4月


2週目(旅帰りからまた旅へ)

7日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

前にヴェテランのツアー音楽家と話す機会があった時、彼らがけっこう睡眠薬や導眠剤(勿論リーガル)を服用してゐたのに軽く驚いた事がある。ライヴ&移動の日々は神経が昂ぶり、なかなか眠れぬものだ。『眠れずに次の日に疲れを残すよりは』と云ふ言葉に、なるほどなぁ、と思った。ワシはもともとケミカルが苦手で、これまではあまりその手のモノを服用せぬやうにして来たが、此所数回夜行バスの旅では、もぅ無理せずに導眠剤を使ふやうにした。

バスに乗って壱時間くらい・・・だいたい日付けが変わる前くらいに服むと、弐回目の休憩に気付かぬほどストっと眠りに堕ちる。目が覚めたら広島に着いてゐた。なるほど翌日の疲れが、全然違う。今までは、夜行バスで帰った日にぁ半日は使い物にならぬかんぢだったけど、けふは全然平気。昼寝もせずに済むのは素晴らしい。あのツアーミュージシャンの言葉がリアルに納得できる。

そのまま、執事フライデーとして、オリエンタルホテルの営業。弐週間ぶりに「カラス」を使ふ。これも良いベース。てゆーかこれがヴァネッサ並みに操れれば、バスに乗るたびに厭味を云はれずに済むのかもしれんな・・・。

8日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

絶好の日和、てことで花見。メンバーはカシラ一家、シルクロード仲間の久保っチ、しーなさんと娘、ワシら夫婦。お馴染み女房のインド弁当などをつまみに、九分咲きくらいの桜と酒を楽しむ。穏やかで良い宴。東京の花見は人も多すぎるし、話声や唄声がうるさすぎる。かういふ処は、やはり広島はイイ、と思ふ。

けふの秀逸はしーなさんが用意して来た「鍋」(笑)。なんと野外で湯豆腐、といふ最高に贅沢な。日中は暖かいが、日が傾きはじめると、やはりまだ肌寒い。そのタイミングで湯豆腐!。これが身体は暖まるわ酒に疲れた胃に優しいわ、でしーなさんのナイスな着眼。シメは余ったおにぎりを鍋に投入して、のぞうすゐ。素晴らしい宴だった。

途中、ニュージーランドから帰国した、ロゥミステルのアサミちゃんもやって来た。1年半ぶりに逢う彼女は、真っ黒に日焼けしてゐる。壱年間のニュージーランドでのワーキングホリデーを終え、その後はブラヂルなどを流浪って来たらしひ。良い旅だったやうで、良かったネ。

9日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

遂に発売となったしーシュの新作「3時のあんた」の通販に対応すべく準備。¥100店でクッション封筒などを大量に購入。

午後からはスタヂヲTIPにて、ダンスの高橋さいことのデュオリハ。さいこがセレクトした既成の曲、をバックトラックにワシがベースを弾く、といふ事をやってみる事にす。だいぶ前の事だが、朋友空城のしう"ぁが、クラシックの名曲に歌詞を付け、オーケストラをカラオケに見立てて唄う、といふ事を演ってゐるライヴを観て、その発想に大いに驚き、感心した事がある。あぁ云ふ事をベースでやれば、またオモロいかもしれぬな、と思ふ。

もぅ「オモロいかも・・」て事は、なんでもみな演ってみることにする。

10日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

(しーなさんが)なんとか壱時間だけ空きを作り、しーシュのリハ。今週末はまた旅の空。もはやツアーがリハをも兼ねてゐる、といふかんぢか。さういや昔、御大ジャック・ブルースのインタヴーを読んだ折、「若い頃はどんな練習をしてゐたか?」の質問に、御大は『うーん、若い頃は毎日本番だったからね。練習の時間なんて全然取れなかったな。ステージの上で練習してたようなもんだよ』と応えてゐた。

