9月


1週目

1日(土)----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

世界陸上の競歩競技において、運営側のミス(誤誘導)で選手が失格になって行く様を放送してしまふ、と云ふのを見た。なんか、死にかけてゐる人が目の前にゐるのに救えない、みたいな特上の不快感を味あわされたかんぢ。汚駄夕痔のクソのやうな実況も含めて、なぁにをやっとんぢゃ?ホンマに・・・。

大阪に住まう友人達に云はせると、この世界陸上『ロクなもんぢゃない』とか。地元に住むものならではの「迷惑」も多々あるのだらう。まぁ確かに、約20年前、広島で行われたアジア大会も、当時散々な酷評を浴びてゐたものよ、と思ひ出す。ワシに至ってはステージ上で「広島がちゃんとした仕事をする最後のチャンスだったのに、それを無駄に終わらせた」とまで云ってたな。競技そのものは、色んな種目を、たいへん楽しく観戦したけどね。

久しぶりのしーなとシュウのリハ。今月末の、ファーストアルバム「さぼん玉ホリディ」先行発売ライヴに向けて。対バンがふたつメヂャー系が出るらしいので、我らはマニアックに行くことにす。けふは、なんかワシが異様にハイに演りまくり、しーなさんを置いてけぼりにしてゐる、といふリハだったな。

2日(日)----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

世界陸上、マラソン競技にてようやくメダル獲得。おめでとう。ボーズに終わらんで良かったね。

日本女子400×4リレーの第一走者だった青木沙弥佳さんが、とても好み。昨今、アスリートの美人、なんてな珍しいものではなくなったやうだ。女子選手がみんなキレイである(特に跳躍系競技がレベル高し)。ロシア美女軍団、なんてのもゐる。そんな美女達が世界の頂点を争う訳だ。天は二仏を与えまくり。時代は変わったねぇ。そんな中で銅メダルを獲得したマラソンの土佐選手は、昨今あまり無いタイプのブ

夜、みっちゃんナイトの遅い打ち上げ、を流川通りの中華料理店でやる。青島ビールと紹興酒。ワシは中華なら皮蛋と麻婆豆腐、があればOK。のに、餃子や饅頭、海老チリなぞも食べ、こ・れ・が・中華はハラに入ると膨れるのだ。げーふ。打ち上げ、と云ふよりは食事会、であったな。喰ひ過ぎの腹を抱えて、終電で帰る。

3日(月)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

日曜日の新聞には書評のコーナーがある。それを読むので、月曜日は本屋に行く確率が高くなる。けふはいつも行くフタバ図書ではなく、久しぶりにジュンク堂へ。ここは専門書が多い。中島美代子「らも」、沖浦和光「旅芸人のいた風景」購入。商品券で買ったのだが、紀伊国屋では出るおつりが、ここでは出ん、といふ。あれー?そぉなの?。店によって違うのかよ。

4日(火)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

2〜3年前、ワシの左顎下奥の親知らずを、強引に、しかも40分もかけて無茶苦茶に抜きやがり、その激痛と腫れで、2週間に渡って流動食を余儀なくされ、なをかつそれ以後噛み合わせは悪いわ、ホーミィが出しにくくなるわ、あれは多分医学的には抜いてはイカン歯だったに違いない、くそヤブ歯科医め!。と思ってゐた歯医者に、けふ、解体業者が入ってゐるのが見ゆ。ツブれたのかね?。本懐の至り!。最新設備で新装開業、だったりして・・・・。

修理を依頼したLine-6:DL4の見積もり出る。嗚呼!といふ値段。しかしまぁ新品買うとなるとこの4倍だし、仕方ない。ぬぅ、今月は厳しいぞぅ。先月休みだった専門学校の講師料が入らぬ上に1週間のツアー。しかもライヴの本数が多い割に、高いギャラの仕事がほとんどない!。久々にチケットノルマなぞといふモノまで課せられ、ヤヴァい!。「秋味」が飲めんではないか。

