5月


ツアー明け)2週目

8日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

あるスジから、ちょいと変わったライヴへの参加要請があり、朋友藤井政美と共に参加す。朗読+ダンス+即興演奏、といふ事だけ聞いてゐて、会場の八木はカフェ・テアトル・アビエルトに行くまで、共演者もその経歴もけふのライヴのタイトルも知らなんだ(マサミは事前に色々とリサーチをしてゐたやうだが)。

菅野 正博(朗読)、デカルコ・マリィ(舞踊)、田中 康之(Per)、有本 羅人(Wind、pf)敬称略/は初対面、これにワシら、といふ布陣。

かういふシチュエーションのライヴはかなりビミョ〜なかんぢで、お互いに手の内も実力も分からぬから、リハはその探り合い、になる。リハ後も共演者同士はこれまたビミョ〜な距離感。マサミは積極的にコミュニケーションを取ってゐたが、ワシに至ってはその努力すらせず。ただ、菅野さんに詩をプリントしてもらって、それを読んでおく、といふ事をするだけ。

して、本番はそのビミョ〜さが、見事「コラボレーション」に昇華したライヴとなった。それぞれの個性が解釈する「詩」と「動き」、そして勿論「音」への反応がさらに反応を呼び、それが曼陀羅のやうにひとつの宇宙を構成して行った。1時間ちょっとに渡るパフォーマンスが終了した後は、共演者同士が自然に握手を交わし、敬意を表し合う、といふ素晴らしいライヴ。いやぁオモロかった(5/9付けの藤井政美のブログに詳しく書いてあります)。

ワシ自身は20代最後頃、けっこう真面目に即興音楽に取り組んだ時期があり、かなり興味深いパーソンとも絡み、多くは友人となった。が、ある時期から自分の中でもっと違う表現法を求むる傾向が始まり、そこから離れ、それから10年以上経った、のかな。自分的には「既に通過した表現法」と考えてゐる即興といふモノで、最近わりとオモロい事が演れてゐる、といふのも不思議だ。

いや、マジで面白いライヴだった。なにより、強引な形で誘ったマサミが、ことのほか喜んでくれてゐた事が嬉しい。

けふはベース→ピッチシフタ→line6→ディレイ→ループ、といふ機材で演った。思ひの他ディレイの使い勝手が良かったな。かういふのって1回も練習した事もないし、繋ぎ方もメチャ適当なんだがネ。

9日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

友人主催のイベントに呼ばれてゐたのだが、此所数日の激務を鑑み、けふは完全休日とせん。

DVD「ガスパール〜きみと過ごした季節」フランスB級映画。悪くない映画だが、主人公が何ゆえに孤独を求めてゐるのか、がイマイチ分からん。

読書「伝説のグルーピー」。洋書訳本なので横書き。すんげー読みにくい。それに主人公(著者)のアイデンティティの無さに、少々呆れが来る。

夕方、女房とちょっとだけ散歩。これがけふ唯一ドアを開けて外に出た行為。晩飯喰ったらすぐ眠くなり、22時には布団に入った。

10日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

DVD「ベオウルフ」見る。2007年作品、当時の最先端映像技術を云々、といふ売りだが、なにコレ?といふ代物だった。多分、実写をCG処理して背景やらに溶け込ませ(やうとして)るんだらうが、出図新の一連のイヤらしいアニメみたい。アンソニー・ホプキンスやアンヂェリーナ・ジョリィなどが出てゐるのだが、これファイナルファンタジィぢゃんか?てなかんぢ。これ役者が出てる、て云ふのかね?。

内容的には「勇者」ベオウルフが、ぢつは結構情けないヤツで、そこはオモロいんだが、なにせ映像にリアリティが無いから全然感情移入が出来まへん。まだそれこそアニメと割り切れば出図新の方が見れるかも。さうして考うるに、やはりこないだの「アバター」や「タイタンの戦い」の映像技術て凄かったんだな。たった3年前でかくも違うものかよ。