まぁそこまでではないにせよ・・・。

個人レッスンを1つやり、次は「ミミエミ・The Syugyo's 」のリハに行く。最初は、レパートリィのとりとめの無さに戸惑ってゐたが、だいぶ演り方が見えてきたかんぢ。まぁいつものやうに演るだけなんだが・・・。

リハが多いのは全然OKなのだが、晩飯を喰ふタイミングを逸しやすいのが難点。けふも結局晩飯はヌキ、となった。まぁ遅い時間にガツガツ喰って太るよりはえぇか。

11日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

親父の誕生日(すでにだいぶ過ぎた)プレゼントにセーターを買ったのを届けに行く。ぢつはこれ、自分が着ても良いかな・・と思って買ったのだが、思った以上にシブい柄で、これをワシが着こなすにはまだ年季が足らぬ、と思ったもの。自分が着れぬものを親に贈る、など、なんといふ親不孝か、とも思ひもしたが、いちをうカシミヤのかなり良いヤツなので・・・。

したら親父にはデカ過ぎた。なんと今の彼は「S」サイズでちょーど良いらしひ。小柄な男とは云へ、かつてはバレーボールや野球で鳴らした身、胸や肩はそれなりのサイズだらうと推測してゐたが、所謂「老人が縮む」といふ現象はその想像を越えてゐたな。オフクロも同じらしひが、肩の肉が痩せる事によって、洋服のサイズは2サイズ近くダウンするのださうだ。うーむ、こんなにちっちゃくなっちまうんだなぁ・・・。う〜〜〜む・・・。

それでも『まぁ貰っとく』と受け取ってくれた。『ワシが死んだらお前にやる』と云ふ。まぁまだまだ全然元気な親父様だ。あのセーターがワシに似合うやうになるまでは生きてゐてくれるだらう。

12日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

5月にちょいとオモロい場所でソロのライヴを依頼され、その打ち合せに行く。まぁ良くあるハナシで『どーいふ音楽なのか説明してほしい』と云はれ、うーむ、と・・。ワシらとしては「先入観なしに聴いてほしい」と思ふのが人情だが、まぁお客さんを集める身としては、さういふ訳にもいかんだらうなぁ。説明しづらい音楽ですいませんね。

レッスンまでの時間がだいぶ余ったので、チャリであてもなく彷徨う。先週、友達と花見をした場所の桜が、風に吹かれて見事な桜吹雪を降らせてゐた。30分ぐらいお茶でひとり花見。良いねぇ。綺麗だねぇ。

旅をするやうになって、自分の地元も時折「旅人の目線」で見れるやうになって来た。さうして見ると、広島ってホンマに綺麗な街だと思ふ。

13日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

しーシュが唄旅人徳田建とゆく春の誘いツアー。壱日め。

このツアー、だいぶ前に日程が出てゐた。で、この日が専門学校の初日授業の日に重なる事が分かって後の祭り。まぁツアー系の音楽家って、みんな半年先の予定はもう立ててたりするからねぇ。学校には事情を説明して休講。やれやれ。

気を取り直して出発。今回はしーシュにしては珍しく、自分らで車を転がしての旅だ。まづは初日、山口市は湯田駅前のライヴハウスDada。駅前に巨大な白狐のオブヂェが建ってゐる。これが夜になると暗闇にその巨体を浮かび上がらせ、結構コワい(笑)。

このツアーは建さんとワシらの弐枚看板旅。建さんのソロと、しーシュ、そして例によって、しーシュサポートによる徳田建&しーシュのトリオ。どれも初日ながら仲々の出来。正直お客さんの入りはかなり寂しいものだったが、「早めに帰るつもりだった」といふ方も、結局は最後まで聴いてくれて嬉しい。

けふのしーなさんは店置きのアップライトピアノとシンセを併用。この「会場による楽器の使い分け」が、今回意外なテーマとなった。

けふの演目:毬藻あります/Dance/夢見るアンコウ/苔の記憶/亀の庭/紫の狐/夜の駱駝/ぎやまん(以上しーシュ)。風に吹かれて/こんな夜に(以上徳田建&しーシュ)

