3月


1週目

2日(月)-----------------------------------------------------------------------------

何となく気分だったので、新幹線を使わずに在来線で帰る。時刻表を元にあみ出した計画では、11時名古屋駅発の快速に乗ると、4回乗り換えで20時前には広島に着けるやうだ。そのやうに行動。まだ寝てるシュウちゃんにメールだけ打ち、ひとり宿を出発。名古屋〜広島が¥8190。バスより安い。

幸いにどの乗り換えでも椅子を確保でき、ホンマに9時間かかったが、広島まで帰って来た。流石に少しシリは痛いが、全然退屈はせなんだよぅ。文庫本を壱冊用意してゐたが、結局ほとんど読まずに、づっと車窓を眺めてゐた。ようし味をシメるぞ。

晩飯は近所の居酒屋「楽」へ。家庭料理のやうな好ましい味。ツアー終了に、自分にお疲れ様を。女房にはただいまを。

3日(火)-----------------------------------------------------------------------------

暑いやうな寒いやうな・・・。花粉が酷いのでなるたけ外には出ぬやうにす。レッスン用のコピーをしたり、ツアー日記を書ひたり。

こないだ呉のライヴ後で、トレッキング靴のヒモが引っかかり、ベースを抱えたまま盛大にコケたのだが、それ以来ヴァネッサの1弦解放がビリビリ云ふ。こは壱大事か?と思ひ、ブリッヂ部分をバラして再び組み上げると、解決。致命的なものでなくて良かった。これも使い始めて18年になる。もはやワシには欠かせぬウェポンだが、もうひとつのドゥナも捨てがたい。これは22年選手。なんとなくだが、将来的にはこっちのドゥナを使って老人ベース弾き、になりさうな気がしてゐる。根拠はないけど。

4日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

宇宙人おーちゃんが広島に来てゐる。今回は行かん予定だったが、仕事が早めに終わったので、やっぱり見に行くことにす。けふはKOBAでの完全アンプラグドライヴらしひ。一旦家に帰ってチャリで出かける。

おーちゃん、今回のツアーは「天才笛吹き少年」と噂されてゐるRordくんを伴っての。なんでも若干17歳でディジュ、シャッバーバ、フリュート、ホーミーを完璧にこなす男、なのだとか。シュウちゃんとのツアー中にも、なんどかその噂を聞き、ホンマに凄い、といふハナシだったが、ホンマに凄かった。色々とディジュの演奏は聴いたけど、若い、と云ふ事はほとんど考慮に入れんで良い。素晴らしい演奏。そんな猛者だからって、別段奇抜なかんぢでもなく、見た目フツ〜〜〜〜の少年、なのがまた・・・・。ん〜〜〜世の中は広いねぇ。

おーちゃんはハングとトイピアノの同時演奏、といふ新境地を見せてくれた。このユルさは是非今後身に着けたいとこだな。休憩時間もづーっと楽器をいぢってるのは相変わらず。ダブルシュウのVを見たらしく、『今まで見た中でシュウさんが一番解放されてゐた』と鋭い事を云ふ。

日付けが変わった頃、終演。おーちゃんに挨拶して帰る。夜道をチャリで駆けながら、「解放か・・・」と考える。

5日(木)-----------------------------------------------------------------------------

映画「ミスト」をDVDで見る。

原作はスティーブン・キング。ある日急に謎の霧が街を包み、霧の中にゐる「ナニカ」が・・・・・、といふパニック・ホラー。霧の正体は「あれぇ!?」と思ふやうなオチなのだが、この映画はパニックそのものより、その極限に立たされた人間、にテーマがある。様々な人間のパタンが描かれてゐて、はぁさうだよな、と思はしむる。さすがスティーブン・キング。ただのパニック・ホラーでは終わってない。ちょいとグロいシーンが多くてアレですが・・・。

