2月


1週目

1日(金)-----------------------------------------------------------------------------

どーしたのか夜中にハラが痛くなって目が覚め、便所に篭る。起き抜けも変なかんぢだったので、ヲーキングはパスす。昨日さういや生徒が教室でゲホゲホやってたな。休みだし寒いし、けふは壱日家でゆっくりベースの練習でも、と思ってゐたが、公共料金の払いがあったのを思い出し、慌てて銀行へ。「キレる老人」が窓口で行員相手に激高してゐる。待ち時間が長い、てな事を怒ってゐるやうだ。阿呆が。

こないだのワタル君とのライヴ以降、「空間」と云ふモノをとても意識するやうになった。やってみると、これはホンマに難しい。

2日(土)--------------------------------------------------------------------

ヴァレンタイン・ライヴの本番。雨の中、会場のPICOへ。忘れぬやうに、と思ってゐながら、傘を電車の中に忘れて来てしまふ、と云ふ・・・・。

流石にパーカッション×3、ピアノ、ギター、唄が二人、となると、ステージ上にワシの居るスペースはないね。ひとり隅っこで客席に張り出す形でベースが陣取る。けふは前々から考えてゐた「地下足袋」を履いてステージに上がる。ワシはえへくとを踏む関係などから、ステージ上では裸足がベストなのだが、以前、床の状態がひどいハコで裸足で立ち、えらい目に合った憶えがある。んで、なんかえぇ手はないものか、と思案してゐた所、最近春駒のカシラが空手の稽古に使ってゐる、といふのを聞いて、昔の仕事場(肉体労働現場)でも世話になってゐた地下足袋を思い出した。

さうだ!あれなら素足の感覚を残しつつ足の保護もできるスグレモノ!。で、けふ試してみたら、これがばっちり。今後ワシのステージ衣装はエスニック服+地下足袋、で決まり。

さて、ライヴだが主役のトアちゃんリエちゃん、共にライヴの経験は初めてに近い。このくせ者メンバーをどうまとめ上げて行くか、がポイントだったと思ふが、良く頑張ってゐたと思ふ。曲のせいもあるけど(アラブ系)、正直云へば、あと一歩盛り上がる所が欲しかった、といふかんぢかね。アンコールの速いサンバが一番ウケが良かった、といふ・・・。ワシとしてはこの形、パーマネントに、とまでは云わぬが、定期的に演って行きたいかんぢ。

一部お客さんの間で、ワシの地下足袋が話題になってゐたさうな。終演後は焼そばを喰ひながら、出演者同士で穏やかに飲む。

3日(日)--------------------------------------------------------------------

昨日出来なんだぶんの、週例しーシュのリハ。最近づっと新曲を持ち寄って演る、といふリハだったが、ツアーも近付いて来たし、けふはレパートリィのお浚い。オルカ団で初めてツアーをした時は、楽しい、といふ気分以外のモノはなかった。今回しーシュのツアーも勿論楽しみだが、それ以上に不安も多いのは、リーダーとしての自覚が芽生えたせいだらうか?。

その後、専門学校の作品展(文化祭のやうなもの)を見にアステールプラザまで行く。2年生はこれで最後の学校行事となり、出演者の中にはステージの上でオイオイ泣いてゐる奴もゐて、笑えるが微笑ましい。ワシも大学を去る時は大層寂しかったものだ。今となっては『あれもひとときの・・・』と思ふが、あれはあれであの時代にしか味わえぬ喪失感であり、あれを経験できるこのコらは、やはり幸せな青春を生きてゐるに違いない。

帰り道に、今度出演するOTISがあるので、ちょっと寄ってチャイを飲みながら、軽い打ち合はせなどした。このお店も20年来世話になってゐるが、自分の音楽を演って出演するのは、これが初めてになる。

4日(月)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校。昨日のアレで生徒は来んだらう、と思ってゐたらホンマに来んかった。

久しぶりに買ったCD、武満 徹の映画音楽作品集「夢の引用」を聴く。アクースティック・ギター×2とアクースティック・ベースのアンサンブル。ブランドン・ロスが参加して、いつものヴェルベット・ヴォイスで1曲唄ってゐる。『バラライカは三角だぜぇ〜』て唄うのの意味が良く分からんのだが・・・。

5日(火)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校。最後の授業だし、補講授業だし、生徒は来んだらう、と思ってゐたらホンマに来んかった。シマらんやつよ。

うどんを喰って味がせんので驚いた所、熱が出てゐた。先週の末ぐらいから、なんとなく体調が下り坂だったのが一気に悪化したやうだ。ん〜この冬は割と持ちこたえてゐたんだがなぁ。夜は咳も出始め、ほとんど寝つけない。