14日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

けふはダブルヘッダー。壱日にライヴが弐回あるアレだ。

まづは「昼の部」。建さん縁りのアートギャラリィすえひろでのライヴ。フツーの住宅街の中にあるフツーの民家を、そのままギャラリィにしてある。これがたいへん良いかんぢ。建さんの提案でアクースティックで演ってみないか、といふ事になり、それはオモロい、と・・・。たぁ云へワシらは電気楽器なので「完全生」といふ訳にはいかず、生声の大きさに合わせたヴォリゥムでシンセとベースを鳴らす。建さんは完全に生声&生ギター。

これが大当たりで、素晴らしいライヴとなった。ワシらもシンセ+電気ベース、に、それぞれのアンプだけ、といふコンパクトな機材セットで演れる事が証明でき、今後これくらいのスペースであれば、このスタイルで演る事も視野に入れる事が出来る。お客さんの雰囲気も暖かく(全員女性)、良いライヴだった。ギャラリィすえひろ、たいへん気に入りました。また御縁が頂ければ嬉しいなぁ。

さてお客さんと語らう間もなく、ワシらは次会場に移動。「夜の部」はしーなさんの出生地である宇部市はBig Hip。去年の秋以来の来訪。相変わらず音の良いハコで、たいへん演り易い。「すえひろ」でのミニマム音での演奏は、あれなりに楽しいが、ライヴハウスで大きな音で演るのも、やはりミュージシャンとしては嬉しい。遠慮なしにアンプをブィブィ云はせる。

しーなさんの旧友を中心に、ここでも親密で良いライヴが出来た。昨日は流石にまだぎこちなかったトリオでの演奏も、昼夜続けてのパフォーマンスに熟れて、良いかんぢ。やはりワシら、他人様のバック演奏もたいへん好きなのですねぇ。

けふのしーなさんは「すえひろ」ではシンセのみ。「Big Hip」では電子ピアノ(持って来た)を使用。

演目:/月の路/毬藻あります/ぎやまん/爪研ぎ唄/ペンギンカフェ〜/蘇州夜曲/羽根の記憶/夢見るアンコウ/風に吹かれて/ウェルカム上海/この素晴らしき世界(以上ギャラリィすえひろ)

夢見るアンコウ/爪研ぎ唄/苔の記憶/亀の庭/ぎやまん/しゃばだバ/Dance/ひつぢは意外と気が荒い/Moon bow/風に吹かれて/こんな夜に/(以上Big Hip)

15日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

ツアー最終日。

ぢつは今回、旅の拠点として紅花舎といふゲストハウスを使わせてもらってゐて、ラストのけふはここのリビングで行なわれる、ディナーパーティーでの演奏。

日中は思ひ思ひに過ごす。ワシはちょいとそこらを歩いてみるか、と出たところ、景色の美しさに興が乗り、割とトレッキングに近いかんぢの散歩になった。山道を歩いてゐると『あぁこのかんぢよ!』といふ気持ちが沸き上がる。しばらくやってなかったけど、またトレッキングやってみるかなぁ・・・。

30分ぐらい歩いてると「クマ注意!」といふ看板が出て来たので引き返す。

午後は紅花舎のスタッフと一緒に料理のお手伝いを。すでに寿司、蕎麦、ピザ、ローストビーフ、ローストチキン、鯛の香草焼き、など豪勢な料理が準備されてゐたが、ワシらも共同でミートパイを作成することに。建さんは調理師免許も持ってゐて、パイ生地をコネながら『シュウ、材料刻んで。しーなは下味頼むね』と指示が飛ぶ。なんとも楽しいひととき。

その豪華な料理をお客さんと一緒に頂きながら、頃合を観てライヴ開始。紅花舎の恒例行事として、皆、料理とコンサートを楽しむ気持ち満々で来て下さってゐるので、とても親密で良いかんぢ。なんと「Dance」では何組かのカップルがダンスを始める、と云ふしーシュ始まって以来の楽しい事態に。あれはホンマに素晴らしかったなぁ。ダブル・アンコールまで来て、最終日を飾るに相応しいライヴだった。

