7月


7月

1日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

ツアーも近いし、急遽弦交換。今年に入ってからまだ1回しか換えてないな。

んで、フタコブ・リコズのリハ。今回「ヒトコブコーナー」もあるさうで、ソロがひとつ、リコとのデュオがひとつ、ある。リコ的な考えでは、ワシのニッチはベーシストではなく、「梶山シュウ」といふモノひとつで「シンセ」のニッチなのださうな。なるほど。まぁ自分でもそのやうなモノになりたいな、と思ふ。

2日(木)-----------------------------------------------------------------------------

「キセキ」だの「ココロ」だの「キズナ」だの「ヒトヒラ」だの「イノチ」だの「ハナビラ」だの「パァップ」だの、日本語をカタカナで表記し、悦に入る行為が餓鬼の間で流行ってゐるらしひ。友人によれば、さういふ唄が、まぁ贔屓目に云って『無茶苦茶流行ってゐる』のださうだ。

んで、仕事の為にちょいとコピーせんければならん曲があるのだが、歌手名が「シジミジル」ぢゃげな。これ真面目にやってンのか?。「さなぎ汁」ってバンド作りたくなった。メンバー募集。素人不可。

名古屋リトルビレッヂのマスター、谷口幸至朗さんから電話。今週末、三重県は菰野町といふ処でライヴをする。で、その帰りに名古屋まで寄って、ちょっと呑もうか、といふハナシだったのだが、急遽パーティーが入り、そこで少し唄って行かぬか?とのお誘ひ。夜行バスが出るまでの間ならば全然オッケーなので、是非に、と了承。オモロい展開になってきた。

3日(金)-----------------------------------------------------------------------------

けふはフタコブ・リコズのライヴ。その前に専門学校授業3コマ。会場入りまでに時間があったので、平和公園をブラブラしてたらディジュリドゥの音が聞こへ、なんぢゃろか?と思って行くと、ホンマもんのアボリジニのプレーヤーが吹いてゐた。なんかさういふ催しらしひ。

さて会場のカポネに入り、サウンドチェック&リハ。こないだのこのトリオはあくまでも営業だったので、音は控えめだった。けふはまぁワンマンなので、そこら辺は遠慮なしに。ギターもベースもデカいデカい。ワシもりこの曲はだいぶ慣れた感あり。だが、変なコード進行はやはり憶えにくい(笑)。

(全員が)本番前にワインだのを呑んでしまったせいか、今一つ集中し切れず、そのかんぢが最後まで続いてしまった、といふライヴとなってしまった。ステージが暗くて譜面が読みにくかった、といふのも言い訳か。もう少しマトモに演れるはずなんだが・・・といふかんぢ。お客さんはけっこういっぱいで、それなりにウケはしたのだが、ワシとしてはイマイチな気分。まぁしょーがないか。

ソロでは「月のチャクラ」を演り、えらいこと会場がシーンとしてしまった。場違いフォー!!でしたか。あと、けふはえへくたーを色々使ってDJのやうな役割も果たした。これもまぁワシの「技」のひとつやから。

明日は三重県で、出発が特別早い訳ではないのだが、まぁ、そこら辺はアレで、打ち上げを途中で抜けて帰った。ん〜〜〜〜疲れてゐる。


2週目

4日(土)-----------------------------------------------------------------------------

ワシの日誌等ではお馴染み、東京の宿主「りょーこ」こと久保田涼子が運営するクリエーター集団「ROOT」が、三重県は菰野町千草といふ処で「どんちゃん祭り」といふのを企画した。のにソロで参加。三重県・・・・、名古屋に近い、てのと鈴鹿サーキット、ぐらいしか思ひ浮かばぬ所だ。

りょーこが手配してくれた旅券と企画書を頼りに、まづ名古屋駅でトミ藤山さん夫妻と合流。そっから色々と乗り換えて、近鉄湯の山温泉駅へ。ROOTの連中は午前中から会場入りして、地元の幼稚園児を巻き込んだイベントを、既にはじめてゐるらしひ。トミさんのバックメンバーとして名古屋から先入りしてゐるマミにピックアップしてもらひ、会場の「釈迦の隠し湯 三休の湯」へ。

