9月


1週目


1日(火)---------------------------------------------------------------------------- 

Soe'sのリハを久しぶりに。9/11にほぼ10ヶ月ぶりとなるライヴを演る。投げ銭式で演る事につひて、フライヤ持ってあちこち顔出すたびに云はれたのは、『藤井さんって投げ銭でも演るんですか?』といふもの(笑)。マサミはプロのジャズ奏者としてあまねく知られてゐる。その名を知る人からすれば、まぁ当然の感想だらうな。

彼がワシと一緒に演る=「演るよ」と云ってくれる時点で、既に彼の中に『採算度外視』といふ概念があるわけで、その点は悪いな、と思ひつつ、感謝してゐる。何処でも彼処でも、彼が投げ銭で演ってくれる訳ではない。ワシとて、出来る事ならマサミにもパイグにも、充分な(と云へぬまでも)ギャラを払へるやうにしたい、と思ってはゐる。

しかしまぁ、投げ銭式のライヴが、意外に儲かる(事もある)といふのも事実なのである。今回このユニットでは初の試み。さぁ凶と出るか吉と出るか。

Jugemのルーシーさんから、12月にライヴのオファー。ルーシーさんの計らいで、なんとワシはホンマに、あの、太田恵資さんと共演出来るみたいである。この世で一番『この人のやうになりたい』と思ってゐる音楽家と、ホンマに共演出来るみたいなのである。うほほー!!!。

2日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

けふはヲルガン座頭首ゴトウイズミさんの誕生日ライヴ。に出演。けふはイズミさんは出演せず、ゆかりの音楽家がそれぞれ1曲づつイズミさんの曲をカヴァーする、といふライヴパーティーだ。此所数週間は、出演が決まってゐるミュージシャン同士、会うたびにこのハナシになってゐた。Bomくん、サカオカくん、MIやん、ナベちゃん、ミカりん、みんな意外にもナーヴァスになってゐるのがオモロい。

総勢20人が出演。しかもその都度くじ引きをして順番を決める、といふまさに油断ならぬ展開となる。こ・れ・が・ちょいと他ではお目にかかれぬ、すごい出し物の連続となった。まづ初っ端に当選(?)してしまったミカりんのカホン叩き語りからライヴがスタート。その後、様々な出演者による、それぞれが趣向を凝らしたアレンジと演出が続く。同じ曲が3ツ続いても、歌詞以外まったく違う曲に聞こえるほど。

ゴスロリ系のコスプレしたMIやんの狂気に満ちたパフォーマンス、Bomくんのトイピアノで唄うヘビメタ(大爆笑)、ナベちゃんの琵琶法師を思はせるウッドベース弾き語り、PCでの解体、・・・・etc etc・・・・。

こんだけの魑魅魍魎どもが、よくもまぁここまで集められたものよ。イズミさんの人脈の為せる技だらう。これはPICOの投げ銭ライヴと並んで、広島のカウンターカルチャーの中枢に違いない。

ワシはくじ運が悪く、結局ラストから4番目にやっと出演。飯を喰ふタイミングを逸してから既に3時間待ちで、極限までハラが減ってゐたが、まぁなんとか演った。ワシがセレクトしたのは「サーカス」と云ふ曲。サカオカくんとカブってゐたので嗚呼、と思ってゐたが、サカオカくんがかなりオーソドックスに演ってゐたので、対比は出せた。ワシは原曲の退廃的なムードを損なわぬやうに、しかし思いっきりえせニックに。

少なくとも「孤高のベース弾き語りスト」の名に恥じぬ出し物は演れたんではないか、と思ふ。イズミさんおめでとぉ。

終演後はみんなと宴会。なにせそこまでなんも喰ってなかったので、馬のやうに芋をがっつく。空きッ腹にワインをがばがば呑み、途中からなかなか酔っ払って来て

3日(木)-----------------------------------------------------------------------------

どーやらミカりんの帽子をかぶって帰ってきたらしひ。てことはワシの帽子は彼女がかぶって帰ったのだらう。さういや交換してたやうな記憶が。二日酔い。量はそれほど呑んでないのだが、いかんせん空きッ腹に呑みすぎたな。気分は悪いが腹は減ってゐるので、サンドヰッチを無理矢理詰め込み、昼まで寝てゐる。

チャリで仕事に行き、ユルいレッスン。合間に、今度は自分の誕生日ライヴの企画用の唄を練る。参加を呼びかけた所、プロから素人さんに至るまで、結構沢山の参加希望があり、慌ててゐる。44曲って、なん時間ぐらいで歌えるんやろか?。参加希望者の中には「私が唄っても良いのか?」といふ方もゐるが、正直唄ってもらわぬと、独りでなん時間も唄いっぱなしはツラい。まぁやれん事はないとは思ふが・・・・。