6日(水)-----------------------------------------------------------------------------

しーシュのリハをキャンセルしてもらひ、レッスンに行く時間までひたすら寝込む。喋ると咳が出るので、レッスンにもならん。やれやれ。それでも晩飯の頃には味覚が戻りつつあった。ようし、と、雑穀米とカラアゲを喰ひ、大量のみかんを喰ひ、ヨーグルトを喰ひ、腰湯をして、ビワ酒を飲んで、寝る。

7日(木)-----------------------------------------------------------------------------

こないだ一緒にライヴをやったトアちゃんの、次の営業の譜面と音源が届いた。トリオ+唄での「軽いボッサ」とか聞いてゐたが、なんかやたら凝ったアレンヂ。これ3ピースで出来るンかね?と思ってたら、Guの岩本さんから『あれ、3ピースで出来るンか?』と電話。

東京で「ソボブキ」といふユニットをやってゐる西尾賢さんから連絡。広島でライヴを演りたい旨。この西尾さん、ポップ感覚と虚無感がブレンドされた、なんとも奇妙で面白い「ジャズのやうな音楽」、を演っておられる。もともとは女房のネット友達だったのだが、一度、ワシの東京でのライヴを見に来て頂いた。いつか共演を・・・と思ってゐた。是非、広島で演りませう。

一緒に演りたい人、演って欲しい人、割とつながって行く。みんな繋がれば良い。

8日(金)-----------------------------------------------------------------------------

朝のスーパー、といふのに初めて行く。まだ惣菜が揃ってない。コロッケ、とか買ってのんびり歩いて帰る。専門学校は既に休みに入った。時間がごっぽり空く。ワシにとって、アクターズスクールのない初めての春、なのである。さぁ、この空き時間が貧困への奈落となるか、それとも飛翔への助走になるかっ!?。他人、しかも知人の飛翔を喜ばん人って多いよね。

昼、トアちゃんの営業リハ。凝ったアレンヂを3人で演れるやうに、を考えながら演ってゐると、結局予定の半分ぐらいしかリハ出来なんだ。本番、大丈夫かな?。

夜、鼓の特集をTVでやってる。ワシも曖昧に憶えてゐたが、『カァン!』と云ふ高く響くのが「大鼓」で、『ポン!』と云ふのが「小鼓」。三味線、琴、と並んで「日本の音」の代名詞のやうなものだ。そのサウンドの素晴らしさは、日本人としてたいへん良く理解できる。が、あぁいふのをロックやポップスのサウンドに入れて「融合」と云ってる人がタマにゐたりするのは、ちょいと違うんぢゃないか?とも思ふ。

むしろ、あの『カァン!』の近くに、例えば如何にディストーションのギターの音を入れるか、長唄三味線に合うベースのフレーズは何か、を考える方が、発想としてははるかに素晴らしいと思ふのだ。歩み寄りの柔軟さでは洋楽器の方が優れてゐるのだから。

ワシはロックのギタリスト(特にヘビメタ)にはあんまり興味がないが、イングヴェイ・マルムスティーンとスティーヴ・ヴァイが、それぞれ、交響楽団に自分の音を交えやうとして画策したプロジェクトがあった。伝統音楽へのリスペクトとしては、こちらのアプローチの方が正しい、と思ふ。ワシもかくありたい。


2週目

9日(土)--------------------------------------------------------------------

マイスペェス、といふ、なんや仕組みはよう分からんが、ミクシィのやうなかんぢの、アレ、なんてぇの?ソーシャルネットなんぢゃら?、の音楽版みたいなやつ。をやりはじめた。音楽家仲間が『アンタみたいに外人さんにウケる人こそやったらえぇ』みたいな事を云ふので。音源を登録して、プロフィルを英語で書いて、まぁどうなんだらう?。

10日(日)--------------------------------------------------------------------

Policeの再結成コンサートを見に、大阪まで行く。ぢつはワシはポリスにはそれほど詳しくない。ヒットしたなん曲かを除けば、ほとんど知らん、と云った方が早いかも。それでもまぁ見に行く気になったので、女房に便乗す(女房は正真正銘のファン)。金銭面での問題から日帰りバスツアー。

恥ずかしながらドーム・コンサートといふを初めて経験した。てゆーか、ドーム球場といふを間近に見て、中に入ったのも初めて。その想像を絶するデカさに、呆れて笑いが出る。売り子がゐて、ビールやらつまみやらも買える。座席はステージからゆうに100メートル近く離れてゐて、スティングもサマァズもコプランドも豆粒のやうにしか見えんが、この雰囲気そのものが、なにか良い。なるほどこれがスタジアムコンサートか、と思ふ。