辺り一帯「もののけ姫」の世界。かなり山深い場所の、さらに山の上、舗装路も終わり、砂利道をしばらく上がった高台の上、に三休の湯がある。もう少し行けば霊峰鈴鹿山脈だ。この小さな温泉施設の玄関を使ってライヴを演るらしひ。さういや先日、ダブルシュウ・ツアーでお世話になった、滋賀県の7tr tribe archestraの連中がここでセッションのやうな事をした、といふ記事を読んだな。ワシもけふはそこで演る訳だ。やはりそのダブルシュウで知り合った、この地の音楽家尺八みかんさんの音響で・・・。ん〜〜〜なんとも、縁は不思議だ。

リハを演り、メシも喰って、日が沈みはじめる頃、ライヴがスタート。地元のジャムバンド「チャベスの煙」サイケでトランシ−なステージに引き続き、ワシのソロがスタート。想像以上に沢山のお客さんがゐて驚く。MCもあんまりやらずに思い付くママを40分、だーっと演った。演ってるうちに完全に日が沈み、十三夜くらいの月がステージの上あたりにぽっかり浮かび、ぢつに妙なる光景だった、らしひ写真館参照。お客さんにも大ウケ。それほど数を持ってった訳ではないが、CDが全部売れた。う〜〜〜ん、ありがたいねぇ。

その後トミ藤山さんのライヴ。ピアノにマミ、ベースに涼子バンドのタケっち、を従えた貫禄!のステージでかなり「押し」の1時間。最後はワシも鍵盤で(!)参加。ナイスな企画のナイスなライヴが終了した。良いイベントだった。

終演後は当然、温泉に入った。ライヴを見てくれたお客さんも当然、温泉に入る訳で、風呂の中で色んな人に『素晴らしかった』と云ってもらへる。全裸の男同士のコミュニケーション(笑)。いや〜〜〜オモロい。

三休の湯マスター、帰り際には、燻製やおにぎり、売れ残りのビールなどを全部持たしてくれる。感謝。ライヴ会場近くのキャビンを借り、ROOTの連中と打ち上げ。創造力にあふれる若者達との、碎けた会話にビールが進む。やがて男女区別なく雑魚寝。いっぱい人が居過ぎて名前が憶えられへん。

5日(日)-----------------------------------------------------------------------------

野鳥の声でさはやかに目がさめる。山の朝だ。

近くの清流まで行き、思ひ思ひに寛ぐ。靴を脱ぎ、流れに入り、河原石に座る。どうやらさういふ事をするのは広島人の特性のやうだ。東京の子らは川に入りこそするが、脚を浸すまでには至らぬ。だが広島出身のりょーこ、その妹&母、マミなどは、何の躊躇もなく、靴と靴下を脱ぎ、ズボンをめくって川に入る。なるほどねぇ、と思ふ。

キャンプ場のサイトを借りてバーベQ。尺八みかん氏のあざやかな火裁きで見事な炭火が出来上がり、やはり此所でも何故かワシが料理担当となる。いっぱい喰っていっぱい呑み、いっぱい煙を浴びた初夏の昼下がりであった。

昼過ぎの湯の山温泉駅で解散。東京組は新幹線で、ワシは東山線で今池はリトルビレッジへ。常連のお客さんがこのたびけっこうな大手術を受ける事になり、その激励会に是非唄を、とのことで、マスターの幸至朗さんと初デュオを。ソロコーナーももらひ2曲ほど演った。幸至朗さんとのデュオは想像以上に上手く行き、これは是非別の場所でも、と云ふハナシになる。実現したら素晴らしい。といふより、さういふ風に演って生きて行く事こそが、ワシの人生のテーマなのだ。ワシはさういふモノになりたいのだ。

23時に名古屋駅を出る夜行バスで広島へ向かふ。バスは結構空いてゐる。のに、よりによってワシの隣に、なんか気色の悪い兄ちゃんが座ってゐる。触った神は大きなタタリ、なので消灯の後、こっそり後ろの空いた席に移った。

6日(月)-----------------------------------------------------------------------------

ヌ〜〜〜〜、夜行バスの旅にはだいぶ慣れた気でゐたが、今回は寝られんかったなぁ。揺れも音も気になり、ほとんど一睡も出来ぬまま広島へ。通勤通学の朝ラッシュと重なってゐる。ワシもこのまま専門学校に行くかどーか迷ったが、一旦家に帰る。