夜はフタコブ・リコズのリハ。前回のリコズでは「ベースで鐘の音を出せ」といふ難題を仰せつかったが、今回の指令は「ループでサンバ隊のリズムを作れ」といふ(笑)。りこさん、徐々にワシの使い方を把握して来られた感あり。まぁそれこそがワシのニッチですがネ。ジョンスコのバンドにゐたアヴィ・ボートニクのやうな・・・。

11日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

こないだの土曜日に一緒に演った関西のミュージシャン達が、ぢつに意外な処で繋がってゐた事が発覚。ラッパの羅人くんはリコの知人だとか。ん〜〜面白いリンクだなぁ。

しーシュ昼リハ。週末のレコ発ライヴに向けての。えせニックナンバーを弾く時のしーなさんのリズムが、なんかハマって来てゐる。訊けばそはこないだ東京で、一緒にシーシャを吸ったからだ、とのこと。あれで『めまぐるしいけどゆったりした時空間』といふモノを具体的に認識できたと云ふ。なるほど。しーなさんのファンからすれば『あげな怪しげなモノまで吸わせてあのハゲは椎名まさ子をどうするつもりだ』とか思はれてゐるやもしれぬが、たまには良い事もしてますよ。

リハついでに、来月演る予定の「老化防止ライヴ」の会場の下見。

12日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

イロモノとして扱われる事に、少し快感を覚え始めたけふこの頃。ので、ひとつアイテムを増やす事にした。詳しくはまだナイショ。楽器としては破格の値段だが、まぁオモチャだな。ホンマはコンパクトなサンプラーが欲しいのだがな。昔Bossに「Dr sumple」てのがあったが、あれまだあるンかな?。たれか持ってたら中古で¥10000くらいで売ってくれんかな?。

アーさういや弦交換してなかったな、と思ひ、新しいのを買って帰る。前回換えたのがいつだったかいな?。調べてみたら2月3日付けの領収書があった。3ヶ月、か。まぁそんなモンだらうな。6弦ベースをできれば毎日張り替えたい、とかいふヒトに比ぶれば、まぁなんと安上がりなベース弾きか。

ヲルガン座の6月のイベント「紳士淑女に送るヴァイオリンとベースの迷宮名曲集」。出演者全部がヴァイオリンとベース、といふ香ばしい企画でオモロさうなんだが、ヲルガン座のフライヤには「梶山シュウ:ウッドベース」と書いてある。弾かん、ちゅーに。ワシは電気ベース専門ですがな。

おまけに出演:MI & Shoになっとる。Shu じゃちゅーに。

13日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

某プロジェクトの主催者から、相談に乗ってほしい、とのことで会う。まぁ相当にデカい企画の話で、その中のある部分に於いて、ワシに仕切ってはもらへぬか、との事。有難い話だし、まぁお受けしますが、世間には「梶山の云ふ事なんざ聞きたくない」といふヒトもいらっさいますから、そこは、ね。

スタヂヲで弾き語りして遊んでたら、隣の部屋に春秋楽団がリハに入った。オー、懐かしいね。新曲も増えてるやうだ。今、広島での現役最古のバンドなのださうだ。一度のブランクもなく活動32年!。凄い事だな。このバンドに8年在籍してゐた事を、まぁ誇りに思おう。

14日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

フタコブ・リコズ+赤木りえライヴ。朝から専門学校を3コマやり、そのままタクシーで会場入りしてリハ&本番。金曜日の本番はなかなかタイトだ。

フタコブ〜はこないだの営業仕事以来。そこにファンキーフリュートの第一人者赤木りえさんが入る、といふ編成。打楽器なしのユニットだけにワシのニッチも重要。朝から我知らず緊張、てゆーかテンパってゐたやうで、なんか行動がおかしかったやうだ。冷蔵庫の中に布巾が入れてあったり、鍋の中に塩が仕舞ってあったりしたらしひ。なんかあんまり眠れんかったし・・・。