次回のなげせんライヴは、ギターの弾き語りでもやってみっか、と練習す。2時間くらいづっと唄ってた。今後、これもソロのパタンとして演ってみるかねぇ。さうなるとちょいとえぇギターが欲しくなるなぁ。TakamineのPTU-408てのが好きなんだが、誰かくれんかね?(笑)。

6日(金)-----------------------------------------------------------------------------

確定申告を仕上げる。だいぶこの計算も楽にこなせるやうになったな。しっかし今回も稼いでないねぇ〜。我ながら呆れるよ。これどーやってやり繰りしてンだらうワシ。

夜、しーなさんのソロのライヴを見に行く。メヂャーデヴーしたばかりの若手姉妹デュオMebiusとのカップリング。双方ともワシが客で来ると緊張するらしひ。来ん方が良いか?(笑)。しーなさんはユルめの選曲。ワルツで演った「異邦人」とか良かった。途中、Mebiusの久保よーへいがパーカスと唄で参加。彼、今バンドとかやってないさうな。ちょっと誘ってみやうかな?。

Mebiusの二人は、直接ではないが元生徒達で、かうしてライヴハウスでの唄なぞ聴いてゐると、妙に感慨深い。実力のある娘らなので、本音云ふとメヂャーなぞに行かずに、自力で裾野を拡大して行く活動をしてもらひたひ処だが、まぁそれは他人のことだ。ビッグになれたら良いね。頑張れよ。


2週目

7日(土)-----------------------------------------------------------------------------

クー、花粉症、今年は目に酷く来やがったな。痒くてたまらん。夜中にごりごり掻いてゐるらしく、朝方は目蓋が腫れて目が開かん。アー、早く過ぎ去ってくれぬものか。

昼過ぎからしーシュのリハ。昨日のしーなさんのソロへの感想など。ワシが感じたやうな事を、本人も感じてゐるやうで。まぁ「気付いて」しまった人間は、その十字架を背負って生くるしかない。その先に幸が待ってゐるか不幸が待ってゐるかは、終わってみるまでは分からんのだ。ワシも同じだ。だから「頑張れ」とは云へぬ。ただ、『内なる敵と闘ってゐるなら 外側の敵が入り込む余地はない』とディランも唄ってゐる。

土曜日の夜、久々にウチにゐて「野シャブ」を喰ふ。まだ鍋が良い季節だ。

8日(日)-----------------------------------------------------------------------------

東京の名門大学に合格した、といふ姪っ娘の祝いに、金壱封を贈呈す。この金を稼ぐ為に、どれだけの事が必要か、東京で独りで生きて知るが良い。まぁ相当に勉強できるらしひのでアレだが。案外あっさりとヒルズ族にでもなったりして。卒業した途端に、髪を染めピアスを開けてゐる。根性なしが。さういふ事は在学中にやれ。

遠出ついでに元の住処を見に行ってみる。まだ何世帯が住んでらっさるやうだ。てーことはこの人達は、期限内移住の特典を辞退してゐる訳か。根性入ってるな。

今年は四拾四にもなる事だし、ワシも少しはブルージィな唄でも唄いたひ、と、こないだから取りかかってゐたブルージィな曲が完成。歌詞に苦労してゐたが、あの辺見庸氏が、学生時代に投稿してボツられた作品のタイトルだといふ、『夜明けの海ごっこ』といふ言葉を知り、そっから一気に世界が開けた。云はばこれは辺見庸とワシの「共作」だ。

このテの生臭い唄が、自分にキチンと唄えるかどーかは微妙だが、まぁ頑張って唄えるやうになりたい、と、さういふかんぢ。

9日(月)-----------------------------------------------------------------------------

夜中に目を掻くからだらう。目蓋が切れて血が出てゐる(笑)。

この週末に迫った「Independent fellows」における中野木元そして梶山、のリハに入る。例によって肆、伍、陸弦のベーシストが「唄う」といふコンセプトの。けふと、もう壱日しかリハが取れぬので、無理は云ふまい、と、何も云わぬかったが、チカラさんもパイグもちゃんと新曲を用意して来てゐる。その意気や良し!。

