5月


1週目

1日(木)-----------------------------------------------------------------------------

レコーディングが迫ってゐるのに、まだ新曲の歌詞を書き切れてない、と云ふ。う〜〜む、あと一歩良い言葉があるやうな気がするのだがねぇ・・・。言葉とはギリギリまで格闘するものなり、といふ、某カメラマンの話を思ひ出す。ギリギリまで闘うことにす。

気分転換にDVDを見る。オダギリジョー主演の「ゆれる」といふ映画。なんか音楽がすごいドライで良いな。ジャズやソウルへのリスペクトが如実に感じられる音。カリフラワーズってバンドらしひ。調べてみると、ついこの間解散したんださうな。監督の西川美和がサウンドにホレ込んで、バンドごと音楽を担当した、とか。良いなぁ、さういふの。しかし、イヂワルな事を云ふと、冒頭の曲でベースが思いッきり間違えてンですけど(笑)。

2日(金)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校の授業を2時限で打ち切り、こないだリハをやった知人の結婚式の演奏に駆け付ける。もう入籍はしてゐる二人で、参列者も親族とわずかな友人のみのシムプルな式だった。けふの式はほとんど新郎が仕切ったやうで、ワシもさうだったのだが、男が仕切った場合独特の、あっけらかんとした宴会のやうな結婚式だった。

しーなさん、ツンちゃん、とワシは、余興も含めて式全体の音楽を担当。打ち合わせなしで要所要所で適宜音楽を演奏する、といふ。式が終わった後、改めて新郎新婦も一緒に演奏。ウェディングドレス姿でジェムベを叩く花嫁(笑)。ふたりとも、仕事の途中で抜けて来て、また今から仕事に戻るんぢゃないのか?と思ふぐらい、サバサバした良い結婚式。お幸せにね。

その後、新兵器としてシンセを入手したしーなさんのリクエストで、急遽しーシュのリハ。これがかなりナイスなシンセ。これまで「ピアノ」と云ふものにこだわり過ぎてゐた、と云ふ事で、意外な程割り切ってシンセ弾くしーなさん。ベースとの音の混ざりも、ヘタな電気ピアノなんかよりづっと良いかんぢだ。これでしーシュもハイテク化するのかっ?。


2週目

3日(土)--------------------------------------------------------------------

東京から久保田涼子が帰って来た。7月に彼女が企画してゐる広島凱旋ライヴの下見も兼ねて、PICOに連れて行く。涼子の友人Wちゃんが同席。Wちゃん、美人+スタイル良し+フェミニン、で一瞬近寄りがたいものを感じさせる。だが話してみると、大変快活でサバサバしたナイスな娘さんであった。

しかし涼子もWちゃんも、話す声がたいへんデカい。これは東京に住んでゐるヒトの特徴とも云へるのだが、やはりあの街の普遍的な雑音の中で暮らすうちに、自然に話声がデカくなってしまふのかもしれぬ。昨今、女性のやうなカン高い声で唄う男の歌い手が増えたが、あれも結局はうるさい場所(場面)で、効率良く声を広範囲に響かせなくてはならん、といふ目的がさうさせた、ある種の「収斂進化」なのではないか?、と考へたGWの夜であった。

夜半には女性二人は席を辞し、ツンちゃんと二人で飲んで終電で帰った。

4日(日)--------------------------------------------------------------------

けふは、友人がやってゐるXanaduといふバンドのライヴがヲルガン座であるのを見に行く。昨日の晩、ちょいと飲み過ぎたので、けふはビールをちーびちび飲りながら。

Xanaduはマリンバ+ギター+ウッドベース、といふ編成。現代音楽のやうなジャズのやうな、Soe'sに通ずるオモロい処を演ってゐるバンドだった。ベースの是盛くんは初めてお目にかかるが、白いウッドベースを弾く男、として噂は聞いてゐた。スタイル的にも広島ではあんまり見た事がないタイプのベーシスト。ワシはジャズで使われるウッドベースには、全然興味を惹かれぬのだが、かういふ使い方ならウッドベースってアリだ、と強く思ふ。オモロいぢゃないの。

店主のゴトウイズミさんは当然として、けふも沢山の知人に出会った。良い日々である。

5日(月)-----------------------------------------------------------------------------