先日、見舞いに行った、呉の良二さんから退院祝いライヴの出演オファー。たまたまツアーの合間の空いてる日だった。ので、即答。これにて、9月のライヴは昨日のヲルガン座を含めると10本、となった。はぁ〜3日にいっぺん、か。我ながらすごいね。今年も年間100本行くんだろか?。

4日(金)-----------------------------------------------------------------------------

トミ藤山来たる。1年ぶりの来広ライヴを、例によってしーシュでサポートす。けふはそのリハの日。なんか夕方、ものすごい雷と大雨が来て、こらぁトミさんの乗った飛行機は無事に着くんかいな?と思ったが、7時頃、世話役のりょーこから『広島空港に着いたよ』と連絡。とりあへず一安心。

スタヂヲに入り、ラインナップを確認。このテの音楽にしてはけっこう重要なニッチをワシ(ベース)が任され、なかなか大変。いちをう演奏の核となるのはしーシュだが、ゲストのギターやボーカルも入るので、それらの動静も確認しながらの演奏、は思いのほか大変な仕事になりさうだ。でもまぁ『ブルースをベースと二人で演りたい』とか、なかなか演り甲斐のあるチャレンヂを向けてくれるので、そこら辺は面目躍如たる働きをせぬと、とは思ふ。

まぁ全ては明日だな。

打ち上げ、といふか、久々の再会を祝う宴を、ささやかながら。春駒のカシラも加わって鉄板焼で酒宴。


2週目

5日(土)------------------------------------------------------------------

トミ藤山来広ツアー・サーキット初日。会場は去年と同じ、土橋はカポネ。パーカスのツンちゃんはダブルヘッダーにて、本番の直前入り。ゲストの方々も入り、リハはまぁ順調に進むが、本番はどーなる事かいな。

なんか色んな事の伝達不足で、開場から本番開始までの間が1時間半も空いたりしたが、まぁとりあへず大したトラブルはなく、前座のジュシュア・トゥリーの演奏が始まる。去年のトミさんライヴを仕切ってくれたケイラーみゆきさん率いるバンドだ。遠距離バンドながら息の合った演奏で、会場をあっためてくれる。

さて、とワシら。

「ジャンバラヤ」からスタート。前半はMCなしで続けて、と云ふ事だったがいきなりMCに入るトミさん(笑)。まぁこの辺は想定内なのでワシらも臨機応変に。やっぱり去年一度演ってるから、今回は比較的スムースに演奏出来るなぁ。リハなしのツンちゃんのタイミング合わせもバッチリ。さすが。ワシも、このテの音楽にしては異常にベースソロが多く(笑)けっこうな集中が必要だったが、まぁ何とか。

やはりスゴイな、と思ったのはトミさんのギター。ワシもグルーヴには自信がある方だが、トミさんのカッティングが入るだけで、リズムの推進力がハンパでなくアップするのだ。そしてひとたびソロを取れば、70歳直前の女性、てのが信じられないほどの速弾き。力強い歌声も衰える事を知らず、なをかつ合間に入るマシンガントークは途切れなく続く。う〜〜〜ム恐るべきゴッドマザー!。

後半はゲストミュージシャンも交えて和気あいあいと。世話人の久保田涼子やみゆきさん、ジュシュア・トゥリーの進さんや春駒のカシラなどがステージを彩る。そしてアンコールは、ベースの伴奏だけでトミさんが「テネシーワルツ」を唄う。本来は途中からしーなさんが入る予定だったが、急遽「全休符での参加」を決めたらしく、静まり返った会場に、ただベースと歌声だけが響いた。トミさんの長い音楽歴の中でも、ベースとデュオで唄ったのは初めての経験だとか。いや〜嬉しいですね。しーなさんもナイスな決断。

お客さんの入りもまづまづで、良いライヴが出来たやうだ。初日終了。昨日の面子でラーメンを喰ってお開き。

6日(日)---------------------------------------------------------------------------- 

けふは河川敷での川祭り、といふ野外イベントにトミさんバンド、としーシュ+ツンで出演。「晴れたら良いな」とは思ってゐたが、「なにもここまで晴れんでも」といふやうなカンカン照りの快晴。ワシらの出番は13時過ぎ頃。こらぁ暑いでぇ。