今回はなんか時間がありげなので、陸曲演る事にす。パイグの曲が、なんと「造語」を使った歌詞。ホぉ〜やるのぅオヌシ。さぞやまた観客置いてけぼり!のライヴとなる事だらう。かうして年に弐回ぐらいでもこのユニットでライヴやれたら良いな。最終的(?)には、参人が同じベースライン弾いて、その上で参声の完璧なコーラスが乗る、といふ事がやれたら、It's OKよ。

けふの日記は漢数字にこだわってみました(笑)。「肆」は4で「陸」は6です。

10日(火)-----------------------------------------------------------------------------

ぢつはこないだのダブルシュウツアーん時、近江八幡にE-Bowを忘れて帰ってしまってゐた。のを、企画してくれた7hz tribe archestraのカゲロウくんが郵便で送ってくれた。お手数かけました。ありがとうね。彼らの中にはこれを知る人が居なくて、なんか異様なモノがステージに置き忘れられてる、といふかんぢだったらしひ。

にしても、これよく忘れさうになるんよなぁ。この時も、ライヴ中に使って、バスドラの上に置いて、んでそのまま忘れて撤収しちまった。やっぱり、いっつも使うもんでもないし、ちーさいし、てのがあってね。そして決定打は『何処にも収まりにくい』といふ・・・。なんか良い手はなからうか?。

こないだも書いたが、最近またギターを弾いてゐる。ので、しばらく使ってなかった愛器オヴェーションの弦を張り替える。良く見ると塗装にいっぱいヒビが入ってる。ふぅむ、経年で云ふとこれはドゥナやヴァネッサなど比にならんからねぇ。手に入れてもう参拾年近くになる。その間壱度もトラブルがない、つうのが、流石タフが売りのオヴェーション。まだまだ使える。よっしゃ、次回なげせんはこれで演らう。

11日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

専門学校の卒業式に出席。久しぶりに着物を纏う。はじめは何となく照れくさいし、身に馴染まぬ気がするが、すぐ慣れる。卒業式後の謝恩会も公共交通機関も、結局半日、着流しで過ごした。着物っつったって普段着なのだから、なんかの折りにゃ着れば良いのだな。

夜は謝恩会の延長、といふ名目で宴会。同じ非常勤仲間の鍵盤弾きハツミと、お馴染みパイグ、と何故か春駒のカシラ。謝恩会で13時から15時まで呑み、さらに18時から24時まで呑み、よう分からんくなった。

ハと気付くと何故か独りでラーメン屋にゐたりした。ハと気付くと蛇行しながらチャリを漕いでたりした。んでハと気付くと家に着いてゐた。ハツミ&カシラ、パイグと何処で別れたんだらう?。何を喋ったかも憶えてない。はて?。

12日(木)-----------------------------------------------------------------------------

昼まで起きれず。なんか右手の親指が腫れてゐて、痛い。誰か殴ったにしては親指てのは場所がおかしいし、ん〜〜分からんな。だがまぁ折れてはないやうだし、湿布して様子みる。声もガラガラ。さらに、ワシは酒に酔うと極端に眠りが浅くなるタチで、昼まで寝てたにしては完璧な睡眠不足。壱日ものすごい眠くてかなわぬ。何やってンだらうね?。

古い音楽仲間と偶然会った。やたら「景気が悪い」事を云ふ。まぁそら事実だからしょうがない。ワシも良くない。良いわけがない。「こんな不況時こそチャンスだっ」といふ人等も居って、まぁそれも分からんでもない。さういふ人が世の中を回してゐるのだ。だがまぁ、ネガティヴにもポジティヴにも、みんなそげな事はあんまり口に出して云うまぁや、と思ふ。自分以外の人間がどんな気持ちで生きてゐるかなど、誰にも知りようがないのだ。