少女テクノユニット、としてパフュームの人気が高まってゐるらしひ。「ぱふゅ〜む」といふ名前でキャピ系アイドルで売り出さうとした当初の目論見は外れたやうだが、まぁ良いンぢゃないかな?。この娘らは、まぁ事務所の指示があっての事だらうが、入院中のワシの見舞いに来てくれた事がある。直接の、ではないが、いちをうワシは彼女らの「センセイ」といふ立場だったので。

『アイドルが見舞いにやって来た』と云ふ事で、一瞬男子病棟が騒然としたものだ。ちょっと恥ずい&誇らしい気分だった。その時に撮った写真がある。この頃の彼女らは、確かまだ中学生になったばかり。これから比ぶれば、だいぶ大人になったもんだ。まぁ、なんかの自慢にはなるかもしれんので、捨てずに取っておこう。

6日(火)-----------------------------------------------------------------------------

けふからレコーディングに入る。4年ぶりのソロの新作、と云ふ事で、現在のワシのパフォーマンスに近い形のもの、を録る。でもまぁアレをあのまんま録音しても、オモロくもなんともない。そこに録音技術でしか出来ぬ要素を加える。のが計画。けふの処はまづ仮唄と仮オケ、といふかんぢで録ってゆくが、早くもワシの思惑と違う事になって来て、どんどんテンションが下がって来てしまった。う〜む。

なんかすっきりせぬまま飯を喰ひ、家に帰って歯を磨いてゐたら、正規に生えてゐる一番奥の歯、親知らずから壱個前の奥歯が、ポロっと取れてしまった。またかよぉ!?と嘆く。30歳すぎてから1度、徹底的な歯の治療をして以来、相当念入りな歯磨きを心掛けてゐるが、それでも何年かおきにトラブルが起きる。かと思へば、歯磨きなんざほとんどせぬ、といふヤツが虫歯になった事もない、などと云ふ。世の中は常に不公平なのだ。

7日(水)-----------------------------------------------------------------------------

もげた歯を、しかしけふもレコーディングなので治療も出来ず、スタヂヲ入り。しかしまぁ当然ながら、演奏に集中出来るはずもなく(染みるのだ!)、昨日一応OKを出したテイクまでも気に入らず、ボツる。そのうちレコーディングそのものにも疑問が沸いて来て、15時には打ち切り。思ったかんぢに録れない、といふのは納得行かぬ。納得できぬものを世に出す訳にはいかぬ。参加予定のゲストにキャンセル料を払ってでも、白紙に戻すべきか、と考える。

しっかり咀嚼が出来ぬし、何を喰っても飲んでも染みるので、けふ壱日ヰダーインゼリー(エネルギーイン)しか喰ってない。やはり空腹感はどうにもならぬが、それでも『腹が減って力が入らぬ』といふやうな状況までにはならぬ。流石、良く考えられてゐる喰ひモノ(飲み物か?)だ。

8日(木)-----------------------------------------------------------------------------

朝イチで歯医者に行く。

神経まではやられておらぬが、もう歯髄くらいしか残ってないので、再生は無理。所謂『銀歯』にするしかないさうだ。まぁ奥歯なんで・・。それにまぁ、他の歯はどれも良い状態ださう。色々と丁寧に処置をしてくれるのだが、何度来ても、何歳になっても、歯医者といふはイヤな処だ。あのキュゥイィィ〜〜〜ンてのが・・・・。それでも若い女性の歯科技師が処置をしてくれると、位置の関係で頭や頬におチチが

さう云へば先日のメキシコツアーで、ライヴを見て気に入ってくれたヒトが、一緒に写真に写ってくれ、と云ふシチュエーションが多かった。んで、あっちの女の子はさういふ時、ペッタリと身体をくっつけて来るのである。おチチもお腹もお構いなし。これはたいへん嬉しかった。

んな邪な事を考へてゐると麻酔が切れてきて、痛い。とても痛たたたたた。此れはKing of pain !。

9日(金)-----------------------------------------------------------------------------

春のツアーを終えて以来、何故か毎朝6:00に目が醒めるやうになった。まぁ良く眠れてゐるやうなので、そのまま起きてヲーキングしたりしてゐる。老人のやうだ。これもツアー後からだが、ヲーキングのコースを変え、より緑が多い処を歩くやうにしてゐる。んで、そこにはカモの宿営地があって、これらを見るのが楽しい。まさに老人のやうだ。