チャリで会場入り。ちょうど安芸楽団がワシ抜きで演ってる所だった。乱入でもしやうか、と思ってたがタイミング合わず断念。待ってるうちにしーなさん、ツンちゃん、トミさんも到着。木陰などに入ると風は涼しいのだが、なんちゅーても日射しが半端ではない。ステージ(?)の赤いカーペットが乱反射して目眩がする。短パンの裾をさらに折り返し、海にでも行くやうな格好で、いざ出陣。

しーなさんが明らかな急性の熱中症の症状を出してゐて、結果しーシュの演奏は酷いもんだった。後で聞けば1曲目の途中からもう意識が朦朧としてた、とか。云ってくれれば対処できたのに。頑張っちゃうからなぁ、この人は。

その後トミさんバンド。ワシらでもヘバってしまふやうな暑さの中、ビシっと衣装に身を包み、昨日にもましてパワフルな唄とギター。野外の会場だけに静めの曲は外し、イケイケのナンバーで。けふは時間制限もあるので、MCも最小限。ホンマに次々と曲が展開する。凄いパワーだ。改めて恐るべしゴッドマザー!!。負けておられぬ!ワシもやるぜぇ!とばかりに張り合って弾きまくる。←だから仕事が来なくなる(笑)

しーなさんは結局最後まで頑張り、終演と同時にブッ倒れた。えらい。良く頑張った。けふはアー写撮影もしてもらへるのだ、と云って張り切ってゐたのに、残念だったね。無理をせずに休んでね。

夕方の飛行機で東京に帰る、と云ふトミさんと最後の挨拶を交わす。この二日間、素晴らしい体験だった。改めてこの偉大な大先輩と一緒に演奏できた事を光栄に思ふ。また是非御一緒させてください。ゴッドマザ−・トミ藤山。お元気で。

7日(月)---------------------------------------------------------------------------- 

サロンシネマに「路上のソリスト」を見に行く。

才能、と出会った時の反応。それぞれの限りないエゴと葛藤。「役に立ちたい」と思ふことと「大きなお世話」。それ以前に、他人になにがしてやれるのか?といふシムプルな問い。答えのない物語。

ワシの友人にも、心に病や傷を持つ人達が、少なからず居る。さういふ事に無理解、無頓着な社会に接すると、そして結局は無力な自分に気付くと、なんともやり切れない気持ちになる。『居てほしい時に居てあげられる友達であればいい』といふ台詞に、恥ずいが涙が出た。良い映画だった。

此所数日、づっとチャリで動き回ってゐる。市内に近い地域に住み始めて、ホンマに車には乗らなくなった。

8日(火)---------------------------------------------------------------------------- 

ちょいと実家に帰ってみた。オフクロのヘルニア手術からまる1年。最近は友人に誘われて、週に3回ほどプールに行ってるらしひ。おかげで調子も良く、飯も美味くなるので、喰ひ過ぎて太ってしまった、とか(笑)。まぁ何にせよ、この運動嫌いのヒトがプールに「行く」といふだけで快挙である。是非、続けなさい。

オヤジは相変わらず悠々自適。日々、買い物と散歩と映画鑑賞で過ごしてゐる。相変わらず律儀に月イチで歯医者に検診に行き、飯は今もオフクロの倍は喰ふさうだ。80歳を機に煙草をやめ、酒は焼酎のお湯割を晩飯と一緒に1杯だけ。流石に少々腰は曲がった気もするが、階段の昇り降りも全然平気。

二人でもらってる年金の額を聞いて吃驚。売れないベース弾きの息子がする心配なぞ、軽く吹き飛ばす金額。まぁ、45年間ひとつの会社で、脇目も振らず勤め上げて来たんだからなぁ。それぐらい貰えて当然っちゃ当然だ。ワシは・・・・・・、どーなるんだろね?。

帰り際、『心配はせんでえぇからお前は好きにやれ』と云ってくれる。偉大な親に感謝。

9日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

今週末、安芸吉田でのFar east lounge遠征にて、カシラから色々な案件が送られて来る。その中にあの名曲「向日葵」のデータがあり、コピーする為に聴きこみ、唸る。素晴らしい唄だ。データには奥方である「オタマちゃん」の弾くヴァイオリンが入ってゐるが、いつかこれをセロで伴奏出来るやうになりたいなぁ。今回はまぁ無理なので、せめてE-bowで伴奏せんとす。

今月だけで10本ライヴがある。ほぼ全ての週末で、ステージをこなす事になる。んで、来月のスケヂュールをアップせんとして、予定表をチェックしてみた。吃驚!。なんと来週は18日までの間に8本。ほぼ2日にいっぺんづつライヴなのだ。しかも、9月は専門学校が休みだからまだ良かったが、10月は普通に授業もやりながら、の2日に一本、なのだ。大丈夫かよ、これ。