広島以外の読者の方への注釈:「云うまぁや」=云わずにおこうよ、といふ意味。「〜(動詞)+まぁや」で「〜せずにおこう」といふ文章が完成する。泣くまぁや、乗るまぁや、など。軽い同調を含む表現。広島弁には珍しくやや穏やかな云ひまわし。

13日(金)-----------------------------------------------------------------------------

海外のデカい野外フェスティバルに参加する夢を見た。なんか知らんバンドの壱員になってゐて、宿泊施設に雑魚寝してゐる、といふ。んで、なんか明日の本番には、何故かワシがヒューイ・ルイスの「Power of Love」を唄う手筈になってゐて、大いに焦ってゐる、といふ。『Don't take money,だったっけ・・・・アーやっぱり英語やっとくべきだった』などと考へ、しまいには『即興にしやう!』などと云ってゐるワシであった。

夜、中野木元そして梶山、の最終リハ。まぁまぁ良いかんぢに仕上がった。しかし、弐度目のライヴとなるこのユニット。メンバー間で演れる事が分かってくると、どーしてもある種の「欲」が出て来る。大概の場合、それがバンドを面白く無くしてしまふのだ。そこに陥らぬやうにはしたいが・・・。まぁどうあがいたって、明後日には本番なのだ。

毎年恒例、五日市のさくら祭りの出演オファーが来た。昨年に引き続き、今年もしーなとシュウで受ける事にす。この祭りも、今年で8回めの出演になる。


3週目

14日(土)-----------------------------------------------------------------------------

どのやうに時計を見間違えたのか知らんが、しーシュのリハに1時間も早く行ってしまった。息子(中1。ワシに相当なついてゐる)が出て来て『3時からぢゃないん?』と云はれるまで、今が2時だと云ふ事に気付かなんだ。これは・・・・・。

昨年末、バイクを売りに出した時の写真を上手く繋いで、なんかたいへん気持ちの良いム−ヴィ−のやうなものを女房が作ってくれた。ぼくの人生からバイクが消えた日。バックに流れるソボブキ西尾賢さんの「アマドコロ摘んだ春」が素晴らしい。う〜〜〜〜む、身内を誉めるのもナンだが、良く出来てゐる。

ところで、これの関連映像で、ハーレー・ダヴィッドソンのエンジン駆動を何分かに渡ってただ映してゐるだけ、てのがある。「?」と思ふ映像だが、これにシビれる人も居るんだらうな。ハーレーのマニアなんてそんなもんかも知れんが、ワシには全く理解出来んね。

15日(日)-----------------------------------------------------------------------------

ライヴイベントIndependent felowsへの出演。けふのキャストはBARAKA、Gressive、M06、とワシら「中野木元そして梶山」。14時入り、といふ事だが、けふはパイグもチカラさんも仕事の都合で会場入り出来ず、リハなしでやらざるを得ぬ、といふ。まぁ大丈夫だらう。だが、ワシひとりヒマ人のやうで少しアレですな。

会場のばっどらんずには、引っ越して少しアクセスが悪くなった。まぁえぇか、と駅から歩いて行く。BARAKAの皆さんは岡山からの入り。既にセッティング中。前回の来広が去年の12月だったから、久しぶり、でもないな。ワシはひとり寂しく他バンドのリハを見てゐる。ヒマだ。

トップのM06は初めて見るバンド。みんなすっげぇ礼儀正しい若者で、女子もゐて、揃いのポロシャーツかなんか着てて、こらぁどんな青春ポップスを演るバンドかいな?と思ってゐたが、実際の演奏は、調弦2音下げ+絶叫×ヘッドバンキングがんがんの超ヘヴィロックだった。志は高さうなんだけど、音がデカ過ぎてなに演ってんのか全然分からん。それってどうなのかね?。

弐番手は、本番前にようやくメンバーが揃ったウチ。ベース×3のバンドたァ云へ、唄ものを演る以上は、他の二人より経験値の高いワシがイニシアティヴを取るのは当然として、けふは参声のハーモニィにも挑戦。まぁまぁ。あのヘヴィな音の後ぢゃ、さぞや浮くだらうな、と思ってゐたが、それもまぁまぁ。けふのパイグの唄はハズれまくってゐたが(笑)、まぁそれも良からう。思ったよりはづっとウケて終了。