専門学校終了後、久しぶりにリハも本番も打ち合はせもないので、夕方の電車に乗って帰る。社会人のやうだ。

DVDで「I am Legend」。映画館で見たのと同じ正規版と、もう一枚『衝撃の別エンディング版』といふのが入ってゐて、それを見る。ほぉ!、こりゃあ全然別のストーリィぢゃないか?。ジェームズ・キャメロンの「アビス」も未公開版を見て、テーマが全然違うものになってゐて驚いたのだが、あんなかんぢ。さう思って見たら細かい設定なんかも、ぢつは未公開版への伏線だらけで、逆に正規版の方が未完成な気さえする。なんでこっちが正規版にならなかったんだらう?。

レコーディングにつひては、依然悩み中。全部壱からやり直すか、このままオクラとするか?。


3週目

10日(土)--------------------------------------------------------------------

雨が降ってゐる。なんか嘘のやうに寒い。レコーディングが良いやうに流れてない、と云ふのもあってか、気分がアガらない。久々に読んだ西村寿行の長編が、悲惨なラストで、さらにサガる。この人はホンマに主人公を惜し気もなく殺すなぁ・・・・。アー。週例しーシュのリハも、ベースセロが上手く操れずにアゲて行けない。なんだかねぇ・・・。

TVが下らぬ番組ばかりで、益々サガってしまいさうなので、インドのラダックを紹介したDVDを見る。標高3000mだって。行ってみたいが、着いた途端に高山病になるんやろな。このDVD、映像は素晴らしいのだが、音楽がイマイチ、イマサン、くらいか?。なんか、センスと才能があんまりないPC作曲家が資料も見ずに安いギャラでやりました、みたいなBGM。この映像にこの音楽はね〜だろ、といふやうなかんぢ。

11日(日)--------------------------------------------------------------------

ワシはパソコンの事をほとんど何も知らぬ。器用に使ってゐる方だと思ふのだが、何がどうなったら良いパソコンなのかなどは全然分からずに使ってゐるのだ。この頃、なんか作業をしてゐても、えらく動作が鈍くなって来た。これは、メモリ容量がもう一杯かなんかで?増設?それも一杯で?これはもう?新しいのに?する?とか云ふ事らしひ。

ので、新しいパソコンを買いに行く。女房がなにやら良いのを見つけて来てくれたので。で、これは新しいので書いてゐる。読み込みとかさすがに速い。

今まで使ってゐたのにも愛着があるので、下取りには出さずに、併用して使ふことにす。ウチは、音楽家がマックを持ってゐる割には、全然音楽に使ってない。そろそろなんか作曲とか録音とかに使ってみますかね?。どーやりゃ良いんだらうかねぇ?。

12日(月)-----------------------------------------------------------------------------

夕方から、前田トアユニットのリハ。来週末にあるクラブイベント用。今回はキーボードにしーなさんが参加。シンセで他人のバックを演る、てのぁしーなさんにとって初めての事らしいが、案外ソツなくこなしてゐる。トアちゃんらにも好評。今回はアラブの曲ばっかりなので、ベースがかなりぢみ。

夜半過ぎてからはエキセントリック・リコズのリハ。これもイベント用。メンバーには「祈り部」の竹内ふみのチャン(Violin)がゐる。ヴァイオリン、パーカス、ピアノ、に電気ベース、といふ・・・、この編成で、りこの変拍子満載の曲を演る、といふ・・・、ほぉ仲々オモロいところ突いて来るのぉ、と云ふかんぢ。本番が楽しみである。

ほどなくリハを終え、家路につきながら『自分の在り方』につひて蒼く考へる。てぇのも、最近某氏に『お前はイロモノ』と云はれて、少なからずショックを受けてゐるからだ。そんな風に考えた事もなかったな。

イロモノかぁ・・・、これでも真面目に演ってるんですがねぇ・・・。まぁ確かに、我流のホーミーやラーガやじょんがらベースなんて、イロモノっちゃイロモノだな。「小器用」て云はれるよりえぇか・・・。

13日(火)-----------------------------------------------------------------------------

治療中の歯が痛い。鎮痛剤を服用すると眠くてかなわんので、日中は飲まぬやうにしてゐる。しかしけふは流石に集中できず、昼に飲む。したらベース弾きながら寝てゐた。やれやれ。

川上未映子さんのCDを購入。本人曰く『壊滅的に売れなかった』さうなのだが、う〜〜〜む。確かに、この人が書く文章ほどにはオモロない唄やな。悪くはないのだが、特にこれといった処のない音楽で、あまたある女性シンガーソングライターの一人、くらいにしか思へない。椎名林檎があれだけの事をやって「売れる」といふ事を証明しただけに、近頃の女性シンガーソングライターは厳しいだらうな。