けふのしーなさんは会場置きのアップライトピアノを使用。これで結局、持って来たシンセと電気ピアノ含めて全部違う鍵盤の使い方をした、といふ珍しい旅となった。重いのを運んで来た甲斐はあったねぇ。

打ち上げも楽しく、リクエストに応えてしーなさんがクラシックの名曲を唄う、といふおまけまで。山あいの紅花舎は、夜が耽るにつれてしんしんと冷え、薪ストーヴをばんばん燃やさねばならぬほどだったが、唄声響く打ち上げは暖かく、深夜まで続いたのであった。

暖かく、嬉しく、ちょいと切ない、素晴らしい紅花舎の夜。

けふの演目:月の路/毬藻あります/ぎやまん/しゃばだバ/蘇州夜曲/星影の小路/Dance/夢見るアンコウ/爪研ぎ唄/こんな夜に/ウェルカム上海/風に吹かれて


3週目(また旅帰り)

16日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

春の山口ツアー終わり。のんびり帰る、つもりでゐたが、よぅ考えてみたらリハが入ってゐた、といふ・・・。あーぁ。

お世話になった紅花舎を辞す。ペアレントの杉田さん達が玄関先で見送ってくれる。「さようなら」ではなく、「いってらっしゃい」で見送ってもらへる幸せ。うん、また来ねばなるまいな、ここには。素晴らしい3日間でした。ありがとう紅花舎。ありがとう杉田さん。

リハに間に合うやうなペェスで下路を走る。今回、機材を満載したこの軽ワゴンで3日走り、この形態で充分演れる事が確認できた。新しいツアールートの開拓に、大いに展望が持てる。よぅし、さらなる旅路へ行くぞ。しーシュがホンマもんの「旅する楽団」になるまで。

ダンスの高橋さいことのリハを2時間弱→帰宅。なんやかんや云ふても、づっと車を運転し続けてゐたので、それなりに疲れてゐる。

17日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

専門学校、新学期スタート。

生徒の数に教室や機材が対応できてない、と云ふお粗末。キチキチに詰め込まれた生徒達が、お互いの楽器に当たらぬやうにするだけで手一杯。アンプの数すら足りてゐない。どーすんのかね?これ。学校側からのフォローほとんどナシ。教室を増設する、といふ話が一瞬浮上したハズだが、どーやら水に流れてしまったやうだ。あとは勝手にやれ、といふ事かいな。幻滅した生徒が辞めて行かぬ事を祈るしかないねぇ。

今期から授業数が半分に減り、月曜日も休みになり、火曜日も午前中で仕事終わり、といふ事になる。当然、単純に行けば年収も半分に減る訳ですよ。痛たたたた・・・。

18日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

年収が半分になるのを、ただ手を拱いて観てゐる、と云ふのではあまりにアレなので、20年ぶりに「営業」。新規のスタヂヲに、教室を設けてもらへるやう頼みに行く。幸いな事に先方も好意的で、双方にとって良い事になればいいけど・・・。

まぁどーでも喰へなくなった場合は、もうハラ括ってバイトでも何でもするしかないねぇ。しかしこの御時世に、47歳のオコトがそぅそぅ仕事にありつけるとも思へぬしなぁ。

まぁ今それを考へても仕方ない。ので、せめてしっかり「練習」する。

演奏のギャラが毎回同じ「良い金額」である保証はなく、まぁ昨年の収入などから個々の平均を出したとして、ライヴだけで所謂「生活が出来る」収入を得るためには、年間250本演ってキチキチ、といふ結果が出ましたよ。はははーっ。

19日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

友人の友人、のまたツテといふ人脈が絡み合って知り合った、東京のタップダンサーPORIくんが広島で凱旋ライヴ演る、といふので見に行く。

このPORIくん、友人から『広島出身のオモロいタップダンサー』と紹介され、色々分かって行くうちに、なんとワシらも馴染みの、あのブレーメンの音楽隊の、唄のはなちゃん、の実の(「の」が多い)兄貴である事が発覚!。それを聞いた時は、その奇縁に鳥肌が立った。まるでドラマのやうな・・・。