その後のGressiveとBARAKAは、もう確固たる独自の世界観を持ってゐて、それでOK。Gressiveシヴァの、お客さんを威嚇するやうなMCは相変わらず良くないと思ふが、音楽は絶品。BARAKAの大曲2ツだけ、といふ姿勢も天晴れ。良いイベントだった。良いライヴだった。会場に女房、しーなさん、ロゥミステルのアサミちゃんが並んで座ってる姿は、なんかオモロかった。

打ち上げでは久々にシヴァと話し込んだりした。

16日(月)-----------------------------------------------------------------------------

昨年に引き続き、BARAKAとセッションしやうディ。前回はBARAKAとGressiveとウチだけでこれをやり、あまりにも楽しかったので、『次はお客さんも呼ぼう』といふハナシになった。ので今回は完全公開。出演者は勿論、観客も参加自由、てゆーか強制参加(笑)のセッションパーティーとなった。

くじ引きをして、同じ組となった人が即席でユニットを組み、なんか演る、といふ。他では滅多に見れぬ組み合わせの妙が楽しめる。ワシ、シバちゃん、マサキさんのトリオ「Rock of legend(笑)」は圧巻だった。他にも色んなレアな演奏が聴けたが、最後BARAKAの3人+ワシ+シバちゃんで演ったディープ・パープル3連発、は流石この世代のロック野郎達!といふ誇りを見せた。なにしろ全員完コピなのだ。う〜む、かういふ処で繋がってるんだな・・・。

M06の若いコらも参加して果敢にチャレンヂしてゐたが、流石にこの面子の中では手が出ぬか。頑張れ〜。

たいへん楽しかった。この友好な関係を、是非今後も続けて行きたいものだと、強く思ふ。この後九州を回ると云ふBARAKA。お気を付けて!。

17日(火)-----------------------------------------------------------------------------

休みにした。昼下がりは散歩。テレテレ歩いて目についたスーパーに入る。太刀魚の良さげなのがあったので買ったが、よう考えたら調理法が分からん。色々調べたらムニエールが美味ださうで。

DVDで「紀元10000年」を見る。全然オモロない。映画館で見んでよかったよ。

もういっちょDVDで「Rec」てやつ。撮影者がストーリィに巻き込まれるタイプの「ブレアウィッチプロジェクト」や「クローバーフィールド」みたいな。リアルパニックム−ヴィ−ってんだって。スペインの映画らしいが、このテの中ではダントツに怖かった。何度も椅子から飛び上がるくらいびっくらした。あ〜心臓に悪い。

主演のマヌエラ・ヴェラスコて女優が、なかなか良い。ちょいと出っ歯でおチチがGood(エッチなシーンはナシ)。泣き叫ぶ演技もリアルだ。本国では大人気の女優らしひのだが、日本ぢゃ聞いた事がないな。ハナシの内容は、まぁあんなもんか。しかし此所数年、『感染』ってキィワードがホラーの代表になっちまったな。

ア、太刀魚のムニエールはちゃんと美味いのが出来ました。よ。

18日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

ワシがベースで全編に参加したナカハラヒサロヲの新作「Master piece」が手元に届いた。早えぇ〜。録音から発売まで2週間かかってないんぢゃないか?。エンヂニア兼ドラムのうっちゃんこと内海正明が、ワシの希望通り『死にかけた真空管アンプの音』に作ってくれてゐる。曲によってはリズムがあからさまにズレてたりするんだが、まぁロッケンロー!ってことで(笑)。

名古屋のマミから、今度当地で一緒に演る曲のファイルが来る。なんかパソコンで曲情報のやり取りなんてハイテクな事してるねワシら、てかんぢ。今度の名古屋は「梶山シュウときしめんコネクションズ」てタイトルで、在名古屋の所縁の人達を交えたり絡めたりしながら演る予定。良いライヴにしたいな。