同時に購入したFunanori、といふ日米混合のユニットは、なんやサイケで沖縄でロックでよう分からんけどイマイチ、みたいな(笑)。あぁ〜〜〜!もしかしてワシも他人にかういふ印象を与えるのかね?。で、イロモノ、か。なるほど。

14日(水)-----------------------------------------------------------------------------

レコーディング唄録り。オペレーターが遅刻しやがったので少し怒った。結構ピリピリした雰囲気で録ったのが良かったのか、ぽんぽん進み、ほぼ全曲OKテイクが出た。唄うたいとしての自分も、それなりになかなか大した事をやってゐる、と思ふのだが・・・。いっぺん、「バックバンド」を従へて完全手ブラで唄うライヴ、みたいなんも演ってみたいのだ。あぁ!それもイロモノか?(笑)。

メキシコから帰るバスの中で作った「Dance」といふ新曲を入れてゐる。「アンタらしくない曲やね」と云はれて、ワシもさう思ふ。だが、ワシの中ではやはり相当にリアルな唄で、けふも唄録りをしてゐて思はず涙が出さうになった。ワシは汚駄過図摩佐かっ!?。

15日(木)-----------------------------------------------------------------------------

歯医者、最終治療。相変わらずおチチは顔に当たってよろしいが、なにせ痛い!。素晴らしく痛い。こんなに痛い治療って有りか?と思はしむる痛さ!。いちをうこれで晴れて「銀歯」になったが、この痛みをたれが分かりうるか?。あの歯医者はもうやめやう。

レッスンの合間に、久しぶりにレコード屋をうろつく。オマール・ソーサの新作が欲しかったのだが、まだ店頭に無い。ので、代わりのナニカを買うべきかどーか悩む。オモロさうなのはいっぱいあるが。アフリカはマリのバラフォン奏者KELETIGUI DIABATE (ケレティギ・ジャバテ)、なんと74歳で初めてのソロアルバム、ださう。あぁ〜〜良いなぁさういふの・・・。

結局なんも買わんかったのだが、昔一緒にバンドを演ってゐたサックス吹きのT氏に会った。元気さうでなにより。

16日(金)-----------------------------------------------------------------------------

Soe'sの朋友、藤井政美の呼び掛けで、Cominでのライヴ。山口圭一くんといふ若手のドラマーと、マサミ+ワシのトリオ。即興を演るつもりで行ったら、マサミがしこしこと譜面を書いてゐる。しかも5/4拍子のレゲエ、とかいふ無茶な事を・・・・(笑)。

山口くん、まだ29歳ださうだが、なんともオモロい有機体のやうなドラムを叩くヤツ。変拍子への反応もパーフェクト。こんなのが広島に居たんかい?と思はしむる。マサミは『絶対にシュウと合うと思った』といふ事で、この組み合わせを思ひついたらしい。確かにすげぇオモロかった。是非パーマネントな組み合わせにしたいものだが、やはりかういふヤツらと組むと、もっとちゃんと練習せなイカンな、と思ふ。もっとちゃんと練習しやう。

たまたま来た、といふ女性が『生のスタンダード・ジャズを期待して来たんだけど、こっちの方がど真ん中ストライクだった』と云ってくれて、救われる。ジャズを知らないままで、ジャズの連中と渡り合える、さういふものに、私はなりたい。


4週目

17日(土)--------------------------------------------------------------------

スウィングリヴァーのテーさんのお誘ひで、北九州は折尾、といふ処にライヴしに行く。色々と検討した結果、在来線で行くのが一番安上がり、と云ふ事で¥3610の切符を買う。乗り換えがめんどくさいが、大体座れるし景色も良い。これで4時間なら大した事はない。途中、ホームの立ち喰ひそばを食したりして、気分はすっかり『世界の車窓』。たらったったったた〜ららんら〜ら〜〜・・・。

小倉駅でテーさん、ナオエと合流。本日の箱『デルソル』へ。折尾といふ処は所謂「文教地区」で、北九州の中でもひとつだけ変わった文化圏なのださう。商売ッ気の全然ない絵書きの店が20年以上続いてゐる、とかいふ噂も聞いた。へ〜〜。交通量は多いが、町並みは古くてえぇかんぢ。