チャリで出直して学校へ。生徒には悪いが、授業中3回ほど夢を見た。半ドンで上がり、つつ井食堂で昼飯。コロッケ定食を頼んだが、噛んだ途端、コロッケの中から灼熱のペーストがあずり出て来て、口腔を大火傷。レンヂでチンはほどほどに頼んますよ〜大将。

夕方まで寝る。夜は女房と待ち合はせ、居酒屋「あきんど」へ。

7日(火)-----------------------------------------------------------------------------

ワシが10歳の時に買った文庫本で、E.R.バロウズ著『時に忘れられた世界』といふのがある。もう表紙もなくなって、紙もまっ茶ッ茶に焼けてしまってゐるが、何故か捨てずに持ってゐる。多分、持ってゐる本の中で一番古いものだらう。これ、たしか三部作のうちのひとつだったよな、と思ひ、フと続きが読みたくなった。ので尼存にて購入。二部作『時に忘れられた人々』、完結編『時の深き淵より』。はァ、かういふ方向に進むのか!?、といふ、35年めにして初めて知る事実。

バロウズは「ターザン」シリーズの作者。ちょいとマニぃ所では「ペルシダー」シリーズとか・・・・。ワシはSF好きの子供だったが、メカや最新科学ではなく、かういふ「秘境もの」SFに強く惹き付けられるタイプだった。コナン・ドイルの「失われた世界」なんて、何編の訳書を読んだ事だらう。

かういふのの挿絵って、かならず綺麗な女性がビキニで描かれてあったりして、子供心にそれがエ

8日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

朋友、藤井政美がブログを始めた、とのこと。FMなどで持ってゐた番組のパーソナリティとしてブログを書いてゐた事はあるが、個人的に持つのは初めてださうだ。文章力のあるヤツなので、楽しませてくれるだらう。

そのマサミとやる、Soe'sの久っっさしぶりのリハ。考えてみれば、リハをやるのは昨年11月、アロンソのツアーに出る前以来。音を出すのも昨年末以来。今年初顔合わせにもなる。ちゃんとしやうよリーダー、て所ですな。けふはレパートリィを思ひ出す練習。1曲1回づつで、全部演り終えるのに2時間かかった。けっこうオリジナルも貯まってゐるのだな。またライヴを打っていかねばな。

パイグがえらいこと痩せてゐる。どうしたのか、と訊くと『ビールをやめて焼酎にした』とのこと。つーことは、あの肥満はすべてビールだったのか。ビール恐るべし。

9日(木)-----------------------------------------------------------------------------

朝、リコから連絡があり、以前エキセントリック・リコズで共演した岩瀬立飛氏(Dr)と、かねてよりリコから、ワシと音楽性のベクトルが似てゐる、と聞いてゐたベーシスト、八尋洋一氏が来広してゐる、と。たっぴーこと岩瀬氏がたいへん印象深くワシの事を語ってくれたやうで、八尋さんがワシに興味を持ってくれた様子。

そらありがたい、とか、紹介したい、とか、云ってるうちになにやら飛び入りするハナシになって来て、タマタマけふはレッスンが早く終わる日だったので、気が付けばベース持ってジャイヴに向かってゐるわたくし。

ライヴは深井克則(pf)八尋洋一(ba)岩瀬立飛(dr)小池修(sax)のトリオ+1。強烈なラテンジャズのオンパレードで、深井さんのパーカッシヴなピアノが凄い。考えてみれば客として見るのは初めて、のたっぴーの凄まじいドラムにも改めて驚愕。こんなすげぇドラマーと一緒に演ったのだな。そして、八尋さん!!。

リコがあーやこーや云ふのに納得。4弦で19F、といふシムプルなベースの、もうありとあらゆる所を使ってのプレイは、確かにワシが演りたい「音楽の拡大のためのベースプレイ」そのもの。加えてヴォイスの使い方やリズムのアプローチなど、当然、技術は遥かに先の方を行っておられるが、ホンマにシンパシィを感じずにはおれぬベーシストだった。

そしてこの3人+小池さんのサックスが、グルーヴしまくるのなんの!。おいおい、これに入るのかよワシ、てかんぢ。

アンコールの壱曲で呼び込んで頂いて参加。八尋さんのリクエストに応えて、じょんがらベースでソロ。もうやるしかない、て事で、まぁハジけまくって弾きまくり、まぁそれなりにウケ、終わった時には右手の感覚がない程。はぁ〜〜〜〜あ、もっと練習します。