そして彼と共にやって来た唄うたいは、これまた友人の友人であるコジマサナエさん、ピアニストはあの「アニキ」八尋洋一さんと行動してゐる妹尾美穂ちゃん。世間は狭い、といふよりは、「動いてゐるもの同士の世界は広い」といふべきか・・・。いや〜不思議な夜だった。

打楽器に匹敵するタップで、即興的にピアノや唄に絡み、引っ張り、かき回す。まさに「全方位型タップ」。これはすごい。本編を見てゐるうちから、参加したくて仕方なかったが、最後PORIくん本人がステージに呼んでくれて、その場で即興ジャム。演りまくったった。オモロかった。終演後がっちりと握手。今度は完全デュオでなんか演ってみたいね、と話す。

タップと電気ベース、と表現方法は違えど、同じ目線で「技」を捉えてゐるオトコ、といふ気がした。近々、また逢おう!。

20日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

専門学校新入生初の2コマ授業。今期からトリヴィアコーナーなど設け、授業中、生徒らがややリラックスできる時間を作る事にした。まぁけふの処は成功。2コマ180分、集中力を維持させてやれた。インフラの不備もややクリア。授業が上手く行った時のかんぢは、ライヴが上手く行った時のかんぢに似てゐる。

そのまま「居酒屋椎修」四月之巻。フライングキッズに入り、料理とライヴの準備。しーなさんは各種小鉢もの、ワシは「ひぢきと筍のパスタ」と「ししゃも・だ・えせニック」を用意す。

ライヴのテーマは「夜の名の付く名曲たち」。ワシは「夜のジプシィ」と「ワンダフル・トゥナイト」「夜の駱駝」「闇夜の国から」をセレクト。結局「夜ジプ」は演らなんだ。お客さんは大入り満員で、飛び入りやリクエストもばんばん来る。壱時間のライヴの間に、オリジナルを演り、カヴァーも演り、リクエストに応え、お客さんの唄伴もしぃの・・・・。それらに全対応できるワシらって、我ながらすごいと思ふ(笑)。

料理も音楽も、お客さんにたいへん喜んでもらへて、ワシらも嬉しい。良い企画だった。それに、なんとなく「慣れた」のか、大忙しだったにも関わらず、あんまり疲れなんだ。だいぶ接客のノゥハゥが分かって来たのかも・・・。

まぁ、なんにせよワシらは、ある種「ライヴの新しい形」を、提言してゐるのかもしれない。ね。

色んな意味でしーシュにしか出来ない事、をやってゐるといふ自負はある。


4週目

21日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

「りぶさん」来たる。りぶさん+しーシュ「春のハッピーライヴ」だ。

けふのワシらは、新作「3時のあんた」レコ発記念を兼ねてゐる。晴れがましい席に、大好きなりぶさんを迎えて、といふのも嬉しい。生憎の天候だが、朝からワクワク。女房にも『けふは飲み明かして帰る』と云っておく(笑)。

会場のPICOに入り、1月ぶりの再会。広島のバンドより高い頻度で一緒に演ってるなぁ。お互いドラムレスなので、セッティングも早い早い。リハ時、珍しくワシのベースがトラブるといふハプニングがあったが、PAのよーたのお陰で難を逃れ、本番はバッチリ。客席がほぼ埋まったのを見極め、まづはウェルカムソングの「Dance」でスタート。りぶさんを紹介して、彼らのステージを楽しむ。相変わらず見事なライヴ。

後続でしーシュ。りぶさんGuのけんぢまんの爆笑パフォーマンスに影響され、ワシも珍しく客いぢりなど(苦笑)。ややリキんでしまったが、まぁまぁだらう。楽しく演奏できた。最後はお互いの曲を壱曲づつ演る、と云ふ企画。しーシュの「ツアー」とりぶさんの「Sing a song Lalala」を一緒に。さらなるアンコールに応え、全員で「what a wonderful world」を。お客さんも、ワシらも大満足、のライヴだった。