デルソルは、優しいマスターとその奥さん、お手伝いに娘さん(可愛い!)で運営されてゐる。小民家を改造したかなりストライクなかんぢのライヴハウスだ。音も良い。スタッフの人柄や、建物それ自体(!)に、音楽と音楽家への敬愛が如実に感じられる。だが、区画整理の為、立ち退きを強いられてゐる最中ださうで、年内にも他所に移らねばならぬ、とか。この国の「行政」は一体ナニをやってゐるのか?。

こちらの協力者が一杯お客さんを集めてくれて、開演時にはほぼ満席。ライヴは、まづテーさんのソロから始まり→ナオエとのデュオ→ワシが入ってトリオ→ワシのソロ→またトリオ、といふ、スウィングリヴァーと一緒に演るときのいつものスタイル。

けふのソロは極限まで機材を減らしてみる、といふコンセプトで、ループマシン1コだけで60分のステージに挑戦。2曲目までなんか浮ついてゐたが、その後盛り返し、いつもと遜色ないライヴが出来た。お客さんにも好評。

後半のスウィングリヴァーでの演奏も良い。テーさんもナオエも最高のミュージシャンだ。アンコールも来て大団円。CDもいっぱい売れた。賄いカレーを頂き、なんと贅沢な北九州は折尾の夜は更けて行ったのであった。よっしゃ、ループ1コでも出来るのだ。ますます行くよ〜、色んな所へ。

18日(日)--------------------------------------------------------------------

テーさんちに泊まり、朝飯その他色々世話になる。ここの双児の息子達(5歳)が可愛いのだ。『おぢちゃんのこと憶えとるか?』と訊くと『うん』と云ふ。ホンマか?お前ら(笑)。昼前までのんびりして、おいとま。下関から直行便があったので、瀬戸内海側の席を確保してづ〜〜っと車窓を楽しんだ。

夕方、広島に着。その足で、友人のスティック奏者ラムジィが主催するライヴへ行く。広島スティック・ナイト と称し、金丸敏明(東京)、デリック・ダレンジャー(宮崎)、ラムジィ の3人がそれぞれソロを演る。スティック奏者が3人集まる、なんて、東京でもあんまりないんぢゃないか?。お客さんもいっぱい。

ライヴは、ジャズっぽいラムジィ、ハードでポップな金丸くん、ミニマルで幻想的なデリック、と、それぞれの個性が上手く出て、良いかんぢだった。金丸くんはこないだ東京で対バンしたばかり。デリック氏は4年前に対バン。ワシの事をよく憶えてくれてゐるが、相変わらず日本語が全然喋れぬやうだ(笑)。なんかワシにヴォイスでアルバムに参加してくれぬか?のやうな事を云ふてくれよる。

色々な所に色々なキィがある。それぞれに限りない感謝と敬愛を抱きつつ、孤高を噛む。

19日(月)-----------------------------------------------------------------------------

朝、しーなさんから連絡があり、けふ予定にあったしーシュのリハがキャンセルとなった。ので、専門学校以降は空き。久々に料理をす。鶏もも肉のハーブ焼き。

昨日の折尾遠征の売り上げで、お陰さまでなんともようやく「きねつき」の製作費用がペイされたやうだ。ライヴが多い割に売れ行きが芳しくないまま、ここからようやく実利益が生まれる事になる。まぁなにせ一人で売り歩いてゐるからねぇ。は〜〜〜。親類縁者や友人になかば強制的に売ったりすりゃ、もちっとは早くペイ出来たのかもしれんが。

上原ひろみがNHKのトーク番組に出てゐる。喋ってるだけだとホンマ冴えない田舎の女の子、ってかんぢやな。昨今、ブームなのかなんなのか知らんが、美形の女性ジャズミュージシャンがいっぱいゐる。が、どれもなんか『可愛い娘がそこそこやるジャズ』ってだけで注目されてるやうな気がして、嫌。とても正当にその実力が評価されてゐるとは思えぬのだよ。なんか最近ぢゃ、コドモのジャズドラマーまで居るんだって?。

その中で上原ひろみは、美形ではないが、技術もブッ飛び方も文句なしにズバ抜けてゐる。

20日(火)-----------------------------------------------------------------------------

フと、いしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」が聴きたくなった。なんのスリ込みがあって、いつからさうだったのかは分からんが、ワシは何故かこの曲が大好きなのだ。今でも、カーラヂヲなんぞでこの曲が流れてくると、車を停めて聴き入る。んで、You tubeを検索してみるといっぱい出て来た。1969年だって。ワシ4歳。う〜む、良い曲だ。やっぱし歌謡曲ってすげぇなぁ。