10日(木)-----------------------------------------------------------------------------

他人から振られる案件で忙しいのは結構な事だ。だが、ワシはソリストでもあり、自分のアレもナニせねばならぬ。10/17用の練習をせんが為にスタヂヲに入る。リストに書き連ねたオリヂナルを片っ端から弾き、唄う、といふ事をやる。途中でレッスンを30分ほど挟んだが、3時間かけて約30曲を唄った。疲れた(笑)。手も痛い。喉はまづまづ。必要以上にリキまない限り、3時間超くらいならなんとかなりさう。

誕生日ライヴのタイトルは、『44歳ライヴ! やれるとこまでやってみやう』に決めた。人生的にも。

夜は、ぱかぱか号としーシュの合同ライヴ(11月)の打ち合わせ。「オモロいライヴをしやう」と云ふ、しっかりしたビジョンを持つぱかぱかの面子に比べ、しーシュの、なんとのらくらしてゐる事よ。

此所数日、なんかあの「ちゃんちゃかちゃかちゃかちゃんちゃかちゃかちゃかちゃんちゃらちゃらららら〜ん」といふテーマがアタマを回ってゐて、出顎巣邸煮のDVDオペラコレクション「カルメン」を購入。さういや昔、これの日本語オペラを聴いて妙にハマってた事もあったな、と思ひつつ。

11日(金)-----------------------------------------------------------------------------

昨日、唄い過ぎて疲れたので、けふはロードワークは休み。けふは10ヶ月ぶりのSoe'sのライヴだ。は〜、なんか色々やってますねワタクシ、といふかんぢ。

KOBAでのライヴは大体入り時間が遅く、けふも6時過ぎまでのんびりしてられた。昨日のうちに近場まで運んでゐたアンプをごろごろと引こずって会場入り。ワシがKOBAでライヴするのはぢつに5年ぶりくらい。しかもバンド形式で音を出すのは初めて。最初、3人の音が上手くまとまらず、少し演りにくい気がしたが、位置を換えたりしてるうちに、まぁなんとか納得できる音に。

さうかうしてゐるうちにお客さんが集まり始め、ライヴもスタート。流石に演奏が少し堅い気もしたが、まぁこれはこれで。即興系のバンドでは、調子が悪い時は悪いなりの演奏をすれば良い。さういふ意味では、けふの演奏もまた真理なり。割とテンポよく前後半で4曲づつくらい。お客さんも沢山集まってくれ、初のKOBAライヴはまぁ成功、と云へるものが演れたのではないか?。

マサミがお客さん相手に『即興は、旅の音楽』だと語ってゐた。良い時も悪い時も、ただ流れ、変化して行くもの。なるほど。音楽と云ふは、もともとそのやうなものであったはずだ。自分が流れ行くばかりが旅ではない。良い仲間と音楽が演れて、ワシはラッキーな人間だな。

けふはパイグが少し上滑りだったかな?。技術に走り過ぎてゐるやうな気がする。若者よ、「深く」入れ。


3週目

12日(土)------------------------------------------------------------------

Far east lounge出張。昨年の大好評を受けて、安芸高田市吉田町へ。あいにくの雨模様のなか、メンバーてんでに会場へ向かふ。ワシはしーなさんを拾って行く。のんびりと走りながらもノンストップで、2時間もかからずに吉田町文化創造センター「ヤング・イン」に着。

そのうちカシラ、ツンちゃん、PAのよーた、などが順次到着。全員が入り時間に揃う素晴らしさ!。

主催者の方々と一緒になってセッティング。わらわらとステージに散らばり、各自の演奏に必要なものを用意し、チェックす。この時間が一番好きだ。けふはスペシァルゲストに「ブレーメンの音楽隊」の唄姫ハナちゃんを迎えての演奏もあり。ので、その辺を重点的にリハ。Far east の4人は、いつものやうに『こんなかんぢで』でリハ終了。

本番前、和やかに弁当を喰らう。緊張とか、興奮とか、気迫とか、そんなものは全く無い。ピクニックに来たやうなかんぢ。これがFar east lounge。

本番は例によってワシのソロから始まり、しーなさん、ツンちゃん、と順々に人が加わって来る「バンド内前座」方式。けふはこれにハナちゃんが入り、それを我らがサポートする場面も。休憩を挟んでも流れはユルく繋がり、フルメンバーのステージへ。ラスト近くでまたハナちゃんが入り、全部で2時間強のライヴ。和やかで親密な拍手に包まれて、アンコール。ワシのE-bowとしーなさんのシンセで室内楽風にアレンジした「向日葵」も成功。またまた素晴らしいライヴとなった安芸吉田の秋の夜であった。

