February
一週目

2月1日(日)-----------------------------------

多少、酒が残り、アンヌイな日曜日。急ぎの仕事もないので、一日のんびりとTVを見て過ごす。「イエロ−キャブ軍団 ハワイで云々」といふ番組をやってゐる。ようもこれほど揃ったものよ、と半ば感心、半ば呆れながら見てゐる(またくっだらん番組なのだ、コレが)。本来、これほどまでにチチのデカい女性、日本人には希少だったのではなからうか?。ワシが少年の頃、自分の周りで目立つほどのチチを持ってゐた女性は、ほんの数人ゐるかゐないかだったやうな気がする。今では、多少の細工はしてゐるのだらうが、街行く女性の4割は立派なチチをしてゐる。非常に良いことである。

2日(月)------------------------------------

土曜日から二日続けてベースに触ってない。朝起きて、早速ベースの練習。2/10にラムジィと演る曲をMTRに録って練習する。

久々に新刊を入手。ドゥーガル・ディクソンとジョン・アダムスの共著による「The Future is Wild」。人類が滅亡した後の地上を支配するであらう生き物達を想像した、まぁある種のファンタジィ絵本である。ファンタジィとはいっても、そこに描かれる世界や異形の生き物達は、進化論や地質学も含めた科学的見地から想像されており、ただ単に想像力にモノを云わせた絵空事ではないのだ(この本、半分以上が学術的な解説である)。

このD・ディクソンといふヒトは、恐竜が絶滅せずに現代まで進化し続けてゐたら、といふ仮定から描いた「新恐竜」や、やはり人類滅亡後の世界を科学的に想像した「アフター・マン」といふ著書があり、非常に面白い。

2億年後には大陸プレートの移動によって現在の五大陸がひとつとなった超大陸が出現し、地球環境は激変する。ほ乳類は絶滅し、生態系のほとんどを甲殻類や頭足類(タコの仲間ね)が占める。8トンもの巨大な陸棲のイカが森林を歩き回り、鳥のやうに自由に空を飛ぶ魚、犬ぐらいのカタツムリがぴょんぴょん跳ねながら大陸を渡って行く様が描かれてゐる。これぞSF!。

この著書によるまでもなく、地球上の生命が『大量絶滅』し、生態系が根底から入れ代わるといふ現象は、珍しいことでも何でもなく、この地球上でも既に4回の大量絶滅が起こってゐる。我々が知るところでは恐竜の絶滅が一番ポピュラーだと思ふが、あれですら大量絶滅の中ではスケールの小さい方なのだとか。

我々人類は、まぁそれほど遠くない未来に滅亡すると思ふが、それが例えば千年後だったとしても、絶滅の周期としては最短のものである(恐竜時代は一億五千万年続いた。人類は発生してまだたかだか一万年である)。地質学的に見れば、人類の歴史など、おそらく痕跡も残さない程度のものらしい(地質学ではだいたい100万年を1センチとして計測する)。

意外ですか?。ワシはかういうのを専門に勉強したこともあるのよ。

3日(火)--------------------------------------

夜、オルカのリハ。MIとまちゃあきに急速に対応してもらふ為に、多少簡略化してゐたアレンジを、元に戻しはじめる。クラシック経験のあるMIはまだしも、まちゃあきは大変さうだ。それでもこの若者は、一回リハったことを、次の時には仕上げてくる。それは仲々大したものだ。演っていくうちにアイディアが湧き、アレンジが変わってゆく。よいかんぢである。

4日(水)----------------------------------------

昨日、MIからダビングしてもらった、先月のオルカのライヴを見る。辞めたマミには悪いが、これまでで一番かっこエエ。新しいメンバーに触発されての現象のやうだ。ツァムラ・ママス・マンナ*みたいである(誰も知らんか?)。なんか自分が意図せんところで、このバンドがとても良い風に育ってゐる気がする。

ワシが以前ほどガムシャラに頑張ってないからいいのかもしれない。好きなやり方では無いが、『パフォーマーは全力で演ってはいけない』といふのは能ってゐる気がする。

その夜は珍しく妻に誘われて外食。ラーメン、餃子&ビール。雪が凄い降ってゐる。

5日(木)------------------------------------------

また親書を購入。ピーター・バスティアンの「音楽の霊性」。ヒーリングミュージックなどといふ言葉は大嫌いだが、例えば岩を叩くことを専門にして音楽を作ってゐる、みたいなヒトの話を聞くと、妙に共感を憶へてしまふ今日この頃。