そのツアー前日にある「前田トア・ユニット」の譜面と音源もチェック。ふぅん。この娘って、選曲のセンスが変わっててオモロいなぁ。2曲程アレンジが必要な曲があるで、ワシが担当をかって出ることにした。

そいからレッスン、と結構音楽的な壱日だったが、レッスン中に叔父貴の訃報が入った。まぁ近年入院して、何度も『ヤバい』と云はれて、何度も持ち直してゐた人ではあるが、嗚呼、といふかんぢ。ウチの親戚は皆高齢で、いつ誰が逝ってもおかしくはないのだ。だが、ワシは親戚をほとんど把握してないので、正直、顔が思ひ出せぬ。葬儀で会おう。

19日(木)-----------------------------------------------------------------------------

3月末のツアー用バスチケットを買う。今回、色んなルートをプランニングしたが、京都までバスで行き、そこからJRに乗り換え、名古屋に入る、と云ふ形を取ってみる。全行程JRより¥100くらい安く、1時間くらい早く、少なくとも京都までは寝てゐられる。はず。まぁ何事もやってみんことには。

さういやこないだ、富士はやぶさ寝台特急------いわゆるブルートレイン、最終走行のドキュメントをTVでやってたな。ワシもづっと興味はあったが、ついに乗る機会のないまま、その歴史に幕を下ろしてしまった。これで西日本を走る寝台列車は、完全に姿を消したわけだ。代わりに幅を利かせるのは、広島〜東京間を4時間以内で結び、朝イチで行けば日帰りも可能!てことだけが売りの新幹線のぞみ。

引き替えにヒトは何を失って行くのだらうかねぇ?。

20日(金/祝)-----------------------------------------------------------------------------

叔父貴の葬儀に女房と出席。遺影を見て『あぁこの人か』と納得。オフクロの兄貴にあたる。享年89歳。戦前、戦中、戦後、を生き抜き、この世代の人間としては、桁外れにグローバルな視野を持った人だった。差別やヒエラルキーや因習を嫌い、モノ造りと読書を愛し、我を抑え、寡黙に生きた人だった。

早くに父親を亡くし、7人兄妹の長男として親代わりを務め、自分には子供を作らなかった。それでゐて、兄妹の負担になることは由とせず、早いうちから老人ホームでの生活を始め、妻(叔母さん)以外の誰の世話も受けなかった。今回の葬儀も、本人の遺志により香典は無し。年齢制限によって実現はせなんだが、人知れず「献体」の登録もしてゐたさうだ。カッコいいね、叔父さん。

その後、前田トアユニットのリハ。言葉少なに自分の意思を全うした叔父貴に比べ、このワシのなんとまぁよく喋る事よ。


4週目

21日(土)-----------------------------------------------------------------------------

14回めの結婚記念日。弁当持って動物園に行く。けふは「子供サービスデイ」とかでガキは無料。佃煮にする程の子供がゐる。その中でハイラックスやシフゾウを見る。ひつぢの毛皮を触ったりもした。天然ウール100%!。ガキはまぁ良いとして、それを操る若い大人達の無神経さには辟易す、毎度の事ながら。

爬虫類館で蛇を見て『ホラホラ見て、気持ち悪いねぇ〜』と子供より先に感想を述べる莫迦。ふれあい広場で兎に『ホラホラ触ってごらん』と無理強いする阿呆。蛇を可愛いと思ふ子供も、兎を怖がる子供も居る。真剣に象を見てゐる子供に『○◎ちゃんこっち向いてぇ、写メ撮るよ〜』と云ふ糞莫迦。

夜は焼肉に行ってたらふく喰ふ。動物園で動物を見て、動物の肉を喰らふ。正しい、と思ふ。畏まって生命をいただく、のだ。

22日(日)-----------------------------------------------------------------------------