前回、宴を用意して頂いたのに、ノンアルコールで行かざるを得なかった悲哀を教訓に、今年は全員泊まり(笑)。またまた用意して頂いた盛大な宴(会場をそのまま宴会場に)を、心おきなく楽しむ。何故か此所でもワシは外人さんと意気投合。英語ペラペラのミミや久保ッチ(ふたりともマネージャーとして同行)が居るのに、『I'm インスパイア music はひろーくAll なAsiaのいろんなmusic likeね。でもI'm fakeでね』みたいな会話しか出来ぬワシが。

色んな人がワシに感じる「移動の記憶」みたいなモノは、外人さんでもやはり感ずるやうで、「何処の国を旅して来た?」と訊かれた。いや、そんなに行ってへんって。参ったなぁ。ホンマに行かなアカンなぁ。

楽しい宴も終わり、歩いて宿へ。主催者側が用意してくれたのは、本来ヰークリィマンションらしきホテル、ちゅーかアパートちゅーか合宿所のやうな、でもちゃんと「ホテル」の看板。・・・に全員で宿泊。『好きな部屋で勝手に寝て下さい』とのこと(笑)。良いねぇ。ユルいホテルだ。独り部屋をもらひ、風呂入って寛いでると、久保っチがやって来て、酒はないがばーばー喋って、まぁ宴会の続き、ちゅーか・・・・。まるで修学旅行のやうだ。2:00まで。

13日(日)---------------------------------------------------------------------------- 

8:00起床。昨日は雨模様だったが、けふは朝からよく晴れてゐる。部屋の窓をあけると、目の前にバぁーっと山並が広がってゐた。標高が高いので空気も冷たい。うむ、良い朝だ。各自好き勝手に部屋を選んで寝たので、誰が何処の部屋に泊まってンのか全然分からん。みんなどーするんだらう?とか思ひながら、まぁ「個」は「孤」で、と通常ホテルのチェックアウトの感覚で、10時に宿を出る。

後で聞いたら、しーなさんとミミはもうこの時間には広島に着いてゐて、ツンちゃんはワシのしばらく後に退去。カシラと久保っチは皆が居なくなった後もしばらく(知らずに)寛いでゐたらしひ(笑)。このバラけ具合。最高のバンドだな。

昼過ぎに家に着いてから、しばらく昼寝。夜は高校時代の友人2人と、年に何度か会って酒飲みに行く、例のヤツ。長く統合失調症を患ってゐるJの調子が、だいぶ良ささうで安心する。以前に会った時など、会話が成立しない事もあったが、けふは随分顔色も良いし、呂律も回ってゐる。好転してゐる、と思ひたいね。

もうひとりのSは小学校の教師。こんなヤツが文部省のセンセイやってられるのか?と思ふやうなアウトサイダー(良い意味で)。生徒と接する、こと以外の面倒な雑事案件が日々多いらしく、『疲れる』と。

14日(月)---------------------------------------------------------------------------- 

しーシュのリハ。昨日誕生日を迎えたしーなさんに、安物だがターコイズ(トルコ石)の首飾りをプレゼントす。他人から贈られたターコイズには、旅人を守る力が宿ると云ふ。ワシは41歳の誕生日に、女房から自作のターコイズ・ネックレスを贈ってもらった。それ以来、良い旅が続いてゐる。しーなさんにも、良き旅の風が吹きますやうに。

仕事(ライヴ)がひとつボツってしまった。色々な調整をして、そこを空けたのに、そこがキャンセルになるのは痛い。割と多いのだ、最近。空いたンならレッスンした方がまだ実入りになるのだが・・・。

15日(火)---------------------------------------------------------------------------- 

マトリョミン、といふ楽器がある。これが最近、なにやら静かなブームになってゐるらしひ。知人のひとりも、マトリョミンで昭和歌謡を奏でる、といふバンドにベースで参加してゐる。このマトリョミン、まぁテルミンのモバイル版、といふべきもの。テルミンてのは・・・静電容量の変化が?コルピッツ発振回路?周波数が?正弦波で?・・・・まぁそげなかんぢの楽器。