最近ワシの中で、音楽がまた一段と抽象的なものになりつつある。さういう意味では、いまのワシはまた混迷期にあるやうだ。ただ、以前と比べて『独りでも演る』といふ意識が目覚めてゐるからだらう、迷ふことが以前ほど怖くはないのだ。

「でらしね」はワシを確実に変えてゐる。

技巧の羅列のやうな音列と、たった二つの音で唄い切る表現。または浮かれ騒ぐノリと、内包的なストイックさ。ソロで目指す芸術性と、オルカの大衆性。双方が手にとれる地平に、いつか立ちたい、と思ってゐる。

*********************************************
ツァムラ・ママス・マンナ (Zamla mammaz manna):北欧スウェーデンのプログレッシヴロックバンド。60年代から活動。超絶技巧の演奏(特にオルガンが凄い)とシニカルな歌詞の組み合わせで、プログレファンより一般にウケがよかった。後の音楽家による反体制派活動RIO(ロック・イン・オポジション)に名を列ねるバンドの中では、格段にポップなカラーを持ってゐた。


二週目

6日(土)---------------------------

とても寒い土曜日。いつもはチャリで仕事に行くがけふは断念。車で行く。土、日は何故かTVがグルメか旅番組ばかり也。夜、ピーター・バスティアン著「音楽の霊性」を読む。すぐ寝てしまう。難しい本は睡眠薬よりもキく。

7日(日)---------------------------

新バンドBobby'sのリハがある。チャリで行く。ベースをリュックのやうに担ぎ、前カゴに譜面とおもちゃのアンプを入れて30分チャリを漕ぐ。なるほど、唄主体でゴチャゴチャとえへくたーの要らぬセッションなら、かうやって行けるのだな。これなら飲んでも帰れるな。飲酒運転には違いはないのだが・・・。

8日(月)----------------------------

明日のライヴのリハをやる為にスタヂオに入る。ソロのリハである。これまで企画モノのリハに追われて、自分のリハが出来なかったので。究極の泥縄だが、まぁ仕方ねぇや。今回は他の出演者が結構マニアック&ダークになるだらうことを予測して、せめてワシのソロぐらいはファンキーに演らうかな?と思い、さういふ方向で進める。昔のソロは結構そんなかんぢだったのだ。

なんかええモティーフはないやろか?といろいろ試してるうちに、昔作った「ルワンダ」といふ曲を思ひ出したので、それを演ることにした。展開の多い曲なのでソロで演るにはチョイとナンだが、まぁ演ってみんと分からんしね。

気がついたら3時間も演ってた。ほほぅ。かういふ風に練習すればいいのか。ようし、今度から月曜日はかういふ日にしやう。梶山シュウ、月曜日はソロ練習の日。

9日(火)----------------------------

企画「わ」本番。4:00会場入りに合わせてラムジィの家まで機材を積みに行く。途中、以前ライヴを一緒に演ったKOOK'sといふバンドのMくんとばったり出会ふ。5ヶ月の赤ん坊を連れてゐる。ぢゃあ今はバンドどころぢゃないね、と云ふ。

会場入り。1時間前に会場入りした上チャン、まだセッティングが終わってない。相変わらず子供の「ひみつきち」並みのドラムセットである。けふのこの時間に至るまで、ライヴの進行を考えてないワシ。ぴゃぴゃッと決めてメンバーに配る。サウンドチェックのみで、4人でのリハはなし。ははは。まぁなんとかなるやろ。

本番は、立ち見も入れんやうな大入り満員。会場となったJIVEのスタッフによれば、今月トップださうで。上チャン、ラムジィ、麻須美ちゃん、それぞれがそれぞれの持ち味を出せた良いライヴにすることが出来た。ただ、後ろの方のお客さんは、ダンスなんかほとんど見えなんだやうで、申し訳なかったッス。多数御来場頂き、ありがとうございました。

