9月


1日(日)--------------------------------------------------------------------

帰広への長い道のり。23:30頃広島に着。

2日(月)--------------------------------------------------------------------

休み。休む。

映画「パシフィック・リム」観に行った。

3日(火)--------------------------------------------------------------------

イレギュラー専門学校。旅の間、代講してくれたパイグからの情報で、ほとんどの生徒が休みだった、と聞いてゐた。けふも同じやうなモンで、出席した生徒の方が少ない。多分この調子では、期末試験を受けれる(出席日数が足らんと試験を受ける資格を失う)のは各学年にひとりづつくらいだらう。「届けものがあるので火曜には必ず!」と自分から云ってたヤツも来てない。なんぢゃそら?。

こんなのでも、時が来ればやっぱりシッカリ約束守って社会的に行動できるやうになるのかねぇ?・・・。見てみたいモンだ。

その後の個人教室においても、生徒の自堕落さに触れ、怒りと虚しさは頂点に。

この先そぅ遠くない未来に、人類は滅びる。それは環境汚染とか、戦争とか、天変地異とかではなく、人間の自堕落さ、によって引き起こされる滅亡に違いない。

は〜ぁハイギョハイギョ♪

4日(水)--------------------------------------------------------------------

昨日の虚しさを引きずり、なんか調子が出ぬ壱日だった。

かういふ時はまったく別の事に集中すが良い。て事でピヤノを練習してみた。かうやってスタヂヲとかで弾くと、結構イケるやうな気がするのだが、やはりステージで弾く、となると全然勝手が違うものだ。いつか「吟」のライヴとかで、ギター、ベース、ピヤノ、打楽器、など、弾き語りの手段を変えながら演るライヴ、みたいなんもしてみたい。

トリオぐらいで、それぞれが楽器をとっ換えひっ換えして「唄う」バンド、みたいなの演ってみたいなぁ。たれか演んない?。

5日(木)--------------------------------------------------------------------

昼間の暑さはまたぶり返して来たやうだが、空は確実に秋の色をしてゐる。また秋刀魚が美味い季節がやって来るな。秋は好きだ。

けふはレッスンに入ってるスタヂヲで、割といっぱいヒトに会った。久しぶりに地元の友達と会話して、少し元気を貰へたやうな気がする。旅に出て、各地の仲間と会うのも楽しいが、やはりタマには同じ街に住んでる音楽仲間とも交流を持たなアカンねぇ。久しぶりに「独り飲み」にでも出てみやうかな・・。

「器用貧乏トリオ」構想、発展中。目星を付けてるヤツはゐるが、みんな忙しさうだしなぁ・・・。

6日(金)--------------------------------------------------------------------

早起きして走り、シャワー浴びて居酒屋椎修の仕込み。けふは専門学校がナイので、のんびり午前を過ごす。

『たいへんショボかった』との評判が高い、ブライアン・アダムスの2000年の来日公演のVを見る。Gu,Ba,Drのトリオ。ブライアンがベースを弾いてて、これが意外に上手いのだが、トリオで鳴らす分には流石に荷が重いか?。てゆーか、このトリオのサウンド自体が、ポリスのやうな「間を活かしたクールなかんぢ」にはならず、ただ「楽器の数が減った分だけ音も薄くなった」といふそのまんまの・・。なんでこんな編成にしたンだらう?。いや・・・ワシは好きなかんぢですけど。

夜は居酒屋椎修。けふも満員御礼。ベースの先っ歩が最前列のお客さんを刺してしまひさうなギュー詰め状態。ありがたいねぇ。

ライヴのテーマ「悪(ワル)の音楽」では、この為に書き下ろした『わるい人生』といふ新曲をお披露目。締め切りに追われて書き殴った、てかんぢだが、それなりに悪くない唄となり、初演のけふもたいそう評判良かった。新しいレパートリィとして、今後に期待が持てる・・・のか?(笑)。


2週目

7日(土)--------------------------------------------------------------------

湯来町のカフェ「白い森」にて、ティータイム・コンサートと銘打たれたしーシュのライヴ。生憎の雨模様の中、地図を頼りににっちを駆る。

到着した場所は、なんと32年前、高校生だったワシが、初めて大人のバンドに混じって練習しに来たコテージだった!。すげぇフラッシュバック。ここでデカいセントバーナード犬に何故か襲われたのだ。なつかしぃ〜〜〜!!。今も犬がゐて、それはセントバーナードではなく、二匹の懐っこいレトリバー。他にも色んな模様の猫がいっぱい(笑)。