マトリョミンは楽器の可愛らしさからか、女性のプレーヤーが多いのも特徴。テルミンと違って音の停止機能が付いてないので、音を出さない時は必然的に手を本体から遠ざける事になる。この「待ち」のポーズがまた、フェミニンで可愛らしかったりする。で、このポーズから発音する最初の瞬間には必ず、『ゲェオ〜〜〜〜〜〜』といふポルタメントがかかるのも、また楽しい。

マトリョミンもテルミンも、当然ピッチは聴感のみが頼り。かういふ楽器はやはり、音痴なヒトが弾くと音痴なのだらうか?。

16日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

セロの弦を買わんとして、その高額な事に驚愕す。¥4800やて。1弦壱本でこの金額っ!。セットで買うと2万円近くしゃがる。まぁウッドベースの弦も高額だし、クラシックの楽器ってこんなもんなのかね?。そらぁ貧乏人に出来ぬハズですよ。一番安いのを紹介してもろて¥1400。これを1本だけ注文。はぁ〜。

高い、と云やぁガソリン。乱高下を繰り返した挙げ句、いつの間にか¥130近くなって安定してゐる。あんだけ相場が動きまくれば、庶民の感覚なんざ簡単に、完全に麻痺する。この短期間に¥30も値上がりして、誰もが「高くなった」としか思ってない。完全に踊らされてゐる。ぜんぶ、最初から仕組まれてゐた事だ。Fuck off !。

17日(木)-----------------------------------------------------------------------------

レッスンの空き時間に、りこズの新曲の譜面を取りに行く。仕事の合間にそんな時間が取れる、ちゅうのも考えものなのだが、まぁ便利。ちょっとした演奏仕事の為の特別編成。メンバーが揃わなかったらしく、ワシがベースを弾く事になったやうだ。

ヴォーカルをとるHといふ娘は、づッと前にワシがオルカ団を演ってゐた頃、対バンとして同じステージに立った事がある。なんか会場側の不手際があったかなんかで、ブンむくれで演ったライヴだったハズ。当然、楽屋でもそんなかんぢで、すげぇ感じ悪かったンぢゃないかな?。

昔は、出来が悪かったりすると、楽屋で暴れたりしてたなぁ。困った男だった。

18日(金)-----------------------------------------------------------------------------

友人のブログにホッピーの事が書いてあり、それを読んで以降ホッピーが呑みたくなった。ので、買いに行く。レギュラーのと黒を弐本づつ。甲類焼酎も一緒に。しかしホッピーなんざ、ついこないだまで『知るヒトぞ知る』みたいな飲み物だったが、今は若いヒトも結構呑んでゐる。やっぱりネットの力かねぇ?。

椎名林檎のライヴDVDを見る。初期東京事変のメンバーによる、かなりの炸裂系ライヴだ。バンドの演奏も良いが、改めて林檎姫の歌唱力に感心。全体の存在感が強過ぎて、あまりそこに言及されないけど、この人ってぢつはメチャクチャ唄が上手いのよ。まぁそんな些末な位置に居ない、てのがこの人の良い所でもあるんだけど・・・。

黒ホッピーが美味い。

19日(土)-----------------------------------------------------------------------------

ツアー出発前に追加更新。

しーシュの最終リハ。なんかちょいと噛み合わぬ感じが強くなってゐて、あまりリキまぬやうに、のやうな事をしーなさんに云ふ。日頃、呼吸をしてゐて、タマに深呼吸する、みたいな気持ちでライヴすればそれで良いのだ。必要以上に「入る」必要はない。要はちゃんと日頃の「音楽」が演れれば良いのだから。

こないだ、ヲルガン座のイズミさんに『シュウさんは寝てて、起きてすぐライヴできるでしょ?』と云はれた。うん、多分できる。準備が要らない、のではなく、生くる、その全てがライヴへの「準備」であれば良いと思ふ。音楽家、パフォーマ−として生くる、といふはさういふ事なのだ。

さぁ明日からツアーです。行ってきませう。


4週目(ツアー日記)

20日(日)大阪南堀江フィドル倶楽部-------------------------------------------------------------

高速道路はホンマにタダになるのか?。なったらエライこっちゃで。

21日(月)京都観光---------------------------------------------------------------------------- 

京都の名物はぢつは「とうふ」だった?。嵐山はホンマに8割が紅葉で出来てゐるのか?。

22日(火)名古屋今池りとるびれっじ--------------------------------------------------------------------------

大須観音の丸鶏焼きは歴史も深い。サウナでテネシーワルツを口ずさむ老人に出会った。

23日(水)松阪M'AXA-----------------------------------------------------------------------------