昨日、泥縄で練習した「ルワンダ」につひては、成功か失敗かで云ふと「大失敗」だった。

打ち上げ。運転手は飲めず。今、目の前に温泉があったら、すぐさま飛び込んでぷかぷか浮いてゐたい気分。混浴であればいとをかし。ラムジィを送ってゆく。一滴も飲んでないのに、今検問があったら、なんか反応が出るんぢゃないか?と思ふほどくたくたになってゐる。やはり主催者は大変だ。

この日の詳しいレポートはいづれきちんとアップします。

10日(水)----------------------------

休みにて、一日家から出ず。生徒から頼まれてゐるコピーだけしておく。愚例の新曲らしい。しかしこのヒト達は進化も進歩も上達もする気がないらしい。ようもココまで幼稚な唄がポコポコ書けるものだ。またそれを恥ずかし気もなく出せるものだ。今度のパクりはクリムゾン(もしくはデヴィッド・バーン)である。すでに怒る気もせぬ。ただその愚かさを哀れに感じる。

11日(木)------------------------------

確定申告にとりかかる。毎年「今年こそはマメに帳簿を付けて・・・」と考へるのだが、出来たためしがない。領収書の山を整理し、区分けし、計算する。が、あまりの量に途中で嫌になり、打ち切る。やめやめ。残りはまた今度。

思ひ出すに、この確定申告。はじめの頃は自分で申告書も書けず、なをかつ肉体労働と半々くらいの稼ぎで、それでも年収100万くらいしか無くて、税理士に『どーやって生活してんですか?』などと厭味を云われ、げんなりしてゐたものだ。ココ数年は自分で書けるやうになったし、税務署が近くなので歩いて行ってペっと出してくれば終わり。だからあらかじめ帳簿付けてりゃもっと楽なんだよな。

12日(金)-------------------------------

専門学校最後の授業日。いつも通り行ってはみたものの、何の授業をしても中途半端に終わりさうで、ム〜と思ってゐると、ギター科のシバちゃんがビデヲ観賞会をしてゐたので便乗する。彼も同じやうに思ってゐたらしい。ワシらの昔のビデヲ(ジャズロックバンドS.Y.U.K.時代。’95年くらい。生徒たちはその頃まだ小学生!!)とかも見せてゐた。ようあんな難しいこと演ってたものよ。「センセイ、髪が長い!」と女生徒から黄色い声。

先日のライヴで音が出なくなったアンプを返品すべく、楽器屋に持ってゆく。同じ値段か、ちょっと上くらいの値の別のアンプと交換、といふ形で検討する。考えるに、ワシの場合ベースアンプよりはキーボードアンプかなんかの方が良くはないか?、と思ふ。はっきり言って「ベースらしい低音」なんかほとんど出さん訳だし。ついでに新しいサンプラーも合わせて月賦で買ったろーかな?。

アマゾンに注文してゐたCDが立続けに届く。いっぺんに来れば良いものを、分けて発送してあるから、同じ運送屋さんが何度もウチを訪れることになる。ウチはエレベーター無しの5階なので大変。さて届いたのはエバーハルト・ウェーバー『Pendulum』、サム・ベネット『History of the last five minutes』、トリロク・グルトゥ『Glimpse』、東京ザヴィヌルバッハ『Vogue Africa』、ピーター・フェスラー『ランドスケープ・タペストリー』。

タマに「よくそんなにポンポン買いますね」と云われるが、確かにな。まぁ自分の金だからエエやろ?。


三週目

14日(土)--------------------

自前のアンプが壊れた為、五日市の楽器店に借りに行く。ここの店員がこないだの「わ」に来てくれてゐて、素晴らしかった、といふ事を云ってくれる。他の人にも云われるが『異世界を感じる』といふ言葉は、いまの所ワシへの最高の褒め言葉だな。ライヴレポートUPしましたので、そちらもだうぞ。

昼過ぎ、椎名まさ子トリオのリハ。次回のライヴでは、大幅にワシのヴォーカルパートが増えさうな予定。

深夜、フロに入らうとして、洗濯機のカドで右脚の小指を思いっきりイわしてしまふ。激痛。

15日(日)-----------------------

昨年末から水面下で密かに進行中だった新バンドBobby'sの初ライヴ。広島の超ベテランヴィブラホン奏者Bobby脇田さんと、阿川泰子の元バックドラマー、現在も全国をマタにかけて活動してゐる藤井学。この二人の生っ粋ジャズメンに、何故かワシが加わり「プレーヤーでシンガー」といふ売りで演っていかう、と結成されたバンド。だうやらコーラスの腕を買われたらしひ。