やはりりぶさん、見事なモンである。シムプルだが確かなテクニックに裏づけされたエンターテイメントと、名曲揃いのラインナップ。無理強いせずとも自然とお客がノってくるハッピーなオーラとグルーヴ。どれをとっても一流品だ。これをメヂャーで扱えない、といふ日本の音楽業界の無力さが痛快。こんなヤツらと良い付き合いが出来てゐる、てだけで、しーシュもなかなか、と思へるねぇ。

終演後はそのままPICOにて蓙敷きで打ち上げ。花見みたいですごくイイ。学生時代、広島に住んでゐたけんぢまんは、当時の知人にも会へて大喜び。意外な人との意外なつながりも露顕。旅はホンマに繋がるのだねぇ。ファンの人も交えてやーやー喋りながらの、楽しく和やかな打ち上げは3:30まで続いた。外に出るともうカラスが鳴き始めてゐる。

22日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

休み。二日酔いはないが、終日のんびり。楽器も弾かず作曲もせず、本を読み映画を見る。

23日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

ダンサー高橋さいことの最終リハ。これも次の日曜日は本番だな。けふは統括(司会)の姫石ミミが見に来て、本番での流れも確認。お客さん、来るやろか?。来てね。

最近、ネットでオモロい男女のデュオを捜す事にハマってゐる。あまり・・・てゆーかほとんどデュオの意味を成してない二人組から、唯一無二のデュオまで色々あって楽しい。中でもオモロかったふたつは、スウェーデンのWildbirds & Peacedrumsと、我らが日本のT字路'S

Wild〜はなんとドラムスとヴォーカルのデュオ。これが最高にかっこいい。打楽器だけのバッキングに、VoのMariam Wallentinの揺るぎない歌唱力が素晴らしい。ちょいとエキゾティックでアンヌイな美貌もGood。アルバムによってはクワイヤと一緒に演ったりもしてるやうだ。ライヴ見てみたいなぁ。しかし、もちっとヒネったユニット名なかったんだらうか?(笑)。

お前が云ふな、って?。あぁさうですか。

T字路'Sもイイ。どっちかてーと脱力系の容貌からは想像も付かない壮絶な「がなり声」で、しかし不思議と嫌味を感じさせず歌い上げるイトウタエコ嬢の唄。ベースとギターだけ、と云ふチープでシムプルな編成。昭和のにほひを感じさせる楽曲群も良い。フツーこのテの音って、いかにも「ウチらR&B命!文句ある?」みたいなかんぢに聴こえちゃうモンだけど、これはさういふのも確かにありつつ、オリジナル。カッコいいねぇ。

両ユニットとも、昨年のフジロックで活躍したさうな。やはりあのイベントはなかなか侮れんねぇ。

24日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

昨年12月に車に轢かれたの、の損害賠償のアレコレが来た。

こちらに全く落ち度はなく、まさに完全なる被害者、として見た(その通りなのだが)場合、これが「迷惑料」と思ふと多少のやるせなさは否めぬ。が、まぁ幸いな事にヒドい怪我もなく、後遺症もおそらくナシ。仕事もたった2日休んだだけだし、ツアーにも行った。打撲の痣も消えかけ、今はもう悪いところはない。・・・もぅ良からう。シノゴノ云はず示談成立!にサインす。

アレでもゴネれば少しは賠償金額が上がるのかも知れぬが、そんな事に心すり減らす方がめんどくさいや。莞爾と笑って受け入れる。

25日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

「3時のあんた」にゲスト参加してくれた、サックスの藤井政美に、完成したCDを進呈す。家までサイクリングがてら持って行かんとしたが、途中の河川敷で落ち合う事に。わざわざヲークマンを持って来て、その場で聴き、感想を述べてくれる政美であった。