本降りになって来た雨の中、それでも結構なお客さんが集まり、えぇかんぢにほっこりとライヴスタート。あまり激しいのは演らず、全体的にゆったりと展開した。良い反応。オーナーの杉山さん(しーなさんとは旧縁らしひ)がことのほか気に入ってくれ、また是非演りませう、と云ふ話も。二匹のレトリバーは演奏が始まると、玄関に寝そべり、ぢっと聴きながら、最後には熟睡してゐた(笑)。

ワシにも古い友が訪ねて来てくれたり、と旧縁の再会を喜んだ壱日、でもあった。良いライヴ。

打ち上げは下界に戻って。夏の長旅の打ち上げも兼ねる。久しぶりにしーなさんに厳しいダメ出しをす。

8日(日)--------------------------------------------------------------------

「ゆるゆるアフリカノス」の相方である、バラフォン奏者のふじたよーこチャンが、このたびギニア人の男性と結婚。そのお祝いのパーティーとライヴがPICOで開かれた。ワシは早くに会場入りして料理作りから(笑)。日本の飯を紹介する、といふ意味も込めて「鶏団子鍋」を作った。

初めて見るよーこチャンの旦那ダビッドは、なかなかのイケメン。村人全員がプロのジェンベ奏者、といふ村の出身。奇縁といふはあるもので、此所ンところワシらに関わりがある女性3人がアフリカ人男性と結婚して、広島に住んでゐる。けふはその在広アフリカ人が一同に介した宴でもあった。当然、唄に踊りに太鼓に、と音楽は止まらない。

ワシらしーシュは、自分らの演奏はもちろんだが、いわゆる「ハウスバンド」としても活躍。色んなアーティストのバックを即興で務めさせていただく。職人デュオの面目躍如。かういふの全部仕事にならんもんかねぇ(笑)。誰にでもできる芸当ぢゃないと思ふのだが・・・。

ダビッドのジェンベは「流石」のひとこと。是非このまま広島に住み続けて交流してほしい処だが、これを扱える他のミュージシャンが、広島には居らぬだらうな、といふ懸念も・・・。当然ジェンベを仕事にしてゆくつもりなのだらうから、さぅなるとやはり東京か、もっと都会の方が彼を活かすチャンスがあると思ふ。でもまぁ居てほしいよね広島に。なんか一緒に演れたらなぁ・・・。てゆーか活躍の場を一緒に作って行けたらなぁ・・・。

楽しい宴は日付けが変わるまで続いた。ワシは料理から数えると、都合12時間以上をPICOで過ごした事になり(笑)、さすがにくたびれた。

よーこチャン、ダビッド。ひとまづはおめでとう。

9日(月)--------------------------------------------------------------------

昨日一昨日でフと思った、「しーシュを『正規の仕事』として運営して行く事は出来んだらうか?」といふ思ひにつひて、アレコレ思案す。

映画「桐島、部活辞めるってよ」観賞。静かな映画だが、ぢつは「主役の喪失」といふ重いテーマのストーリィだった。思へばこれまでの人生で、何度かこれに似たやうな事態は経験してきた。「誰かを中心に回ってゐる」社会は、そのパワーバランスの変化で容易く崩壊する。中心を維持する為に奔走する周辺。それぞれのエゴと保身。よく見渡せば、周りにいくらでもある光景だ。それをかうして「映画」として見せつけられると、うぅわキツいな・・・と思ってしまふ。

自分がそうではない、とは云はぬが、ワシは「群れて死ぬより独りで生きる」といふ言葉が好きである。

10日(火)--------------------------------------------------------------------

ヴォイストレーニングの体験レッスンを受けたい、と云ふ問い合はせがあり、そのやうに。若者らしく悩み多き様子。半分くらい人生相談だった(笑)。

ツイデなので「吟」のリハをす。ここン処あまり喉の調子が良くないナ〜。季節も変わり目に来たし、あまりザツに扱ってばかりではイカンな、と反省。

帰り道、フとさういふ気になり、そのままチャリで遠出す。太田川沿いを果てしなく遡上して行くルートを、ひたすらチャリを漕ぐ。夕暮れに映える川沿いの町並が美しい。広島ってホンマに綺麗な土地だと思ふ。チャリで1時間も走ればすごい田舎の風景も見れるし・・・。日が沈む頃、帰宅。良いサイクリングだった。