終演後はお互いの好きなベーシストや音楽などにつひて語り合う。八尋さん『近いうちにベースデュオでもやんない?』と云ってくれる。目眩を覚えたわたくし。リコも交えたピアノ+ツインベース、とか妄想は溢れ続け、最後に八尋さんと連絡先を交換してお別れした。良い夜だった。

引き会わせてくれてありがとう、リコ。

10日(金)-----------------------------------------------------------------------------

右手がぶんぶんに腫れてゐる。叩きまくってたからなぁ。ベース大丈夫やろか?。

昨日のやうに、テンションも技術も高いライヴを生で見ると、『もっとちゃんとしなければ』といふ気持ちが突き動かされる。チャーチ・モードのスケールすら憶えられない生徒達に「こんな事で足踏みしてる場合ぢゃないんだよ」と云ひたくなっても来る。さういや昨日ライヴの後、「祈り部」のベーシスト、ナベちゃんと会い、「おたがいもっとちゃんと演んなきゃいけないね」などとハナシをした。

さう、ちゃんとせねば。世の中には、はるかに高い次元を楽々と旅する人達が、まだまだ多くゐる。

先週金曜日のフタコブ・リコズからけふまで、なんか今週は怒濤の感あり、だった。とてもくたびれてゐて、珍しくTVを見ながら眠りこけてしもた。


3週目

11日(土)-----------------------------------------------------------------------------

我らがPICOが3周年を迎えた。

当然、周年記念ライヴに参加。何時に、どのやうにして始まるのか、など、誰も、何処にも告知されておらず(笑)、まぁなんとなく19時に行ってみたら、大体早めに来さうな人達が集まってゐた。21時くらいにかけてぼちぼちお客さんも揃い始め、このテのイベントには珍しくFar east loungeがオープニングを務める。久しぶりのFar eastだったが相変わらずバッチシ。リハをせぬ、どころか、最近はライヴ以外で4人が顔を合わす事すら珍しい(笑)が、よくもまぁこんだけの事が出来るよ、と思ふ。

それでアガったせいか、けふの出演者は全体的にかなりテンションの高い、ノリノリのライヴが続いた。ワシはしーシュと、前田トアちゃんのユニットにも参加。しーシュなど大盛り上がりでアンコールまで来る。いつになくワシもアゲアゲで、後で若い衆に『シュウさんてあんなにノリノリの人でしたッけ?』などと云はれる始末。すこしハシャギ過ぎました。

思へば3年前、オープン記念ライヴのトップバッターがワシのソロで、しーなさんが、所謂「セッション」的な事に顔を出し始めたのもその時だった。3年で色んな事が変わったり、変わらなかったりした。ある人は去り、ある人は加わり、居続ける人、居なくなる人、それでもPICOはあり続けた。店主のツンちゃん自身『まぁ半年も続きゃあエェかの?』などと云ってた店。だが、既に広島のアングラ界には無くてはならぬ存在となった。

おめでとう、ツンちゃん。これからもよろしく、です。

ライヴが終わった後もごぶごぶ呑み続け、帰ったのは4時過ぎだった。日頃は12時には寝る男が。

12日(日)-----------------------------------------------------------------------------

休みなので終日のんびり。

昨日、カシラが伴侶のオタマちゃんとデュオで演った新曲「向日葵」を思ふ。素晴らしい曲だった。改めてこの、学問的な音楽知識をほとんど持たない男の、ソングライティング能力に戦慄を覚える。癪に触るのであんまり誉めたくない(笑)し、カシラもワシに誉められたぐらいでは嬉しくはないだらうが。

彼が新曲を演る時に必ずやる、長い解説(そんなモノは要らん、といつも思ふのだが)があったが、そげなモノを聞くまでもなく、その曲が何を云はむとしてゐるのか、はっきり分かった。ワシの目の裏にありありと鮮やかなひまわりとその情景が浮かび、不覚にも涙が出さうになった。曲が、唄が、その力を持ってゐる。

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たしかに名前 呼ぶ声がしたの 後ろ振り向いて そこで目が覚めた
気配の先は 庭の向日葵 背筋を伸ばして 午後の陽射しに揺れている
私をおいて逝った あなたが迎えに来たのでしょう

