8月


ソロツアーから帰って

4日(火)---------------------------------------------------------------------------- 

昼前までデリック&ヒロコさんとうだうだ喋り、西都城駅まで送って頂く。小倉駅までの切符を買い、乗車。海側の席に座り、あとはひたすら車窓を眺めながら移動。都濃とか美々津とか、今まで聞いた事ないけど、なんかえぇかんぢの街を通り抜けながら・・・・。

特急列車を2回乗り継いで5時間で小倉に着。軽くうどんを喰ひ、広島行きのバスに乗る。車内はガラガラで座席指定もナシ。シートを倒して行儀悪く寛ぎつつ。11時前に我が家に着。女房がキノコのやうなヘアスタイルになってゐる。ビールで乾杯。

ひとまづの旅は終わったが、明日からはすぐに普通のレッスン。ラヂヲの収録もあるやうだ。2週間後にはしーシュのツアーもまた始まる。うむ、悪くない。

5日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

ワシが帰って来たと同時に、広島が梅雨明け宣言をしたんださうな。いきなり暑い。南九州より暑い。

日中は旅日記などを整理したり、仕事の資料を作ったり。夕方からレッスンに行き、その帰りにラヂヲの収録に行く。しーなさんがパーソナリティをやってる番組なので、ワシはてっきりしーなさんの推薦で決まったものと思ってゐたが、ディレクターのKさんが是非ワシを、といふ事だったさうだ。ありがたい。

本来はCDを流してくれる、と云ふハナシだったのだが、電話打ち合わせで色々とポジティヴな意見を注進してゐるうちに、『生録で演ってみない?』と云ふハナシになった。

んで、ライヴのやうにその場で演奏&唄って録る。なんかえらい急場凌ぎだったやうな気もするが、ディレクターは『生のかんぢが良い』と。その後はトークを録る。パーソナリティはしーなさんなので、今さら何を語るか?てな感はあれど、そこはお互いプロ。変な馴れ合い感もなく、良いトークができたのでは?と思ふ。

パーソナリティやインタヴア−の中には、こっちが返答に困るやうな質問をして、それが『良い』と思ってゐる人もゐる。だが『本音を引き出す』って、そんなに大層な事なのかな?。

6日(木)-----------------------------------------------------------------------------

原爆記念日。この日に、他所の地から来た友人アーティストと関わる件が二つ。

まづ、昨年春に東京は谷中で御一緒した舞踊家、鈴木一琥さんのパフォーマンスを厚生年金会館へ見に行く。詳しく聞かずに会場へ行くと、反戦反核をテーマにしたシンポジウムのやうなイベントだった。かなり左翼的な内容で、その割には参加者の意識が低いやうに見受けられ、どーなんですかね?といふかんぢ。でも、実際の被爆体験を語ってくれたご老体の話は聞きごたえあった。

一琥さんの舞踊は東京大空襲をテーマにしたもの。会場を暗転させ、会場への出入りと撮影を遠慮してくれるやう通知があったのに、平気で出入りする参加者。この辺の意識の低さが、結局「反戦運動集会」といふものをうさん臭くさせてゐる面も否めないのではないか?。

夜は大阪の朋友泉尚也さんがライヴに来られてゐるのを見に。若かりし日の泉さんが名を馳せた伝説のバンドBREW-BREWのリーダー(映画音楽作曲家としての方が有名か)周防義和さんとのユニットで、地球ハーモニーin hiroshima、といふ原爆ドーム対岸の特設ステージで演奏されるイベントださうな。この地球ハーモニー、何年か前にチェリストのヨーヨー・マが飛び入りして話題になった事がある。

灯籠流しの幻想的な光が浮かぶ元安川の河岸に、周防さんの独特な音楽、泉さんのフレットレス、Tomo the tomoさんのヴォイスが流れる様は、素晴らしい光景であった。もっと聴きたかったけど、タイムスケヂュールの関係で2曲のみの演奏。しーなさんと二人で打ち上げにも参加させて頂いた。

社会意識を強く持っておられる方ばかりなので、打ち上げもただ呑んで騒ぐ、と云ふものではなく、『人としてこの日をどう捉えてゐるか』とか、さういふ結構シビアな会話の飛び交う、良い打ち上げであった。周防さんも想像通り気さくで、しかし真摯な方。