11日(水)--------------------------------------------------------------------

引き続き「株式会社:椎修」計画(笑)を推考。

まぁ、真偽はさておき、音楽を仕事としてやってゆく事の色々な方法を、色々な角度から知っておく、といふ意味での「勉強」といふかんぢ。法人化するメリットとデメリット、などにつひても知る機会。色々調べてみるに、「音楽業務」といふ意味合いから鑑みれば、現在のしーシュは既にその業務内容の全てを網羅してゐる。つまり、立派に「音楽事務所」として収支が回ってゐる、といふことらしひ。

これを「登記」するかしないか、だけがしーシュを、単にバンドか業務形態か、を差別するポイントになるやうだ。ふぅん・・・。

友人の中には『お前そらぁ無謀ぢゃろ?』て思ふやうな事を、さっさと法人化してゐるヒトもゐて、まぁそれに比ぶればしーシュを会社として運営する事の方が、はるかにリアルな話、だとは思ふ・・・。勉強、勉強。

12日(木)--------------------------------------------------------------------

「音もダチ仲間」、神戸の秋本節さんが、ツアーで広島に来られてゐるのを見に行く。

秋本さんが唄ってる、私訳による「スマイル」に感銘を受け、ワシもこの唄を唄わせて頂くやうになった。今回のツアーはその「スマイル」を冒頭、ラストに「ビッグ・スマイル」といふ新曲を持って来る、題して「Big Smile tour」。関西人らしひジョークやネタを随所に散らしながら、唄ではぐっと引き込む、といふ見事なライヴを堪能させて頂きました。

ツアータイトルにもなってゐる「Big Smile」といふ新曲の見事なこと!。いや〜感動した。次回広島に来られる時は、是非御一緒したいなぁ。秋本さん、けふが中国〜九州ツアーの初日で、10月の7日まで旅が続くのださう。お気を付けて、良い旅を!。またお会いしませう。

帰り、ちょこっとフライングキッズに寄る。カワちゃんと、PAのタナベさんがゐた。少し呑んで、日付けが変わる頃、退散。

13日(金)--------------------------------------------------------------------

しーなさんが誕生日をお迎えなさった。

今年はプレゼントに「ある楽器」を贈ることにした。彼女にはこれまでも何度か楽器----トイ・ピヤノや鍵盤ハモニカ----を贈ってゐる。友人としてのプレゼント、ではあるが、シビアに見ればビジネスパートナーへの設備投資とも云へる。今回のそれがちゃんとした「投資」となるかどーかは、しーなさん次第、てハナシですね(笑)。

以前組んでたバンドで、ワシがあるえへくたーを欲しがってゐた処、メンバーのひとりが「バンドに必要だと思ふならカネ出したるけぇ買え」と、割と大枚をはたいてくれた事がある。あの時ワシはたいへん感動した。いま、それを自分がやってゐる。ナニカを共に作ってゆく仲間、とはさういふものなのだ。

ちなみにワシがステージで身に着けてゐる「ちょいとオサレで小奇麗な」系の被服は、大抵しーなさんからのプレゼント。これも「設備投資」には違いない(笑)。


3週目

14日(土)--------------------------------------------------------------------

椎名まさ子&執事フライデー月例@オリエンタルホテル。

けふは貸し切りのパーティーが入ってゐて、いつも3ツのところ2ステージで良い、とのこと。ので、その空き時間でリハを演り、この仕事では初めて「アンプを持ち込まない」で演ってみる。要するに店にあるPAシステムに直接ベースをブチ込むのだ。ライヴ専門の会場ではないだけに、それでちゃんとモニター出来るかどーか、はけっこう「賭け」。

結論から云へば「これで充分演れる」といふ事だった。これだと、仕事のたんびにワシが車を出す必要もなくなり、場合によっては、チャリで各自現地集合、てのができる。もともとワシはアンプで音を作らぬタイプのベース弾きで、ちゃんとモニター出来る状況であれば、無くても全然構わぬ、といふ考へるタチ。過去にも何度か、アンプなし、といふ状況をあえて作って演ってみたりした。