前座がスティングの息子のバンド。編成もポリスと同じで、曲調もなんとなく似通ったかんぢだったが、現代の若いロックミュージシャンらしく、演奏は格段に上手い。元気いっぱいのパフォーマンスで、まぁ割とウケてゐた。

ポリスのライヴも、曲を知らんでも楽しめた。ゲストなし、3人のみのステージで、たっぷり2時間。3人ともお年だからと云って手を抜いたやうな所はなかったね。スティングのベースは相変わらず下手っぴだったが、唄のキーは昔のまんまだったし。やっぱりすげぇバンドだったんだな、と再認識。良いコンサートだった。良い会場だった。

11日(月)-----------------------------------------------------------------------------

23:20大阪発のバスに乗って、明け方広島に着いた。行きのバスにも居た人が、帰りのバスにも居たりした。多分、何人かはポリスを見に行ってた人達なんだらうな。

イグアナが居間で糞を垂れてゐやがり、旅のシメに仕事が増えたが、まぁ良い旅だった。けふは壱日休み。朝風呂に入って昼過ぎまで寝る。

12日(火)-----------------------------------------------------------------------------

今年初のSoe'sリハ。木原朋子ちゃんをゲストに迎える形で演る。マサミとパイグとワシ、にもう一人か二人の某かのプレーヤーを迎える、と云ふ形が望ましいSoe'sであるが、今のところ4人目のメンバーは全員、クラシック畑の、女性、といふ。前任ふたりはマリンバ奏者だったが、トモちゃんは、琴、である。どうなるか楽しみ。

トモちゃん、なかなか果敢に色々とチャレンヂしてくれてゐて、良い。和琴、と云へどもハープのやうな響きとなって、思いのほかハマる。2本のベースとサックス、に対しての音量差をPAでクリアする必要があるが、今度のライヴもオモロいものになりさうである。Soe'sの曲ももっと書かなアカンなぁ。ペンギンカフェ・オーケストラみたいな曲が書けたら良いのになぁ。

13日(水)-----------------------------------------------------------------------------

1月は恐ろしくヒマで、長く感じたものだが、今月はなにかとやる事が多い。違うプロジェクトでそれぞれお浚い、憶えなアカん曲が結構あって、しかしトシのせいか仲々憶えられんでゐる。まさかメキシコに行ってまで譜面見て演奏する訳にもイカンし。それに何故かかういふ事って、重なる。けふも明日のライヴのお浚いをしてゐる処へ、トミ藤山さん、安芸楽団、の譜面が同時に届く。

ソロの練習もしとかなイカンので、レッスンが始まる前に、ちょいとやる。レパートリィを一新したい気と、それを可能にする新曲はあるのだが、仲々そは度胸のゐる事やな。色々と考えてゐても、いざ本番となるとどうしても「得意技」で勝負をしてしまふ。ん〜〜〜〜、いっその事、一度「完全即興」のライヴでもやってみるかね。それぐらいの事をやらねば「一新」など到底出来んやうな気もす。

14日(木)-----------------------------------------------------------------------------

セクシィ唄姫トアちゃんの、ヴァレンタイン・ライヴを手伝う日。先日のリハが不十分だったので、早めに会場入りしてリハをやったのだが、これが結構疲れた。当初は「3ステージで演目はカブっても構わん」といふ事だったのだが、あれこれ演ってるうちに、レパートリィが増え、カブらなくなった。全部で13曲。ボサノヴァナンバーばかりなので、どれも微妙に似通ってゐて、『曲の区別がつかん気がして来た』などと云ひながら。

けふの会場は所謂「クラブ(若者が躍るんぢゃないほうの)」で、しかも会員制。後でセット料金を聞いてびっくらした。それ程の料金設定の、まぁ高級クラブ、である。流石にホステスさんも店員さんもみな礼儀正しく、親切である。店によっては、ミュージシャンをものすごくぞんざいに扱う所もあるが。

けふはヴァネッサ、ではなく、ドゥナ、を使ってみた。こちらはピエゾ入りで音が太く味があるので。が、しかし、やはりヴァネッサほどには流暢に扱えんのだ、ね。ので、けふのやうにギター、パーカス、との3ピース、にはチと荷が重かった、かな?。

メキシコに、ヴァネッサを持って行く事の不安(壊されるんぢゃないか?)、と、これを持って行かない事の不安(海外デヴーするのに弾き馴れぬ楽器では・・・)。秤にかけるとどっちも重くて秤が折れる。く〜〜〜〜〜〜〜〜!!。

15日(金)-----------------------------------------------------------------------------