8月のあの日から
歌はずっと 途絶えたまま 聴こえない
命閉じれば 庭に埋めて欲しい あなたと同じ 花に生まれ変わりたい         『向日葵』三代目春駒小林一彦

『伝えたい事』などと莫迦な事を考えねば唄が唄えぬ者よ、この唄を聞くが良い。

13日(月)-----------------------------------------------------------------------------

なんかものすげぇ暑いな。風が全然吹かぬ。

今年はじめに引っ越して、まぁ初の夏を迎える訳だが、この家にはエアコンが付いてゐる。結婚14年めにして、初めてエアコンのある暮らしをすることになる。が、なんとなく「灯けたら負け」のやうな気がして、暑くてもガマンす。

14日(火)-----------------------------------------------------------------------------

けふも暑いが、昨日よりは風が吹くので過ごしやすい。

日曜日の日誌で『向日葵』の歌詞について触れたが、ややシンクロぽい出来事が。

友人が、『お気に召すのでは?』と紹介してくれた音楽(歌手)が、ワシ的に完全にNG。ワシにとっては『最後まで使うべきでない』言葉が安易に(しかも多量に)使われてゐて、それだけでワシはアウト。友人には逆に、『何故ワシがこれを気に入ると思ったのか?』を訊きたい。そっちに興味がある。

15日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

車検。ハーこの車(にっち)も4年目。ローンは終わったんだっけ?。

さすがにあちこち傷んでゐた。検査&修理費で伍萬以上かかっちまった。しばらく前から運転席側のスライドドアが開かなくなってゐて、しかしそれを治すとさらに壱万円以上かかると云ふので、そのままにす。後部ドアが開かんくらいで死にはせん。にしても、なんか応対がイマイチなお兄ちゃんだったな。良く見ると「実習生」といふ名札が。

夜はヲルガン座へ、AOI、といふグループのライヴを見に行く。石橋英子さんといふ、その世界では著名な前衛歌手と、シシリー出身のジャンニ・ジェビア(sax)、ダニエレ・カマルダ(ba)、のトリオ。ダニエレはマイスペェスのフレンドでもある。英子さんは、チョイと井上和香似の美形女性。

音楽はたいへん前衛的なポップス、といふかんぢ。ノレる要素は全く無く、静謐で繊細な音楽。だが、シシリー組の二人が凄い。ダニエレのベースは特に強力。Hi-Fの6弦ベースで、およそ思い付く限りの色んな技を駆使して、音楽を拡大する。ベースと云ふよりはバリトンギター、だな。

ライヴ中はちょいと神経質さうな人物に見えたので、どーしやうか迷ったのだが、終演後、思いきって話しかけたらけっこうフランクなお兄ちゃんだった。ベースのこと(かなり特殊なベースであった)など丁寧に教えてくれ、『ぢつはあなたとはマイスペースのフレンドなのだ』と云ふと、しばらく考えた後『あのフレットレスで唄う男か?』と。握手を交わし『君の音楽は美しい』と。世辞だとしても嬉しい。

ちゃんと頑張らねば、ね。

16日(木)-----------------------------------------------------------------------------

夢を見た。

臆病で卑怯、といふワシの欠陥は、ある意味ワシの本質なのだらう。だからせめて「嘘つき」にはならないやうにしたい、と思ってはゐる。ワシはいつになったら「本当に強くて優しい」人間になれるのだらう?。

17日(金)-----------------------------------------------------------------------------

こないだのダニエレは、ホンマもんの旅人のやうで、しばらくNYにゐたかと思へばインドへ行ったきり2〜3年、なんて事がザラにあるのださうだ。

ワシの友人にも、フと思ひたって独りで地球の裏側まで行ってしまふ人がゐる。そのフットワークを前にして、とても自分の事を「旅人」などとは語れぬ。いつか本当に、ベース壱本担いでフラリと地球の裏側まで行ってしまへる人間になりたい、と思ふ。

九州ソロツアーの全日程が決定。バスを最大限に使ひ、経費削減を目指す。


4週目

18日(土)-----------------------------------------------------------------------------

最近、お互いがとても忙しく、週末の定例リハが出来ぬしーシュ。けふようやく2時間ほど二人のタイミングが合い、リハす。なかなか物忘れが激しいしーなさんに笑ひつつ、新曲なども。