なーんだ、ここでも充分イケるぢゃんか、と云ふ事で、次回からこの仕事へのインフラ(?)がだいぶ楽になる。

けふは演奏後、早速そのメリットを使って、オリエンタルホテルから独立開業されたバーテンさんの店に呑みに行く。

15日(日)--------------------------------------------------------------------

昨日の仕事があのやうになったので、ますますワシにとってアンプと云ふものが「モニター」として以上の役目を必要としなくなった感あり。さすればこれからは、アンプに凝るよりも、ひとつ『良いDI(ダイレクトボックス)を自分で持つ』といふ事を考へた方が良いのかもしれん。

ダイレクト・ボックス=電気楽器および電子楽器をミキシング・コンソールに接続するために用いるインピーダンス変換器である。レコーディングの現場などにおいて機器の間のインピーダンスの相違を調節し、直接(=ダイレクトに)つなぐ目的で用いられる。しばしばD.I (ディー・アイ)とも呼ばれる。wikipediaより

けふは珍しく9時まで寝てゐて、朝昼兼の飯喰ったらこれまた珍しく昼寝して、晩飯喰ったらスグ眠くなって22時には寝た。寝た壱日。

16日(月)--------------------------------------------------------------------

孤独な営業「吟」@オリエンタルホテル。

外人のお客さん多し。ア"〜〜〜〜・・・。ある程度「英語のレパートリィ」を要するこの仕事、お客に外人さんがゐると、当然プレッシャーを感ずる。要するに、流暢に喋れる訳でも無い言語を、その言語のヒトの前で唄う、といふジレンマ。『所詮こちとらニッポン人よ』みたいに開き直れりゃ良いンだらうが、残念ながらワシにはそこまでの自己愛はないので・・・。

それでもまぁ考へてみりゃ、例えばインドを旅してて日本語の唄歌ってくれる歌手に出会えば嬉しいよな、とも思ひ、そこはちゃんとやろう、と。けふの外人さんはまぁまぁ聴き入ってくれたので、ひとまづ安堵。

それぁエェんだが、3rdステージから突然PAが作動せぬやうになった。なんかけふは最初からやや調子悪かったのだが、此所に来てついに・・・。それでもここの仕事は、基本「出演者任せ」なので、こっちで対処するしかない。そもそも原因を調べてるやうな時間もないし・・・。てな訳で生声で演った。なんや、充分イケるではないか。

次からこれで演らうかな?。

17日(火)--------------------------------------------------------------------

専門学校のない、最後のウィークデイ。

10月にライヴをするのが決定してゐる、蕎麦茶房「みん」へ打ち合せに行く。ザキ&シュウの相方、ザキくんの御両親がやってる蕎麦屋。ぢつにシックでオサレな空間。一見フツーの家なのだが、中に入ると驚くほど広い。ほぼ廃屋に近かった、といふ民家を友人らと改装して、かうしてお店に仕上げたのださう。あーこらぁ気持ち良ささうだな。本番が楽しみだ。

ザキくんの父上母上ご両人とも、ワシの唄を気に入って下さってゐる。心して吟ぜねばね。んでまたこのお母さんが可愛らしい方なんだな・・・(笑)。

夜はFMの収録。ワシらはいつもテーマに沿って20〜30分くらい喋る。実際に放送に使われるのは、そのうちの・・・まぁ5分くらいなのかな?。ワシらは喋れば仕事終了だが、他のメンバーは編集や構成に、その後の方が長い仕事。なんか悪いなぁ、とも思ひつつ、まぁそのぶんちゃんとしたお喋りをしやう、とは思ふ。

18日(水)--------------------------------------------------------------------

しーシュのリハ。今週末はお江戸遠征だ。

今回、初めてしーなさんが「鍵盤を担いで」旅をす。色々鑑みた末、やはりどのやうな場所でも訪ねて行って演奏出来る、といふスタイルに慣れねば、と云ふコトで。しーなさんにしてみれば、こないだの滋賀はBAba boomにて、カウンターに置いた鍵盤で立派にライヴできた、といふのも指針になったやうだ。これに慣れればホンマに「居酒屋ツアー」だって出来るぞ。

