7月 

1日(水)----------------------------------------------------------------

7月になったなぁ。これで2015年も完全に「折り返した」って訳だ。早いなぁ。

けふはWADAバンドのリハ=朝練である。

ガットギター壱本で演ってゐるこのバンドだが、そこを今後どーするのが良いか、ちょいと悩んでゐる。ガットとは云へエレアコなので、えへくとを繋げばそれらしく色々できるのではあるが、やはり曲によってはスティール弦の音がほしい、と思ふ事もある。だがリハにギターを弐本持ち込むのは・・・。あ、かういふ時こそだぶるネックか!(笑)。

ギターやベースに限った話しではないが、「いつ如何なる時でも完全な自分のセットを持ち込むべし」といふ人、と、「何処でどんなセットで演っても自分の音を出せる」といふ人、がゐて、ワシが目指すのは後者。今のところ出来てゐる。もっともっと、風のやうに、自由に、唄い、弾くのだ。

2日(木)----------------------------------------------------------------

例の「声変わり」につひて。

スタヂヲに入り、唄う順番や唄い方、なぞを考察しながら、まづは営業と同程度25曲を連続で唄ってみる。1時間半くらい。その後に喋る声は、確かにいつもよりかなり「ハスキー」にはなってゐる。が、人に云はれるほど「喋り辛い」かんぢはない。唄声に関しては、冒頭の5曲ぐらいまで、ややコントロールしにくいかんぢはあるが、その後は問題なく。

ん〜〜〜〜、色々と試しながら演るしかない。唄う事をやめる訳にはイカンでの・・。

日本人の「喋り声がハスキーな人」と云ふは、たいてい高い声の人が多く、そこが惜しいっちゃ惜しい。例えばサム・ライリー(あれホンマに絶妙に素晴らしい掠れ声だと思ふ)のやうな中低域がうまく掠れた声は、ホンマに気持ちが良い。あぁなりたい。

3日(金)プチ遠征「独弾」ベース弾き語りソロ:黒瀬町串小屋----------------------------------------------------------------

お馴染み「ライヴのできるリペアハウス」串小屋にて、久々のソロ・ワンマン。

ほぼ壱年ぶりださうで、それでも此所はリピーターのお客さんが多く、毎度趣向を凝らして臨みたい。ので、けふはギターも準備。PAのヲクボさんも「声が変わったね」と。さうなんですよ、などと話ながら、そこはソレさういふアレでお願いします、みたいなかんぢで、割とみっちりリハ。順調にお客さんも集まり、オンタイムで開演。

演目:ストロマトライト/はだしの唄うたい/眠りの汽車/サーカス/れくいえむ/時は過ぎて行く/雨/びしゃもん台/スマイル/千年刻みの日時計/こきりこ節/慈夜/ニットキャップマン/夜明けの海ごっこ/らのえてぃあ/家路/ツアー。シメて17曲!。休憩なしのぶっ続けで唄わして頂きました。お客さん、疲れんかったかな?。

変わりダネとしては、しーシュのカヴァーナンバーでもある「時は過ぎて行く」、これは初チャレンジ。「雨」からの4曲はギターで。「びしゃもん台」はしーシュの新曲だが、ギターで演るとどーか?と・・・。あまり上手い事いかんかった(苦笑)。あと「眠りの汽車」はベース壱本で演るのは100年ぶりくらい。「慈夜」あたりでちょいと咽に異変が起き、数回咳き込む。珠玉のバラードだけに、ちょいと惜しかった。

まぁ咽の調子を気にしながら、の割には、最後らへん張り上げてたし、ヲクボさんも『ほぼナマ声だった』と云ふくらいは出てゐた。ものすごくウケてゐる、といふ感じはしなかったが、総じて好評だったやうだし、CDも売れた。まぁ良きライヴだった、といふ事にしませう。