5日(水)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

もと生徒、やがてファン、その後飲み友達、と云ふ関係のピアノ調律師の女性が、久しぶりに教室を訪ねて来てくれた。近況やら色々噺をした。最近、「将来、どう生きるか」を考えはじめてゐる、といふ。ワシもよく考える。『この歳になったら、もう自分がほんたうに好きな事だけ演って生きる』と云へる老後であればよいとは思ふが、さうなる為には、割と「今」が大事だ。年金も健康保険も信用できなくなった現在、ほんたうに好きな事だけ演って生きる将来、の為に、何をすれば良いのだらうか?。

とりあへずワシは、10年ぐらいかけて、身の回りの不要なモノを、少しずつ減らして行かうと考えてゐる。最終的に、女房と二人でトレーラーハウスで生活できるくらいのシムプルさが良い。みたいな事を話した。

6日(木)------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

今、朝のヲーキング中に、ストレッチのやうなヨガのやうな太極拳のやうな舞踏のやうな、そんな事をしてゐる。身体中の神経の流れを意識して、指先から足先までまんべんなく「指令」を行き渡らせるやうな動き。端から見ればかなり怪しいヒトだらうな。ワシはこれを、よりスムースで脱力した演奏の為の自己流のヨガ、と考えてゐたが、これを真面目に研究し、実践してゐる「アレキサンダー・テクニーク」といふ運動があるらしひ。調べてみたら広島でのワークショップはつい先月終わったばかりのやうだ。

最近このやうに、身体と音、といふモノに興味がある。皆、音は心で出すもの、と考え過ぎてゐるやうに思ふので。ワシは意外にも「まづ身体ありき」と考えるタイプ。ひとつの音を16ビートで延々弾く、なんて練習を自分にも生徒にも課すのは、そのせいだ。「肉体」が「意思」を凌駕して音を紡ぐ事ができれば、例えば演奏中もっと「解放」されるのではないか?。さうすれば歌詞も演出も必要無い、真の音、が生み出せるのぢゃないか?。

そしてまづ、そのやうなものを、「他者に教えてもらふ」といふ謙虚さが、今からのワシに必要なのでは?と。

7日(金)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

けふはSoe's分隊、シュウとパイグ、のライヴをやった。妄想癖のあった少年時代に、全てのパートが二人づつ、といふロックバンドを空想してゐた。そして今やワシにとってベースが二人、と云ふのは、もはやそれほど珍しい編成でもない。けふはベース二人だけ、のライヴだ。

パイグが店置きのベースアンプを使ひ、ワシはギターアンプを鳴らす。Line6のシミュレーションアンプで、ややこしい事この上ない。トレブルとミドルを完全にカットし、すこ〜しだけ歪ませて使ってみる。えへくたーはソロん時と同じもの。パイグもいつもの6弦にDL4壱台のみ、といふシムプルなセット。

演目:パイグソロ2曲/Stay/あやかし/くだぎつね/ワシソロ3曲/アリサ〜パイグ曲/微熱/水の駅/Qaz ma tas。

Soe'sのレパートリィ2ベースヴァージョン、とか、お互いのオリジナルとか、を交えて2ステージ。パイグの唄などもあり、楽しく演って、楽しんでもらへたやうだ。ワシは例によって本番中、打ち合はせにも無く突然停まったり、いきなり口タブラを始めたりしたが、パイグ、ちゃんと食らい付いてきよる。こないだも書いたが、ワシが23歳のとき、こんな事が出来ただらうか、と思ふ。先が楽しみな男である。

パイグは専門学校の卒業生なので、会場は時ならぬ同窓会のやうだった。その卒業生達数人と打ち上げ。バイクで行ってたので酒飲めず、烏龍茶をづっと呑んでゐた。まぁ、これでも全然構わないが。


2週目

8日(土)----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

昨日はパイグとのライヴを、まぁ成功させ、けふはリハ以外は予定ないのでのんびり、と思ってゐたら、昼前に首をいわしてしまった。ヘルニアの再発。特にキツい動きをしたりする訳でも無いのに、タマにかうやって発作のやうに痛くなりやがるから始末におえん。痛たたたた。

夜はしーなとシュウのリハ。今週末からワシはツアーに出る。んで、帰って来るのがしーシュのライヴの当日。な訳でけふはライヴ前最後のリハとなる。しかし新曲「眠るとかげ」は、久しぶりに作ったプログレッシヴ・ポップス。難易度特Aレベルで、ノーミス通しが達成出来なんだ。大丈夫かいな。他の新曲も完成度と云ふ点では、どれも全くイケてない。ど〜なるんでせうか?。