平日の昼(てゆーか午前中)に、こんな事が出来るのもフリーの特権。と云へば聞こえは良いが、お互い仲々仕事がシビアでかなわんな、と。まぁしかしホンマに、こんな何気ないミーティングってぢつは大好きなのだ。最近あまり一緒に演ってないのだが、近々久々にまたタッグを組もうや、といふ話をして別れた。

なコトがあったから、て訳ぢゃないのだが、サックスとベースで出来る事、を色々考える午後。映画「扉をたたく人」の中に、主人公が演ってるバンドのライヴシーンがある。サックス&ウッドベース、にジェムベを叩き唄う主人公、といふトリオ。これがクールでカッコいいのだ。あぁいふ事が出来たら良いなぁ。

小編成が好きなクセに、ワシはまだどーしても「音の厚み」を作ってしまふ演奏家なのだ。未熟ものである。

まーぁ、ルーツがQueenだから、ねぇ(笑)。

26日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

高田エージ+しーシュの日。

エージさんは此所数年、旅先や広島で急速に繋がりを増やした「旅のアニキ」。年間150以上の唄旅をするハッピーオーラ満載のひと。

17歳でデビューしたエージさんの経歴は、50歳の現在までで相当多岐に渡ってゐるが、その中でエージさんが20代の時にやってた、SUPER BADといふバンドがある。当時の日本ではまだ珍しい、R&Bをルーツに持つパンキッシュなロックバンドだった。もぅスゴくてねグルーヴが・・・。

ベーシストは鹿島達也さん。当時は「ベーシスト総チョッパー(今で云ふスラップ)時代」。ファンキー=チョッパーといふのが当たり前で、かく云ふワシもやたらとペチペチ叩いてた頃だった。その中にあって、鹿島さんのゴムマリのやうに弾む指弾きベースのグルーヴ感は、まさに『目からウロコ』の革命。「良いベーシスト=チョッパーが上手い」と云ふ図式にちょいと疑問を感じはじめてゐたワシは、鹿島さんのベースを聴いて「これだ!」と。

以後、チョッパーを捨て、バンドメンバーにも「なんで(チョッパー)せんの?」と云はれながら頑に指弾きを通し、今に至る。まぁ今現在は、広い意味での「チョッパー」を、むしろ「多用」するやうにはなってゐるが、あの頃の指弾きへのコダワリが無ければ、今のワシは無い。

そのバンドのヴォーカルだった人と、共演する。といふ感無量を、分かって頂けるだらうか?。むろん、エージさんの今の唄は、当時のSUPER BADとは全然違う優しく大らかな音楽だ。でも、鹿島さんがかつて支えた唄、を今ワシが支えてゐる、といふ・・・このかんぢ。

この日は、しーシュの出来もたいへん良かった。ゲスト参加のてっちゃんこと藤縄てつやのパフォーマンスも良かったし、「3時のあんた」のジャケ衣装で臨んだしーなさんのOL姿はなかなかセクシィだったが、けふは何より「エージさんと演った」といふ感無量に尽きる。何度も、エージさんと顔を見合わせて笑う、といふ場面あった。ベース弾いてて、旅してて良かった、と強く思った。

旅を続けやう。

27日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

けふは専門学校2コマの後、姫石ミミと佐伯エミの「Syugyo Live」をサポート。若い歌い手二人を支えるのは、ワシと、渋谷次(pf)宮本香緒里(per)。ワシ以外全員女性、と云ふ、いかにもやっかみを買いさうな・・。

ミミとエミのそれぞれの得意パタンを、それぞれ持ち寄って演った、といふライヴだった。サポートとは云へ、ソロもたっぷりあり、ベースと唄の完全デュオなども演り、えへくとも多用し、唄も唄い、結構ポテンシャルの全てを出した、と云ふかんぢ。