満場のお客さん、ありがとうざいました。


2週目

4日(土)------------------------------------------------------------------

串小屋2階倉庫で目覚め。「お化けが出る」と聞いてゐたが、此所で寝るのももぅ5回目。今のところ、まだ出た事はない。

昨日の打ち上げの残りで、軽く朝飯。しばしオーナー山本さん&ヲクボさんと語る。道路拡張につき、近々大幅改築&移転、の予定ださうで、この場所も年内まで、とか。此所で演った最初のライヴがワシだったさうで、やはり最後もシュウちゃんにシメてもらひたい、と光栄なお誘いを頂き、今年11月13日の金曜日(!)、現店舗最後のライヴを「独弾」で演ることが決定。謹んでシメさせて頂こう。

昼前には辞去。夕方からしーシュのリハの予定であったが、しーなさんが親知らず治療(こないだ抜いたらしひ)後の肥立ちがあまりよろしくなく、明日に延期となる。下顎の親知らずはキツいからねぇ・・・。ワシもさうだったが、抜歯後1週間は痛みも出血も止まらず、ホンマに辛かった。しかしまぁ誰に聞いても『そんなもんだ』と云ふ意見なので、無理矢理納得した憶えがある。お大事にね。

5日(日)-----------------------------------------------------------------

昨日延期したぶんの、しーシュのリハ。

たぁ云へしーなさん、痛みが引いてる訳でもなく、鎮痛剤の飲み過ぎで辛さう。ちょいと見せてもらったが、今はまだ歯茎にごっぽり穴が開き、奥に骨が見えてゐる状態。ヒェ〜!こらぁ痛いだらうよ。今週末のプチ遠征までに、せめて痛みが落ち着く事をお祈り申す。

それでもリハはちゃんと演る真面目なデュオ。久しぶりにしーなさんから新曲。しかも2曲。永らくのブランクを巻き返すやうに、仲々の力作である。アレンジも含め、佳曲に育てたいので、急がず煮詰めて行こう。一旦保留。先が楽しみである。

6日(月)----------------------------------------------------------------

孤独な営業「吟」@オリエンタルホテル、にて、けふこそゴダンのアーチトップギターを使わん、としてさうしてみる。

結果、やはりワシには合わぬ楽器なのかなぁ・・。たいへん扱い辛く、演り難かった。なんかここん処ギターがストレスで、パフォーマンスに集中できない、と云ふ局面が多いな。ガットはガットで全然弾きこなせてゐる気がせぬし、練習の成果がステージで全く出せない本番が続いてゐる。演れば演るほどヘタになってゐる気さえす。なにがマズいのだらうか?。

まぁ、練習が足らん、のだらうな。

7日(火)---------------------------------------------------------------

今年始めに『職を失う』と書いた専門学校。その後、紆余曲折あり、細々と仕事を維持させてもらってゐたが、やはりそれも終わる時が来さうである。近々、本格的にワシは此所の仕事を失うだらう。また次の試練が訪れやうとしてゐる。

自分で仕事を取りに行かないとなにも変わらない。それは事実だ。そして今のワシは、レッスンが増える事より、ライヴ(ツアー)が増える事を強く求めてゐる。いま年間130〜150のライヴを、200ぐらいまでに増やし、『二日にいっぺんはステージに立ってゐる』やうな状況を、自分で作って行かねば。うむ。頑張ろう。

夜はFMの収録。収録中、食べ物の話題に触れた途端、たいへん香ばしい音でハラの虫が鳴き、スタヂヲ大爆笑、となった。楽しい仕事場である。

8日(水)----------------------------------------------------------------

突然、ガッツリした変拍子の音楽が聴きたくなった。

チョイスしたのは、キング・クリムゾン「グレート・ディシーヴァー・ライヴ」、アレア「1978」、AKA MOON「Rebirth」、ケンソー「Live 92」。どれも素晴らしい楽曲群だが、やはりまぁクリムゾン、だな。普遍性、といふか大衆性、といふか、こんだけダークで重苦しい音楽なのに、排他的なかんぢが全くない、といふのはスゴい。あくまでも大衆音楽としての「ロック」である、といふところが・・・(他の3グループはどちらかってぇとジャズ的要素の強いバンド)