ちょいと用事があって実家に帰る。ほぼ1年ぶり。あんまり身体が丈夫でないオフクロだが、元気さうで安心。オヤジも、すっかり耳が遠くなってゐるやうだが、元気。御歳暮やなんやで余ってゐる大量のビールを貰って帰る。ついでに昔住んでた場所や遊んだ場所などを見て回るが、目印すらないほど変わり果ててしまってゐる。なんぢゃこのビルは?。チャリで走り回ってゐた路地もなくなってデカい幹線道路が走ってゐる。はぁ〜これ全部税金かよ。

けふは女房が旧友と飲みに出る、といふ。ので、のんきな一人の夜。突如ケンタッキーが喰ひたくなる。おトクな¥1,000セットと云ふのを買って帰り、貰ったビールを飲みながらビデヲで市川実和子主演の「コンセント」を見る。音楽がえぇなぁ、と思ってゐたら大友良英だった。なるほど。


3週目

16日(土)--------------------------------------------------------------------

リハ・ダブルヘッダーの日。まづは13:00から週例しーなとシュウのリハ。いつもはライヴのやうに1曲づつしか通さんのだが、けふは流石にツアーも本番も近いし、で、ラインナップを2回通す、といふ珍しいリハ。最近、ユニットを結成した当初から演ってる曲を、うるさく感じてしまふやうになった。なんてぇのか、情報量が多すぎるのだ。演奏も唄も、二人してシャカリキに演ってしまって、曲になってゐる。まぁさういふ曲はさういふ曲で良いんだらうが・・・。

これに比ぶれば、最近の曲のシムプルな事よ。即興だの何だのを色々と演って来た成果だらう。ナニが要ってナニが要らんか。自分のソロにも帰って来るテーマだな。

続いて廿日市まで移動して安芸楽団のリハ。今回、リハの時間がけふ壱日しか取れず、しかもその本番が明日、しかもワンマン(笑)てぇ事で、さすがに17:00から21:30までみっちしツマったリハ。しかもかなり難易度の高い新曲もあって。まぁこのバンドは(ホンマは良くない事だが)譜面見ながら演るので、見失わにゃ大丈夫か。

今回は、「天の姫」の佐々木彩ちゃんがヴォーカルと筝に抜擢されてゐる。8人編成のメンバーに、20代から50代までがまんべんなく存在する、といふある意味凄いバンドだ。家族のやうだ。なんかまぁ・・・色々と演ってますねぇシュウ君・・・といふかんぢ。

17日(日)--------------------------------------------------------------------

その安芸楽団、の本番。山口県は柳井市、大畠ふれあいセンターといふ処での、ワンマン、である。8人のメンバーとそれ分の機材が、車2台に分乗。はっきり云ってギチギチだ。エコノミィ症候群になりさう。途中、折田さんが忘れ物に気付いたり、車の窓が閉まらんくなったり、色々あったが、予定通り会場に着き、設営して、リハして、メシ喰って、そして本番・・・。

ワシが参加してから4回めのライヴとなるが、えぇかんぢにこなれた演奏が出来るやうになって来たな。初参加の彩ちゃんも、普段別ユニットで活躍してるだけあって、さすがにパフォームが上手である。かういふ明るいキャラは、やはりバンドに必要だ。ワシもようやく、ここでの演り方、が分かって来たかんぢ。だが、まだ譜面を見ながらなので駄目やね。一応、パーカスの天野君とワシが、このバンドでの「動」を担当してゐるので、ワシとしても早いこと譜面から離れてパフォーム出来るやうになりたいが、なんせ曲が難しくてね・・・・。

ところで、このバンドは「和風の」衣装を要求される。ので、前回のライヴでは長襦袢を着流しにして本番を演った。周囲にはたいへん評判良かったのだが、恐ろしく弾きにくい事に気付き、今回はいつものエスニック服にした。したら完全に独り「浮いて」ゐた。

ひとまづライヴを成功浬に終え、広島に帰還。折田夫妻の結婚記念日も兼ねて自宅で打ち上げ。車の関係で基本的には(?)ノン・アルコールだったが、手巻鮨とおでんをたらふく頂いた。24:00前には帰宅。しかし、流石に移動距離が長いライヴは疲労がデカいな。

18日(月)-----------------------------------------------------------------------------

昨日のライヴで咽が荒れてゐる(安芸楽団ではHi-Cで唄わねばならん曲もある)が、かういふ時こそ演った方が良いソロの練習。ひとりスタヂヲに入る。今年はまだちゃんとしたソロをやってない。来週の呉市でのライヴがソロ初めになるが、それに向けて色々と試す。ウーム、今、なんか新しい「路」と云ふか「手」が、掴めさうかな・・・・・・てかんぢ。ビミョ〜である。