知人の高校生(♂)から『芝居に出るので見に来てほしい』と云はれ、行く。なんも知らずに行ったのだが、関係者が知り合いばっかりだった。

アクターズスクールやTipスタヂヲの、ハイレベルな舞台を見知ってゐる身からすれば、色んな面で『ん〜〜〜〜』と思はざるを得ないステージだった。だがまぁ、3歳から70歳までの役者たちは、唄に踊りに芝居によく頑張ってゐた。市民劇団の初回公演なぞ何処も同じやうなものだらう。今後も頑張って良い舞台を作り上げてもらひたひ、と思ふ。

夜は第陸回ござしきなげせんライヴの会に出演。10年ぶりくらいにギターの弾き語りを披露す。気付いたのは、やはりギターで演ると格段に、唄が演奏が「熱く」なるのだな、と云ふ事。同じ曲でも、ベースで演るよりづっと唄に感情移入してしまふ。生ギターがさういふ事に向いてゐる楽器、なのだらう。そこら辺の道ばたでがなってる連中の唄が暑苦しいのはそのせいか、とも思ふ。

まぁ今後もちょくちょくかういふ場を見つけては、ギター弾き語りも続けて行かう。楽器や、フォーマットに制限される事なく、音楽を演って行きたいものだ。

23日(月)-----------------------------------------------------------------------------

来月はじめに、お馴染み箏のトモちゃんと五日市の植物公演夜桜会、といふやつに出演す。のでそのリハ。トモちゃんと演るのも久しぶりだ。しばらく一緒に演んないうちにトモちゃん、ちょっとばかし「反射神経」が鈍くなってるやうな気が・・・。まぁ彼女の場合、本道はその方面ぢゃないんだから、そこは仕方ないか。リハはこれ壱回しか出来んが、まぁ彼女なら本番までにしっかり「練習」してくれるだらう。

たはむれにYou tubeを検索し、キャロルの映像があったのを見る。エーちゃんも内海さんも若い。まづ驚いたのは、思ったよりづッと演奏が上手い、と云ふこと。この時代、TVの歌番組で「くちパク」や「てパク」などあるはずなく、実際に演奏し、唄ってゐるのだが、これが相当に上手い。何故かジョニーの居らん3人編成だが、汚連痔連痔や愚例などよりはるかにグルーヴィーだし、ハーモニィも完璧。

何より印象的なのは、戸惑う観客(このテのモノはそれまで無かったのだから当然)に影響される事も無く、きっちりと熱く演奏し、なをかつ深々とお辞儀をするメンバー。本気だ。彼らを「不良ロックンロールのイノベーター」として、後の時代いくつものフォロワーが出たが、ここを理解してないからダメだったのだ。ん?まさかこれ読んでるヒトでキャロルを知らん人は居らんよね?。知らん人の為に。

24日(火)-----------------------------------------------------------------------------

向いのおじーちゃんに『アンタぁいっつも(家に)居るが仕事しとるんかいの?』と云はれた。まぁ確かにこの歳の男が、昼下がりに買い物なんぞしとれば、疑問に思ふフシもあらう。説明するのもめんどくさいので『夜に働いとるんですわ』と応えておく。まぁ嘘ではない。

昼からスタヂヲに入り、ソロの練習を2時間程やる。新曲「夜明けの海ごっこ」を色んなヴァージョンで演ってみる。この曲、しーシュではまだ練習段階なのだが、こないだギターの弾き語りヴァージョンで、なげせんライヴで演った。ベースの弾き語りでも、まぁ悪くない。

ワシは出来た曲を、まだこなれてない、てゆーか完成してないうちから割とぽんぽんライヴで演る。そして作る曲は別に「何々用の」とか決めておらぬ。さういふ行為は、人からすれば節操がないやうに見へるのだらうな。まぁ確かに節操はない。