その本番。さすがといふかまぁ流石のりえさん。こんなフリュートの演奏は聴いた事がないな。完全に電気楽器とタメを張れるフリュート。凄まじくファンキー。けふはまたシバちゃんが絶好調で、ギターが決まる決まる。ワシも負けじとイロモノモード全開でループにじょんがらに勤しむ。楽しく演ったが、もっとちゃんと演らないかんなぁ、とも強く思った。うーむ、もっとちゃんと演らねば。

打ち上げは、ワシは明日も本番なので、酒は控えめに。まだ夜行バスがある時間帯だったので、バスで帰った。さぁ明日はしーシュのレコ発だ。


3週目

15日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

しーなとシュウ、遅ればせながらの広島レコ発ライヴ。昨日の帰りにPICOに楽器と機材を預けた。ので、衣装だけを持ってバスで行ける。

最近しーシュは、少なくとも広島でライヴをやる時には「和装」で行かん、と決めた。ので、けふは灰緑色の浴衣を新調せり。和装、て意外に弾きにくくないのだ。昔ロックバンドの手伝いをした時に、わりとタイトなシャーツやヅボンを着さされたが、アレの方がはるかに弾きにくかった。

よぅく考えてみたら、しーシュが広島でちゃんと演るのはなんと去年のクリスマス以来。自分ら的にはツアーでづっと演奏してたから久々、てかんぢはせぬが。しーなさんが『シュウが広島に居らん、と思はれてるのが分かる気がして来た』と云ふ。

さてライヴはCDと同じく「梅雨の仙人掌」からスタート。MCも長めに、珍しく曲解説なども交えながら、全体的にユルく演った。前後半で40分づつくらい。もっとたっぷり演っても良かったかもしれぬが、まぁ・・・ね。ライヴが久々と云ふこともありて満員御礼。遠方のファンや懐かしい友も訪ねて来てくれて感謝。盛況のうちに終了。みなさんありがとう。

自分的には、昨日に引き続きプレイが上滑り気味。こは「毬藻ありマス〜」からライヴをスタートせなんだから、ではないか?と。いつもライヴ冒頭にあの曲を演ることで力みが取れ、全体へのパワー配分が上手く行く(やうな気がする)のだ。うむ。ひとつ勉強になった。

この日、広島では初お披露目となった「よぅそろ」のヴィデヲを、女房がYou Tubeにアップしてくれました。自分で云ふのもナンですが、良い曲です。こちらを。

16日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

けふはBobby's。土曜日からライヴ三連チャンだな。

いつもの「うどん屋ライヴ」ではなく、流川の「まなご亭」といふ居酒屋を借りてのライヴパーテ−。最近はフリュートの進藤センセイ(ホンマにお医者さん)がコーラスに力を注いでゐたり、ゲストの唄うたいが来たりするので、ワシの唄パートが軽減されて、まぁ楽っちゃ楽。が、まぁかういふ音楽でベーシストに徹する程には、ワシはジャズ屋ではないので、ん〜〜〜〜、てかんぢ。何度かソロの最中にコードを見失う。ん〜〜〜〜。

けふのソロコーナーでは、サッチモの「ワンダフルワールド」を唄った。冒頭で、久しぶりに客席から「はなわか?」といふ声が聴こえた。そのせいではないが、ちょいとスベった(苦笑)。

全部で1時間半くらい、か。好評のうちに終了。ちょいとこの一連のライヴで、自分のプレイにつひて考えざるを得ぬなぁ。演らうとしてゐる事に色気を出してしまふ、てのが正しいか。リンレイ・マルトのソロとか、あんな事どーいふ境地に行けば出来るやうになるんだらう?。