ただまぁ「楽器担いで歩く」といふ事の、想像以上の大変さも知ることになるだらう。人生すべて経験なり。

あとワシも、この東京で鍵盤を弾く、といふ暴挙に出るので、その練習も。人生なにごとも経験なり。

19日(木)--------------------------------------------------------------------

ピヤノの練習。

ちょいと前に奈良の喜多寧くん(exノレン・ニゥー・デオッシ)が、「ピアノ・ファンタジスタ」といふイベントをやったらしひ。ピアノ弾き語りの出演者を集め、自分も特別ゲストとしてピアノを弾く、といふ・・・。彼のプログがしばらくピアノの練習日記になってゐたのを思ひ出す。今のワシはあんなかんぢかな?。

かれらは本当にいつもオモロい事を企ててゐて、良いと思ふ。ちなみに今は「ガットギター・ファンタジスタ」てぇのをやってる様子(笑)。

この週末の遠征、相模原で共演するしんごとひでこの「風と共にうたえ」といふ唄が素晴らしい。もとはしんごのソロ曲で、初めて聴いた時、なんとも雄大なビジョンが目の裏に浮かび、「これは良い旅の唄を作ったな」と思った。が、改めて歌詞を読むとその内容は、心塞ぐ友を慰め勇気づけようとする言葉の連なりだけだった。それなのに、この曲の果てしない「拡がり」はどぅよ!?。

かういふ唄にはホンマにかなわぬ。セオリーや経験値だけでは、絶対に作れない曲だ。

かういふ唄を・・・できればかういふ唄「だけ」を、作り、歌い、聴きたい、といふのが、我々が「ここ」に踏ん張って音楽を演ってゐる、重要な意味なのだ。分かるかなぁ・・・?。うむ、相模原での共演が楽しみだ。

20日(金)--------------------------------------------------------------------

専門学校、新学期はじまる。また忙しくシワい金曜日が戻って来た。

けふはその後、個人教室でも1レッスン。以前は、このやうに「飛び飛び」とか「壱日にひとり」とか云ふレッスンは受け付けぬことにしてゐたのだが、昨今の生徒不足ではさうも云ふてられなくなった。週に3日10人づつの生徒を抱えてゐた時代もあったのが嘘のやうな不況。あの頃「こんな状況が続くハズはない」とか思ってゐたが、想像以上の衰退ぶりに、もはや笑うしかない。

空き時間はひたすらピヤノの練習に励む。他の曲を弾くとゴチャになってマズいので、ひたすらその壱曲のみをくり返し弾く。今の処、成功率(壱度もミスらずに最後まで弾ける確立)80%(笑)。まぁどー足掻いたって明後日は本番なのだ。

てな訳で、週末遠征お江戸編。行って参ります。


4週目

21日(土)週末遠征:お江戸編「相模原 cafe Dacota」--------------------------------------------------------------------

今回は東京と云へど2日間だけの滞在---ホンマの週末遠征---なので、新幹線の「超早割」といふヤツを使って上京。滞在期間は限られるが、これだと正規料金より壱万円安いのだ。まぁそれでも「18キッパー」からすれば高い、のだが・・・(笑)。

新幹線にかかると東京までたったの4時間。早えぇ〜!とか云ひながら、けふは神奈川県は相模原市。旅仲間てらしましんごが企画してくれたcafe Dacotaでのライヴ。まだオープンして間もないらしひが、たいへんイィかんぢのお店である。けふのしんごは、嫁さんのひでこッチとのデュオ「しんごとひでこ」で共演。

しんごが持ち込んでくれた簡易PAセットを組み立て、チェック&リハ。もぅ気心知れた仲なので、本番前にも一緒に中華喰ひに行ったり、和気あいあいと。

ライヴもしんひでの仲間を中心に、狭くはないお店がいっぱいのお客さん。我々もチカラも抜けて良いライヴが出来た。曲が進むごとにこちらに注視するお客が増えて行くのが楽しい。けふのしーなさんはかういふ旅では初めて、持ち込みの鍵盤を使った。これが本来打ち込み用のmidi鍵盤なのだが、iPadの音源を鳴らす、といふ荒技で、これで充分に対応出来ることを証明してみせた。俄然、旅の幅が拡がるのである。