ついでに懐かしの歌謡曲を色々検索。奥村チヨが可愛い、とか、ちあきなおみの「喝采」はやはり素晴らしい、とか、麻丘めぐみはなんとなく蒼井優に似てる、とか、歌謡曲とは関係ないけど、小倉優子はコリン星に行く前はこんなかったのか、とか、改めて色々発見す。

註:幾つか動画のリンクを貼っておりましたが、某国営放送局の申請により、動画そのものが削除対象となってしまったやうです。かういふ事だけはマメな仕事するねNHK。

21日(水)-----------------------------------------------------------------------------

レッスンは休みにす。銀行巡りなど雑務少々。週末のライヴで、久々にバックトラックを流しながら、の演奏を予定してゐるので、古いデータを出して来て、ちょっと修正す。上手く行くんでせうか?。

けふはレッスンを休みにしてライヴを見に行く。プロジェクトWA-GOといふ、パーカス、ディジュ、ベースのトリオ。かういふ編成でベースがどう云ふアプローチをするのか興味があったが、あらかじめ作られたバックトラックを流しながらの演奏だった。トリオだけのアンサンブルが聴きたかったワシには、少し肩すかし。でもまぁ音楽的には素晴らしかったので・・・・。ディジュが無茶苦茶うまい。

打ち上げに参加して、パーカッションの小林弌さんと色々お話をす。着眼してゐる「リズムの粋」のやうな処に共通点があり、思いのほか話に花が咲いた。小林さん、ワシの大好きな街、高円寺に住んでゐる。『東京に来た時は遊びに来い』と。

夏の九州ツアーでオファーしてゐるハコから返事がない。駄目ならダメで、早めにハッキリ云ふてもらえんと、次の対策が取れぬぢゃあないか。

22日(木)-----------------------------------------------------------------------------

最近、肩がたいへん凝る。ワシは元々「肩凝り知らず」な体質だったのだが、此所1〜2年意識してしまふやうになった。ベースのストラップに原因があるやうな気がして、少し長めに設定してみる。すると少し楽になった。ワシが使ってゐるストラップは、なんと中学生の時に買ったやつで、もうそろそろ30年選手になる。純皮製で、すでに『喰えるんぢゃないか?』といふくらいに鞣されて、良いかんぢだ。

だが、昨今は「肩凝りが非常に少ない」といふストラップも売られてゐるらしひ。古いものをいつまでも使い続けるのは、確かにワシの哲学ではあるが、新しくても良いものは、やっぱり使ふべきなのだらうな。

夜は久々(な気がする)しーなとシュウのリハ。最近、お互い忙しく、ちょいと停滞気味なのだ。が、まぁそれぞれが別々の処で得て来るものが、このユニットでガサツに融合したらオモロいんぢゃないか、とも思ふ。

23日(金)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校を3コマやった後、井口台はフレスコといふイタ飯屋さんにて、エキセントリック・リコズのライヴ、と云ふか営業。我々の演奏を含め、けふのテーマ「昭和」ださうで、さういふBGMが流れてゐる。オサレなイタリアン・リストランテに、昭和の歌謡曲などが流れてゐる、のは、なんか・・・・。

りこのオリジナルや童謡のアレンジものを中心に、45分のステージを3回、といふ結構ハードな演目だったが、メンバーがオモロイので、ライヴみたいに楽しくハジけて演れた。ベースソロもいっぱいあった。お客さんも盛り上がって、ホンマに営業ではなくてライヴのやうだった。

住宅街のど真ん中にある普通のお店で、特に防音設備とかもある訳ぢゃなく、『多分これ相当音デカいな』と思ひながら演った。まぁ特に苦情のやうなものはなかったらしひが、アンコールが来た時は、流石にお店側から『静かなやつを』と注文が入った(笑)。まぁお店からすれば、近隣から苦情なぞ来た日にゃあその後の営業にも影響するだらうし、ヒヤヒヤもんだらう。