けふは賄い飯も無し。撤収してそのまま解散。ばー、流石に三連チャン、疲れました。

17日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

例の「オモチャ」到着せり。そは「モノトロン」なる超小型アナログ・シンセなり。

想像以上のちっちゃさ!。煙草の箱よりちょいと大きめぐらいか。でも音は「あの」シンセ音。モデュレージョンのかかりや、オシレーターなど結構本格的。勿論、ワシはシンセ使いではないので、何をど−すればこーなる、なんてのぁ分からんのだが。電源を入れてから動作が安定するまでに時間がかかるのも、ちゃんとアナログシンセぽくて良い。カットオフした低音なぞ、でかいアンプで鳴らせばベースの代用も出来るんではないか?。

早速ブッダマシンを2台鳴らしながら、即興でうねうね遊ぶ。ループと絡めたら、まぁ1パフォーマンスぐらいは出来さうだな。

「音楽的に」使ふにはちょいとアレだが、まぁどーせイロモノですから・・・。

18日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

あまり意識した事は無いが、「言葉」ではなく「センテンス」をリズムに使ふ、といふのがどぅやらワシの唄の作り方の特徴のやうだ。文章のリズムで韻が踏まれる為、人によってはたいへん唄い難い、とされる。

民謡や浪曲などのやうに、言葉とコブシだけで語れる唄は作れぬものか、と此所数日思案中。来月末に、あの無国籍音楽団「祈り部」のライヴにゲストとして参加する。壱曲提供してほしいとのことなので、折角だから彼らのイメェヂとこのコンセプトで壱曲作る事にした。

ひとまづ伍、七、伍、七、七、の歌詞を書き、それをコブシだけで唄ってみる。和風えせニック(笑)な曲が、いちおう完成。

暁の 我行く道は 修羅の春 白き孤笛の 運びし唄よ
北の風 砂塵の果てに 望みしや 甘き褥(しとね)に いざ帰らむと
いまぞ行けや 星を尋ね なをも行けや 頭挙げて                 エトゥ・オロ・プ/2010.5.19

うーむ、まだ、甘いか。要手直し。

19日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

朋友、空城のシヴァブログなぞやってゐるのを発見す。オフィシァルサイトのほうは、もう数年に渡り放置されてゐるので、ウチからのリンクは切ってゐたのだが。見れば一昨年の初冬頃には既にブログを始めてゐた模様。単独で江戸に乗り込み、車で暮らしつつ公園で演奏する「旅日記〜ストリートで何人呼べるか〜」には感動。誰であれ、1人で闘う姿は美しい。

彼が闘おうとしてゐる相手の姿、みたいなものも見える気がする。それは多分ワシも同じモノなのだ。ただ、ワシは小器用にそれを利用し、染まらず、益を得る方法を身に付けてゐる。そこが「プロフェッショナル」といふ部分なのだらう。

シヴァは不器用な男である。だがワシにとってその不器用さは、ある意味でとても眩しいのだ。「異端」とはかういふヤツの事を云ふのだ。

20日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

年末の巨大なプロジェクトが動き始め、その演出家壌 晴彦氏を招いて懇親会、のやうな事がPICOである。ワシは壌氏が興してゐる「詠み芝居」といふものにたいへん興味があり、その中での音楽のニッチにつひて、わりと突っ込んで訊いてみたりした。氏の人となりなども、なんとなく理解できたやうな気がする。ちょこっと演奏したのだが、ワシらの演奏を聴いて「全く別の検案が浮かんだ」とも云はれてゐた。

会場には、ワシがこれまで関わって来た色んなジャンルの色んな裏方の大御所達がゐて、自分がなんとも不思議なニッチにゐるものだ、と再認識。台本が出来上がるまでどんな事になるのか分からんが、ぶっちゃけ云へばこの巨大なプロジェクトの音楽的側面が、ワシらに委ねられる事になる可能性は高い。