25日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

先日、ライヴで久々に「アリランの唄が聞こえるか」を演った。これはまだ春駒のカシラとワシがSouth side avenue bandとして活動してた頃、「38度線」といふ唄を作ってゐる時、サビの歌詞「アリランの唄が聞こえるか」といふ部分にヒントを得て、カシラの許可をもらひ、ワシなりの別の曲として完成させたもの。『脱北』といふテーマを特定して切り込んだカシラの「38度線」に比ぶると、ワシのはもっとグローバルに『対立と和解』をテーマにしてゐる。

オモロイのが、サビ以外は全く別々に完成されたはずのこの唄で、二人とも歌詞の最終稿あたりで、「あなた」と「ぼく」が「巡り会う」のだ。不思議な符号である。

いつか自由の広場で

もう一度君に出会えたら

あの日言えなかった事を

君に伝えるよ

果てなき歴史の先で

あなたと巡り合えたら

くちづけを交わそう 

おとぎ話を捨てた 世界の為に

で、これを演った後、若いお客さんから「アリランって何なんですか?」と訊かれて、嗚呼、と思ふ。

かくも時代は流れつつある。ワシは唄や曲の内容につひて説明する、といふ事を極力避けてゐる。しかしこの唄のやうに、明確な意思を持ったものには、ある程度の解説はやはり必要なのか?とも思った。まぁこの時のやうに訊かれりゃ答えるのだが・・・。

26日(木)-----------------------------------------------------------------------------

新居に引っ越してから、といふ訳ではなからうが、ここん処とみに購買欲が失せてゐる。こないだようやく文庫本を壱冊買ったが、CDはもう2ヶ月買ってない。楽器や機材に対しても同じで、もはやワシの人生で必要なものは全て持った、といふ気さえしてゐる。

ある場所で出会った老人は、「ワシはもう新しいものは要らぬ。若い頃に読んだ書をもう一度読み返すだけで、残りの人生は事足りる」と語ってゐた。ワシもさういふ「精神的な成熟」を目指さう。今持ってる楽器と機材とCDと本だけで残りの人生を醗酵させてゆくのだ。素晴らしい。

しかし練習してゐて、フと、ヘッドレスのネックにしてセミアクースティックのボディのベースを作らば、コンパクトさと音質双方の問題点をクリア出来るのでは?と思ひ、新しい「梶山シュウモデル」を特注する、といふ思ひが浮かんだ。嗚呼ニンゲン。

ツアー前最後のレッスンが終了。レッスン鞄をツアー鞄にシフトす。まぁいつもの荷造り。ちょいと暑いんか寒いんか分からん気候なので、服のチョイスが難しいな〜。

27日(金)-----------------------------------------------------------------------------

前田トア・プロジェクトの営業。なんか「パーカッションのみで何曲」とか「パーカッションと某のコラボ」とか、主催者の云ふてゐる事がトンチンカンでよく分からんかった。が、どうもあちらさんは「パーカッション」といふのはバンドの名前だと思ってゐた模様。何度もイベントを手掛けてゐるのにこの無知ってどうよ?。

してその本番も、詳しい出演時間を誰も云いに来んかったり、スタンバってる時になってプログラムを変更してきたり、いざステージに上がると誰も仕切ってなかったり、お茶のひとつすら出る気配もなかったり、とまぁそげなかんぢ。別に「優遇」を期待する訳ではないけどねぇ。何度もイベントを手掛けてゐるのにこの手際の悪さってどうよ?。

まぁお客さんは、思ったよりちゃんと聴いてくれてゐた。我々の演奏も、マトモな音響設備もなかった割にはまぁまぁだった。

でも、かういふ手際の悪いプロモーターに限って、てゆーかさういふプロモーターだからこそ、なのか、「東京で活動してる」とか「某ホールでコンサートした」とかいふ触れ込みを最重視するんよな。結構世の中は、かういふ「浅い」人達の処で廻ってゐるのかもしれん。悪い人では無ささうだったから、やっぱりただ単に「世間知らず」で「不器用」な人なのだらう。合掌。

さて明日からツアーです。


4月へ