たいへん楽しく演奏出来て、賄いの美味なるイタリアンも頂き、良い仕事。このユニットもオモロいので、またなんかの形で参加出来たら良いな、と思ふ。


5週目

24日(土)--------------------------------------------------------------------

久しぶりの丸々オフな土曜日。女房と総菜屋バイキングに昼飯を喰ひに行き、買い物もす。あとは弦を張り替えたり、練習したり、の壱日。雨も降ってゐてちょうど良い。

25日(日)--------------------------------------------------------------------

しーなとシュウ、半年ぶりのワンマン・ライヴ。デイゲームならぬデイライヴ。正午には会場のジモカフェに集合。機材搬入からリハまでが1時間半でビシっと終了する、といふF1のピットクルーなみの仕事だね。優秀なスタッフに感謝。昼飯を喰ひ、お客さんの入りを見て、予定通り15:00からライヴスタート。

午後の日射しが差し込む明るいカフェでのライヴは、満員のお客さんにも新鮮なかんぢを与えたやうで、ぢつにリラックスした雰囲気が会場を包んだ。それぞれ趣向を凝らしたソロコーナーを用意したり、未発の新曲をほぼリハなしで演ったり、と、ぢつは我々は見た目ほど楽に演奏してゐた訳ではないが、好評のうちにライヴを終える事が出来たやうだ。

ちなみにワシのソロコーナーは、久々に「唄」を唄わぬパフォーマンスでやってみた。独奏曲「アリサ」、カリンバの「Tes de taz;」、バックトラックを流しながらの「静の海に眠れ」の3曲。好評だったかどーかは分からぬが、『良くなかった』といふ声も聞かなんだので、良しとしやう。

ある種の人には来やすいのでは?といふ観点から、日曜の昼間といふ日程を選んだ我々の狙いも成功したやうで、是非また昼にやってくれ、との声も多かった。ワシらにしても、片付けて打ち上げやっても21時には家に帰れる、と云ふのは、想像以上に楽なもんで、こらえぇわ、と話す。うむ、良いライヴでした。

*この日の模様がこちらでご覧になれますよ。

26日(月)-----------------------------------------------------------------------------

新作「ゆほびか」のレコーディング作業。けふはゲストの音を録る。こちらが求めてゐるモノを他人に演ってもらふ、といふは難しい。自分は他人のそれに対して、出来るやうにしておきたい、と思ふ。

余勢をかって昨日張り替えた弦で、ベースソロのパートを幾つか録音。考へてみたら、てゆーか考へるまでもなく、このアルバムってヴァネッサ1本で録ってるんだな。けふも『ここはフレット付きのベースの方が良いね』といふ話になったが、さういふモノを持ってないのだから、ヴァネッサでやるしかない。あんまりさういふ事を売りにすは好きではないのだが、「ベースだけでこげなポップな唄ものアルバム作っちゃいました」みてぇなキャッチで

完成したら聴いて驚いてね。買ってね。

27日(火)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校の後、レコーディングの続き。けふは声を色々と録る。ブルガリアン・ヴォイスのやうなノン・ビブラ〜トのポリフォニィに挑戦してみた。ロングトーンで1分近く声を伸ばせるワシに、エンジニアから「超人だ」との声上がる。どーだ!?。

リヴ・ミュージックの楽器庫(まぁマー坊としーなさんの家だな)を探ると、なんや使われてない楽器がいっぱい出て来る。その中で、悪くない12弦ギターを発見。鳴らしてみると此れがイメェジにぴったりで、急遽これで1曲録音。複弦楽器(マンドリンとかブズーキとか、弦が2本で1コースになってるやつ)ってやっぱり良いなぁ。普通のギターと同じやうに弾いても、全然かんぢが変わる。

1曲、インスト曲をボツったので穴が空く。敢えて少ない曲数で出すも悪くはないと思ふが、まぁモノは試しに、次回なんか録ってみるか、といふ話し。

28日(水)-----------------------------------------------------------------------------

NYの街で、日本の現役女子高生のバンドが話題になってゐるらしひ。スキャンダルといふインディーズのバンドだって。へぇ〜。ネットぢゃあ自己サイトでもまだ顔出しは出来んとみえる。NYでも制服でライヴやったんださうな。へ〜〜。まぁ多分これもなんかオトナの策略の上で出来たバンドなのだらうがね。写真見た限りぢゃあ、スカートはもっと短くて良いンぢゃないか?。

制服でロック、と云へば大阪のミドリ。現役女子高生ぢゃないけど、セーラー服のミニスカで大暴れするステージが話題だったが、メヂャーになっちまったなぁ。

サイトのリニューアルを考へてゐる。ホンマは「あらまぁ!」と人に思ってもらへる位ごっそり変えたいのだが、いっぱいあるンで時間が足りぬ。日記のコーナーは人気あるらしひからこのまま行くとして、試し聴きの部屋とかって誰か利用してンだらうか?。とりあへず、最近は自分でも何処に誰のがあるんか分からんかったリンクのページを、簡潔にかつ機能的に変えてみました。