2年前の「劇魂」、去年の関本麻須美とのデュオ、初春の牧瀬さん大槻くんとのプロジェクト(多分、夏に再演)、そしてこないだの「朗読+ダンス+即興」。なんかここんところ舞台系とのカラミが多くなった。もとよりかういふのは大好きなのだ。ナンボでもいらっさい。わたしは音を出すプロフェッショナルだ。

終わって階下に降りた時、祈り部の太鼓叩き宮本香緒里ちゃんとばったり。オヤオヤアラアラマァ・・・なんて話しして「ジョイント用に曲作ったよ」てな事を云ふ。えらい事喜んでくれて嬉しい。聴いてがっかりされなきゃ良いけど・・・。

21日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

げー眠い。何故かってーと、ウチのイグアナ「うさぎ」が、ここん処毎朝6時くらいに、外に出たがって窓をキーキーやるからだ。出してやってまた寝れば良いのだが、弐度寝してしまって遅刻した経験数知れず。専門学校のある日は特にナーヴァス。ゆえに眠いまま起きる。3時間ぐらいしか寝てへん。

MIやんから連絡があり、けふリハをするはずだったのだが、子供がインフルに罹患してしまひ、キャンセルさせてほしい旨。スタヂヲの当日キャンセルはペナルティが発生してしまふので、1人でスタヂヲ入りす。新曲「エトゥ・オロ・プ」をループで演ってみる。歌詞がまだ長い気がす。伍、七、伍、の七、が長い。全部伍、にしてみるか。

なんにせよ、唄の大部分がコブシなので、楽譜にするのは不可能なり。MTRを持ってゐたので録ってみることも考へたが、なにせ90分授業3コマやった後だって疲労感強し。確認だけして良しとす。


4週目

22日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

しーシュのリハ。老化防止ライヴのラインナップを決める作業も。しーなさんが新曲(良い)を聴かせてくれたので、お返しにワシも「エトゥ・オロ・プ」を聴かせる。好評。スタヂヲ付属の小ホールでナニカのライヴが行なわれるやうで、待ち合い室やフロントに人(出演待ち)が溢れてゐる。邪魔。それにかういふ人達って、緊張してるからなのかなんなのか、やたらトゲトゲしぃのがオモロい。お頑張りやっしょ。

その後ワシは高校時代の友人と飲みに行く。それぞれ家庭を持って疎遠になってゐたが、40を過ぎてまた頻繁に会って飲み会をするやうになった。この仲間を昔「悪友会」と呼んでゐた。今現在のワシに面と向かって「お前のCDを買わされた」と云へる貴重な友人どもである。大したもんだ、と思ふのは、極端に体型が変わったやつが居らぬ、と云ふ事だ。紅一点のKなど、高校生の頃よりスタイルが良い。

自営業のやつが多く、この不景気な御時世で色々と大変さうだ。元気に歳とって行こうや、みんな。

23日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

吟遊詩人豊田勇造初夏の恒例来広。結構な雨。ウチから会場のOtisにはバスを乗り継がぬと行けぬ。だがバス停からバス停に移動するのが既に面倒臭い。ので、覚悟決めてGパンの裾をまくって歩いて行く。途中飯喰ったりしながらちょーどいい散歩だ。

一番乗りで会場にゐると勇造さん登場。昨年6月に60曲6時間ライヴを成し遂げた60歳の唄うたい。ワシの44曲(2009年10月17日ライヴ)より16曲も多い。『あと1時間は演れたねぇ』と云ふ。うぅむ凄い。

驚いたのは、こないだ京都で対バンだった「風雅」といふユニットのメンバーが、勇造さんの従兄弟だった、て話し!。へぇ!さうだったの?!。先にそれが分かってりゃもっと楽しかったらうに。

今年も小林のカシラと共に前座を務める。いつもソロコーナーをもらふのだが、けふはループなしで勝負。Otisのマスター佐伯さんから絶賛を頂いた。カシラは真隣からまぢまぢと見て『手指の動きが動物のやうだ』と云ふ。