「オルカ団」を率いてゐた頃、ワシ自身は「妙なポップス」のつもりで演ってゐたのに、世間からはプログレに分類され、それに少しく戸惑ってゐたワシは、その後まぁ世間的に「プログレぽい」と云はれる要素を、あえてあからさまにつぎ込んだ大曲を作った(笑)。『彼方より』といふ15分に渡る組曲で、正直これ壱曲でへとへとになるやうな曲だった。初演のライヴでの、ものすごい反響を、今も憶えてゐる。しばらく拍手が鳴り止まなかった。「なるほどねぇ」と思ったもんだった。

別にあれが「良い事」だったとは思ってないんだけど、あーいふあからさまな曲を、こんどしーシュにも作ってみやうかねぇ。

9日(木)----------------------------------------------------------------

蒸し暑いね〜。台風三兄弟が近付きつつあるさうな。

200年ぶりくらいに『長髪の夏』を迎えやうとしてゐて、これが暑くてかなわん。せめて首や耳にかかるぶんだけは何とかしたいので、これまた200年ぶりくらいにポニーテイルにして、サイドは髪止めでパッチンす。これはイイ。

レッスンだの買い出しだのリハだのあり、けっこう外を動き回った暑い壱日。夜中に帰宅し、腹が減ってゐたので、豆腐(にポン酢と七味をブチかけたもの)をつまみに泡盛を呑ってゐると、フと「よなかのとうふ」といふ言葉が浮かんだ。曲のタイトルになりさうな言葉だが、ここはいっそユニット名かなんかにした方が良ささうではないか。

『実験大衆音楽ユニット:よなかのとうふ』

良いではないか。是非、さういふ名前のユニットを作ろう。メンバー募集。いっそしーシュを改名するか?(笑)。

ちなみに色々あるペンネームや芸名、バンド名や店の名前で、『やられた』と思はしむるセンスを感じたのは、「山田民族(ギタリスト)」「所在ない(バンド)」「よるのひるね(カフェ:東京)」、あとはまぁやっぱり「江戸川乱歩」・・・だね。

10日(金)----------------------------------------------------------------

しーシュ、プチ遠征:福山編。

同い年の人気DJ、サリィ氏の導きで、福山のオサレなバァ「ブロッサム」にて行なわれてゐる「ミュージック・ギャラリィ」といふイベントに出演。なんかオサレな場のやうだ、といふ意識で行ってみると、ホンマにその通りで、よぅはちゃんとした大人が、ちゃんとお金を使って、ちゃんとした楽しみを知ろうよ、といふ企画。イベント、といふより「社交会」といふ言葉が相応しいやうに思へた。

そんな訳なので、お客さんも『音楽を聴く』と云ふよりは『人と集う』のが目的で、そこに音楽があれば聴く、みたいな。ある意味ハードル高く、色々と策略を練ってステージに挑む。初回ステージでは、「なんや?このデュオは?」みたいな反応だったお客さんも、2ステージ目には酒の進みもあって慣れ、そこそこウケたやうだ。意外にも「亀の庭」あたりがウケてたのが・・・。

要所要所で絡んで来てくれるサリィ氏の煽りにも助けられ、まづまづの仕事はこなせたかな?。それほど期待してなかったが、CDも結構出た様子。ヘルプで厨房に入ってゐた、といふ別店のシェフがたいへん気に入ってくれ、今度はウチの店でも是非、と云ふて下すった。嬉しいね。

にしてもサリィ氏、良い仕事をしてゐるな。最後ら辺は居残った数名のお客さんと、プライヴェート・ディスコのやうになって盛り上げてゐた。70年代のちゃんとしたディスコって、こんなかんぢだったのだらうな、と思はしむる光景にナゴむ。楽しい仕事をありがとう。


3週目

11日(土)----------------------------------------------------------------

しーシュ、プチ遠征:高宮編。

例年、吉田町ヤング・インのライヴと合わせて2デイズ、として演ってゐた安芸高田市ツアー。その二日目の「高宮ろぐはうす」を、今回は居酒屋椎修の出張営業に出来ぬか?とのリクエストを受け、あえてヤングインのライヴから壱ヶ月を開け、それを敢行す。