29日(木)-----------------------------------------------------------------------------

レコーディングのゲストプレーヤーとしての、箏のトモちゃんとリハをやる。彼女をゲストに迎へるは「いさよひ」。近親相姦をテーマにした暗黒系の曲だ。間(ま)だらけの曲なので、「せーの」で合わせるしかない。それをレコーディングでどんな風に録れば良いのか。まぁSoe'sで一緒に演ってるから、息は合う。これをヘッドフォンして、レコーディングルームで演れるか、だな。

ワシが『こんなかんぢで』とシンセで適当に弾いて録ったアドリヴを、全部耳コピしてくれてゐて吃驚。トモちゃん今、大学院生になったばかりで、多分無茶苦茶忙しいハズ。そんな中、真面目に演ってくれてゐて感謝である。

夜はポルトガルのファドを唄う、松田美緒さんのライヴを見にOtisに行く。初めて聴くジャンルなのだが、なんとも形容しがたい気持ち良い音楽である。バックは2本の生ギターとウッドベースのみ。4つの楽器がそれぞれ旋律を弾いてゐるやうな。流暢なポルトガル語で唄われる本場のファドナンバーの合間に入る、日本の曲やオリジナルもまた良い。

終演後、ちょっとお話させて頂いた。唄ってる時は、なにか老成した雰囲気すらあったが、普段着になった姿は少女のやうに可愛くて、たいへん気さくな優しいかんぢの女性だった。人生の半分くらいは旅をしてるんださうだ。やっぱりなぁ。良いなぁ。

あと驚いたのは、10年以上前のワシのライヴを見た事がある、といふ紳士に声をかけて頂いたこと。プレイがたいへん印象に残ってゐる、とのこと。なんとも光栄な話である。

30日(金)-----------------------------------------------------------------------------

夏のゲンタさんとのデュオ九州ツアーで、打診してゐた博多のお店から連絡が入った。これでまたひとつ決まった。博多は4度目だが、今回初めて熊本に行けるのが嬉しい。車で行って車に泊まらうかな?。電車で行くンとどっちが金かかるんだらう?。知らなかったのだが、豊田勇造さんがよく出てゐる店らしい。8月にソロで出演する今治のお店も、勇造さんつながりなのだ。旅人ってすごいねぇ。

ぱかぱか号のMIやんとまちゃあきが、ヴァイオリンとコントラバスで「擦弦倶楽部」といふユニットをやってるらしひ。ワシも入れてもらふ事にした。勿論セロで。ライヴとか出来たらオモロいだらうなぁ。なんでもまちゃあきはコンバスに入れ込むあまり、「もうギターは弾きとぅない」と発言してゐる、とか(笑)。オモロい青年である。

31日(土)--------------------------------------------------------------------

昼間、しーシュのリハ。営業仕事も増えてきたので、その分も含めて。けふの深夜は我ら、唄姫トアちゃんのバンドメンバーとして、クラブイベントなんぞといふモノに出演する事になってゐて、その入り時間までワシはヒマ、しーなさんはあとひと仕事。なのでワシは、しーなさんの下僕として送り迎えをす。待ってる間、桐野夏生の新刊「東京島」を購入して読む。

夜になってイベントの会場、チャイナタウンへ入り。けふのはダンス系のイベントらしく、まぁそのテの若者が一杯。皆たいへん奇抜な格好をしてゐて、このコら日頃は何処で何やってンだらう?と思はしむる。話してみると皆かなり真面目だし、まぁ、ちゃんと普通に仕事とかやってるんだらうな。何人か知り合いのダンサーも来てゐた。

リハから本番までの間がまた中途半端に長く、ワシとしーなさんは韓国料理店で飯を喰ってヒマを潰す。他のメンバーは飲んでたらしく、深夜0時からの本番時には酔っ払い状態。リハではまぁまぁだった演奏の出来も、粗さばっかり目立ってあ〜あ、ってかんぢ。

ワシら年寄りには、ちょっと待ってるだけ、てのも辛いくらい大音量の音楽が流れまくってゐて、明日は明日でまたFar east lounge でイベントへの出演があるし、で、早々に退散。のつもりだったがおぢさん二人に捕まり、飲みになる。3:00まで。


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