オルカ団時代の曲をリバイバルさせんとしてゐるが、当時の楽曲の完成度には、我ながら感心する。これホンマにワシが作ったんかいな?と思ふほど。思へばS.Y.U.K.時代に培った演奏と作曲の技術が、我知らず持ってゐたポップセンスと、キレ〜に融合してゐて、なをかつそれを具現化出来るメンバーに恵まれてゐた時期だったのだらう。『人生最後にして最愛のバンド』と思ってゐたが・・・・。

しーシュリハ後も独りでソロの練習。明日は東城町は帝釈峡といふところで野外ライヴらしいが、雨降るンとちがうか?。

19日(日)-----------------------------------------------------------------------------

雨(笑)。

帝釈峡まほろばコンサートと銘打たれた野外ライヴ。晴れてゐたら、日射しを遮るもの皆無、のフィールドコンサートだと聞いてゐた。主催者は『自分の企画するイベントは絶対晴れる』といふのが誇りだったさうだが、ワシの雨男パワーの方が強かったらしひ。すいませんね、ホンマに。

高速道路に乗って2時間弱。一般道に降りて約30分。山道をづんづん上がる。後続も先行も、対向車もいない。ホンマにこんな所で良いんかいな?と不安になるやうな山の中。の雨天特別会場は小学校の体育館だった。対バンはオールディーズバンド。メンバーは、ほとんどが知人。しかしオールディーズのバンドと、ワシのソロの2本立て、ってどんなコンサートや?とも思ふ(笑)。

あいにくの天候にも関わらず、ライヴ開始時間には結構沢山の人が体育館に集まる。主催者の挨拶の後、まづ、けふ雨を降らせてしまった事をお詫びしてから(?)、ライヴをスタート。いつものかんぢで演る。お客さんの8割は高齢の方々。まぁそれは初めての経験ではないし、べつにどうもないのだが、なんか「遠い」な。同じくらいの年齢層を相手にした同じやうなシチュエーションだった、こないだの三重県とは、全然違う反応。ウケてない訳ではないのだが。なんかただ「見られ」てるかんぢ。ウーム、なんなんだらうね?これ。

でも主催者はたいそう気に入ってくれて、別口でも是非東城に呼びたいので、名刺をくれ、と。

それにしても暑いステージだった。去年の宮崎、商店街のアーケイドで演った時に匹敵する蒸し暑さ!!。演りながらぼたぼた汗が流れ、目に入り、指が滑る。ケツの穴まで汗でびしゃびしゃになった。対バンの唄のおねぃさんは、この蒸し暑い会場を走り回り、お客をノせ、踊り、踊らせる天晴れなパフォーマンス。お見事!。バックのメンバーももう少しノっても良いんぢゃないか?。

ぢつは高速道路があんまり好きではないので、帰りは下道を通る。景色の良い田舎道をのんびり「にっち」で行く。浮いた高速料金でビールと冷酒を買って帰った。

20日(月/祝)-----------------------------------------------------------------------------

夜半からものすごい雷がドガドガ鳴りはじめ、オモロいのでづっと外を見てゐた。雷光に一瞬浮かび上がる外の景色の、なんと凄い事。

夜が明けても雷は鳴りやまず、当然ヂョギングも出来ぬ。ので、かねてよりの目標だった『晴耕雨観』にす。DVDで「復活の日」を見る。小松左京原作、1980年作品。監督は深作欣二。音楽がテオ・マセロだったのね。ちゃんと南極でロケしてるし、凄いカネがかかってる映画だ。この頃の角川映画はマトモな物を作ってたのね。草刈正雄も渡瀬恒彦(演技ヘタ)も夏八木勲も若い。多岐川裕美のナース姿がなかなか・・・。

この映画で凄いのは、ラストで主人公が、人類が死に絶えた世界を、アメリカから南極圏まで『歩いて』帰りつく、といふくだり。地図観て知ったが、確かに陸続きなんだね、南北米大陸って。

21日(火)-----------------------------------------------------------------------------

上がったかに見えた雨だが、また朝からけっこうな雨。専門学校、夏休み前最後の授業だ。しかし予定表を見てみるに、今週末から8月終わり頃にかけて、週末には全部ライヴだのイベントだのが入ってゐる。夏休みと云っても休む訳ではないのだ。