9日(日)----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

恒例となった千田町わっしょい祭り、に出演。

9月になってもまだまだ暑い日射しの中、まづはパーカッション軍団。けふは緊急収集をかけられた若手で構成されたチームだった。そこに混じってジェムベを叩き狂う。ソロが回ってくるとどーしても「はぁりゃあぁぁ!!っ!」と叩いてしまふ。ベーシスト、といふ立場を考えたら、ホンマはこれ、やんない方が良いんだらうが、好きなので仕方ないや。腫れた手を水道の水で冷やしてベース弾く。

その後はFar east lounge で2ステージ。けふは、むか〜〜〜〜しのバンド仲間だったミユキさんが、ゲストコーラスとして参加。80年代後半、ワシらがやってたSouth side avenue band(しかし何故この小林一彦といふ男は長い名前をバンドに付けたがるのか?)といふロックバンド。基本は3コードのR&Bスタイルだったが、それぞれがソロを取れるレベルの3声コーラスが、他のこのテのバンドと一線を画してゐたのだよ。久しぶりにその再現。16年ぶりでも息はピッタシ。楽しいね。あの頃はまだ全員20代だったんだねぇ。しみぢみ・・・。

イベント終了後、パーカス軍団の若者と一緒に焼肉を喰ひに行く。もりもり喰って、眠くなって、夕刻に帰宅。何度出ても、ナイスなイベントである。

ア、会場には、ねこ虫のゴトウイズミさんがゐて、わざわざ挨拶に来てくだすった。かうして外で出会ったりすると、ステージ上でのエキセントリックなかんぢと違って、たいへん可愛らしく美しい女性である。

10日(月)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

さていよいよツアーが近付いて来たのだが、まだ何の準備もしとらん自分に気付いて、焦る。まづは神戸で共演するイグジット・ナインの曲を譜面と照らし合わせる。改めて驚く超絶技巧、変拍子の嵐!。これをホンマに当日リハだけで演るんですよねぇ・・・・。へ〜〜〜(泣)。

明日のソロに備へてソロの練習に入ったが、こないだから耳の調子が悪く、なんか異常にヘタになってる気がす(唄が)。どうにも気が乗らず、ちゃぶ台でもひっくり返したい気分になったので、途中でやめて帰った。

気分が塞ぐ時は料理に限る。豆腐ハンバァグを作り、ドミグラス・ソースを作り、キノコ、オクラと和えて、こってりしてゐるが、ヘルティな晩飯、を作った。

11日(火)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

けふは、東京からやってくるリハゴデニール、といふバンドの前座を務める。ワシは、なんと広島では2年ぶりくらいに、「ライヴハウス」でのライヴ。ここんところカフェやバァといった「空間」でづっと演ってきたので戸惑いまくり。チケットを売る、なんてなこともホンマに久しぶりにやりましたよ。場所は、お懐かしや、のばっどらんず。

リハゴデニールは、ホーンを含む8人編成の大所帯。典型的な「魅せる」バンドだ。ショウアップされたステージに、ギャグもふんだんに盛り込み、米米倶楽部を見てゐるやうだった。

対バンはワシ、とGressive、仏陀。広島の個性派が3ツ。ワシのソロは、調子は悪くはなかったのだが、さすがにこの4バンド中でのソロは、ちっと浮いてたかな?といふ気がせんでも無い。演目は即興〜トゥアタラ/あやかし〜即興/即興〜キャメル/夜の駱駝/丘にのぼる時。即興が多かった上に、MCほとんどナシ。怖かった?(笑)。

ただまぁ、そのことについて一言も触れずに、しかも物販コーナーの隅っこに、忘れ物、のやうに無造作に置いてゐたCDが2枚売れたのだから、まぁ良かったのかね?。←こんな事だからイカンのだらうね、ワシって。

それにしても、やっぱちょっと耳がおかしい。こんなに唄のピッチが取りにくいのは、生まれて初めての経験だ。これはもしかして、音楽家生命に関わる重大な事なのかもしれんな。