前日に大方の準備を済ませて会場入りする、といふ従来の居酒屋に比べ、道すがら食材を調達して行く、といふ方式を取らざるを得ず、それに則したメニュゥを熟考。料金設定や人数確保など、協力スタッフとも協議を重ね、まぁ初めての試み、として挑む。食中毒だけは出してはならぬので、細心の注意。痛む可能性が少しでもある食材は避け、創意工夫を凝らす。その合間に、本業の音楽家としてリハ&サウンドチェック。

結果として、たいへん良いイベントとなった。慣れぬ設備でイチからの料理作り、は、さすがにハードルが高く、ぶっちゃけライヴ始まるまでに本気で疲労困憊してはゐたが、その後のライヴも良いノリを維持でき、満場のお客さんが等しく楽しんで頂けたライヴ・イベントとする事が出来たやうだ。ウチのライヴにしては珍しく、立ち上がって踊るヒト多数。大ラスのバラードでは、ペンライトならぬスマホライトによるキャンドルウェーヴまで起こり、奇跡のやうに幸せなライヴだった。

けふの催しを企画し、進めてくれた現地スタッフの皆さんに、心よりの感謝。聞けば主催側的にもちゃんと「黒字」が出て、誰もが損をせず楽しめた、といふ。良かった。皆が均等に潤うのは難しいけど、誰かが損をするイベントは、やはり心苦しいのでね。

だがまぁ、正直、心底くたびれたのも事実(苦笑)。

歯の治療をしたばかりだったしーなさんは、しまいにはもぅ鑞人形のやうになってゐたし(笑)、ワシもフツーに立ってて膝がカックン、てなるくらい困憊してゐた。だが、盛り上がったお客さんは、その後もさらに盛り上がり続け、終わらない夜の様相。見かねた主催者が(ワシらに)『気付かれないやうに帰りなさい』と云ってくれ、こっそりと退散。

いや〜まぁでも、あんなにみんな帰らぬくらい楽しんでもらへたのなら、それぁ音楽家&料理人冥利に尽きるよなぁ、と思ひながら。

12日(日)-----------------------------------------------------------------

高宮の宿泊施設に泊まり、その帰りがけ、といふ形で、向原にてレッスンを壱本入れる。

先月、吉田町はヤングインで演ったライヴのOAを務めてくれた、「ことりんチェルシー」のエリアっち(小田エリア/フリュート)が、ヴォイストレーニングを受けたい、と云ふので、出張レッスン。けふはその壱回目。

しーなさんは、ダンナのとものりッチ(小田とものり/ギター)に接待して頂き、その間レッスン。女子は倒れる事もあるくらい、キツい事をやるワシのヴォイトレだが、40分きちんと付いて来てよろしぃ。本人もあっと云ふ間だったやうで、喜んでもらへたなら、ね。向原、ツーと県北のすげぃ奥、といふ気がするが、普通に車出せば50分くらいで来れるやうなので、今後エリアっちが納得するまで、月弐で通う事になる。

その後、とものり&エリアと昼飯を喰ひ、この辺りで演ってるイベントの話しなども受ける。この自然豊かで、善き人達の営みあるこの町と、良きおつき合いを、今後もさせていただければ、嬉しい。

13日(月)----------------------------------------------------------------

台風の接近によるものか、たいへん不安定な天気。日が射してゐたかと思ふとイキナリの大雨。そんな天候のせいもあってか・・・、あとまぁ旅の疲れもあってか、けふは腰が仲々シワい。ジモの店番を休ませてもらひ、家にぢっとしてゐる事にす。

長引いてゐる・・・、といふより、だいぶ慢性的に悪いもの、になって来たなぁ、ワシの腰。四つん這いで暮らせば、そんなものにはならん、と云ふ。今からでも四つ足生活にするか?。