途中用意された次さんとのデュオコーナーでは、カーラ・ブレイ&スティーヴ・スワロゥの「Ladies in Mercedes」を。かつて30代の前半に午支(ハラシャ)といふユニットでチームを組んでゐた次さんとのコンビネーションは、10年以上経った今も健在。次さん、相変わらず素晴らしいピアニストだ。楽しい、久しぶりの共演だった。主演のふたりはややカタくなってしまってゐたやうだが、ワシらは楽しく演奏しました。

打ち上げも当然、女性4人にワシひとり。かういふパーティの中でとくに『浮かない』オトコ、といふはある種の「人徳」だと、東京の鈴木亜紀ちゃんに云はれたな。


28日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

しーシュのリハ。考へてみたらツアー後初めての「ちゃんとした」リハだ。

作曲スランプからの脱却ポイントにはなったものの、イマイチ決まり所がなくて、このままボツになるか!?と懸念してゐた新曲「ジェラシー」がなんとか形になった。ぢつは壱週間まえぐらいから、スタヂヲに入っては独りでギターで演ったりピアノで演ったり、色々なパタンを試したりしてゐたのだ。結果的に、テンポとキィを大きく下げ、落ち着いた声音で唄う、といふ処でよぅやくハマった。

数年前、生徒(♀)に『センセイの低い所の声が好きなんスよね』とコクられた事があり、まぁ今回その音域。どーしても自分の得意な音域で唄う、といふ作り方をしてしまふもので、これも年取るにつれてもっと落ち着くべきだな、とも思ふ。シムプルさ、に次いで、将来的な課題。まぁでも良い曲に仕上がってよかった。

あと、こないだのライヴで古いレパートリィを演った処、たいへん評判が良く『シュウさんてこんなのも作れるんだ』と云はれたの、もちゃんと演る練習。

29日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

ダンスの高橋さいことのコラボ・ライヴ。

こは今年末に予定されてゐる「耳ちゃんねる」といふエンターテイメント舞台のプレ企画。お馴染み姫石ミミの、お気に入りやお勧めモノを一つの舞台で全部網羅してしまおう、といふ出し物。それらのお披露目、みたいなかんぢで、今月を皮切りに毎月壱回づつ催されるらしひ。それの第壱段としてワシら。

ワシはダンスとの共演は何度も経験してゐるが、今回の相方であるさいこは、過去に共演したどの踊り手よりも、「フィジカル」なイメェヂ。性差を超越した「肉体」としての「躍動」、を強く感じさせる。共同作業、といふより、個々の表現に没頭した、といふかんぢ。音楽がやや「押される」場面も(笑)。でもオモロかった。

プレイベントとしてどーだったのかね?。ステージにソファを置き、進行役のミミが出演者とトークを繰り広げる、といふまるで「徹子の部屋」のやうな進行は、見てても楽しいんぢゃないかね?。まぁ次から次へよぅ色んな事オモロい事を思ひつきますねミミさん。

終演が18時、てのも良い。19時すぎくらいから打ち上げを始めれる喜び。さいこのリクエストで鉄板焼。よぅ飲みよぅ喰ふさいこ。さすが「肉体派」(笑)。ワシも負けじと生ビール&ハイボール!。近くにゲストハウスがあるせいか、外国人が独りでお好み焼きをつついてゐるシーンを多く見かけた。

30日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

新しく買い替えたものの、忙しくていぢれずにゐたニューMTRに没頭する日、と決める。

解説書を読みながら、まぁ色々録ってみる。最近のは本体にマイクが付いており、クゥオリティを求めぬならば、「鼻歌」をそのままハードディスクに録れる、といふ驚き。いや、もはや驚く事でもないのかもしれんが・・・。ちょいと録ってみると、ちょうど戸外の雨の音を拾って良いかんぢ。あー、フィールドレコーディングも出来るってコトか。あ、電池駆動はせんのか。

けふ壱日で、だいたい使い方は理解できた。楽器店に勤める生徒から買ったこたびのマシンは、22歳の時、初めて入手したカセットMTRと同じTASCOM製。シムプルで解り易いのも同じで嬉しい。さーて、色々と録ってみますかね。


5月へ