12日(水)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

朝、新聞に、敬愛する偉大なる音楽家、ジョー・ザヴィヌル翁の訃報が載ってゐた。嗚呼。次の来日の機会こそ、シンジケートの生の演奏を見たい、と思ってゐたが、これで永遠に叶わぬ夢となってしまった。75歳まで最前線で現役を続けた、この偉大な爺に、心から御冥福をお祈りする。

ピッチの悪さを確認する為、スタヂオに入る。ピアノや、ベースで色々と音を出し、色々と唄ってみる。自分で調べてみた結果では、唄いはじめの2〜3曲は、それほどとも思わぬのだが、それ以降、曲数が進むと急激にピッチが取り辛くなる。これはここ数回のライヴで、後半に進むにつれて唄い辛くなる、といふのに符号する症状。特に♯系のキィ、長三度の音が取り辛い。例えばキィEにおけるG♯が、これほどヘタかワシは?と思ふ程ひどい。

耳の問題なのか、それとも、声の問題なのか、がまだ分からん。難聴専門の医者を紹介してもらったが、果たしてこれは難聴なのか?。

13日(木)------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

修理が完了したLine6:DL4を引き取りに行く。『えらいスウィッチが弱いスね』と云ふと、『使い方でしょうねぇ』と返された。あこりゃ壱本取られましたな!。

DL4も使って、昨日に引き続き耳の調子を探る。フレットレスのピッチにも関係してゐるやうにも思ふ。ワシは、ベースの解放弦をジャストにチューニングし、その解放弦の音を中心にピッチを探る。例えば、実音F、はAのハーモニクス音とでFの長三度和音を作り、この響きでFの位置を確認する訳だが、この方法だと、平均率で得られるF音より、やや高めのピッチを取らぬと綺麗な和音にならない。これと似た例は、フレットレス楽器には必ずある。

ワシの耳がこれに慣れてしまったせいで、唄のピッチと合わなくなってしまったのか?。だとすればこれは「難聴」といふよりは「聴感障害」といふ事になる。いや、もしかして、単に『唄が下手な自分』に、今さら気付いただけなのかもしれん。ヌ〜〜〜、謎は続く。

ツアーなどで、しばらく一緒に飯を喰ふ事も出来んくなるので、女房と晩飯を喰ひに行く。『吾郎丸』といふ鉄板焼の店。カウンターに陣取って、目の前で料理が作られて行くのをぢッと見る。いつも思ふのだが、優れた料理人の動きは、優れた楽器奏者の動き------特に打楽器奏者------に似てゐる。システマティックで、無駄がない。素晴らしい。

14日(金)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

昨日は、ツアーバスが溝にはまり込んで進退極まった夢、けふは、やはりツアーバスが外国人の集団に相乗りされて目的地を変更してしまふ、といふ夢、を見た。二日続けて「旅の夢」を見てゐる。『夢判断』によれば、旅の夢は決して良いものではなく、むしろ自己逃避の暗示として語られるらしひ。ふぅむ・・・。

けふは琴奏者の榊記彌栄さんとライヴ。明日からツアーなのだが、けふをツアーの初日、初日と最終日を広島で演る、と捉へることにす。会場は、サンサーラが活動休止になって以来、の楽座。ア、ベーアンが新しくなってる。これは良い。

本番前、いつもさうするやうに、会場の近くの路上をブラブラ歩いてゐたら、ジェイミー(英国人)に出会った。おぉ久しぶり、と話して、今からライヴ、と云ふ旨を伝えると、見に来てくれた。ありがとう。他にも、ワシが直接声をかけた人はほとんど見に来てくれてゐた。さうだな、ワシはやっぱりチケ売るより、こっちの方が良い。契約よりも約束、だ。

さて、榊さんとは、こないだ一応リハをやったのだが、予想通り、内容はほとんど憶えてない。まぁもともと即興で演るつもりだったし、榊さんも「シュウさんの好きに演って」と云ふので、さうする。基本的には、榊さんが既成曲の断片をコラーヂュのやうに演奏する、その上(あるいは下で)でワシがイムプロヴァイズする、といふスタイル。これが思いのほか功を奏して、良い演奏が続く。