その後、ヤシガニ兄妹(しーシュ+Far east+久保直樹)の新年会で焼肉。まぁ例によって喋りたい事を喋りまくる宴会。韓国どぶろく「マッコリ」が美味い。ツンちゃんの提案で、このメンバーにしては珍しく「セッションしに行かう」といふ事になり、さういふ店に行く。これまたたいへん珍しく、ツンちゃんがドラムを叩く。カシラは『飲んだら唄わん』といふ、まぁちょいと重いポリシィがあるのだが、他の機材もマトモなもんがある訳でもなし、セッションぐらいえぇやろ?と云ふ事で途中から参加。居合わせたお客さんから喝采。ああ、たまにゃ良いねぇ、かういふのも。

19日(火)-----------------------------------------------------------------------------

割と胃が重い。どぶろく系の酒はハラに入ってからも発酵する、とか云ふが・・・。まぁ焼肉屋でさんざん飲んだ後に、セッション先でもダニエルズを3杯も飲んだし、ね。

昼からSoe'sのリハ。パイグが都合で来れんので、箏のトモちゃんを加えた3人で。これも来週はもうライヴだ。

こないだトモちゃんから、即興が上手く行かんで悩んでゐる、みたいな長いメールがあった。「気にするな」のやうな返事を書いたが、正直、ワシにも分からん。そもそも即興を続ける、といふことに矛盾は無いのか?とか、考え出すとキリがない。ミュージシャンの中にも、即興を差別する人はゐるし、場合によっては『違う』なんて云はれるし・・・。避けて通ろうと思へば避けれる路だし。

でもねぇ、なんか「出来る」気がするうちは、即興し続けたい、のよ。音楽の手法のうちで、これだけが『表現』といふ鎖を断ち切る事が出来るかもしれん、と思ふから。例えば、ホンマに気心の知れた、良〜〜〜いかんぢの関係の人と、酒を飲むでもなく、会話すでもなく、ナニカを共にすでもなく、ただ、そこに、同じ空間に一緒に居る事の至福、ての?。アレ。

インド音楽やカッワーリのやうに、そこに驚くほどの技巧と修練が伺えながらも、演奏者のエゴが「神(音楽)への賛辞」以外のものに向かわない、アレ。

まぁみんな自分のにほひ付けに忙しいから、『そんなの分からん』とか云われたらそれまでなんだけど。

20日(水)-----------------------------------------------------------------------------

タッピング・ギターでインド音楽に挑んでゐるダニエル・シェルなる人物を発見す。ワシは一時期『変わったラーガ演奏』といふものに惹かれ、さういふのを調べ、集めた事がある。シタールやヴァイオリンは勿論、ギター、サックス、マンドリン、色んな楽器がラーガに挑戦し、オモロイのもあればつまらんのもあった。一番の変わり種は、なんと「口笛」によるラーガ。これは残念ながら入手出来んかった!!。

ラーガの主成分とも云へる微分音やコブシを旨とするインド音楽で、タッピング・ギターのやうに融通の利かぬ楽器をどう絡ませるのか興味津々だったが、素晴らしい協調。う〜むやるなぁ。

このタッピング・ギターだが、一度、先輩ベーシストに『お前の音楽のやり方だったら、ベースを弾くより、あぁ云ふタッピング楽器の方がえぇんと違うか?』と云はれた事がある。そは考えた事もあるんだが、ラムジィのスティックを弾かせてもらった時点で、『こりゃ駄目だ』と思ってしまった。難しすぎるよ。今でも興味はあるのだが、もし、今から始めても、生きてゐるうちに修得できるかどーか・・・・。

21日(木)-----------------------------------------------------------------------------

人が『けふは温いね』と云ってゐるが、何故かワシだけガタガタ震えてゐる。えぇ〜、寒くないか?。

専門学校の次期契約に必要な書類を提出するのを忘れてゐて、慌てて郵便局へ。レッスンをひとりやってから、どーもトンでしまってゐるらしい、営業仕事用のアンプを修理に出すべく、キサダ楽器に行く。帰りの足でシマムラ楽器に行き、電気ベース用のフライトケースを見繕う。今後、飛行機で移動する事が多くなる、とかいふ保証があるなら、奮発して良いヤツを買いもするが・・・・。

どーも身体がダルいので、よく冷えたチヲビタ・ドリンクを摂取したらよけい寒くなって来た。夜は、ぱかぱかシュウ号最後のリハ。最初のリハの頃はどーなる事かいな?といふかんぢだったが、えぇかんぢになったな。あとはライヴでこのかんぢが出せれば、て処だ。恐ろしく腹が減ってゐたので、みなでメシを喰って行くベ、と考えたが、明日はライヴだし、大人しく帰って寝る。