さて毎年進化を感じさせる勇造さんの世界。まぁ云ふまでも無く、今年も凄い。どの曲にも必然として「絵」がある。「三人の旅人」といふ唄が特に良かった。

観客として聴いてゐたい気もするが、後半はベーシストとしてサポート。3ステージめのほぼすべての曲でベースを弾く。途中、切れた弦を換える間には「シュウちゃんのソロコーナー!」とワシに振ってくれる。

ピアニシモより小さいピアニシモから、立て続けに弦が切れるほどのフォルティシモまで。凄いダイナミクス。「唄を聴かせる」といふ意味で、これほどスキルを求められる現場はない。電気ベースで対応するのは、はっきり云ってワシだからこそできる芸当、と云っておこう(笑)。

いやー楽しかった。素晴らしいライヴだった。

ギターや管楽器で勇造さんの唄に乗っかる、といふセッションは多いだらう。だが、唄うたいにとって、専属のバンドメンバーでもないベーシストに、この唄の世界の低音を支えさせる事態は、大変な冒険に違いない。此所数年はそこを完全に任せてもらってゐる事を、強く誇りに思ふ。ありがとう、勇造さん。

打ち上げは少人数。どうかするとすぐに懐古主義に会話を進める御仁がゐる。勇造さんはこんなに前を進んでゐる。それが分からんのかねぇ・・・。

24日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

専門学校の後、久しぶりにMTRと格闘。新曲を録音せんとす。3時間かかってリズムマシン、ベース、キーボードを重ね、ようやくなんとか納得出来るレベルのモノが出来た。と、変なボタンを押してしまひ、すべてが一瞬で消えた。嗚呼アアああ嗚呼あああ!。

意気消沈のあまりカレーを喰ったりしたが、気を取り直して録り直す(洒落にあらず)。日が落ちる頃になんとかバックトラックは完成。後は唄入れだな。今度は用心してデータをセ−ヴ。久しぶりに引っ張り出した録音機材は、断線してゐるシールドが4ツもあった。

インドネシアの国歌的民唱曲「ブンガワンソロ」の作曲者、グサン・マルトハルトノ氏が20日に亡くなった、のださうだ。93歳、大往生だな。死して名曲残れり。

そしてけふ、元プロレスラーのラッシャ−木村氏、死去のニュゥス。悪役をやってゐる善人、といふ印象の強い名レスラーだった。68歳。死して逸話残れり。

合掌。

25日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

昔「桃栗」といふユニットを一緒に演ってゐた唄うたいの娘ミキが、結婚して壱児の母となり、5ヶ月になる娘を連れて、久々に広島までやって来た(山口在住)。ので、会いに行く。ほぼ1年ぶりに会うミキは随分と痩せてゐる。まぁ子供を育てる、てホンマに大変なんだらうな。

出産の時の割とナマナマしぃ話など聞きながら一緒に昼飯を喰ったが、子供がグズり出す前に、とすぐ帰って行く。まぁしばらくは大変なままだらうが、頑張れよ〜と見送る。

壮年の生徒の為にベンチャーズをコピーしてゐる。ほとんどの曲が2分強で終わるのが良い。ん〜・・・考へてみたらワシはまだ壱度もベンチャーズを見てないな。見に行ってみるかね?壱回くらい。今、メンバーって誰がゐるの?。

26日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

「タッピングが出来ないから自分はヘタだ」と思ひ込んでゐる生徒がゐる。う〜む所謂「ベースヒーロー」達の功罪だなぁ。ワシはあぁいふプレイを見ても『おぉ毎日練習御苦労さん』としか思へぬのだがねぇ。

