらの方にはせいじのギターや、華子ちゃんのサックスも入れて賑やかに。昼間と違って若い人が多かったが、どっちかってぇとここのお客さんの方が「聴いてない」かんぢだった。リコが用意してくれたワシのソロコーナーは、選曲ミスもあって、まっっっったくウケんかった(笑)。まぁそれでもそこそこ盛り上がり、最後はお客さん立ち上がっての大合唱、で幕。良いライヴだった。

打ち上げはホテル近くのショットバァで。現地のファンや友達も交えて楽しくワインを頂く。

しかしまぁ、7時間かけて移動して来て、その日のうちに朝昼晩と3ツステージを演ったのは初めてだ。流石に疲れた。だがリコに至っては全行程ひとりが運転して、しかもこのコ出発前にひとつライヴ演って来とるし!。24時間以内に600Km移動含めてライヴ4本!!。ワシより10歳若い、とは云へホンマに大した娘である。天晴!。


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