22日(金)-----------------------------------------------------------------------------

しーシュライヴ。加古町はOTISにて。20年以上お世話になってゐるお店だが、自分の音楽で出演するのは、なんと初めて!。マスターの佐伯さんもたいへん楽しみにしてくれてゐる。

けふは鎌田ひろゆき+ふじやまともやの対バンとして。去年の春ツアーで知り合ったゴキゲンなパーカッショニスト、ともや氏の呼び掛けで実現した。鎌田さんは今年でデヴー20周年といふ超ベテラン。程よく枯れた声で、優しい唄を唄うシンガーソングライターである。この世代の唄うたいだからこそ歌える味が素晴らしい。ワシもこの世代になった時、ひとにさう思ってもらへたらいいな。「自分に似合うものなんてひとつやふたつで充分だと思ってるんだ」

さて、お恥ずかしながらワシは朝から高熱が出ておって、この日もリハ中、待機中と、づっと震えが止まらず、まぁそれでもいつものワシならステージに上がればキシャッ!とマトモになるだらう、くらいに考えてゐた。ところがどっこい。長いライヴ人生で「指がスッポ抜けた」りした事なぞなんて初めてだ。ソロも即興もアタマがぐらぐらして集中できない。これほどまでに判断力が鈍ったライヴも珍しい。まぁこれが「独弾」ならえらいこっちゃだが、そこはやはりユニットの強みか。しーなさんとの連係で、なんとか無事ライヴをやり遂げる事が出来た。

ともや氏には何度か聴いてもらってゐるが、初めて聴いてくれた鎌田さんもたいへん気に入ってくださった。あんまり集客に協力できず申し訳なかったが、鎌田さんは「グッド・ミュージックが聴けた」と、是非東京でも一緒に演ろう!と云ふてくださった。うれしいね。

初めてワシの音楽を聴いてもらった佐伯さんにも喜んでもらへて嬉しかった。

それにしても、と。昔はそれこそ食中毒でアブラ汗を流しながらでも、ライヴになればちゃんと集中出来たものだが。熱ごときであんなになるやうぢゃ、駄目だね。段々無理が利かん身体になって来てゐるなぁ、と。家に帰る頃には、あからさまに『歯の根も合わぬ程』震えが来ており、鍵穴に鍵を入れる事も出来ん状態。


4週目

23日(土)--------------------------------------------------------------------

ゆんべは8度くらいの熱が出てゐたが、風呂に入って寝て起きたら、嘘のやうにスッキリしてゐる。咳もないし鼻水も出ん。風邪にしてはおかしい。熱も下がって頭痛もないが、明日もライヴだし、念のため医者に行って診てもらっておく。まぁ気休めですがね。

どうも動き回ると熱が出るフシがあるやうで、けふはみかんを喰って静養してゐる事にす。さういや、大学生の頃、ある日フと思ひついて、スクワットを1000回やったら翌日8度くらい熱が出た事があったな。壱日中ベッドの中にゐて「風の谷のナウシカ」1〜7巻までを読破す。

24日(日)--------------------------------------------------------------------

さて「ぱかぱかシュウ号」特別ライヴだ。東京のアニキ分バンドBARAKAを、広島のバンド勢が迎えるイベント。一時期、ちょいとイベント出演マナーを守れぬバンドが相次いで出演し、企画者間で険悪になってしまってゐたが、久しぶりに復活。広島からは仏陀、Gressive、と、ワシらぱかぱかが出演。

会場入りして、ごちゃごちゃ演ってゐたらBARAKA到着。ワシはしょっちゅう東京で会ってゐるので、あんまり久々と云ふかんぢはせんのだが、3年ぶりの広島なのださう。良いイベントになりさうである。

ワシらぱかぱかシュウ号はトップバッター。チケットにはワシの名前が載ってないし、特にポスターもフライヤーも無かったやうなので、知らん人はワシが誰か分からんのではないか?。それならそれで、それを貫くべし!と、今回はMC一切なしで行かう、と決めた。その代わり、MIやんが寄席の演目題字のやうなのを作ってくれてゐた。

演目は、不知火、まぢない、ヒカリトカゲ、彼岸へ、の4曲。曲間は全て即興で繋ぎ、唄のある部分以外は決めごとなし。思い思いの民族衣装に身を包んだ、キーボード、サックス、ウッドベース、ギター、と電気ベースが、扇型にステージに居座り、弾き狂う様は、女房曰く『異様極まりない絵づらだった』とか。