それにしても、琴のやうに『箱に弦が張ってあって、それを指で弾くだけ』みたいなシムプルな楽器の持つポテンシャルと比ぶれば、電気ベースの表現力の乏しさにはため息が出る。でもまぁこれがワシの楽器なのだから、そげな事云うても仕方ないのだ。しっかり唄わせてやんなきゃ、ね。

どーなるかいな?と思ってゐたが、お客さんにも予想以上に好評で、ひとまづほっとする。沢山の人が、わざわざ『素晴らしかったです』と云ひに来てくれた。ありがとう。声のピッチの問題は、まだ全然解決できてないけど(けふも唄い辛かった)、とりあへずこのままブっちぎるしかない。やりますか。

さぁ、明日から本格的にツアーがスタート。まづは神戸だ。


ツアー日記


4週目(帰って来てからの日々)

25日(火)-----------------------------------------------------------------------------

いつもはツアー明けは壱日休みをとって、ゆっくり疲れを癒すのだが、このたびはそんなに甘くない。けふからもう専門学校が始まるのだ。それどころか旅の間に貯まってゐた雑務が鬼のやうにあって、遅寝すら出来ぬ。ひとまづ早起きして、専門学校の成績表を出す。で、学校行って授業ふたコマ。一旦帰ってこの日曜日のリハの為の曲コピー。これがなんとまだあと5曲もあるんですねぇ〜〜〜。昨日から明らかに風邪の初期症状が出てるし、はははーっ、大丈夫か?ワシ!。

夕方のレッスンに行ったら新入会希望ひとり。しかし、今の生徒がひとり辞める、と云ひやがり、差引ゼロかよ。んで、10月の仕事に、ダヴル・ブッキングをしてゐた事が判明。慌てて先方に電話して、お詫び。やれやれ。この調子が恐らく10月後半まで続く。

26日(水)-----------------------------------------------------------------------------

コピーに取りかかる。せねばならぬ曲はあと4曲。昨日『けふから壱日1曲づつやって、土曜日に2曲やればオッケー』と思って、まぁさうしてみる。物事はシステマティックに片付けて行くが良い。咳&鼻水がひどい。頭がボーとして集中力が続かぬ。このボーを楽しむのだ。変態としては・・・。

このツアーで、ワシのベース表現者としての技量がまだまだ修行不足、といふのを再認識した。考えてみれば、てか考えるまでもなく、ワシがベースで演ってる、あるいは演らうとしてゐる色々、てのは、本来ベースを弾く上では『要らん』技術なのだ。だからフツーにベースの練習だけ、してたんでは(あまりせぬが)駄目なのである。

急げ、中年。残り時間はあまり無いぞ。

27日(木)-----------------------------------------------------------------------------

Soe'sリハ。マサミはヨーロッパツアーから帰って来たところ。かの地の空気が恐ろしく乾燥してゐて、サックスを吹くのに苦労した、とか云ふ話し。ヨーロッパ、と云へば湿ってるイメェヂがあるけど、なるほどねぇ。

さういや東京でヴァイオリンの壷井君から聞いた噺。壷井君は昨年、自身のバンドでメキシコをツアーしたさうな。んで、現地の空港で荷物が出て来るのを待ってゐたら、なんとベースのハードケースが「割れて」出て来た、と云ふ。海外の空港職員の荷物の扱いには、まぁ諸説伝説色々あるが、フツーあれが「割れる」か?。

仕事の為、久々に街に出る。こないだの日誌に「最近の女子高生は制服の着こなしがだらしない」みたいな事を書いた。ホンマにひどい。なんだあれは?。今そこで体育の授業を(制服で)して来ました、みたいなボロボロ。それ流行ってンのか?。東京ではそんな事は無く、まぁ、あの、90年代に流行ったステレヲタイプの女子高生ルックが、まだ多くゐて、ワシは

28日(金)-----------------------------------------------------------------------------

なんか慌ただしいのにも慣れて来た。さうしてみると、ワシはツアー中の方がのんびりしてられる、のだな。まぁライヴかリハか、やればイイだけだから当然か。風邪の症状は沈静化。今回、薬(ケミカル)は一切使わずにここまで回復させた、ぞ。計画通りけふまでにコピーが順調に進み、明日、ややこしいのを1曲やればフィニッシュ。で、日曜にリハして、本番まで1週間かけて憶える。システマティックだ。