夜はSoe'sのリハ。パイグが新しい6弦ベースを買って来た。パイグは以前、他のベースも使うべきかどーか?のやうな事をワシに相談して来た事があり、その時には『プロになって以降は6弦以外弾いた事がない、といふ人生の方が格好えぇぞ』とアドバイスした。そのやうに生きてゐるやうだ。良い事だ。

このパイグとのちょっとした約束で、ワシは今後も4弦のフレットレスしか弾かぬのだ。

22日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

日中、買い物に行かんと外に出た。

なんか晴れてゐるのに異様に暗い。影が薄く、なんか角膜収縮剤の目薬を注した時のやうに、景色が沈んでゐる。うゎ何コレ気持ち悪い天気やな〜、と思ひ、用事を済ませて家に帰る頃、ハと気付く。あ、日食か!!。

な訳で世紀の天文ショーも、浮き世離れした身にはなんちゃなかった。インドでは日食は「凶兆」とされ、大騒ぎだったとか。ヒンドゥーは太陽を拝むからねぇ。

専門学校の懇親会、といふのがあった。普段あまり交流のない、他所の科のセンセイ達とも接しませう、といふものだが、結局は気心の知れたもの同士で呑む。

23日(木)-----------------------------------------------------------------------------

悪意がある。

それは悪意などではなく、ただの「想像力の欠如」に過ぎないのだが、もたらされる結果は、悪意を持ってなされた事と同じだ。さういふ事に我知らず自分も加担してゐる。ほとほとさういふのに疲れて来た。

夜はボイラーズ、といふテューバとドラムスのデュオユニットを見に行く。即興、といふものを極限まで追求した二人の音は、流石に嘘がない。完全な「覚悟」の音である。この音が今のワシに出せるか?と問はれたら、答えに窮する。さういふ覚悟がほしい。

24日(金)-----------------------------------------------------------------------------

お久しぶり、の安芸楽団ライヴ。昨年に引き続き、石川島播磨重工岩国工場の夏祭りゲストだ。会場入りから本番までの間に、ペットボトル5本以上カラにするくらい暑かった去年(同じ時期)に比べ、けふは雨も降ってゐて、上着が要るんぢゃないか?てな位の陽気。

お客さんも去年は、暑くてビールがじゃんじゃん進み、前に出て来て踊ったり、とか、えぇかんぢでライヴにノってくれたが、今年は雨よけのテントの中でぢっと見てゐるしかなく、あと一歩盛り上がれぬ。ウチら楽団も、ライヴ自体が久しぶりで、流石に演奏もカタい。ヌ〜〜〜〜、惜しいなぁ。

しかし安芸楽団、アルバムも完成し、今後はこれを元に活動基盤を拡げて行かんければ、といふ段階だ。がんがん色んな所に出て行くがよろしい。都合が合う限り、ワシも加担させてもらふつもりだ。

対バンをやってくれたイキなブルーズバンドのギタリストが、ワシの「夜明けの海ごっこ」をカヴァーしたい、との事で歌詞とコードを進呈す。とても嬉しい。

ライヴが終わった頃から、ちょいと雨が洒落にならぬくなって来た。てゆーかヤバいくらいの大雨&雷。滝のやうな大雨の中、撤収作業。打ち上げも中止となり、各自で撤退す。が、帰りの道が完全に冠水してゐて、ヤバかった。マンホールの蓋がぷかぷか浮いてゐる!。明らかに排ガス口より水位が高い!。こんな所で停まってしまったらアウトだ。ガーガー云ってる「にっち」をなだめすかしながら走らせ、なんとか難を切り抜ける。その頃には山口県東域に大雨警報が出てゐたらしひ。

はー、さすがにちょいと怖かったな。


5週目

25日(土)-----------------------------------------------------------------------------

各地が豪雨でたいへんな事になってゐるが・・・。ツアー中に昨日のやうな雨が降ってしまふと、もうどうにもならんだらうな。いつもはベースの他に2ツの鞄を担いで旅をするのだが、今回は防水スーツケースを使ってオールインワンで行かうと思ふ。重いけどしょうがないね。

夜、知り合いの出てゐるライヴを見に行く。ビートルズのコピー。素人だがえらい上手な人達であった。おもろかったのは、ライヴが終演してものの10分も経たぬうちに、お客はおろか出演者まで全員帰ってしまふ、といふ(笑)。ア、でも普通の社会人バンドのライヴってこんなんかな?。