14日(火)---------------------------------------------------------------

お江戸の宿主「りょーこ」こと久保田涼子が広島に帰って来てゐて。

ぢつは8月のアタマに、お江戸で彼女ら世代のアーティストが集まり、被爆70周年を迎える広島につひて「東京で考へる」といふ主旨のイベントを行なう。発案の段階からウチに出演のオファーを頂いてゐて、「特にさういふ主旨に強く賛同し、それにつひて語ったりする必要がないのなら」といふ条件でオッケーしてゐた。それの骨子がだいぶ出来上がったので、それの打ち合せ、と、音楽部分の軽いリハーサルを行なう。

このお江戸でのイベント出演が、ウチらのこの夏ツアーの最終日にあたり、それまで関東〜北海道をまわる8日の旅をして、その帰り、といふ事になるので、たぶんリハの内容は忘れてゐると思ふが(苦笑)、良きイベントになるやうに、力は添えてやりたい。

ハリキリ娘の仕事を手伝う父、のやうな気持ちでりょーこの帰る姿を見送った。

15日(水)大阪 梅田AKASO:狐狸の夢は夜ひらく with ノレンニゥー・デ・オッシ----------------------------------------------------------------

さてイレギュラープチ遠征。

盟友ユニットノレンニゥー・デ・オッシが定期(でもないさうだが)で行なってゐる、AKASOでの投げ銭イベントに呼んでもらって、久々の大阪。ノレン〜とは今年3月の6日に渡る合同ツアー以来の邂逅。今回は関西地区メンバー、マンドリンの「としやん」も参加してゐて、始めからコラボタイムが楽しみな企画である。

会場のAKASOは、もと「バナナホール」と云はれてた場所で、遥か太古に一度、ダレかの応援かなんかで観に来たことがある。ライヴハウス、と云ふよりはむしろ小ホール、の大きさで、ステージも広く、グランドピヤノがある。かういふ場だと遠慮なしにベースをシバけるので、その打撃音も良いかんぢ。音響手腕も素晴らしく、だからあえてかういふ場で「アルフォンシーナ〜」なども演りたくなったりもした。

集客もそこそこには埋まり、なんとけふは関西だけでなく、東京、山口、広島、名古屋からも応援に駆け付けてくれたファンの方もゐて、嬉しいワシら。心して演る。

演目:月の裏側の約束/亀の庭/ごっとりさん/よぅそろ/アルフォンシーナと海/あじさい/砂に泣き/苔の記憶。久しぶりの「よぅそろ」など加えた、割と変わったラインナップ。コラボタイムはお馴染みの5曲、わたしはモナカ/雨どい通って/Dance/西を目指して/萌ゆる蒼さ 心に毒を。もぅコラボなんぞキマり過ぎて怖いやうな完成度だった。『この5人でのフルレンジのライヴが観たい』といふ意見も多くあり、またまたコラボ大成功、といふかんぢだった。いやホンマこの5人で世界に出やうよ。

前回のツアー時に、ワシが個人的に「物足りない」と感じた『語らい』も、今回はぢっくりと。鉄板焼をツツきながら、としやんの終電の時間が過ぎてもなを、語らいは終わらず、それぞれの心のうちなども語り合い、身も心も大満足、な大阪の夜であった。

ヤっさん、とる子、としやん、ありがとう。

16日(木)岡山 本町コモンズ:トリノスとラッシュの宴 with カマキリ夫人----------------------------------------------------------------

巨大台風最接近・・・てゆーか通過中、の西日本を、大阪から岡山へ。すでに大阪市内を吹く風は台風の風で、帽子がピューと飛んで転がり、梅田の大通りを必死で追いかけたブサイクなワシ。台風はまさに今夜、岡山上空を通過し、日本海へ抜けて行くやうで、こらまたとんでもない日にライヴを組んでしまったな、と。この分ではまぁ集客ゼロ、とは云はぬまでも、3〜4人でも仕方ないな、と思ひながら、岡山入り。

けふの主催、松下トオルさん(トリノス・スタヂヲ主宰)、水本和秀さん(ラッシュ・ミュージック・アカデミー主宰)とランデヴー。水本さんは脱力系ベースデュオ「カマキリ夫人」のリーダーで、前回ノレン〜と旅した折に出会い、その佇まいに惹かれ、けふのブッキングをお願いした所、快く引き受けてくれた。それがこんな大変な日となってしまひ、恐縮至極、である。