女性で、ベーシストで、ヴォイシスト、といふEsperanza Spaldingて人がゐる、と聞き、調べてみたら、なんとウッドベース弾き!。どちらかと云ふとラテン寄りの音楽で、見事なベースとスキャットを演ってる。しかも仲々の美人である。ヌ〜〜。

しかし、上原ひろみ、とかはホンマに大したミュージシャンだと思ふけど、中には女性ジャズメン(語弊あり)、てだけで脚光浴びてるやうな人もゐて、その実力たるや「??」みたいなのも多い。もしこれが男だったら、誰もこんなに取り上げちゃくれんぞ、みたいな。そりゃ確かにそこそこ可愛い娘が、そこそこ上手にジャズ演りゃ格好はつくだらうが、よ。さういふのって、なんか逆に、女性音楽家をちゃんと評価してない気がするんだけどね。

29日(土)-----------------------------------------------------------------------------

日中は最後の追い込み。予定通りせねばならぬコピーは仕上げた。どんなもんだぇ。

夜は、孤高のリアルロッカーブギたいぞう、といふ人の対バンをFar east〜で務める。カシラは何度も対バンで演ってるらしいのだが、ワシは会うのも初めて。「孤高のリアルロッカー」といふイメェヂから、ものすごワイルドでヤバげな人を想像してゐたのだが、会場のPICOにやって来た姿は、飄々とした好青年。しかし唄うのは一癖ある棘を持った、なるほどリアル・ロック、だ。

ワシらFar east〜は椎名さん入り。ワシとしてはこの鉄壁のコンビネーションに、どうやって鍵盤を入れて遜色ないやうにするか、で考えるところ。ピアノよりオルガンかなんかの持続音にした方がえぇん違うか?とも思ふが、まぁそれはカシラかしーなさんの考えるべき事かな。いつもライヴの時は、律儀にワシのソロコーナーをくれるカシラだが、けふは「しーなとシュウ」のコーナーも用意してくれた。ソロで「夜の駱駝」、しーシュで「眠るとかげ」を演奏。カシラ本人は新曲でコケて落ち込んでゐたが・・・。

終演後、コアなファンであるUさんと、『唄は誰のものか?』といふテーマで語り合う。ワシは、唄は演奏された瞬間に、演者の手を離れて行くべきものだと、強く信じる。作り手演り手のエゴ(イメェヂ)を聴き手に押し付けるものであってはならない。解説してはいけない。特別に思い入れを持つ必要すら、ない。また、聴き手も演者に「正解」を求めてはいけない。唄は、単に唄として、存在するべきだ。

またUさん曰く、いつもライヴで聴いてるかんぢをCDにも求めてしまふし、ライヴでもいつも同じやうな演奏をしてほしいと思ふ、とのこと。これに関しては音楽家の数だけ意見があって、解答はないね。だが、少なくともワシは、そんな演奏をするつもりはサラサラない。ワシらは発表会をやってる訳ではないのだ。「ライヴ=活きもの」なのだから、同じ演奏などあり得ない。更に云えば同じ演奏など、してはいけないのだ。とまぁ、こんな事を熱く語ってゐると、色々な人が参戦して来る訳だ。おおむね、ワシの周りの音楽家は、みなワシと同じやうな考え方をしてゐるやうである。

ただ、カシラに云はせると、最近のワシのとんがり具合は『理解される事を拒否してゐるやう』だとか。ん〜〜〜、そんな事ないんだけどねぇ。

30日(日)-----------------------------------------------------------------------------

8:00に起きてF楽器店の生徒のコンサートのリハに行く。眠い。1日スタヂヲに缶詰めとなって、生徒の演奏を聴き、時には賛助出演して、夕方まで。ウ〜疲れた。

この恒例の大発表会、ワシらはまぁボランティア業務だ。附随する仕事(譜面書いたり、コピーしたり)も、長時間に渡るカン詰めも、一銭にもならぬ。だからせめて、日頃見れぬ他所の科の可愛い娘を見れるのが、唯一の楽しみ。まぁだからと云って別にどうこうなる訳ぢゃないんだが、そこは、それ、アレよ。


翌月