だが、まだツアーの疲れが取れておらぬやうで、滅茶苦茶に眠い。珍しく宴会の最中に寝てしまふ、といふ事をしてしまった。

7日(金)-----------------------------------------------------------------------------

ヌ〜絵に書いたやうに疲れが残ってゐる。起きたばかりだといふのに、すごく眠い。ヌ〜。

昨日置いて帰ったチャリンコを取りに行き、日中は寝て過ごし・・・・・・たいのだが、ツアー日記を期待してくれてゐる人も多いだらうから、なんとか書き上げる。書き出してみて気付いたが、今年に入って初めて、最初から最後まで独りで動いたツアーだった。出発前にナーヴァスだったのは、その辺が理由なのかもしれぬな。シュウよ、しょせんはお前も寂しがり屋か。

夕方少し昼寝。夜は女房と飯を喰ひに行く。久々の「ちゃぶ家」。引っ越しして遠くなっちまったからなぁ。マスターも久々。相変わらず、ちょいと手がこんでゐて美味い料理。12時前まで居て生ビールとホッピーとダイキリを呑んで帰る。眠い&暑い。


2週目

8日(土)---------------------------------------------------------------------------- 

TVは汚死尾海苔Pのニュゥスばかり。

彼らも、彼らを取り巻く全てのモノも「保身」といふもので這いずり回ってゐて、その滑稽さにタンを吐く。汚死尾なんざ元々ロクな人間ぢゃない事は分かってゐたが、ぢの部分がモロに露見したやうで愉快痛快。あれで、早急に救急車を呼び、自分も同行し、その場で『一緒に違法薬物をやって女性を死なせた』と自首してゐれば、「本物」だったのだらうがね。まぁそらないか。

海苔Pだって、あれをホンマに「清純派」だなんて思ってたかぁ?。

ワシは自分が嘘つきだから、嘘をついてるヤツはすぐ分かる。でも、その嘘の是非を問う気はない。嘘つきにも良い人はいっぱいゐる。嘘をつかない嫌なやつもいっぱい知ってゐる。でも「保身」は嘘つきの100倍、醜い。汚死尾も海苔Pも醜い。彼らを見捨てた家族や会社も、醜い。

9日(日)---------------------------------------------------------------------------- 

名古屋からてらしましんご君を迎えて贈る、しーシュ久々のライヴ。寺島くんは昨日から広島入りしてゐるらしい。まぁ彼も旅慣れてるから、日中は好きに過ごしてゐるのだらう。ワシはかなり早めに家を出て、会場のヲルガン座でビールなど呑んで待ってゐる。

そのうち寺島くんがやって来た。相変わらず飄々とした感じが良い。今年の夏ツアーは、倉敷〜笠岡〜広島、と来て、この後博多だと云ふ。これまでの旅の様子など聞きながらのんびりと準備。軽くリハをやり、広島新名物つけ麺屋に寺島君を案内す。しかしつけ麺、っていつから広島名物になってたんだらうね?。なんかいつの頃からか広島に来る音楽家が、やたらとつけ麺つけ麺と云ふやうになって、地元のワシらからすると『さうなの?』てかんぢ。

さてライヴはしーシュから。ワシがソロのツアーから帰った直後のライヴはいつもさうなのだが、けふもなんか二人が噛み合わない気がした。しーなさんは伸び伸び演れたらしひが、ワシにはちょっと窮屈なかんぢ。ん〜〜〜、「個(孤)」と「和(輪)」。難しいね。多分これはワシの課題なのだらうな。

そして、てらしましんご、のステージ。旅とライヴに育てられ、またひとつの局面を開拓しつつあるやうだ。昨年の広島ライヴの後、宿に帰ってすぐ書き上げた、といふ唄が特に良かった。親密で暖かい、素晴らしいライヴ。今回、3人でのセッションを全然考えてなかったな。まぁいいか。また出来るさ。

終演後も流転と放浪とグローバリズム(?)について色々と語り合う。今後もお互い、良い旅を続けたいものだね。

10日(月)---------------------------------------------------------------------------- 

北九州は折尾デルソルでライヴをやった時、タケルくん、といふ若いベーシストから、自分達の演ってる「たくあん」といふバンドのデモCDを戴いた。これが仲々イイ。

ブランドXとジェームズ・ブラッド・ウルマーが合体したやうなリアルなジャズロックだ。最近の車の中でのヘヴィローテーションとなってゐる。G、B、Drのトリオで、ギタリストはデルソルのマスター大庭さん。タケル君はフレットレスでぶいぶい弾きまくってゐる。