延々と続く平野部。恐るべし紀伊半島の広がり。

24日(木)広島へ!-------------------------------------------------------------------

しーなさんとはゆんべのうちに別れの挨拶を交わしておいた。しーなさんは仕事の為、朝早い新幹線でひとり帰るのださう。ワシは「鉄ちゃん」の名に於いて鈍行列車で広島へ帰還す。

今回、時刻表を持って来てないので、ホテルでシミュレーションが出来ぬ。が、2月のダブルシュウのツアーで名古屋を終えた後、確か11時名古屋発のに乗れば、夜早い時間帯に帰れた事を思ひ出す。とりあへず駅まで行き、キヲスクで時刻表を買ひ、当てずっぽうで11時に来た快速に乗る。電車の中でシミュレーション完了。6回乗り換えで20時に広島に着けるはず。

無いと思ってた立ち食ひ蕎麦屋があったり、乗り換えの為に走らんければならなかったり、思ひ出してみたら2月もさうだった!とか。今回はきっちりメモるぞ。旅慣れるヒトはかうして自分だけのガイドブックを作って行くのだらう。そは愉快な旅だ。

米原から姫路〜相生までは、乗客の入れ替わりもほとんど無いくらいのどかな生活路線。15時半を境に学生が増えて来る。高校がある街、大学がある街、それぞれカラーが違っててオモロい。ボンクラばっかりの学校とか(笑)。

岡山を過ぎた頃、寝てて、フと気が付くと、目の前にタイトミニスカの女の子(しかもカワイイ&美脚)が座ってて、目の前のワシを気にするでもなく脚を組み換えたり、組み換えたり、組み換えたりするので、目のやり場が固まってしまって飽きなんだ。

18時に糸崎を出てからは、外はもう闇の中。景色が見えぬので辛い。輪をかけるやうにこの時間帯はおやぢばかり乗って来るので、全然オモロない。移動に飽きはじめた20時過ぎ、ようやく広島の我が家に到着。女房と飯を喰ひに行き、中華大盛り定食を平らげ、ビールを大ジョッキ一杯。旅の間に届いたメールに返事を出すのに2時間かかった。

さぁ明日からは通常営業。そして、怒濤のライヴ連続ウィークに突入だっ!。

25日(金)-----------------------------------------------------------------------------

早起きする。目眩がひどい。久々に沈暈剤を服む。づいぶん前のだけど効くのかね?これ。

専門学校、後期授業開始。早速リズムトレーニングでシゴく。途中、2回くらい居眠り。ぢっとしてると目眩がする。動いてた方が良いのか?。多分まぁいつものヤツなら医者に行っても治せんだらうし、何やってもおんなじだから、普通に暮らすのみ。気分が悪いのはMっ気を出して我慢する。

なんとか3コマレッスンして帰宅。色んな事のスケヂュールが押し寄せて、訳が分からなくなってゐる。ダブルブッキングやロストにだけはならぬやうに注意。日程だけ押さえて以後連絡のない先方にイラつく。


5週目

26日(土)----------------------------------------------------------------------------------

けふはソロで呉市への遠征。4月以来の花Club。マスター良二さんの退院を祝うソロ・ワンマンだ。

高速だと30分。ほとんどがトンネルで、あまりに風情が無い。湾岸道路なら1時間以上かかるが、当然選択したのはこちら。秋の海辺の呑気なひとりドライヴを期待してゐたのだが、途中から何やら異常な混み具合。なんかどっかで事故か工事でもやらかしてやがるな、と判断。悔しいが途中から高速に乗って行く。10分で着く。全然オモロない。

花Clubはいつもそーだが、店の前の道路の壁一面にワシのポスター(顔写真入り)がっ。その前に車を停めてひとりいそいそと機材を搬入す。少し恥ずい(笑)。

音響、セッティング全部自分で演るのが此所のスタイル。ループを走らせ、ハンドマイクで唄いながら何度も会場に降りて出音をチェックす。ループは便利だ(笑)。まぁこれなら、て所でオッケー。音が良いに越したこたぁないけど、「音」を聴かせる訳ぢゃないからね、ワシは。唄が届けば、それで良いのだ。

ストロマトライト/春/京子と行った最後のナタリ−/あやかし/夜明けの海ごっこ/Dance/忘れないで/きみはたれか/月のチャクラ/海の向こうで戦争が始まる/君が亡くなって1年が過ぎた/千年刻みの日時計/こきりこ節/らのえてぃあ/丘にのぼる時/家路/素晴らしき世界。