祈り部のベース弾きナベちゃんこと渡辺裕平と、来月の企画ライヴ「夏越しの祓え」の打ち合わせ。既にベースのゐる編成に、ベース弾きとして無造作に参加出来る存在、といふ自分を、我ながらぢつにオモロいと思ふ。まぁ打ち合せはすぐ終わり、後は茶を呑みながらアレコレ話をす。頑張ってるねナベちゃん。ナベちゃんとは、ヲルガン座企画「紳士淑女に送るヴァイオリンとベースの迷宮名曲集」でも一緒になる。パンフを見て『シュウさん、遂にウッド弾くんですか?』と訊かれる。弾かん、ちゅーに。

今週末、長門まで長旅を走らねばならぬので、愛車「にっち」を点検に出しに行く。思ったよりあっちこっちヘタってゐて、バッテリーの入れ替えとかで¥壱万もかかっちまった。はぁひゃぁ〜!思はぬ出費!。

27日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

あぁまで↑云はれて(書かれて)ヒトにも訊ねられんとせば、このままウッドベースを弾かずば、なにか沽券に関わる気がして来た。

ので、スタヂヲに置いてある(他人の)ウッベを弾いてみる。ワシとて弾かぬ訳ではないのだ。が、演ればやるほど電気ベースとは全く違う楽器である事に気付き、これを極めんとせしはあと40年はかかろうと察し、中途半端はイカンから弾くのを辞めただけ。だからまぁ久々にでも手に取れば、弾けるこたぁ弾ける。まぁナンとも力の要る楽器であることよ。デカい楽器であることよ。

その後、そのライヴ(「紳士淑女に送るヴァイオリンとベースの迷宮名曲集」)のリハをMIやんと。スキマ産業的発想であれこれ。学芸会の出し物の内容を考えるコンビのやうだ。実際にウッベを使うかどーかはまだ検討中。たァ云へリハはあと壱回しかないが・・・。

28日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

専門学校が諸事情により休み。譜面を書いたり、アレンジしたり、コピーをしたり、と、建設的な事をナニカしやうと思ふも、結局なにも出来ず。まぁさういふ事もある。

その専門学校の新入生歓迎コンパに行く。まぁ今年も色々なやつが居るなぁ。明日は車で遠出せねばならぬので軽いものを、と思ってゐたが割とえぇペースでガンガン呑んでしまった。弐軒目に行った中華料理屋で、皮蛋が初だといふ女生徒にその美味さと栄養価を語ってゐたやうな気もするが、あんまり憶えてない。

帰りは同じ方面の女生徒と終電に近い電車に乗って帰った。家に帰ると、例によってしばらく裸で踊ってゐたらしひ。


5週目

29日(土)遠征/長門市油谷ラポールゆやロビーコンサート--------------------------------------

昨日の酒がかなり残ってはゐるが、けふは油谷まで行かねばならん。3年ぶりの油谷である。なんとか起き上がって愛車「にっち」で出発。

天気良いが風は冷たく、気持ち良いドライヴ。渋滞もなく割とスムーズに流れる。が、なんや知らん近く国体が行なわれるせいで、山口県はあっちこっちで新しい道路が出来つつあり、標識も書き換えられてたりしててたいへん分かりにくい。予定では山陽小野田市から美祢市を抜けて長門市に出るルートを通るつもりだったが、気が付いた時には下関市に入ってゐる。ルートを見落としてしまったらしひ。引き返そうにも側道がづーっと工事中でUターンも出来ぬ。このまま流れに乗ってると門司まで行ってしまふぞ!。

地図を調べると、少し先に壱本だけショートカットできるルートを発見。よっしゃ、とその道を行く。したらこれが完全に「もののけ姫」の世界を抜けるルートで、樹海、巨石、巨樹、湖、滝、とまぁ景観を楽しむには良いが、急勾配、つづら折り、車幅ギリのちょっと冷や汗ものの難路。1時間以上走ってすれ違った車は2台!。あとで地元にヒトにそれを云ったら『あのルートで来たの!?』と驚かれた。まぁさういふ道。オモロかったけどね。

