小暑(7月7日をピークに前後15日)

心筋梗塞だらうが脳溢血だらうが、ミュージシャンに休息はないのでぃす。先週の日誌分更新の後、いつものやうにアクターズのレッスンをこなし、スタジオのトイレでスーツに着替え、野中つたえクァルテットのディナーショウに向かふ。

某大手飲食店チェーンのラウンヂを借り切ってのパーテーらしく、客は皆一流社交界!といったかんぢの紳士淑女ばかり。なるほど、久々に『衣装はスーツで』と注文を受けただけのこたぁありますな。でもワシ、スーツ持ってないねン。学生時代のズボンにインドのクルタパジャマで代用。ちょっとエスニックな首飾りでもブラ下げれば、ほ〜ら怪しい無国籍ミュージシャンが完成。本来なら多分怒られるんだらうが、「まぁ梶山だから仕方ない」といふ妙な認識が通ってしまうのは、ありがたい事です。

編成はギター岩本貢、ヴォイスの野中つたえ、ワシのベースと、古い顔見知りパーカッションのN嬢。

このN嬢、ワシとの仲は悪くないのだが、以前から音を聴かない典型のミュージシャンとしてワシの中ではブラックリストに載ってゐる。自分が演奏することだけに没頭してしまうタイプなんですな。

この日もパっとせんパーカスを披露して、お客さんにまで「もちっと頑張ってね」と云われてゐた。まぁねぇ。悪い娘ではないんですがねぇ。たぶんこれまでづっと、手先の技術だけを誉められて育ったンでせうね。もちっと頑張んなさいよ、本当に。

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明けて日曜日、生徒の発表会。一日中生徒の面倒見と、講師演奏の激務。まだやっぱり万全とは云いがたく、ちょっと動くと息が上がり、めまいが。

打ち上げの席で、こないだの騒動が、思いもよらん所にまで波紋を拡げてゐた事が発覚。ただただ、申し訳ない。迷惑と心配かけました。こんなに色んな人に心配してもらえるワシはほんたうに幸せものです。こんなつまらんワシを愛してくださる皆さん、本当に言葉もありません。

ワシは音楽をやりながら死ねるのなら本望だと思ってゐます。でも、無駄に命を縮める事を良しとする気はないし、早く死にたいわけでもありません。これからは身体を気づかって、無理なトレーニングや無茶なスケヂュールはなるべく組まないやうにしやうと思います。

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さてさて、ほんたうに動き始めてしまったソロアルバム作りです。

録音は旧友の数井政彦の自宅のスタヂオ。心臓発作以来、なんかおかしくなった咽は絶不調。こんなコンディションの悪いライヴもレコーディングもしたことないがな。まぁ予約入れてっからしゃぁないや。

マルチプレーヤーぶりを如何なく発揮した録音です。ちょいと怪しい民族音楽のやうなポップアルバムとなるでせう。

それでゐて、聴く人が聴いたら「あ、やっぱりベーシストのソロアルバムだな」って分かるやうな作りにしております。

今回はベースと唄、バリトンギター、12弦ギター、ジェンベまで自分で演りました。我ながら器用なやっちゃと思います。咽の調子は最悪なんですが、まぁ7時間で5曲。後はミックスダウンのみ。自分で云わなきゃ誰も云ってくれんから云いますが、結構イイものが出来たと思いますよ。一応、デモ用なんだけど、アレでも販売する事になるかも知れません。その時は買ってね。

7月12日


や〜、出来ちまいましたよ、ソロアルバムが。

タイトルは「てにをは」です。

唄に関しては随分と納得いかんところが多いんですが、まぁ仕方ないっすね。

ホントはこれ営業用のデモのつもりだったンだけど、出来がイイので売る事にします。7月終わりのでらしね東京ツアーから販売を始めやうと思ってます。例によってネットでも販売しますンで、よろしく。

レコーディングエンヂニアの数井政彦とは高校時代からの付き合いになるんですが、昔はしょっちゅうケンカしてました。我の強い者同士、相手を尊重するって事を知らなすぎた。大人になってからは、御意見番同士ってかんぢで、タマに一緒に仕事したりします。まぁ付き合い長い分だけ、話しが早いってぇか、お互い良く知ってるから流れがぢつにスムースに行きましたな。なんせミックスダウンも含めて2日、エンヂニアとプレーヤー合わせて2人だけのレコーディング、といふ快挙(?)です。イイものが出来ました。数井に感謝。

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Kー1見ましたか?。

ワシはね、昔格闘技をやってた人間として、また、今はもうやってない人間として、かういう場で格闘技の蘊蓄を垂れるのは恥ずべき事だと、づっと思ってました。さういうのってなんか、自分は草野球齧った程度のくせして、TVの野球中継見て「そこでカーブを投げんかい!」とか「ワシならここで代打や」とか云ってるおやぢと同じやうな気がするンですよ。

でもこないだのK-1はいかん。なにがいかんって無砂屍!なんであそこまで追い込んでKO出来んのか?。

無砂屍のみならず差汰家もさうでしたが、あの辺の日本人格闘技選手に決定的に足らんのは「殺意」だと思います。明らかにダメージを受けてる相手に、なんでなりふりかまうのか?。なんで綺麗に勝とうとするのか?。さういうのを「武士道」だとでも思ってるのか?。

何年か前、アメリカで初めて行なわれたバーリ・トゥ−ドの試合で、転倒した相手の顔面に何のためらいもなくフルスウィングのキックを叩き込んだ選手がゐました。後のインタヴ−でも「殺すつもりだった」と云ってました。かういうのを「スポーツマンらしくない」と云うのは簡単ですが、本来「勝負」といふものはさういうモノでせう。「負けない」ことより「勝つ」事こそが、真の武士道のやうに思うんですがね。ふにゃふにゃと小出しのローキックで判定勝ちしてる場合ぢゃないよ、ほんとに。

無砂屍の相手選手のほうが良かったですね。会見会場などであんだけ不作法に無砂屍を挑発しておいて、いざ勝負が始まってみると、実にクリーンで根性のある、良い格闘家でしたね。むしろパンチを怖れてクリンチに逃げてばかりだった無砂屍のほうが格を下げた試合でした。情けない。

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さてさて、ワシは来週から、3回目のでらしねツアーに出かけて来ます。ゆえに来週の更新はナシとなります。

2週間滞在の計6回ライヴといふ日程。いや〜楽しみです。向こうのミュージシャンがワシの曲をどう料理してくれるか。今回はどんな出会いがあるのか。そして、帰って来てすぐにオルカ団久々のライヴが待ってます。どちらも楽しみ。

では無事を祈っててください。いってきます。

7月18日


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