ラスト全員、「しんごとひでことしーなとシュウ」のセッションも完璧。たいへん良いライヴだった。デュオ同士ながら、担当楽器がカブってない、てのが最高やね。

大いに気持ち良く初日を終え、今夜はてらしま家にお世話になる。コンビニで買い込んだ酒やつまみを持ち寄り、良いライヴの余韻に浸りながらの酒宴。豪華な居酒屋での打ち上げも良いが、旅の醍醐味はやっぱりこっちの方かなぁ〜。しんごもひでこッチもよぅ呑む(笑)。楽しく語り呑み、3時まで。

22日(日)週末遠征:お江戸編「下北沢 Blue moon」--------------------------------------------------------------------

お江戸二日目は、もはや「東京のホーム」下北沢はBlue moon。

今回ここで演る事を決めた後、しーなさんからの提案で、今までに演ってみたことのない事をやらぬか、と申し出があり、BARAKAの依知川伸一さんの「書のライヴ」とカップリングさせてもらふ事を思ひ付いた。「書のライヴ」とは、書道家として『風人(ふうじん)』の銘を持つ伸さんが定期的に行なってゐるイベントで、「お客さんから言葉をセレクトしてもらひ、それをその場(ライヴ)で色紙に書す」といふもの。

話を聞いた時から、なんとオモロい事をやってらっさるのか、と思ってゐた。そのライヴとワシらが絡む、といふ企画。当然、しーシュとしてのライヴも演り、そこにベーシストとして伸さんに絡んでもらふ。で、伸さんの「書」のバックで、ワシらが即興的に音楽を奏でる、といふ・・・。楽しみでしょうがなかったライヴだ。

やや高めのチャーヂにも関わらず、大勢の人が集まってくれ、満員のブルームーン。

まづしーシュで40分。で、しーシュ+依知川伸一で20分。これもオモロかった。ツインベース、トリプルヴォーカル、果てはワシがピヤノ弾く、といふ出し物も(笑)。さう、ここ数日マメに練習してゐたピヤノはこの為だったのだ。本番は・・・・・・まァまァ・・・かな?

ライヴも充分良かったが、その後の「書のパート」もオモロかった。普段は伸さん、CDを流しながら・・・なのださうだが、けふはホンマにワシらとの「コラボ」。伸さんが墨を摺り、お題を見て、筆を走らせ、落款を押す、までの中で即興的に音楽を提供。伸さんにも初めての経験らしく、『良いねぇコレ。すごく書きやすい!』と絶賛。ワシらかういふの大好きなんです。

全部で25名ぶんの「書」を書き上げ、ライヴはクローズ。今までに無い、画期的なライヴだったと思ふ。しーシュの部分を見たら帰ろうと思ってゐた、といふ人も「最後までゐて良かった。すごく面白かった」と。ワシらも楽しんだが、お客さんが楽しんでくれたのが、たいへん嬉しい。

ちなみにワシらも伸さんの「書」を頂く。しーなさんは「仙人掌(さぼてん)」、ワシは「肺魚」(笑)。

本当に良いライヴだった。これ、また演りたいなぁ。伸さん、ありがとうざいました。

23日(月)--------------------------------------------------------------------

ゆんべはライヴを見に来てくれた、「妹分」高満洋子チャン宅にお世話になった。

ぢつは出発前から風邪をこじらせてゐて、幸い喉にはまったく支障が出ずに済んではゐたが、けふあたりが割とピーク。熱も出てゐる様子。だがまぁ、けふは帰るだけなので。洋子チャンにカレーを頂いたりしながら昼を待ち、予定の新幹線に乗る。世間は連休のやうで、行楽帰りの家族でいっぱいの新幹線。まぁでも、新幹線でよかった。

この、新幹線の、金額がナントカなりさえすれば、それこそ東京だって4時間で来れるのだ。ツアーなんぞ苦でもない・・・が、まぁさうはイカンのが現実。貧乏ミュージシャンは身を削りながらバスや在来線で旅をする。・・・それもまたヨシ・・・、か。

夕方には広島に着。

湯豆腐を喰ひ、アツめの風呂に入り、風邪薬と消炎剤を服んで、タヲルで身体をぐるぐる巻きにして、マスクして、ニット帽を被り、21時には寝る。

24日(火)--------------------------------------------------------------------

湯豆腐を喰ひ、アツめの風呂に入り、風邪薬と消炎剤を服んで、タヲルで身体をぐるぐる巻きにして、マスクして、ニット帽を被り、21時に寝て、夜中に弐回ほどこむら返りに襲われ、朝目が覚めたら頸を寝違えてはゐたが、風邪はだいぶマシになってゐた。すごい。