山口県は岩国市のPIANOといふ店。初ライヴが他所で、といふのは仲々にオモロイ。岩国は何度か行ったことあるが、好きな街。2台の車に機材とメンバーが分乗して、高速で約1時間の旅。会場のPIANOはその名の通りのピアノバーで、全面ガラス張りの窓から見渡せる夜景が、なにか昭和初期のナウなシャレた店、といふかんぢがしてとてもイイ。

このバンドのレパートリーは、古き良きボーカルナンバーを、きっちりハモって聞かせ、その合間に4ビートを挟みぃのソロも聴かせぇの、といった仲々に雑多なもの。正直に云ふと、演りたくてたまらんバンドといふワケでは絶対ないが、まぁソロが決まったり、ハモが決まったりすると、結構楽しい。昔から何故かジャズ屋さんに誘われることが多いんだけど、ワシはジャズは全然門外漢。嘘がばれるのにビクついてゐる子供のやうなものだ。

ちょっとうるさい酔っ払いはゐたが、お客さんも盛り上がって良いライヴだった。ワシにしては結構なギャラをもらったが『今回は少なくて悪ぃねぇシュウ』との事だったので、いつもはもっとあるンやろか?。黙ってやう。

16日(月)-------------------------

土曜日の夜にイわしてしまった足の小指が、まだ痛む。いわゆる「突き指」のやうな状態なのか、むか〜〜〜し、体育の授業でサッカーをしてゐて、ボールと間違えて地球をおもいっくそ蹴ってしまひ、親指をイわしてしまった事があり、あれなどは2週間後かくらいに、突然爪がもげてしまった。今回もああなるのだらうか?。

17日(火)--------------------------

専門学校が春休みに入ったので、火曜日の朝が楽になる。こないだくじけた確定申告の続きをやる。

脚に入ってゐるボルトとプレートの摘出手術の日程が出て、3月アタマからの入院が決定した。順当に行けば2週間程度の入院ですむらしいが・・・。また仕事休まんといかんコトになるな。レッスンの場所によっては、あからさまに迷惑な顔をしなさるところもあって、それはワシが悪いのか?と、こちらも攻撃姿勢になってしまふ。

夜、オルカのリハ。MIがこないだの企画「わ」をムービーに撮ってくれたやつをDVDにしてくれた。ウチに帰って早速見てみるが『このディスクは読めません』といふ表示が出る。もしや、と思いMIに「このディスク、ファイナライズしとらんのとちゃうか?」と云ふと「それはナンですか?」と云ふ。

18日(水)-------------------------

椎名まさ子トリオのリハ。なんか新曲がいっぱいある。本番は3日後やのに大丈夫かいな?。

その後、レッスンに行くが、なにか異様に身体がダルい。単なる疲れだらうと思ってゐたが、ウチに帰る頃には熱が出てゐた。今年に入ってからビタミンや亜鉛のサプリを摂取し、吸入器で咽をうるをし、帰宅後のうがいを心掛けてゐるのに、これだ。運動をしなくなって、すっかり免疫力が低下してゐる。考えてみれば運動を全然しなかったローティーンの頃がこんなかんぢだった。やはりどこかのジムかなにかに定期的に通ったほうがよい。

19日(木)--------------------------

突然の発熱にヤケになり、絶食療法を試してみる。外からの栄養を摂取しない事により、代謝が活性化し、免疫力も高まると云ふ。なんかイイといふハナシなので・・・。

ゆんべは晩飯を喰わぬまま寝る。けふも水分を撮る以外、固形物を口にしない。当然風邪薬も服まぬ。熱が出たけりゃでろ!といふ姿勢。脳の血糖値が下がると仕事に支障をきたすので、黒砂糖をお湯に溶いて呑む。水分を摂ることも必須。

開き直ってゐるせいか、レッスンもリハも思った程しんどくはない。感覚が研ぎすまされるやうな気がする。ギタリストのスティーブ・ヴァイはライヴの前に断食する、といふ。分かる気もする。