前後半に分けて1時間づつ。大入り満員、ではなかったけどまぁ2ステージとも格好がつく位にはお客も入り、出来も上々。アンコールが二回も来て、最後は良二さんからのリクエストで、けふ2回目、テンポを極端に落とした「Dance」で終了。全部で18曲、唄った。流石に疲れ、少し声も嗄れた。が、まだまだ行ける。よっしゃぁ、やるぞ。やれるところまで!。

一時は生命の危険もあったと云ふ良二さん。まだ完全復帰とは行かぬやうだが、親身なスタッフ(これがみな美形女性)に支えられ、これから元気に復活して下さい。

27日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

朝からスタヂヲに缶詰めで、生徒の発表会のリハーサルを監督す。途中、何曲か弾きもす。これが10:00〜17:00まで。

夜は我らがPICO、第8回ござしきなげせんライヴの会、に出演。過去最多17組の出演者。ひと組15分枠、と決められ、まぁ今回も魑魅魍魎どもが出るわ出るわ。でもオモロいのは、このイベントにまだFar east でもしーシュでも出た事ないのだ。メンバー全員出てるのに(笑)。

今回、ワシはカシラとのデュオ、紅葉&よーことのアフリカン・トリオ、ジェムベ+ベリーダンスセッション、とソロで出演。ソロでは9年ぶりくらいに声だけのソロパフォーマンスに挑戦した。まっったく何も考えずにステージに上がり、ディレイ、ループ、モヂュレーター、ピッチシフター、えへくたー総動員で声を加工し、究極の純正律即興!!。ものすごいウケた。老若男女外人さんまでヤンヤの喝采で、自分でも楽しくってノリまくり、歌いまくる。タマには良いね、かういふのも。

ただ、後で『シュウさんはホンマに独りの世界を突っ込んで研究するのが好きなんですね』と云はれ、それは大いに違うのでチャンと訂正しておいた。けふの出し物につひて云ふならば、ステージに上がって最初のひと声を出すまで、一切、全く、なんの準備もしてない。えへくたーの繋ぎも適当だった。ただ出た音に触発されて次の音を拾いに行く、といふ作業を繰り返して、それを「音楽」にしただけだ。「研究」などしてない。日頃からしない。

まぁ受け取り手の勝手だから、目くじら立てて反論する事もなかったのかも知れぬが、「ひとりを研究するのが好き」と思はれるのは、一番心外なのである。ワシは誰とでもコミットしたいからこそ、独り、でゐるのだ。そこを誤解せんでほしい。

まぁけふは楽しかったからいいや。1:00までゐて、パイグとアサミちゃんのデュオを見て、帰った。

28日(月)------------------------------------------------------------------------------------

ライヴが上手く行った翌日などは、自然に誰にでもジェントルになれる気がす。願わくば常にかうして穏やかに日々を過ごしたいものだ。

授業を午前中で終え、シネツインに「扉をたたく人」を見に行く。素晴らしい映画だった。人と云ふは、国と云ふは、システムと云ふは、一体なんなのだらう?。

夜、りこズ営業リハ。豪華メンバーである。ホーンまで入った8人編成。流石に迫力あって楽しい。ストリングスに祈り部竹内ふみのチャンがゐる。相変わらずマイペースでナゴむ娘だ。この日のリハにつひて触れたふみのチャンの個人ブログがまた爆笑(全部カタカナなので読む人は御注意)

29日(火)------------------------------------------------------------------------------------

専門学校で「イムフルエンザの為の学校閉鎖になった場合の措置」といふ告知がある。可能性はあるだらうな、と思ってゐたが、やはりな。中学生や高校生の生徒の中には、既に学校閉鎖になってゐるのもゐて、さういふコらは学校行かずして何してんのかね?。

自分が罹患してしまはぬやうにせねばならんのだが、人に接する商売なので、なかなか難しい。これから冬先に向けてが正念場だな。

30日(水)---------------------------------------------------------------------------

来週の営業用の譜面をチェックす。インストかと思ひきや、唄があるのに驚く。しかも「唄、お願いします」と書いてあり、大いに焦る。念のため確認を入れてみると、他にメインの唄うたいはゐる、とのこと。少しほっとした。

少し毎日慌ただしいので、最近CDも本も買ってない。ファンや友人に戴いたCDでさえ集中して聴く機会がない。車の中で移動中に聴ければ良いのだが、車に乗る機会が、最近あんまりない。オペラ「カルメン」のDVDもぢつはまだ見てない。2時間、TVの前に座ってられる状況、てのがあんまりないのだ。

茶と、菓子かなんかを用意して、壱日さういふ事に没頭する、てぇ日がそろそろ欲しいな。太るか?。


10月