専門学校で3コマ授業。のち個人レッスン。

来月アタマの生徒コンサート(発表会)に出演するハズだった生徒が、けふになって急に退会を宣言。やれやれ。・・・しかしまぁ「大事を投げ出す」って事に、なんの抵抗も後ろめたさも感じんのだねぇ、昨今の若者は・・・。ワシも大概えぇかげんな餓鬼だったが、「決まってゐた事」をドタキャンした事は、多分なかったぞ。

多分、ワシが最近生徒達に感じてゐる違和感は、これなのだらうな。

いつの時代にも、さういふ人達はゐる。

ワシは音楽で食えるやうになるまで、それこそありとあらゆる仕事をして来た。所謂「社会の底辺」を這いずってゐるやうな人等とも、何年か一緒に働いた事がある。嘘つき、盗人、酒乱、虚言癖、暴力癖・・・。朝8時に入社して、10時の休憩後には居なくなってゐる、といふやう若造もいっぱい見て来た。だがあれは「特殊な人種」だと思ってゐた。あぁいふ人種が自分の人生に交錯する時が来ようとは思はなんだ、が・・・。

どーなんだらうねぇ、あんなんでもいつか成長して大人になった時、その時の自分の無責任さを恥じたり悔やんだりする事があるんだらうか・・・。

25日(水)--------------------------------------------------------------------

ジョー・ジャクソンの2010年のライヴ盤を聴く。

クレジットが「Joe jackson Trio」となってるだけあって、バンド色が強い。1999年に同じトリオでのライヴ作品を出してゐるが、こっちは「ジョーとリズムの二人」といふかんぢが拭えない。が、今回のはジョー以外の二人の活躍が目覚ましい。最近はこんなかんぢなのか・・。良いねぇ。ベースはグラハム・メイビィ。

同じ流れでエルトン・ジョンの1971年のライヴも聴く。これもトリオ。長らく聴いてなかったんだが、久々に聴くとイイぢゃないか。こっちもベースがすごい活躍。この粘りのある低音はフレットレスだらうか?。ディー・マレィ。コーラスも上手い!。残念ながら、故人。

思ふにワシは、「エレキギター」に憧れてゐたクセに、「ギターの居ない編成」てのが好きなんだな・・・。音楽におけるエレキギターの重要性を重々承知した上で、それを取り払いたい、と思ってゐるらしひ。

26日(木)--------------------------------------------------------------------

こないだのお江戸遠征、相模原はcafe Dacotaでの演奏が、早くもYouTubeにアップされてゐるよ。

1曲ごと、ほぼライヴ全部を録画されてゐるやうだが、やはりここではこの唄を紹介したい。しんごとひでことしーなとシュウによる、風と共にうたえ。ステージが狭いので、なんとか4人が工夫して収まった、てかんぢだが、リードヴォーカルをとるてらしましんごの顔が映ってない、といふ・・・(笑)。

かうして改めて見ても、良いセッションだった。ワシは好きな曲を好きなやうに弾かせてもらったが、しんごは気に入ってくれるだらうか?。

けふは休みだった(仕事がなかった)ので、日中は色々譜面仕事した。夜はしーシュのリハ。今まで演ってるレパートリィの、アレンジの奥、フィーリングの部分まで突っ込んで話し、音を探る。いままであんまりやった事のないリハだった。

27日(金)--------------------------------------------------------------------

専門学校。

生徒達に(音楽的な)ナニカを質問しても、『深く考へた事がない』といふ返事が帰って来る。考えろや、と思ふ。ここの生徒達はホンマに、音楽を深く掘り下げて知ろうとする意欲が感じられない。好きな道なら知ろうとせよ、と思ふ。

昔、ワシはブルース・リーの名言「Don't think, Feeeeeel !(考えるな。感じろ)」といふのを標榜してゐた。だが、最近、さうではないな、と思ふやうになった。感ずるがままに、といふのは確かに素晴らしい事だ。だが、「感ずる」とは何だらう?。それはやはり、集中して取り込んだものが、その先にあるものを捕らえる事、だと思ふ。「思ひ」のない所に「感じ」はない。