禅宗には『千日回峰』なる修行があるときく。経文を唱えながら険しい山道を千日かけて踏破し、仕上げとして9日間の完全断食をする、といふ荒行中の荒行。途中で死ぬものも珍しくはない。成し遂げた僧は『すべての者を正しい道に導く』といふ意味の『阿闍梨(あじゃり)』といふ称号が与えられる。

そこまでは・・・・・。

20日(金)----------------------------

結局36時間の断食に成功。熱は下がり、懈怠感もなくなった。う〜む、驚異の小宇宙、人体!。断食の注意点は、最中より復食にある。当然ながら、いきなり好きなものを喰っていいわけはない。熱い牛乳に黒砂糖とココアを溶かしゆっくり呑む。少々仕事をして昼はロールパン1個とポターヂュを。

夕方、明日の椎名まさ子トリオのライヴの仕込みに行く。市内で仕事中のし〜なサンを拾って会場入り。明日はワシがレッスン仕事から直入りなので、けふのうちに軽いリハもやっておく。声がよう出る。

まだ日があるうちに終わる。それぞれに解散。いつもPAをやってくれるM氏とその会社のスタッフ。しばらく平走して走ってゐた彼らの車が、次の打ち合わせ場所であるらしい会場に消えてゆく。年中忙しさうなM氏。彼らにはほんたうにアタマが下がる。


四週目

21日(土)---------------------

椎名まさ子トリオの本番。昼過ぎにスタジオ入りして、ちょちょっとリハ。これって結構疲れるンだぁな。1時間程度、ヤバさうな曲を仕上げてから佐伯&椎名夫妻は会場入り。ワシはアクターズスクールのレッスンへ。3月に入院が決まった事を話し、休講の間の段取りを付けておく。順調に行けば春の発表会直前には退院できる予定なのだが・・・・。

仕事を終え、ひとり遅れて会場入り。レッスンのお陰で昼間よりはテンションが上がってゐる。

本番、当初の予定ではし〜なサンのソロから始める事になってゐたが、イキオイで『いきなりトリオから始めやう!』と云ふハナシとなる。今回はワシのソロもあり、デュエット曲もあり、ユニットとしてもまとまってきたので、これまでのイメェジとしてあった『椎名まさ子とそのバック』ではなく、『椎名まさ子トリオ』のライヴ、といふかんぢだった。準備不足が多く、完璧なステージが出来たとは言えぬが楽しく演れた。ちょいと咽が調子悪かったのだが、遠慮なしに歌いまくった。様々な世代の女性から、賛辞のお声をいただいた。若い女性にモテるのもイイが、世の中を分かった熟年の女性に気に入られると、これもまたよい。し〜なサンに『後家殺し』といふ称号を戴いた。

昨年末に演ったのと同じ会場、同じメンバー、同じ形式、といふことでし〜なサンの中では心に期するものがあったやうだ。が、これもワシに云わせれば、同じハウスで、同じメンバーで、同じ形式、といふのはバンド活動そのものであり、そのルーティンの中で生まれてくるものこそが、バンドとしての「味」である、と思ふ。しかしそれが具体的にどーいう事なのか?となれば、なかなか説明しづらく、上手くし〜なサンに伝えたいのだが・・・。

打ち上げは中国四川料理『老四川』。激辛、激ウマの『火鍋』なるものを食し、老酒を浴びる。

22日(日)-----------------------

おそるべし『火鍋』の威力、コーモンがえらいことに・・・・(自粛)。

けふは「千田町わっしょい」と云ふ野外イベントに出演。天気予報は『昼から雨』と明言してゐるが、主催者はゴーサインを出したやうだ。車に機材を積んで行く。会場に着くと、既にラムジィがソロで演ってゐた。今にも泣き出しさうな曇天の下、多数のフリーマーケットが軒を並べてゐる。とりあへずFar east lounge 用のセッティングをしてから様子を見る。「降り出さんうちに演るか」と始めた途端、ポツポツ。時を経ずポツポツはザーザーに変わって行く。

演奏してゐる目の前でどんどん店じまいが始まって行く。アー「終わったらアレを喰おう」と思ってゐた『揚げたてコロッケ¥50』の屋台も片付いてしまった。面倒臭いので、それぞれ別の出演予定だったワシのソロと、パーカッション軍団も Far east 〜の中に組み入れる。カシラがギターを持ち換える間にワシがソロを演り、ラスト数曲にパーカッション隊に参加してもらふ。これはこれで楽しかった。