タケル君はワシのファンだと云ってくれてゐるが、こんな技術もあって、ちゃんとした音楽を演ってる人にさう云はれると、嗚呼もっと頑張らなイカンな、と思ふ。タケル君に限らず、あなたのファンですと云ふてくれるミュージシャンのほとんどが、ワシより真摯に音楽を演ってたりする。嗚呼、頑張らねば。

タケル君はこの9月から1年間、カナダにベース修行の旅に出るのださうだ。嗚呼、ますますワシも頑張らねば。嗚呼。

11日(火)---------------------------------------------------------------------------- 

この季節になると、村上春樹のデヴー作「風の唄を聴け」が読みたくなる。東京の大学に通う主人公が、故郷(おそらく神戸)に帰省してゐる8月8日から26日までの間に起こる、なんでもない退屈な日常が、ドライなタッチで描かれてゐるだけの物語。これが何故か何度も読み返してしまふのよ。

後の村上作品に見受けられる、毒のあるユーモアのやうなモノはなく、ただひたすらにクールな文章。同じく大学生で、海に近い故郷を持ち、親元を離れて暮らしてゐた当時のワシは、いたく感銘を受けたものだ。この一冊でワシは村上春樹のファンになり、現在に至ってゐる。「入手困難」とされてゐた最新刊「1Q84」も、普通に店頭に並ぶやうになった。そろそろ買い時かね?。

12日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

9月にヲルガン座頭首ゴトウイズミさんの誕生日ライヴに出て、イズミさんの唄をカヴァーする、といふ企画がある。それのアレンジをす。イズミさんの退廃的なムードを損なはぬやうに気を付けつつ、えせニックに。キィが合わぬのでカポタストを使ふ事にす。ベース、しかもフレットレスにカポ、とはまた邪道な行ひだが、まぁ良い。

にしても、こないだヲルガン座で見たシシリアのベーシスト、ダニエレ・カマルダは異端であった。相当に前衛な事をやってるが、ワシも多分、彼と同じ所を見てゐる。ああ云ふ音楽を演りたい訳ではないが、ああ云ふ演り方で音楽がしたい。さう思へばベースにカポ、なんて邪道のうちにも入らぬわ。ははははは。

13日(木)-----------------------------------------------------------------------------

大学生の頃、憧れた武道家がゐた。

その人は鍋島次雄さん、といふ。体術、といふ技を使って当時のオープントーナメントを荒らしてゐた。全日本クラスになると、武術家はだいたい皆デカくてゴツい。その中で鍋島さんは、ひょろっとした身体を黒い空手着に包み、構えてンだか構えてないンだか分からんゆらゆらとしたフォームで相手選手の攻撃を躱し、素早いカウンター攻撃をヒットさせ、次々と重量級の選手達をマットに沈めて行った。

トーナメント荒らし、と云ふ事で当時ちょっと話題になり、専門誌にインタヴ−なども載せられた。『鍛えない』格闘技・体術。当時ガンガンにウェイトトレーニングなぞやってゐたワシには、この鍋島さんの登場はセンセーショナルだった。

フと思ひ出して調べてみたら、なんとこの人、当時既に30歳を越えてゐて、美大の教授で、しかもバリ舞踊のエキスパートでもあった、といふ。今はもう「体術」は名乗っておられぬやうだが、造形美術の講師、武道家、舞踊家、として現役で御活躍のやうなのだ。へ〜〜〜っ!!。

「武」と「舞」は同じであるといふ。優れたダンサーの動きは武道家の動きに似、その逆も然り。楽器を演奏する動きも「舞い」だとすれば、それは自然と「武」に近付く。のだと思ふ。クリス・カトラーのドラミングなどは、まさに「舞い」に見える。ふぅむ。

細々とではあるが、空手の稽古(のやうなもの)を続けてゐる自分を、少しだけ誉めてやらう。

14日(金)-----------------------------------------------------------------------------

毎年恒例、能美島は真道山キャンプ場にて行われる、パーカッションキャンプに参加。能美島までは、フェリーに乗る、のと、海沿いをぐるっと回って海峡越えの橋を渡る陸路、の2通りのアクセス方があるが、ワシは毎年、陸路を選ぶ。