外に出てみるとものすごい雨が降ってゐた。ので、タクシーの運ちゃんをやってゐる友人に電話して(ラッキーにも勤務中)、会場前から家の真ん前までの送迎を頼む。とても助かった。

26日(日)-----------------------------------------------------------------------------

晴耕雨観、DVD『ドラゴン・キングダム』。ジャッキー・チェンとジェット・リー、二大カンフーアクションスターの共演、が話題になった映画。まぁこんなもんかな。途中結構速送りして見ちまった(笑)。ジェットとジャッキー、立ち回りはさておき、演技力ではやはりジャッキーに軍配が上がるなぁ。ちなみにジャッキーは香港、ジェットは中国の俳優、てことになるんださうな。

しかしまぁカンフー映画って久々に見たけど、この人達よくまぁ動くね、こんなに、身体が。

ヒロインのスパロウを演じる 劉 亦菲(リウ・イーフェイ)がなかなかカワイイ。アジアン・ビューティーてのか?。なんで日本人の女優って、ハリウッドで活動できんのだらうね?。英語しゃべれんから、だろーね、やっぱり。中学から習うのにね英語。

27日(月)-----------------------------------------------------------------------------

オールディーズとして知られてゐるト−ケンズのライオンは寝てゐる

去年、名古屋のてらしましんご君とライヴやった時、これをレゲエ+沖縄風にアレンジしてセッションした。んで、コードの展開やらメロディラインやら、『アフリカっぽい曲やなぁ』と思ってゐたのだが、調べてみたらやっぱりアフリカの曲だった。

源録は1930年代の南アフリカの歌手ソロモン・リンダ。タイトルは「Mbube(ムブーベ)」。アフリカの発音から察するに、多分「ンブベ」と云ふのが正しいのだらう。ズ−ルー語でずばりライオン、て意味ださう。元々歌詞のないスキャットだったものが、『(今は)ライオンは寝てるから(子供達よ)安心して暮らしなさい』みたいな民唱歌(子守唄)に発展していった模様。その後色んな人がカヴァーして、良く知られるアレに発展してったらしひ。

苦言を呈するなら「In the jungle, the mighty jungle The lion sleeps tonight」といふ歌詞。ライオンはジャングルには住まんのだが・・・(笑)。

今年はじめに中野木元そして梶山、で演った「おんまはみんな」も元々は「The Old Gray Mare」といふアメリカのルーツミュージックだった、と云ふし、良く見知ってゐる唄の起源を探るといふは、とても面白い。こげな事を夢中になって調べてゐるうちに、けふ車検証を引き取りに行かんといけん事を、すっかり忘れてゐた。嗚呼研究の徒!!。

28日(火)-----------------------------------------------------------------------------

天候の事も関係あるが、こたび、九州へのソロツアーに特別ナーヴァスになってゐる自分を感じる。各地で絡む人はみな知人であるにも関わらず、誰も知らない場所に出向く時のやうな、初めてソロツアーを敢行した時のやうな、不安で心細い気分だ。機材とレパートリィの最終確認のために2時間スタヂヲに入ったのだが、何故か不安がさらに高まる、と云ふ結果を招いてしまった。

ソロもツアーも自分で好き好んで演ってる事だ。泣き言なんぞ云へる立場にはない。

29日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

九州ツアー中の移動と宿泊の最終確認。なんせ貧乏旅だからね。迷ったからってピっとタクシー拾う、て訳にはいかぬ。前回、大分から西大分まで歩く、と云ふ暴挙を冒してしまったが、今回はさういふのはないだらうね?。

昨日心に帰するものありて、けふもソロ練習に入る。今回、ひとつひとつのハコでは、ステージは長くても1時間程度だらう。最終決定として、周辺機器は極最小限ループ2コだけに限定した。

で、いまだナーヴァスなかんぢが払拭できないでゐる。こんなのは久しぶりだ。今回、なにがワシを此所まで悩ませてゐるのか、さっぱり分からぬ。しかしこの微妙な感覚を乗り越えて行かぬ事には、ワシが「ソロ」を語る資格はない。どんなかんぢになって帰って来るだらうか?。

てな訳で行って来ます。


8月