天気よかったらもっと楽しかったらうなぁ。嵐のやうに荒れはじめた雨の中を帰り、ハンバーガァなど買って食す。

23日(月)------------------------

確定申告の仕上げ。午前中いっぱいかかって、なんとか仕上げる。やれやれ、面倒な事よ。

昼イチ、アクターズスクールの企画会議。入院の為、春の発表会の力になれぬ事を運営陣と他の講師陣に伝える。思えば、企画「わ」以来初めて麻須美ちゃんに会ったので、ライヴが好評だった事を伝え、近々また演らねばね、といふ事を話す。まぁとりあへず入院明けだな。

こないだブッ壊れたアンプの変わりを調達する為に、またK楽器店へ。K店のO店長、何種類か見繕ってくれてゐた。その中でなんちゃらと云ふメーカー(良く分からん)の、100ワットのやつがシムプルで気に入ったので、それにする。ついでなのでアンプと合わせてゲップを組み、Line 6のサンプリングディレイと、とある秘密兵器も買った。

帰りついでに久々に泳ぎに行くべ、とプールに寄ったが、異常にジジババが多かったので、あきらめて帰宅。ウチで専門学校の年度末成績評価を出す。

24日(火)----------------------------

申告書を出しに区役所へゆく。こないだまでえらい暖かい毎日だったが、けふは少し冷える。花粉が飛んでゐるのだらうか、鼻がムズムズする。しかしどうせ来週には入院するのだ。対処の必要は無からう。

午後、早めのレッスンスタジオに入り、先日入手したLine6のサンプリングディレイを試す。いや〜〜オモロイわ、これ。スウィッチが軽いンでタイムラグがほとんどない。これを既に使ってるサンプラーと合わせてやれば、それだけで40分くらいのソロセットくらいは演れさうである。明日のFar east〜のライヴ、ソロコーナーもらえたら、早速使ってみやう。

その後オルカのリハ。ワイルドで良い。しかしワイルドなだけで「良い」とする事からは、そろそろ脱却せねばならぬ。その為にはだうするか?。ズバリ、このメンバーのオルカ団で新曲を書くことである。先月作った『僕からあなたに』を最後に、作曲モチベーションが低下してゐる。作曲用のMDには70曲分くらいの断片アイディアが録音してあるのだが・・・・。

25日(水)-----------------------------

五日市の楽器店で、11年教えてゐた生徒が、結婚の為に退会した。思えばこの娘、始めは小学生だったのである。それが中学生になり、「高校受験の為しばらく休みます」といって高校生になり、短大生になって就職し、果ては結婚ぢゃげな。この娘の成長云々もまぁ感慨深いが、自分もそんだけ歳を重ねて来てゐるのだな、といふことに深く感じ入る。折しもこの日、なぢんだ店員の一人が退社。もう一人もワシが入院してゐる間に退社する、といふ。春は別れの季節なり。

さらに寄寓なことに、カシラこと「三代目春駒小林一彦」もまた、けふ会社を辞めたといふ。そのカシラ率いるおなじみ Far east lounge のライヴがあった。まぁこのカシラが、これまで「会社員」だったと云ふ事の方がオカシヒ事だったのだが。

自由、といふ事を喜ぶのはたやすい。自由を謳歌することは何よりも幸せだ。だが、自由は厳しい。まぁそんな事をこの男に云ふだけ無駄だが、一人の身ではないのだから、無理をせず頑張ってもらひたい、と思ふ。とりあへず退社おめでとう。

ライヴは熱狂的に盛り上がった、と云ふかんぢではないが(最近オルカが盛り上がるので、こっちは大人しく感じられる)良いものだった。先日入手したディレイをフルに活用。ソロだけでなく、バッキングにも使える。ライヴで使うのはけふが初めてなのだが、お馴染みの機材のやうに使いこなせる。う〜〜む、いいねこれ。なんといってもデヂタルの表示などなく、ポッチとダイヤルだけ、ってのがいい。