さて、ちょいと遅くはなったが無事会場入りしてリハ。けふの仲間は遠距離ユニットthe scooters。ラポールゆやは800人収容可能な近代的な大ホールだが、我らが使ふのはそのロビー。ぼわんぼわん音が響くので、バンド編成では正直演り易くはない。ソロではその音響もコントロールして、けふは割とバラード系で攻めてみる事にした。

開演時間には結構お客さんいっぱい。婦人会の協力でカレーや飲み物の出店もあり。美味さうなにほひがしてるけど今喰ったら唄えんしなぁ、しかし終わったあとはもう残ってないだらうなぁ、とか思ひながら本番がスタート。スクーターズにゲストのキムラさん、ソロにセッションに、と結局ほぼ出ずっぱりのライヴだった。モニターが大変難しく、正直達成感が全く感じられぬステージだったが、結構盛り上がって好評のうちに終了。ワシのCDは完売したさうな。嬉しい。

3年ぶりに訪れた油谷だが、割と憶えてくれてゐる人も多く、色んな人が話しかけて来てくれる。さういや「ゆほびか」を作ってからは初めての油谷だったのだ。もっと持って来てもっと宣伝すりゃ良かったな。

予想通りカレーは完売(苦笑)。撤収が終わる頃には、この町に食事をできる店は開いておらず、まぁ仕方なくコンビニの飯。ワシはナオエ(油谷在住)の家に泊めてもらふが、テーさん、タマヲ、キムラさんは今から夜のドライヴだ。気を付けて。

取り合へずナオエと二人で打ち上げ。二日酔い+長距離ドライヴ+ライヴ、で流石に眠い。ナオエの旦那ハギーさん手作りのキャビンを借りて壱泊。

30日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

鳥の声で目覚める。自然溢るる油谷の朝。

前に泊まった時はナオエの6歳の息子と昼過ぎまで遊んだが、彼ももう10歳。いっぱしの少年サーファーとして、けふも早くから海に出てるらしひ。代わりにけふは娘(6歳)と遊ぶ。朝飯兼昼飯を呼ばれ、正午においとます。娘は峠の上まで走って車を追い掛け、『また来てねぇ〜!!』と手を振ってくれた。感涙にむせびさうな出発である。

帰りは日本海側を北上するルートを選んでのんびりと。こっち側も新しいバイパスがいっぱい出来つつあり、山があちこち削られてゐる。ん〜〜〜〜・・・。ひとくちで「道の駅」っつっても、巨大モ−ル並みのデカい所から、地元雑貨屋にケが生えた程度のまで、色々あるなぁ、と思ふ。

1時間おきに休憩を入れて、海を見たり土産を買ったりしながら、5時間半で広島に着。

そこで暮らした訳でもない人間が、その土地を誉め讃えるのは、けっこう不粋な行為だと思ふ。さう思ひつつも、やはり油谷は、何度行っても、魅力的な人達の暮らす、魅力的な場所である。

今年中にまた行きたいな。

31日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

土曜日のテーさんは、午前中北九州で仕事をして、油谷まで来て、ライヴ演って、またその日のうちに車で帰った。そしてワシに「その働き分」と云ふ事で、安くはないギャラを払ってくれた。

確かにワシはあの日出演した中で唯一の専業音楽家だった。が、それに見合った働きが、本当にワシに出来てゐるか?を考える。出来てない、とは思はぬ。だが、充分か?と云はれると、答えに窮するかもしれない。これで喰ってゐる者として、もっともっと、しっかりと演らねばならん。一緒に演奏してくれる仲間達にも、そして3年ぶりのワシの音楽を楽しんでくれた油谷の人達にも、胸を張って「ありがとう」と云へるやうにせねばならない。まだまだワシは生温い。

酔っ払ってる場合ぢゃないな、ホンマに。


6月へ