ワシらが岡山に着いた時点で、すでに夜21時以降の交通網は全て運休、の決断が出されており、お客さんの帰りの足、といふ問題も浮上。「押し」は絶対に許されじ、の心意気で臨む。

3〜4人でも仕方ないな、と思ってゐたが、これが予想に反し、定刻には店に入り切れぬほどのお客さんが!。台風の影響により、むしろ日頃より早く仕事が終わり、来ない予定だった人も来れるやうになった、と云ふ話しをのちに聞いた。松下トオルトリオ(鍵盤、セロ&ギター弾き語りの、ピュアなスピリチュアル・ソング、といふかんぢの好ユニット。また聴きたい!)カマキリ夫人(ウチと対バンする時は『カマキとリフジン』なのださう。ポップな男女のベースデュオ)、そしてワシら。すべて渾身のパフォーマンスで、満場のお客さんも満足してもらへたのではなからうか?。ワシらは弐番手にも関わらずアンコールを頂き、昨日に引き続き、良い仕事をさせて頂けた様子。

演目:亀の庭/みみづく時計/Dance/アルフォンシーナと海/くちなわは語った/砂に泣き/苔の記憶/ぎやまん。ぎやまんはアンコール。

岡山はいくつかのお店が、たいへん友好な協力関係にあるやうで、その辺りを会話から窺い知れるのが良いなぁ、と思ふ。これもノレン〜に繋いでもらった縁・・・ひいては最初にノレンとワシらを引き合わせてくれた大阪の兄貴、泉尚也さんの導きに他ならない。人の縁は人を拡大するのだねぇ。あらためて、感謝を。

17日(金)----------------------------------------------------------------

台風は一夜かけて岡山を縦断してった様子。ジャンケンで勝って角部屋を取り、ウキウキしてゐたしーなさんは、雨風の音がうるさくて眠れなんださうな。嵐の一夜が明け、外はまだ風雨強い状態だが、なんとなくは落ち着いたかんぢ。

昨日の夕方の時点で「明日(17日)は朝から運休は確実」といふ流れだったので、まぁ、台風直撃下の岡山において、そはもぅ避けやうのない現実。金曜日は専門学校なのだが、かういふ事情ならば仕方あるまい。休講の連絡を入れ、ゆっくり帰る事にす。夕方の個人レッスンまでに帰れば・・・。

昼過ぎに帰った広島は、カラリと云はぬまでも晴れてゐて、聞けば風こそ強く吹いたものの、雨もほとんど降らんかったらしひ。隣の県、とは云へ、やはり岡山と広島ではこんだけ気候は違うのだねぇ。してレッスンに行くと、ジモ教室の看板が風で飛ばされ、道路に散乱してゐる。通行人や車に当たらなんだのが不幸中の幸い。危機回避を徹底せねばならんな。そもそも風で飛ぶやうな看板を出してゐてはダメだ。

さ、明日も早い。


4週目

18日(土)----------------------------------------------------------------

飲食店提携広報音楽団「サシミ組」の営業。島根県は邑南町(おうなんちょう)、里山イタリアン「AJIKURA」にて。

今回、イタリアンのお店、と云ふ事で和装は止め、サシミ組も名乗らず、あえて姫石ミミ、椎名まさ子、石井サトシ、梶山シュウのクァルテット、として演ることにした。諸処の事情により、昼夜弐公演だったのを、昼の一回のみにして、そのぶん長めに演る。『どんなんかいな?』といふかんぢで集まったお客さんも、割と早いうちからノリ始め、最終的には結構な盛り上がりを見せるライヴとなった。

やはりこのテの営業バンドには珍しく、女子二人が交互に唄う中に、フと男の唄が入る、といふのがポイントとなり、ライヴのメリハリが付け易い。逆に云へば、全編男が唄っても暑苦しいだけ。やはり男女でリードヴォーカルが3人居る、といふのは(フリートウッドマックだ!)強い武器なのだ。もっと仕事が来てもオカシクないハズ。提携店引き続き募集中。