ので、最近のワシは『At first think, And feel (まずは考えろ。そして感じろ)』にします。


28日(土)--------------------------------------------------------------------

朝、FMラヂヲの「ゴンチチ世界の快適音楽セレクション」にて「とんかつの唄」といふのがかかった。

♪とぉんかつのォ〜 油の〜にじむ接吻をしようよぉ〜♪、といふ唄。始めは「なんぢゃこら?」と思ったが、聴き込むとなんともまぁ誠実で切実なラヴソング。良いなぁ、かういふ唄を作りたいんだねぇワシは。調べてみると、作詞:左藤一郎 作曲:松井八郎。このオンエアで流れたのは別ヴァージョンだったが、原曲の唄はなんと森繁久弥。へぇ〜!。しーシュでカヴァーしやうかな・・・。

ちなみにとんかつ、洋食の代表のやうに扱われてゐるが、ぢつは日本産の料理で、れっきとした和食に分類されてゐる。海外でも「Tonkatsu」として知られ、「カツレツ」とは区別されてゐるやうだ。まぁ「トンカツ」の原案に「カツレツ」があった事は間違いないだらうが、考へてみれば「カレー」「ハンバーグ」「ラーメン」など、他所の喰ひもの文化を自国流にアレンジし、オリジナルを越えたメニューとして定着させた例は数多い。

それを「模倣文化」と呼んで卑下するか、「柔軟性」と思って誇るか。ワシは後者ですね。

29日(日)--------------------------------------------------------------------

F楽器店・秋の大発表会、のリハ。

ここの講師陣に名を列ねて20年が過ぎた。はひゃぁ!20年!。その間、生徒は増えては減り増えては減り・・・。発表会も何度やっただらうかねぇ。この場でしか会わない、他の科の生徒達(勿論女子)に不自然に人気が高まる年もあった。今年は女子高生に「カワイイ」と云はれた。48歳で!。

今年から講師陣にパイグも名を連ねるやうになり、20年めにして初めて「仕事の分担」が可能となった(笑)。そのぶんヒマな時間も増えた。

オブラディ・オブラダ、人生は流るる。

30日(月)--------------------------------------------------------------------

熊本に帰省中の朋友くどうげんた(Per)が、帰りの足で広島に寄るのでナニカ出来ぬか?といふ事で、企画しました「Genta & Shu」ライヴ。

色々迷った末、全編ギターで演ろう、といちをう決心したが、「アレでも」とベースも持って行く。『会場がちーさいのでくれぐれもセットは小編成で』とお願いしてゐたが、会場のフライングキッズに着いてみると、玄関脇に積み上げられたパーカスの山が・・(苦笑)。

ゲンタさんはパーカッショニスト、とは云へ、ドラムセット並みの機材を積み上げ、音楽的にもドラムスの位置に近い所を担当する人。毎度壱時間近くかそれ以上かけてセッティングするセットは、まぁ確かに相応の効果は期待出来る。が、一部メディアで『よく小物を落とすパーカッショニスト』として書かれてゐるほど、よくモノを落とす人でもある(笑)。それも静かな曲で!(笑)。けふはどうでせうか?。

ライヴはワシのオリジナルを中心に。デュオは久しぶりだがゲンタさん、大半のレパートリィは憶えてくれてゐて、ハモもこなす柔軟性はバッチリ。さすがに10年来のコンビ。ワシもこの演り方だと、唄に専念する力が傾くので、声のポテンシャルを最大限に引き出せる。けふは我ながら驚くほどの「声の出」だった。

最近、ステージ上でもゲンタさんに容赦ないツッコミを入れるやうになり、ゲンタさんには気の毒だが、それが結構ウケてゐるので、まぁ堪忍して下さい。

良いライヴだった。この編成でまた東京でも演りたいな。このふたりに若いベーシストを入れた編成で、7〜8年前の東京では結構な数のライヴを演った。ワシがなんとか東京で足掛かりを掴もうと、躍起になってゐた頃だ。今のワシは、あんなにリキむ事なく、音楽に向き合えてゐる。このリキみのなさで、東京で歌ってみたい、といふ気がしてゐる。

明日は呉市などを回りながら、ひとりのんびり東京を目指して帰る、といふゲンタさん。お疲れさまでした。気ぃつけて、ボン・ボヤージュ。

10月