曲間もづっと音を流しっぱなしなので、観客の反応は掴めなんだが、もともとワシらそんな事はあんま考えてないし・・・・。まちゃあきとナベちゃんが刻むリズムの上で、フロントの3人が好きに暴れる、といった狙いは見事に当たったやうで、終演後の拍手の長さが成功を物語ってゐたのではないかな?。MIやんとのヴォイスバトルなど、壮絶なものとなり、BARAKAの人らも『なんか滅茶苦茶オモロかったぜ』と云うてくれた。このメンバーだからこそ出来たコラボだった。ぱかぱか号の4人に感謝。

あんな異様な出し物の後に出た仏陀が少々気の毒な気はしたが、彼女ららしいステージングで会場を盛り上げてゐた。

しかし仏陀と、彼女らに引き続いたGressiveでも思ったのだが、彼等は会場の盛り上がり、といふものを気にし過ぎてゐるんぢゃないか?とも思ふ。そりゃあ反応が薄い観客相手は演りづらいのは分かる。だが、自分のやってる事に自信があるなら、もっと毅然とした態度でステージに臨んでほしい、と思ふのだ。友人としても・・・。

トリはBARAKA。アンコール以外は全てインストで構成されたステージは流石!の貫禄であった。うち続く過酷なツアーに鍛えられ、洗練された構築美の世界。

全てのバンドが持ち時間を遵守し、22:00には撤収が完了する、といふ素晴らしいイベント。当然、打ち上げも盛り上がる。ワシはほとんど飲まんかったが、喋りに喋りまくり、なんと4:00まで!。3年前に引き続き、BARAKAのイッセイさん(Gu)に『シュウは海外で演らなアカン』みたいな事を云はれる。

25日(月)-----------------------------------------------------------------------------

流石に遅寝。10:30起床。此所数日、喰ってもすぐ下痢するので、メシを喰ふ気にならん。気分転換もかねて、永らくベランダで風雨に晒されてゐた、古いソファや使わなくなったラックなどを大型ゴミ集積所に持って行く。

少し前の事になるが、Bass on TVといふウェッブTVに組まれてゐた「ベース弾き語りYou Tube コレクション」といふ特集で、世界中のベース弾き語りストに混じって、ワシの画像が紹介されてゐたやうだ。へ〜〜〜〜、嬉しいね。しかし色んな人が居るねぇ。これ全員と会って話がしてみたいもんだ。英語喋れんけど・・・・。

26日(火)-----------------------------------------------------------------------------

けふは、ソロでは初、となる呉市でのライヴ。ホビィ・スペース・JINN、といふお店。よく夫婦でライヴを見に来てくれるリュウくんの企画で実現した。久しぶりに愛車にっちを転がしての一人遠征。リュウくんから電話で聞いた案内を頼りに会場を発見。対バンは、最近広島から呉に引っ越して来たアキ君こと野村彰広。彼のバンドとは何度か一緒に演った事はあるが、ソロ同士は初めてだ。楽しみ。

開演前、例によって一人で呉の町をブラつく。閉ってる店が多くて、ここも所謂シャッター街なのか?と思ふ。リュウ君によれば、火曜日は商店街が休みなのださう。だが、休みぢゃない日でも『そんなに変わらん』とのこと。うーむ。

さてお客さんも集まり、21:00ころにライヴがスタート。先発はアキ君。サックスとシンセを使った独りアンビエント〜ドラムンベース。凄い。今風に云ふと「ヤバい」。シンセサイザー、といふ楽器の機能を、ライヴで此所までちゃんと使いこなす人を、ワシは他に知らん。これに比ぶれば昨今の鍵盤弾きは、その進化しすぎた機能に「使われてゐる」感が否めん。頑張れキーボーダー!。

少し間をおいてワシのソロ。ステージに座り込んでカリンバをいぢる即興から始める。5分くらいしてベースに移項して「月の路」へ繋げる。立ち上がって会場を見た時に初めて、けふの会場が異様に『美人率の高い』事に気付く。ほぉ、呉市!!。

なに演ったかあんまり憶えてないんだけど、実験的な事を色々とやるつもりだったが、ウケるのに気を良くして、結局割といつものナンバァを繋げてしまった。冒険はなかなか難しい。忙しかったり体調崩したりで、全然ソロの練習が出来てなかったのだが、演奏の出来自体も、割とこれまでのベストに近いもの。たいへん暖かく受け入れてもらへ、ここんところ落ち込んでゐたCDの売り上げが一気に伸びた。その後のアキ君との即興セッションも大好評。

終演後、美人の集団から『一緒に飲みませんか?』と誘われたのだが、けふ中に帰る身だし、な訳で泣く泣く辞退。ははぁ、そのスジの人はかうやってファンを喰っちゃったりするのかな・・・?。