たいへん喜ばれ、ワシらも楽しく演奏した。ただ、本来の予定「昼夜弐公演」を実現したとしたら、終演〜撤収〜解散、の流れで確実に日付けを跨ぐ事になり、そは流石に日帰りにするにはしんどいのではないか?と。それを知れた、といふ意味でも、けふのは意義のある一回公演だった。けふも複数の「マダムを」「キルした」梶山シュウのハスキーヴォイスであった(笑)。

けふは特に激しいソロなどの局面がない内容だったので、全編「ヴァイオリンベースを親指弾き」・・・所謂「いかりや奏法」で演ってみた。かなりイイ。通常の2フィンガーは弾き難い楽器だが、これならイケる。今後この楽器は親指弾き専用、とす。

けふは、道中含め半日、ドラムのサトシと行動を共にした。高速道路を使わず、怪しげな山間部の裏道を走ったりしながら、過ぎし此の方なぞを語り合う。タマにぁ男同士の語らいも良いもんである。

19日(日)-----------------------------------------------------------------

ナニか身に詰まされるのかなんなのか、この頃「年寄り」が主人公の物語を読む事が増えた。ちょうどこれから少し先に、ワシが味わうであらう「残念感」を、物語として本当に他人事ではなく読み進む。昨今、世間は子供達や若者の未来ばかり語りたがる傾向にあるが、ワシら中年にも、残念ながらまだ未来はけっこう残ってゐるのだ。

以前、社会学者の友人に、これからの此の国での生き方につひて訊ねた事がある。彼いわく『確保すべきは家(住処)』らしひ。それさえクリアできて居れば、例えば国の財政や年金が破綻しても、とりあへずどーにかなる、と・・・。だが、ワシに云ふはせてもらふなら、何より先に『健康』が確保できてないとダメなのでは?、と思ふ。若い頃、社会の底辺を這いずり、肉体労働に従事した身から察するに、「頑丈な身体」は時になにより大事な切り札となる。

ん〜〜む、闇夜の釣りのやうな話しだ。

夕方、しーシュのリハ。最近、日曜のこの時間にリハをし、ラヂヲ(広島FM「Garage songs」)のオンエアを二人で聴いてシメる、といふ流れが多い。悪くないのだ。

20日(月/祝)----------------------------------------------------------------

いちをう「経営者」として名を連ねてゐる「新・ジモ・ミュージック・スクール」の講師陣による、デモンストレーション・ライヴ、の弐回目。

前回、完全に手探りでの開催で、来場者は知り合い友人ばかり、といふアレで、まぁそれはそれで楽しかった。あのかんぢをメンバーも気に入り、あまり間を置かずに続けやう、といふ流れとなった。けふはそこそこ新規のお客さんが集まり、こないだとはまた違ったかんぢに・・。

いちをう「デモンストレーション」といふ事なので、各人それぞれが蘊蓄を語り、それが楽しいかどーか、も教室の売りとなる。けふのワシはフレットレスベースにつひて語り、マニアック過ぎて「ハァ?」の世界だった様子・・・、まぁ「失敗」てことやね。ライヴ事体もあんまりうまい事行かズ。ちょいと落ち込む。だが分からんもので、新規の生徒さんが入会。ライヴとしてはアレだったが、「デモ」としては成功だった、と・・・。

講師陣そのものが、このイベントをえらいこと気に入り、次もやろう!と意気込んでゐる。エェことだ。その熱気に乗じ、久しぶりにこのテの打ち上げに参加したが、皆の喰ひっぷりのスゴさに圧倒される。よぉ喰ふことよ、みんな!。ドラムの上チャンなぞ、「お好み焼きのおかわり」までしてゐたな(笑)、天晴。しかし、昔はワシこそ「喰い助」と呼ばれる鯨食家だったものだが・・・。