26日(木)-----------------------------

新兵器『Pie-ZO』をゲットする。Zo-3といふシリーズで有名な、小型のアンプ内臓ギターのベース版で、何を思ったか入手する気になった。色んな人から「アレは使えぬ」といふ意見を聞いてゐたから逆に「使ってみせやう」といふ気になったのかも知れぬ。ようはアイディアなのだ。試してみると、さすがに内臓アンプはアレだが、フツーに外部アンプに繋ぐと、仲々侮れぬ音が出るではないかっ。これでソロなんぞやったらかっこいいだろね。やったるぜぃ。乞う御期待っ!。

仕事の後、友人KがバーテンをしてゐるKOBAと云ふバァに行く。先日の「わ」をえらく気に入ってくれ、店でも随分と押してくれたらしい。のでお礼をかねて。行ってみるとマスターは、随分前にとあるクラブでセッションした事のあるBくんと云ふ人で、彼も彼なりに『シュウさんってあのシュウさんかね?』と思ってゐたらしい。再会を祝いながら一杯飲ってゐると、「わ」の麻須美ちゃん、前衛琴の榊記彌栄さんとその参謀役石丸良道さん、Kの彼女であるAちゃん、以前他のクラブでライヴを見てくれた美術商のNさんなど、知り合いが来るわ来るわ。榊さんには仕事までもらって、ぢつに楽しくハッピィな一時。

料理も美味で、BGMもちょうど良い音量。KOBA、うん、良い店です。

27日(金)------------------------------

オルカ団ライヴの日。なんと1年ぶりのライヴハウスでのライヴ。前々から云ってゐるやうに、ライヴハウスでのライヴに限界を感じるけふこの頃。しかしまぁさう云ふ事ばかり云ってゐても始まらぬのだ。

東京から絶対無と云ふバンドを迎えて、広島からはAny wayと云ふ若手のバンドと、これまた久々のライヴであるオリエンタルボンゴと、ウチオルカ団の4つ。長丁場になりさうなライヴである。最近オルカ団ではノンえへくたーなので、ベースと着替えを入れた鞄だけ持って電車で行ける。ははーっラクでいいや。

久々に見たオリボン〜はやっぱり良かった。もっとやってほしいんだけどな、このバンド。Anywayは打ち込み。専門学校の生徒がゐるバンドだった。絶対無はメロディに『和』を取り込んだ、プログレっちゃプログレ風なバンドだった。予想通りかなり長いライヴとなり、ウチが出たのはPM9:30くらい。

最近のウチのカラーで、楽器のソロはあまりフィーチャーせず、声を中心にしたアンサンブル。しかし久々にライヴハウスで演ると声の出し方の勘が掴めぬ。花粉症の症状が出始めて、咽の調子もあまりよくない。まぁそれでも頑張って演った。なかなか盛り上がったし、良いライヴが出来た。遅くまで残ってくれたお客さん、ありがとう。

絶対無の人達が『お好み焼きの店を知りませんか?』と云ふ事だったので、ミュージシャン+お好み焼き、と云えばあの店『KINGにご案内して打ち上げ。ビール&お好み焼きで例によってあんまり憶えてへん。

自分が旅をするから特に思ふのだが、かうやって旅回わりをしてゐるミュージシャンには、誠心誠意で接するべきだ。自分らの出番が終わったらさっさと退散してしまうのも多いが、それはやっぱりなぁ、と思ふ。勿論その人達が望まぬなら別に良いんだけど、遠いところを旅して来て、演って飯喰ってハイ次の街ってんぢゃ、ちょっと侘びしい。「袖触り合うも他生の縁」である。でもそれは本当はライヴハウス側のすることでもある。かういふ所も、ライヴハウスに対する、最近のちょっとオカシイと思ふところ。

絶対無のみなさん、お疲れさまでした。良い旅を。

*******************************

さて、前々から云ってましたやうに、これを持ちましてしばらくシャバを離れます。入院と云っても順調に行けば2週間ぐらいのものらしいので、まぁ「でらしね」をやってる、とでも思ってゐてください。

わたしの為に このやうな言葉は云ってほしくない
「彼の命の灯は消え、去って行った」と
ただ かう云ってほしい
「彼は今日 旅に出て 旅を続けてゐる」と           サムエル・ウルマン「なぜ涙を?」から

ちょっとエンギでもないかね?。


翌月