にっちを転がして、深夜の海沿い道路をひた走る。雨にけぶる臨海工業地帯が美しい。かういふエンディングも、悪くない。

27日(水)-----------------------------------------------------------------------------

けふもライヴ。今年初のSoe'sだ。昨日の夜、我々と関係ない所でちょいと事があり、けふのライヴそのものが危ぶまれたが、無事出来るやうす。

バスに乗って会場入り。既にパイグとマサミが来てゐた。まづは3人で音合わせ。お、なんかパイグがえぇぢゃないか。さうかうしてゐるうちにトモちゃんも来て、4人でリハ。してると早くもお客さんが入って来て、こらぁけふは大入り満員か?と思ったが、結局最初に来た人達だけが、最後までゐてくれた、といふ(笑)。

さて、いよいよ即興集団ライヴ開始。まづはレギュラーの3人で。初っ端2曲の分解&再構築が凄かった。やはりパイグが良い。ひと皮剥けたな、といふかんぢ。3曲目からトモちゃんの箏を入れての編成。かういふライヴは初めてだけに流石にカタいトモちゃん。練習の時は果敢に絡んで来たが、けふは『行け』と云っても仲々イけない。急遽ソロコーナーを設けて、独りで演ってもらふ。別にいぢわるをしてゐる訳ぢゃありませんぜ。

昨日に引き続き、ワシもたいへん調子が良く、サポートもソロも即興もばっちし決まる。マサミは言わずもがな、だが、けふはやはりパイグが良い。ノれる音楽ではないが、明らかにお客さんもノってゐるのが分かる。Soe's、化けて来たか・・・・?。

全体通して、相当に良い出来のライヴだった。けふはコアなファンがみんな見に来てくれた、といふかんぢだったが、これはもっと沢山の人に見てもらっても良いんではないかな?。

ワシはつくづく、かういふ集団が好きだ。それぞれがそれぞれのスタンスで自己の世界と活動範囲を持ち、それがフっと吹き寄せられて集まり、音を紡ぐ。ジャンルも楽器も関係ない。独り訥々と進んでゐて、フと顔を上げた時、なんか向こうの方に同じ歩調で歩いてゐるヤツがゐる。そのことに歓びを感じる。実体のない、軽薄な関係だと思ふ人もゐるだらう。でも、だからこそ繋がり合えるし、だからこそ独りでも歩いていける、と思ひたい。

打ち上げはせず、独り深夜バスに乗って帰る。

28日(木)-----------------------------------------------------------------------------

昨日のライヴが素晴らしかった、と、何人かがわざわざメールをくれた。嬉しいね。

ポセイドン・レーベルから、エア・チケットのレシートなどが転送されて来て、にわかにメキシコ行きが現実味を帯びはじめる。ん〜〜〜、国際線に乗るのは12年前のインド以来である。また『Beef or Chicken ?』て訊かれるんだらうか?。あん時は舞い上がって「ち・・・・ちキン」としか応えられなんだ。なんせ飛行機の中に、日本人はワシと女房だけだったからねぇ。今度は『Which is delicious?』か、もしくは『I am sorry, I am already full.』ぐらいは応えたいねぇ。

29日(金)-----------------------------------------------------------------------------

音楽に附随する様々な業務をこなす。まづはしーシュのCD売り上げを銀行に預け、そこから今回のツアーの経費を算出。もう利息がついてるね。なんで計算が苦手なワシが、かういふ会計係のやうな事をやってゐるのか?と思ふ。ただ、このテの事に意外にマメなのと、しーなさんに比べてヒマが多いだけのこと。

そいから別の銀行へ行って、ワシ個人のここ2〜3日のギャラを入金し、そこから東京までの新幹線チケットを算出。ついでに駅に寄ってのぞみの指定席を予約。感覚的にマヒしてる感があるけど、新幹線って高ぇよなぁ。バスなら半額だもんね。まぁ確かに速いし、楽だけど・・・・。

しーシュのツアー直前リハ。「独りぢゃないから気が紛れて良いなぁ」といふのと、「独りで行く方が気が楽だなぁ」といふのが半々ぐらい。こないだ一緒に演った鎌田さんやともや氏、それに豊田勇造師匠や、あちこち廻ってる旅系のミュージシャンと話すと、みんな結構大変な目にあったエピソードなどあって、それに比べりゃ、まだワシはそこまでシビアな思ひをした事はないね。まだまだぺーぺーでござんす。

では、いよいよ明日から、春ツアーの始まりッ。まづはしーシュにて、大阪〜名古屋の行脚でござい。乞う御期待!!。


3月へ