21日(火)---------------------------------------------------------------

夏休み前最後の専門学校・・・だが、おそらくこれが、授業としては「最後の登校」になるのではないか、と推測。現段階では、休学中の生徒が復学する可能性は低く、正式に退学が決定した時点で、ワシの授業も消滅する。まぁ今はそのカウントダウンのやうな・・・。

まぁ仕方ない。今期は本来、さういふ話しだったのだ。だからジモ教室に力を注ぎ、個人的に展開もして来た。またそこに戻る、と云ふだけの話しだ。ここまで働けたことをラッキーと思はねば、それこそバチが当たるバチが。

小中学校は夏休みに入ったやうで、アパートの何処かから、子供らがピヤニカやリコーダーを練習する音が聴こえるのが、ささくれた心をナゴませてくれる。

22日(水)----------------------------------------------------------------

ワシの生まれ故郷 廿日市市に、こたび超々巨大なショッピングモールが出来た。

オープン当初はそれこそキ○チガイのやうな混雑ぶりだったさうだが、そろそろ落ち着いただらう、と云ふ事で、初めて行ってみる。てゆーのも、教室を構えてゐる楽器店の本部がここに移転した、てぇのもあり、しかしここの新教室にはワシでなく、他所から講師を招聘した、といふ事でなんやそら?といふかんぢの、まぁさういふ複雑なアレで。

行ってみて驚くホンマにデカい建造物。端から端までが見通せぬくらいのデカさ。まぁ元々は工場地帯だった所を、一旦更地にして作った訳だから、これぐらいの敷地面積はあっても不思議ではないのだが、ま〜中も外もとにかく広い。面積にモノを云はせた超広いフードコートなどもあり、なんかビアホールやイベント会場のやうな趣きすらある。夏休みに入ったこともあって、その広い店内はコドモらでぐぢゃぐぢゃ。

楽器店は、その中では落ち着いた一角にあり、当然ながら内装も備品もまだピカピカに新しい。ワシの来訪を喜んでくれる店員も、新しいデザインの制服まで揃えてあって・・・。まぁそらぁこんな所に習いに来る、てだけである種のステイタスにはなるかもねぇ。

ところで、このモールのどっかでウチの姉貴が働いてゐるハズなのだが、探す気にもならんくらいの広大さだった。

23日(木)---------------------------------------------------------------

こないだの日誌にも書いたが、ワシのライヴを観て、ビビっと来て、是非一緒に!と声をかけてくれたパーカッショニスト、青木いくこさんがお手合わせに来ジモ。ワシがどのやうなニッチでこのデュオにハマれば良いのか、がイマイチ分からんのだが、小壱時間半ほどセッションす。

ベースで演る場合、楽曲の骨子を1人でほぼ作り上げてしまふワシのスタイルに、「リズム楽器」として打楽器で絡むのは、正直至難の技なのではないか、と思ふ。本人はあまり深くそのことを考へてなささうで、そこもワシが攻め倦ねるところ。まぁ何度か演ればナニカ見えてくるやもしれない。ギターか、なんか他の楽器で演った方が良いのかもしれんね。

明日から旅なので、レッスンを前倒しにした。ので、久しぶりに個人レッスンを5人連続、といふスケヂュールとなり、結構忙しかった。まぁ本当は、5人づつで週に3日、くらいのレッスンが入れば、定収入としてはたいへん安定するのだが、それもなかなかまた・・・。

24日(金)-----------------------------------------------------------------

車で小壱時間、向原まで行き、ヴォイスレッスン。広島に帰り、旅の仕度。夕方、ベースのレッスンをひとコマ。その後、しーなさんと合流して、夜行バスにてお江戸を目指す。東京までバスで行くのは久しぶりだな。

呉のヤマナカーニャから、ライヴの直前にループマシンがイカれた、といふ話しを聞き、ちょいと弱気になるワシ。ワシも一号機はもぅだいぶ使い込んでゐる。これがいつどのやうにイカれるかは、全く予測がつかない。予備にもぅ壱個持って行くべきかどーか(万が一に備え、同機種のを3ツ確保してある)

てな訳で、行って来ませう。全10日7ライヴの、割と長めの旅。


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