今年も、友人久保ッちこと久保直樹氏とともに陸路で現地に向かうが、いきなりの大渋滞に捕まる。2時間かけて1キロも動かぬ渋滞なんてのを、久々に経験したよ。結局、通常2時間以内で行ける行程を、5時間以上かかって完走。テントや厨房の設営スタッフとして働くつもりだったのに、到着した頃には既に完備されてゐた。役立たずである。

金曜日は純粋にタイコ叩いて遊ぶ日。参加者が思い思いのジェムベ、コンガなど叩いてセッション。例年になく気温が低く、お陰で過ごしやすいが、うっかりすると風邪までひいてしまひさうだ。夜は愛車「にっち」の荷台で就寝。窓を全部閉めて寝袋に入って寝て、ちょうど良いくらいの気温。夜半過ぎから雨。

15日(土)-----------------------------------------------------------------------------

パーカッションキャンプ2日目。けふからは参加者もグンと増え、カシラ一家やシバちゃん一行もやって来た。夜はライヴもある。

色んなミュージシャンが来るので、此所でしか演れない組み合わせなども出来るのも、このイベントの醍醐味。日中はおのおのが考えるその構想やリハなどで、各自好きにすごす。ワシはしーシュ、Far east loungeでの参加の他に、ロゥミステルの鍵盤弾きアサミちゃんとの初デュオ、ギター少年Kのバックバンドなどに参加。

今回は、カシラの嫁さんオタマちゃん(ヴァイオリニスト)、にシバちゃんと久保ッちが絡むトリオや、しーなさんと、長年の朋友倉田香織ちゃんによるピアニカデュオ、ゴンゴマンのtomozoによるボロンソロ弾き語り(分かる?)など、たいへん興味深い出し物の目白押し。PAオペのマサヲさん曰く『こんだけミュージシャンが出て、マトモな編成がひとつもない!』といふ面白さ。

参加者の子供達をステージに上げて一緒に唄わせた「ブレーメンの音楽隊」や、パーカッショニスト8名にシバちゃんのギターも加えた「Far east loungeスペシァル」など、まさにこのイベントならではの出し物。

けふのしーシュは、お互いが相手に唄ってほしいカヴァーをリクエスト。それを相方の演奏のみで唄う、といふ出し物にチャレンヂ。しーなさんは「夏をあきらめて」、ワシは「少年時代」。全くリハをせなんだので、まぁはっきり云ってお互いの脚を引っ張りあうやうな演奏だったが(笑)、まづまづの好評。アンコールが来たので「Dance」。

全部で16組の演奏が終わったのは、日付けが変わった0:30過ぎ。いやはや皆さんお疲れ様でした。ワシのけふ最大のミスは、少年Kのリハに入った為、オタマ・トリオの本番が見れなかった事!!。

音楽に興味があって、まだ来た事がない人は、是非一度来た方が良い。オモロいよ、ホンマに。

16日(日)-----------------------------------------------------------------------------

パーカッションキャンプ3日目は、片付けの日。参加者全員で、会場の掃除、ゴミの片付け、テントの撤収、ステージのバラし、など。三日間に渡ってバーベQだのお好み焼きだのやって雑然としまくってゐた会場が、キレ〜〜〜〜な芝生に再生される様は、毎度の事ながら圧巻。『来た時よりも美しく』。これはキャンプに限らず、野外行楽の基本だな。

行きと同様、帰りも久保ッちと。あの渋滞はなんだったのか?といふほどすいすい流れ、2時間で広島に着。電車駅まで久保ッちを送り、我が家へ。電波が届かずに沈黙を守ってゐたワシのケータイが、島を離れた途端にぢゃんぢゃん鳴りはじめた。その後処理に終われながら、半日過ごす。ハー、明後日からはまたツアーやな。

17日(月)-----------------------------------------------------------------------------

旅の準備。九州ツアーと同じく、スーツケースにオールインワン方式で。旅慣れたなぁ、と自分で思ふ。

しかし、九州旅の余韻抜けぬままパーカッションキャンプでさらに無茶の追い討ちを受け、正直ぜんっっぜん疲れが抜けてない。此所数日、サプリなぞ呑んでゐるが、こげなものは数週間から数年飲み続けぬと効くものではないだらう。

まぁこれも人生だ。


09夏お江戸ツアー記

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